1日のほとんどを移動時間に費やしてしまっている営業担当の方も多いのではないでしょうか。
インサイドセールスはまだ日本ではあまり浸透していませんが、アメリカなどでは既にアウトソーシングも行われているほどです。
時代に合ったインサイドセールスは効率的に成果が出せる営業手法です。
リスクや負担を減らしながら、成果を効率的に上げられるインサイドセールスのメリット・成功事例・課題について解説します。
目次
インサイドセールスの導入事例を解説
とある小売業の会社では、主にDMを用いた顧客開拓を行っていました。
しかし、限られた人数の担当者が営業の全てを担っていたため非常に効率が悪く、受注率も低い状態でした。
そこで、受注率を上げるため営業スタイルを見直したのです。
見直したのは以下の点です。
- 営業担当者の数を増やさない
- 営業業務をインサイドセールスとフィールドセールスとの組み合わせに変更
まず、インサイドセールスでは商品に関心の高い顧客にDMを送付します。
送付後は顧客の反応を電話やメールで伺いながら商談の設定までをインサイドセールスが行います。
そこからは、フィールドセールスに引き継ぎ、成約件数は導入前と比べ約30%以上増加することに成功したのです。
さらにインサイドセールスからの情報をもとに内容の濃い商談が行えるようになりました。
その結果、受注率が向上し売上アップに繋がりました。
インサイドセールスを導入することで業務の効率化が図られ、少人数でも業績にも貢献できるようになるのです。
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インサイドセールス実施のメリット
インサイドセールスは電話やメールなど非対面を主なチャネルとし相手先を訪問しない内勤型営業です。
ここではインサイドセールスを導入するメリットについて解説します。
リードナーチャリング
リードナーチャリングは顧客のモチベーションを育てることで、いかに成約に結びつけるかが重要なポイントになります。
集めたリードの情報を分類し、それぞれに見合ったアプローチをします。
その結果、より効率的に商談へと繋げられるのがメリットです。
MAツールを活用するのも1つの手段でしょう。
MAツールとは集客や販売促進、顧客管理などマーケティングプロセスを自動化し支援するツールです。
無事商談へ進んだ場合、リードナーチャリングの過程で得た情報をしっかり営業担当と共有することも大切になってきます。
リードタイムの短縮
営業担当者が商談に至るまでの全ての段階を担う従来のフィールドセールスでは、効率が悪くなっていました。
膨大な業務量に比べて、実際の受注量が低くなりやすいからです。
インサイドセールスでは見込み顧客の中から優先順位をつけます。
ニーズが顕在化した顧客に対して商談を進められるため、リードタイムが縮小できるのです。
従って効率的な営業活動を行うことが可能となります。
移動時間・人件費削減
フィールドセールスは、見込み顧客に対して訪問営業をし、商談の合間に電話での営業活動もします。
移動時間もあり1人がこなせる仕事量には限界があります。
一方、インサイドセールスでは訪問の必要性がなく、商談のために移動時間や労力を割くこともありません。
フィールドセールスは、インサイドセールスでニーズが顕在化した顧客のみに集中できるので、成約率のアップに繋がるのです。
インサイドセールス実施のデメリット
効率よく営業ができるといわれるインサイドセールスですがデメリットもあります。
ここからはインサイドセールスを実施する際のデメリットについて詳しく見ていきましょう。
関係性構築が難しい
顧客とのコミュニケーションが電話やEメール、DMが主となるインサイドセールスでは顧客の表情を伺うことができません。
顧客の反応が掴めないため臨機応変な対応がしにくいというデメリットがあるのです。
顔を見て話をしないため信頼性の構築に時間がかかるといえるでしょう。
信頼関係を構築するためには、顧客の要望に対して迅速な対応を心がける必要があります。
商品の魅力を伝えきれない場合がある
顧客と対面しないインサイドセールスでは、実際に商品を手に取ってもらう機会がありません。
そのため商品の魅力を伝えきれないこともあります。
電話での会話やメールでの文章、DMのキャッチコピーなどで商品の魅力が最大限伝わるよう工夫をすることが大切となってきます。
様々な情報共有の仕組みづくりが必要
インサイドセールスでは、成約までの過程を複数人で担うことになります。
従って双方の持っている情報を確実に共有できる仕組みやツールの活用が不可欠となります。
全てのセールス担当者の間でツールを活用し、綿密かつ効率的な情報共有を行えるようにしましょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
インサイドセールスの分類
インサイドセールスの方法は大きく3つに分けることができます。
それぞれを検証していきましょう。
ステージ分担型
ステージ分担型は、顧客のステージに合わせて、インサイドセールスとフィールドセールスに分ける一般的な方法です。
例えば「顧客発掘〜顧客育成」までをインサイドセールスが、「提案・商談〜クロージング」をフィールドセールスが担当します。
ステージによって担当が決まっているので、より効率的なアプローチが可能になるのです。
一方で、適切な引き継ぎや情報共有が行われないと顧客の混乱を招いたりしかねません。
責任の所在が不明確にならないよう情報連携を必ず行いましょう。
顧客分担型
顧客分担型は、顧客のステージに関係なく、全てのステージをインサイドセールスとフィールドセールスが担当します。
例えば、商材や地域などをセグメントで分担することでインサイドセールスだけでも営業活動を完了させられます。
そのため引き継ぎなどで情報が錯綜することがなく、案件を管理しやすくなることがメリットです。
一方でインサイドセールスがクロージングまで行う場合は、それなりのスキルが必要となることがデメリットになります。
個別チーム運営型
個別チーム運営型は、インサイドセールスとフィールドセールスが一体となり、業務を適宜分担する手法です。
顧客や案件によってそれぞれが担う役割を決めてチームを作り、二人三脚で営業活動を行います。
インサイドセールスとフィールドセールス間での作業が最適となるよう配分できるメリットがあります。
一方でチームの運営方法に一貫性が乏しく偏りが生じやすくなるデメリットがあります。
チームワークが必要となることからアウトソーシングに適さない面もあります。
双方の分担する役割と配分を明確にしておくことも不可欠です。
インサイドセールスの導入方法
インサイドセールスとはただ導入すれば良いというものではありません。
成功に繋げるインサイドセールスの導入方法をご紹介します。
業務プロセスの見直しと分業化
初めに行うことは、今までの営業活動の業務プロセスを見直しです。
推測ではなく、実際の営業マンからヒアリングし、出来るだけ細分化して洗い出すことが重要です。
業務プロセスが明確になったら、インサイドセールスとフィールドセールスの分業化をします。
フィールドセールスが行ってきた業務を一部インサイドセールスへ移行することもあります。
いきなり大掛かりな改革をするのではなく、まずは比較的インパクトが少ない所から始めましょう。
その成果をフィードバックしながら拡大していくと良いでしょう。
適正な人材を配置する
インサイドセールスには顧客からより多くの情報を収集し、その状況を心理面も含めて把握できる人材が必要です。
さらに最適なタイミングを見極めて、フィールドセールスへ引き継ぐことも重要になってきます。
そのため、社内の誰がインサイドセールスに、誰がフィールドセールスに向いているか適性を把握する必要があります。
それぞれに配置が決まった後は、組織図などで周知しておきましょう。
インサイドセールスの成功事例
それではインサイドセールスを導入したことで成功した事例を見ていきましょう。
商圏拡大
全て訪問営業をしていたときは、訪問件数は多くて1日5件で大半は移動時間にあてられていました。
さらに交通費がかさみ、車での事故、天候による影響なども懸念されていました。
インサイドセールスを導入したことで、移動する必要がなくなり商圏拡大ができたのです。
それまで1エリアだったのが10エリアに、1日当たりの件数も5件から10件へ倍増したのです。
さらに受注率は3〜4倍に増えました。
リードタイム短縮
今までは資料請求してくれただけでは手応えを十分感じることができず、その後何度も足を運ぶことが多かったです。
しかし、訪問をする代わりにオンライン上で商品のデモを行うようにしました。
すると訪問回数は減り、移動時間やコストも削減できました。
クロージングが初回訪問ということも珍しくなく、リードタイムは大幅に短縮されています。
受注率・売り上げアップ
顧客リストを見て片っ端から電話でアポを取り、訪問営業するやり方をしていました。
今思えば、弊社の商品にどの程度興味を持っているのか分からないまま、とりあえず商談することが仕事だと認識していたのです。
インサイドセールスを導入してからは、商談で訪問することはなくなりました。
顧客のニーズを洗い出し、見込みが高い顧客から積極的にアプローチすることにしたのです。
その結果、購入意欲の高い顧客と商談を進めることができ受注率、売上共にアップしました。
新人教育活用
フィールドセールスのみの場合、新人教育は営業活動に同行訪問するしかありませんでした。
1日に訪問できる件数も限られ、移動時間やコストもかかるため効率的とはいえない状況だったのです。
インサイドセールスを導入したことで、社内にいながら先輩たちが商談している様子を見学することができます。
常に誰かが営業活動をしているため、1日に何件も見学をすることができ、顧客にとって負担も少ないと考えます。
営業手法が身につくのも早いので、入社数ヶ月で先輩に肩を並べることができるようになった新人もいるほどです。
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直面する課題とその対策事例
インサイドセールスを導入したにもかかわらず、思うような成果が出ないこともあるでしょう。
導入後に直面しやすい課題とその対策事例を検証してみましょう。
計画と教育が不十分
インサイドセールスとは単に今まで訪問することで行っていた営業活動を、電話やメールに変えるだけではありません。
具体的にどの内容、どの時期、どんな方法で、どんな人がアプローチするのかを立案しましょう。
また、インサイドセールスは対面しないため、話口調やメールを送るタイミング、相手の状況を読み取る力がより必要とされます。
デジタルツールも使いこなせるスキルが求められます。
インサイドセールスに適した人材選出と人材育成は重要なポイントとなるのです。
情報共有が曖昧
限られた情報の中から見込み顧客の状況を把握するためにはインサイドセールスとフィールドセールスの情報共有は必要不可欠です。
1人の人間しか知らない情報が多かったり、フィールドセールスへ引き継ぐタイミングがバラバラだったりすると成果に結びつきません。
チーム内のコミュニケーションを心がけ、顧客の情報は一元化し業務の手順を標準化しておくことが必要です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
成功のポイント
インサイドセールスを成功させるポイントについて解説します。
セールスモデルの事前策定
営業活動をしようとしている顧客はどのような企業で、何を求めているかを知ることが大切です。
そして、どのような内容で、どの担当者がどのタイミングでアプローチするかセールスモデルを事前に策定します。
インサイドセールスでは、これらを細かく把握し、フィールドセールスとの分業で営業活動していくことがポイントになります。
またチームとして顧客情報を一元化、営業活動を標準化することが求めらるのです。
部門間の連携とKPI設定
インサイドセールスを導入することで、今まで以上に部門が細分化されます。
営業部だけだったのがインサイドセールスとフィールドセールスの2つに分かれるのです。
この業務の分担を明確にしておかないと、重複していたり、抜けていたりする可能性が出てきます。
部門ごとに具体的な業務に対するKPIを設定したうえで、効率的な営業活動を行っていくようにしましょう。
KPIとは組織の目標を達成するための重要な業績評価の指標を意味し、日本語では重要業績評価指数といいます。
目標達成度合いを計測するための指標になります。
インサイドセールスで悩んだら
日本ではまだ馴染みの薄いインサイドセールスです。
いざ導入を決めたとしても、周囲の理解を得たり、業務体系を変えていくためには労力が必要です。
インサイドセールスで悩んだらデジマクラスに相談してみましょう。
デジマクラスはさまざまなマーケティングのノウハウと知識があります。
インサイドセールスとフィールドセールスとの役割分担や商談獲得までどう対応すればいいかサポートしてくれます。
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まとめ
インサイドセールスについて解説しました。
インサイドセールスは少ない人材でツールを活用し、訪問による商談のリスクやコストを削減できる有効な手法といえます。
一方で従来のフィールドセールスにも対面セールスの強みがあります。
それぞれのメリットを生かした営業活動を顧客に応じて展開していくことが望ましいのです。
会社にとっても顧客にとっても有益となるインサイドセールス、是非検討してみてはいかがでしょうか。