チェリーピッカーを解説!野放しにすると考えられる弊害は?チェリーピッカーの対策やリピート促進につなげる方法も紹介します!

売上はあるにも関わらず思うような収益が上げられないことの一因に、チェリーピッカーという存在があります。

小売業にとって、チェリーピッカーの特徴とその注意点を理解し適切な対策を講じることは軽視できない問題です。

今回の記事ではチェリーピッカーがもたらす弊害をふまえた対策や顧客のリピート促進に有効な方法を解説します。

販売数ではなく利益を増大させるマーケティング戦略を考案する参考にしてください。

チェリーピッカーの概要

飲食や小売などの店舗経営・運営をしていると「チェリーピッカー」という用語を耳にする耳にする機会が多いでしょう。

ここではまずチェリーピッカーという用語の意味と使い方を説明します。

適切なマーケティングを考えるうえで、基本となる知識を正しく理解しましょう。

チェリーピッカーの意味

「チェリーピッカー」は英語で「cherry picker」と表記され、直訳は「サクランボの摘み手」という意味です。

サクランボ摘みでは、美味しく熟れたもののみにねらいを定めその他には目もくれません。

チェリーピッカーはこのことに由来し、転じて「苦労することなくいいところだけ持っていく人」を指す言葉になりました。

マーケティングにおいては、キャンペーン時やバーゲンセール時を選んで来店し特売価格品のみ購入する客をチェリーピッカーと称します。

チェリーピッカーは別名「バーゲンハンター」とも呼ばれており、どんなに増えても収益の見込みがない存在です。

チェリーピッカーの使い方

チェリーピッカーという言葉の使い方については、以下がその例になります。

  • 新規顧客を開拓する目的で開催したバーゲンセールにチェリーピッカーばかりが押し寄せる
  • 赤字経営になる原因の1つにチェリーピッカーが多いことが挙げられる
  • スーパーの特売タイムを定刻に設定すると多くのチェリーピッカーを集める結果になってしまう
  • いくら顧客とはいえそれがチェリーピッカーでは歓迎できない
  • クーポン配布時のみ現れるチェリーピッカーはマーケティングにおける悩みの種である

チェリーピッカーの意味は、ただ単に意味を説明するだけでなくこのように実際の文章に当てはめてみると理解しやすくなるでしょう。

 

マーケティング戦略の事例はこちら

 

チェリーピッカーは特売だけを買う顧客

チェリーピッカーとは特売の商品だけしか買わない顧客を表わすマーケティング用語です。

以下ではチェリーピッカーの特徴について、マーケティングの仕組みなどをふまえて解説していきます。

小売業の戦略を逆手に取る

小売業では、特売を行うことで利益を得るマーケティング戦略が多く採用されています。

チェリーピッカーはこうした戦略を逆手に取り、特売時のみ来店しセール品でない商品は一切購入しないのです。

経営側からすると、どれだけたくさん特売商品だけ購入されても利益は全く増加しないどころか赤字になることすらあります。

チェリーピッカーは店舗の売り上げに貢献しているように見えて、実は赤字の要因の1つになっているのです。

顧客は平等ではない

小売業は顧客がいないと成り立たず、サービスを尽くし大切にすることが重要だといえます。

しかし、チェリーピッカーが存在する以上、顧客の全てが平等にありがたい存在とはいえません。

真の優良顧客を重視し、チェリーピッカーへの対応との差別化を図るマーケティングを行う必要があるでしょう。

阻止するのは難しい

特売を行うことは、新規顧客の増加に有効なマーケティング戦略です。

しかし決まったタイミングで特売を行うと、必ずチェリーピッカーを引き寄せてしまいます。

一方で、特売をやめてしまったり特売を不定期にするなどのあからさまなチェリーピッカー対策を行うのは考えものです。

これはチェリーピッカーだけではなく優良顧客の企業や店側に対する印象を損ねかねません。

チェリーピッカーを阻止することは非常に困難であり、この最適な対策を考えるのが大きな課題の1つです。

 

ワンポイント
 チェリーピッカーは特売戦略のおいしいとこどりをしており、全顧客を平等に扱っていては対策を講じるのが難しいといえます。

特売で利益を儲けるには

ここからは特売で利益を儲ける仕組みについて説明しましょう。

まず、商品の価格を仕入れと同等またはそれ以下で設定し宣伝を行います。

これは集客を目的として特売を行い、特売品以外の「ついで買い」を誘発することで特売の赤字を補填し収益を上げるのがねらいです。

特売を行ううえでは、在庫処分だけでなくついで買いの売り上げがないと大きな利益を得られません。

このためにはチェリーピッカーを放置するのではなくしっかりとした対策を考える必要があります。

野放しにすると考えられる弊害

小売業において厄介な存在であるチェリーピッカーですが、放置しているとどのような影響が出るのでしょうか。

チェリーピッカーを野放しにすることで生じると考えられる2つの弊害について以下に示します。

ついで買いをしない

先述したとおり、チェリーピッカーは特売のおいしいところだけを得ることがねらいです。

チェリーピッカーはほとんどついで買いをせず、特売戦略のメリットは期待できません。

これが多数になると赤字は甚大なものとなり、店舗経営が立ち行かなくなってしまいます。

またチェリーピッカーは特定の店舗・従業員に対するロイヤルティを持たず、特売時以外にはその店を優先的に利用することはありません。

彼らはどんなにメリットを与えても利益につながらない存在であり、それどころか赤字を作り出す原因になってしまうのです。

優良顧客を手放すリスク

チェリーピッカーを野放しにすると考えられるもう1つの弊害は、優良顧客やリピーターに対する影響です。

特売の宣伝を行うと、日常的にその店を利用していない大勢のチェリーピッカーが来店します。

するとその店を気に入って普段から利用している優良顧客やリピーターへのサービスがおざなりになり、居心地を悪くしてしまいます。

優良顧客やリピーターの満足度が低下し、今後その店を利用してくれなくなってしまうことが危惧されるのです。

チェリーピッカー対策を講じないと、集客を目的として特売を行ったにもかかわらず優良顧客を手放してしまうことになりかねません。

 

ワンポイント
 チェリーピッカーを野放しにすると、経営赤字および顧客減少の原因になる危険があります。

リピート施策がうまくいかない理由

小売業でのマーケティングでは、新規の顧客をリピーターにすることが非常に重要です。

ここではそのための施策がうまくいかない際に考えられる3つの理由を解説します。

優良顧客と一見さんのサービスを変えない

優良顧客と一見さんのサービスを一定にしているとリピーターになってもらえません。

リピーターになってもらうには、顧客が再来店するきっかけとなるようなプライオリティをつけるべきでしょう。

このためには各顧客のリピート率を分析することが求められます。

顧客にまた来店したいと思わせるためには、リピート率に応じて上質なサービスが受けられる仕組みにするのが有効な方法の1つです。

値引きが常態化

リピート施策がうまくいかない理由として、値引きが常態化していることが2つ目の原因として挙げられます。

曜日や時間帯によって定期的に商品の値引きを行うと、それを目がけて多くのチェリーピッカーは来店するでしょう。

定期的な特売は優良な既存顧客にとっても多くの利益があることから、必ずしも良くない施策というわけではありません。

特売をきっかけに来店し引き続きリピーターになってもらえるような、店舗の収益につながるアイデアを考案することが必要です。

リピートさせる仕掛けがない

顧客にとって、来店することに何のメリットも無ければリピートにつながる動機は生まれません。

だからといって特売だけをセールスポイントにするのは、チェリーピッカーの発生を考えると意味のある施策とはいえないでしょう。

顧客がリピートしたくなるような特典をつけるなど、来店を促進するためのサービスを行うことは非常に重要なポイントになります。

 

ワンポイント
 リピートを促すには値引きだけに頼らず優良顧客がリピートしたくなるような仕掛けを講じましょう。

リピート促進につなげるには?

リピート促進につなげるために大切なことは、チェリーピッカーの発生をできるだけ抑えつつ店舗の宣伝効果となる施策を行うことです。

以下にリピート促進の具体的な2つの案を紹介します。

優良顧客の把握

多くのリピーターを作り出すためには、優良顧客と一見さんををしっかりと見分けなくてはなりません。

顧客の来店回数を分かりやすく可視化する仕組みがあれば、優良顧客を判別しやすくなります。

これを基に優良顧客にとって利益となる特典をつけるなど、その後の戦略に活かせるでしょう。

ポイント・クーポンを利用

ポイントカードやクーポンの発行は、最もポピュラーかつ有効なマーケティング戦略の1つです。

顧客にとっていくつかの選択肢がある場合、ポイントカードやクーポンが意志決定の動機となり得ます。

さらに現在普及率の高いモバイルなどを利用し電子ポイントカード・クーポン制度にすれば、顧客管理のデータ化が可能です。

顧客側からしても、紙よりも電子の方がカードなどを忘れたり紛失する心配が無くなるというメリットがあります。

顧客の来店頻度を数値化しそれを分析することで、効果的な宣伝や特典を付与することができるでしょう。

 

ワンポイント
 優良顧客を容易に判別し優待するにはポイントやクーポンの活用が有効です。

チェリーピッカー対策

チェリーピッカーは厄介な存在であり、できるだけ寄せ付けないようにすることが肝心になります。

ここからはチェリーピッカー対策になる3つの具体例について解説していきます。

値下げをしない

最初に挙げられる対策としては、値下げによる集客をしないということが挙げられます。

店舗での特売・値下げをしている限り、チェリーピッカーを完全にシャットアウトするのは不可能に近いでしょう。

また、特売・値下げ戦略は他店との単なる価格競争になってしまうだけであまり意味がありません。

大手のスーパーでの実施や抱えている在庫を処分する際など、値下げによる売り上げ効果が狙える場合もあります。

しかしそれ以外では、値下げは安易に行わないことがおすすめです。

価格でつるマーケティングを変える

価格の安さで客をつるマーケティングには限界があります。

それよりも確実に継続的な利益をもたらす優良顧客を重視したマーケティング戦略にシフトするべきです。

具体的には、優良顧客やリピーターを割り出してそのニーズに応じた商品・サービスを展開していきます。

これはCRM(顧客関係管理)というマーケティングの手法であり、チェリーピッカーを抑制する効果も見込めるでしょう。

チェリーピッカーを広告塔にする

チェリーピッカーを抑え込むのではなく、広告塔として利用するというのも1つの集客方法です。

値下げや特売品につられて集まったチェリーピッカーにSNSなどで良い口コミを拡散してもらうことを期待する戦略になります。

しかしこれはチェリーピッカーが増えすぎて経営不振になることや逆に悪い口コミを拡散されることも大いに考えられる賭けに近い戦略です。

この戦略を採用する際は、低価格以外のアピールポイントを宣伝してもらうことが必須となります。

値下げをしないという戦略は有効である

値下げには大きな集客効果があり、販売数を増加させることができます。

しかしこれはチェリーピッカーまでをも誘引し、利益増加の妨げになる可能性もある戦略です。

単純な売り上げ増加ではなく、企業・店舗の利益を増大させるには、特売・値下げ以外のマーケティング戦略を採用するべきだといえます。

既存顧客の要望に合う商品を作り出し、顧客満足度を高めましょう。

多くの優良顧客を作り出すには、新規獲得した顧客がリピートしたくなるサービス・特典を提供することも重要です。

優良顧客のデータを収集・分析し、いかに有効なCRMを行うかということがこれからの企業に求められる課題になるでしょう。

 

マーケティング戦略の事例はこちら

 

チェリーピッカーで悩んだら

消費者が欲しい物をより安い価格で購入したいと考えるのは当然であり、責められるものではありません。

チェリーピッカーという存在は「悪」ではないにせよ、企業や店舗運営・経営するうえでは非常に取扱いが難しいといえます。

値下げ・特売に頼らない適切なマーケティング戦略を考えるならば、経営全体のシステム・制度についての見直しもあわせて行わなければなりません。

これら悩みを解決するには、十分な専門知識を持って対策を講じる必要があるでしょう。

チェリーピッカーについての相談はデジマクラスで受け付けています。

プロのコンサルタントによるアドバイスを求めている時は、ぜひデジマクラスへご連絡ください。

 

マーケティング戦略の事例はこちら

 

まとめ

特売品のみ購入するチェリーピッカーは、企業や店舗運営者にとって非常に厄介な存在です。

チェリーピッカーは特売という戦略を逆手にとっていいとこどりをする存在であり、経営赤字や優良顧客を逃す原因になります。

これを野放しにせず企業の収益増加を目指すには、値下げによらないマーケティング戦略を行うことが重要です。

既存の優良顧客を重視した商品・サービスを提供することや、適切なリピート施策を講じるのが有効だといえます。

チェリーピッカー対策やCRMにお悩みの際はデジマクラスへぜひご相談ください。

今後の経営方針を見直し、継続的な収益増加に効果的なマーケティングを考えていきましょう。

最新情報をチェックしよう!