インターネット上のメディアにおいて記事と融合する形での広告「ネイティブ広告」を活用したいと考えているマーケターは多いでしょう。
しかし様々な種類や条件があり、どのように活用すればよいかわからないという悩みを持つ人もいるようです。
そこでこの記事では、ネイティブ広告を最大限に活用するために、その種類や条件・仕組みについて詳しく解説しました。
ネイティブ広告を利用する際の注意事項や関連サービスについても言及していますので、ぜひ広告手法選定に役立ててください。
目次
ネイティブ広告の種類を解説
広告でありながら、外観や内容はメディア上の記事の1つとして溶け込むようにデザインされたものをネイティブ広告といいます。
ディスプレイ広告やバナー広告などのように「いかにも広告」という外観ではないため、ユーザーに不快感を与えづらいことが特徴です。
この記事ではネイティブ広告の種類を中心に、条件や活用方法・注意点などについて詳しく解説していきます。
ぜひ最後までご覧になり、ネイティブ広告を活用するための参考にしてみてください。
ネイティブ広告の仕組みは?
ネイティブ広告は前述の通り、広告媒体となるメディア上のコンテンツにマッチするように作られています。
そのため、画面にリンクが表示された段階ではメディアのデザインを損なうことなく、ユーザーの視界をほとんど妨げません。
また広告にアクセスした場合も、メディアの通常のコンテンツを閲覧するのと同様のユーザー体験を与えるように作られています。
ただし広告であることを明示するため、「広告」や「PR」などと表示して通常のコンテンツとは区別されなければなりません。
ネイティブ広告の種類
ネイティブ広告は、アメリカの広告業界団体であるIAB(Interactive Advertising Bureau)によって以下の6種類に分類されています。
- インフィード型
- ペイドサーチ型
- レコメンドウィジェット型
- プロモートリスティング型
- ネイティブ要素を持つインアド型
- カスタム型
それぞれの特徴を順番に見ていきましょう。
その1:インフィード型
インフィード型は、メディア内の通常のコンテンツに交じる形で表示される形式の広告です。
ユーザーの興味・関心に沿う形で広告を見てもらえるため、購買意欲を高め、問い合わせなどのアクションにつながりやすいといえます。
SNSなどでも多く利用されており、タイムライン上に表示される投稿と同じ形で広告を表示することが可能です。
その2:ペイドサーチ型
ペイドサーチ型は「リスティング広告」とも呼ばれ、検索エンジンでの結果表示画面にオーガニック検索と並んで表示される形式の広告です。
ただしその広告をクリックした際に、オーガニック検索で表示されるコンテンツと同様の体験をユーザーに与えなければなりません。
つまり、キーワードを検索したユーザーが知りたいと考えている情報を提供できる、価値の高いコンテンツが求められているといえます。
その3:レコメンドウィジェット型
レコメンドウィジェット型は、記事の最後や途中に「おすすめ」として表示される形式の広告です。
ユーザーが閲覧したページなどの情報をもとに、興味・関心を持たれそうな広告をアルゴリズムが選別して表示します。
特定のメディアへの掲載ではなく、レコメンド配信サービスを経由して配信されるのが特徴です。
インフィード型と違い掲載面を選ぶことはできませんが、ユーザーの興味・関心に合致しやすく、高いコンバージョン率が期待できます。
その4:プロモートリスティング型
プロモートリスティング型は、ECサイトなどで商品(店舗)検索を行った際、検索結果の上位に表示される形式の広告です。
ペイドサーチ型と似ていますが、掲載されるメディアに合うジャンルの記事でなければ出稿することができません。
例えばグルメサイトの場合は飲食店のみ、家電ショッピングサイトの場合は家電のみといった具合です。
ユーザーが情報を求めて能動的に行動している分、その目的に合致していれば問い合わせや購入につながりやすくなります。
その5:ネイティブ要素を持つインアド型
ネイティブ要素を持つインアド型は、固定の広告枠の中で、記事との関連性が高い広告が表示される形式です。
表示自体は通常のバナー広告同様、通常のコンテンツとは別になるため、広告であることが分かりやすいという一面もあります。
掲載のためにはIABが定めたディスプレイ広告枠基準をクリアする必要があるので注意が必要です。
その6:カスタム型
上記の5種類に分類されない形式の広告は、全てカスタム型として分類されます。
カスタム型の代表としては、LINEの企業スタンプやSpotifyのカスタムプレイリストなどがイメージしやすいでしょう。
メディアと広告主が協力していくことで、今後も独自の形態でより効果の高い広告を生み出していく可能性が広がっています。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ネイティブ広告の条件
広告主がネイティブ広告を自社の目的に合わせて選定するため、IABは6つの評価フレームを用意しています。
- FORM
- FUNCTION
- INTEGRATION
- BUYING&TARGETING
- MEASUREMENT
- DISCLOSURE
いずれも、良いか悪いかではなく、自社の広告に向いているかどうかを判別するための指標です。
それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
その1:FORM
FORM(形式)は、広告がそのメディアのコンテンツのデザインにフィットするかどうかの評価基準です。
広告がメディアのフィードの動きやデザインに合っているか合っていないかを判断し、広告媒体を選定します。
ネイティブ広告自体がインフィードを目的としていますが、「ネイティブ要素を持つインアド型」だけはインフィードではありません。
その2:FUNCTION
FUNCTION(機能)は、広告がメディアの他のコンテンツと同様の機能や同系統のコンテンツ体験を提供するかどうかの評価基準です。
例えばインフィード型の中でも、動画広告や周囲の記事と同じ形式で書かれている記事形式のものは機能が合致しています。
同じインフィード型の中でもプロモーション広告形式のものや、レコメンドウィジェット型は機能が合致しているとはいえません。
その3:INTEGRATION
INTEGRATION(統合)は、広告の挙動が周囲のコンテンツと合致しているかどうかの評価基準です。
同一サイト内のページにリンクしているペイドサーチ型などは、広告の挙動は周囲のコンテンツと一致しています。
レコメンドウィジェット型やプロモートリスティング型・ネイティブ要素を持つインアド型はリンク先がサイト内のページではありません。
その4:BUYING&TARGETING
BUYING&TARGETING(バイイングとターゲティング)は、広告の掲載面やターゲティングを指定できるかどうかの評価基準です。
固定枠で出稿できれば、自社の広告がどのようなページに掲載されるのかを把握することが可能になります。
レコメンドウィジェット型はユーザーによって表示される内容が異なるため、広告の掲載面を指定できません。
その5:MEASUREMENT
MEASUREMENT(計測指標)は、広告の成果を判断するための指標がどこにあるかを示す評価基準です。
ブランディング指標に主軸を置く場合はインフィード型やレコメンドウィジェット型・ネイティブ要素を持つインアド型が向いています。
ダイレクトレスポンス指標を重視するなら、プロモーション広告やペイドサーチ型・プロモートリスティング型が向いているでしょう。
その6:DISCLOSURE
DISCLOSURE(広告の明示性)は、消費者に対し広告であることが明確に伝わるかどうかを示す評価基準です。
ネイティブ広告は広告であることを明示する必要があり、それを担保する基準といってもいいでしょう。
この評価基準は二極性ではなく、それぞれの広告形態によってどのような言葉で広告であることが示されているかが列挙されます。
なぜネイティブ広告が生まれた?
従来のインターネット上の広告は、特定のページの特定の位置に配置されることで目につきやすいよう設計されていました。
しかし、広告色が強いためにページを閲覧するユーザーが不快に感じることが増え、広告を無視する傾向が大きくなっていったのです。
そこで、ユーザーの情報への関心を極力妨げないように、さりげなくコンテンツに溶け込む広告形態が模索されました。
ネイティブ広告という新しい広告の概念が生まれたことで、ユーザーは興味を削がれることなくメディアに没頭することができます。
また広告主は自社の広告を見てもらいやすくなり、メディア側は新しい広告収入の手法が得られました。
まさに「三方良し」の広告形態といえるでしょう。
ネイティブ広告の活用方法
ネイティブ広告の詳細についてはわかったものの、どのように活用すればいいかまだ分からないという方もいるでしょう。
ネイティブ広告の良さを活かすためには、自社の商材とマッチするメディアを利用することが最大のポイントです。
そこで、ネイティブ広告を利用している主要なプラットフォームを例に挙げ、その活用方法を解説していきます。
SNSによる広告
SNS上の広告では、ターゲティングの正確さや情報の拡散性が大きなメリットといえます。
Facebookでは年齢や性別・趣味嗜好などでより正確なターゲティングができ、自社のコンテンツに合う層へのアプローチが可能です。
X(旧Twitter)ではリツイート先でさらにリツイートされる場合には費用が発生しないため、拡散されればされるほど費用対効果が高まります。
このようなポイントを重視したい場合は、SNSによる広告を利用するメリットが大きいといえるでしょう。
ニュースアプリによる広告
ニュースアプリによる広告では、様々な目的に合わせて広告形態を選択することができます。
例えばSmartNewsの広告ではStandard(インフィード広告)とPremium(純広告)が用意されており、枠の選択が可能です。
さらにStandardでは動画かバナー広告かが選べ、Premiumではトップチャンネルやそれ以外のファーストビューを指定することができます。
伝えられる情報量が比較的多く、またPremiumでは独占的な表示もできるため、その点を重視したい場合にはおすすめです。
ネイティブ広告で注意すべきこと
ネイティブ広告を運用する上で1番のポイントは、メディアのコンテンツとの親和性を保つことです。
例えば表示される広告のデザインと遷移先ページの内容に乖離がある場合、ユーザーに不快感を与えてしまいます。
メディアが提供するユーザー体験と同様の価値がある情報を与えることができなければ、ブランドイメージを損ないかねません。
事前にそのメディアについてしっかりと情報を集め、自社の商材とすり合わせができるかどうか入念な準備が必要になります。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
おすすめ関連サービス
ネイティブ広告の運用を効率化するために、関連サービスについてもいくつかご紹介しておきましょう。
「LOGLY lift」は独自の特許技術を利用した広告配信最適化機能を利用し、広告媒体の選定と最適化を行っています。
「popIn Discovery」はアジア8か国で900以上のwebメディアをネットワーク化した、国内最大規模のプラットフォームです。
「AkaNe」も1000件以上の媒体と提携している国内最大級のアドネットワークで、多様なターゲティング配信を可能としています。
これ以外にも様々な関連サービスがあり、いずれもネイティブ広告の運用について独自の特徴を持っているため、選定には注意が必要です。
しっかりと比較検討して、自社のコンテンツと親和性があるかどうか丁寧に吟味しましょう。
どのネイティブ広告を活用するか悩んだら?
多種多様なネイティブ広告の中で、どの広告が自社の商材に向いているのかを選定するのは大変な作業になるでしょう。
もし自分や自分のチームでは手に負えないと感じる場合は、知識と経験のあるマーケティングコンサルタントへの相談をおすすめします。
専門の知識とコンサルの経験があれば、それぞれの広告の特徴を詳細に把握したうえで、最適な広告手法を選別することが可能です。
ネイティブ広告の恩恵を最大限に享受するために、専門家の知識を上手に活用しましょう。
インターネット広告の事例はこちら
まとめ
ネイティブ広告はユーザー・広告主・メディアの全てにメリットがあり、今後も需要が伸びていくことが予想されます。
また、既存の形式にとらわれない新しい形の広告もこれから生み出されていくことは十分に考えられるでしょう。
それだけに、それぞれの形態にどのような違いや特色があるのかを事前にしっかりと把握しておくことが重要です。
自社のコンテンツの良さをしっかりと伝えられる広告を注意深く選定し、より広告の費用対効果を高めていきましょう。