ストックビジネスは急速に注目を集めて広がっているビジネスモデルです。
身近な例でいえば電気代・ガス代・家賃・携帯電話料金などが該当します。
ストック(Stock)は蓄えるという意味があり、契約中は企業側に利益が発生し続けます。
つまり顧客と契約を結び継続的に収益を得ることができるビジネスがストックビジネスです。
今回は注目のストックビジネスの具体例を解説しながら、成功させるポイントを紹介します。
目次
ストックビジネスの概要と特徴
ストックビジネスは継続的に収益を得ることを目的としたビジネスで、会員を募り契約の締結や確保を目指します。
顧客との契約が続く限り利益が増えていくビジネスなのです。
企業にとって長期にわたって売上を安定させることが可能となります。
ストックビジネスの特徴には以下のものがあります。
- 収益が安定する
- 長期的な経営の見通しが立てやすい
- 営業活動が効率的になる
時間の経過とともに資産が蓄積されるため、企業は安定した経営ができます。
ストックビジネスでは企業は顧客との接点がある限り積極的なアプローチは必要ありません。
顧客が困った時にピンポイント的な提案をすればいいので営業活動も効率的です。
例えば、インターネット上でアプリケーションを提供するSaaSはその典型的な一例です。
また、自動販売機を設置して継続的に利益を上げるのもストックビジネスになります。
このようにストックビジネスは、我々の生活の中に溶け込んでいるビジネスモデルといえるでしょう。
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フロービジネスとの関係性
対極的なビジネスにフロービジネスがあります。
フロービジネスとは、会員数や顧客数に限らず、1サービスに対して対価が支払われ利益へと直結するビジネスです。
利益を維持していくためには新しいサービスを提供し続ける必要があります。
顧客数が多くても販売に繋がらないと利益にならなかったり、客単価によってその日の売り上げにバラつきがあったりします。
また天候や社会環境の影響で店舗への客足が遠のくなど利益が振り回されがちです。
ストックビジネスに比べてフロービジネスは収益が安定しにくいというデメリットがあります。
一方で、フロービジネスのメリットは短期間で収益化できることです。
売れる商品をいかに回転よく販売できるかが収益のカギを握ります。
フロービジネスから参入し、ストックビジネスに移行する組み合わせも理想的な手法です。
フロービジネスの例としてあげられるのは、コンビニなどです。
ストックビジネスの具体例
ストックビジネスは消費者側にとして、決まった金額を支払うことで定価よりも安価で商品やサービスが購入できます。
また、追加オプションの契約をすればさらにお得なサービスを受けられます。
それではストックビジネスの具体例を見ていきましょう。
定期購入
定期購入は、月額で料金を支払いうことで定期的に商品が一定量購入できるサービスです。
定期購入はストックビジネスと相性がいいビジネスモデルになります。
企業が顧客と契約期間または解約依頼があるまでの期間、定期的に商品やサービスを提供するものです。
顧客にとっては、継続購入することで割引やポイントが貯まるなどメリットが大きくなります。
初回購入から割引が適用される特典付きもあり、一番ポピュラーなものにサプリメントやスキンケア商品などがあげられます。
企業にとって、この定期購入型システムは安定した収益が得られるストックビジネスです。
営業も効率的に行え、少ないリソースでもビジネス展開が可能になります。
さらに、ツールを活用すれば顧客のターゲティング・消費行動も把握できます。
また、口コミやアンケート調査で改善点を洗い出し、商品開発や顧客サービスに繋げられるのです。
レンタル
経済環境の変化に伴い、サブスクリプション型ビジネスが注目されています。
人びとの意識は、ものを所有することではなく利用することへと変化してきました。
企業も個人もモノやサービスを利用した期間や量に対して、対価を払う課金提供型ビジネスに注目しています。
料金は一括払いでなく月額払いで、問題や不満があれば契約を解除すればいいので顧客には利便性が高いのです。
顧客は販売価格が高い商品を手軽な料金で、いろいろレンタルできるのでメリットがあります。
企業側は比較的安い料金で単価の高い商品をユーザーが利用してくれるので、新規顧客を獲得しやすくなります。
既存顧客にはオプションサービスを紹介するなどして、契約を継続してもらうことで安定した収益に結び付くのです。
定期メンテナンス
定期メンテナンスとは、機器や建物といった時間とともに劣化していく物を対象にしたストックビジネスです。
商品や建物を購入した際にサービスを受ける契約をするなど付加価値が高いサービスといえるでしょう。
こうしたサービスは長期にわたって安定した収益に繋がります。
また、サービス内容も新商品がすぐに出るものではないので、サービスを提供する側にも負担が多くありません。
教室
学習塾・お料理教室・パソコン教室なども、月謝制で毎月安定した収入を得ることができるストックビジネスです。
少子化に伴い学習塾や習い事などは生徒数の減少が懸念されがちです。
しかし、実際は子供一人当たりにおける学校以外での課外活動の参加率は増加傾向にあります。
インターネットを用いたオンライン授業も普及し、場所を問わず事業展開が可能となってきているのです。
オンライン授業は、自宅で好きな時間帯に授業が受けられるメリットがあります。
オンライン教室が定着すれば、主催者側は設備費用を抑えることができるため効率のいい経営が可能になります。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
サブスクリプションもストックビジネスの1つ
サブスクリプションも典型的なストックビジネスです。
商品やサービスを所有することから必要な時だけ利用するといった概念から生まれたサービスです。
ここではストックビジネスと関連が深いサブスクリプションについて解説します。
サブスクリプションの特徴
サブスクリプションの特徴は、モノを所有しないことです。
契約期間中、定額料金を支払うことで商品やサービスを利用できるビジネスになります。
顧客は保管するデータや購入期間に対して料金を払い、一定のサービスを受けるのです。
また事業者からすれば料金を一定額に引き下げることで価格を抑え、新規顧客の参入を促します。
ライフスタイルの変化に即したサービスがサブスクリプションです。
サブスクリプションの具体例
Amazonが提供するプライムサービスを例にあげてみましょう。
月額使用料、または年間利用料を支払うことで買い物はもちろんのこと、音楽・映画・写真の保管までもが可能となります。
もちろん、無料でもショッピングは可能ですが、利用料を支払うことで受けられるサービスが多くなります。
また、優先的にセール案内や限定商品の紹介があるなど受けられるメリットが多いのも特徴です。
インターネット上でレンタルをして好きな時に好きなだけサービスが受けられます。
ストックビジネスを成功させるポイントは?
あらゆる面から見て魅力のあるストックビジネスです。
軌道に乗れば成功しやすいのもストックビジネスといえるでしょう。
それではストックビジネスを成功させるポイントを紹介します。
十分な予算の確保
顧客の確保が完了すれば安定した利益が可能ですが、ビジネスをスタートしてすぐに顧客が定着するとは限りません。
また、目指す顧客数に達したとしてもしっかり安定するまで余力が必要です。
そのためにはあらかじめ予算の確保をしておく必要があります。
見切り発車で予算の目途が立たないために撤退することがないように注意してください。
メディアを活用した集客
メディアといっても過去のように多額の広告費を支払ってTVCMや新聞広告を載せる必要はありません。
X(旧Twitter)やInstagramに代表されるSNSを活用することで視認性は高まります。
またYouTubeでの広告はTVCMと同じくらいあらゆる世代に対してアプローチが可能で、広告費用を抑えることもできます。
Webマーケティングの重要度も高まっていて、事業を展開していく上で重要な施策です。
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ストックビジネスのメリット
ストックビジネスは契約数や会員数をある程度確保できれば収益に繋がるビジネスです。
ストックビジネスのメリットについて解説します。
安定した収益が得られる
ここまで述べたように、ストックビジネスは会員数の確保ができれば収入は安定します。
飲食店や小売店のように、常に新しいサービスを提供し続け、日々の売上げを心配する必要はほぼありません。
効率的に営業活動が行える
ストックビジネスでは営業活動が効率的に行えるメリットがあげられるでしょう。
ストックビジネスにおいては顧客データが存在します。
性別・年齢・居住地も含めてセグメントができるので、結果に契約に直結しやすいアプローチが可能です。
そのためさらに売上を伸ばすこともできるのです。
ストックビジネスのデメリットは?
魅力的なストックビジネスですがデメリットもおさえておかなければなりません。
すぐには収益が安定しない
収益の安定速度は業種により異なります。
また地域性や特定の年齢層には受け入れられなかったりすることもあるのです。
そのため事業をスタートさせてから利益にすぐに繋がるわけではありません。
収益の即効性という点ではフロービジネスに比べて弱いといえます。
また、軌道に乗るまではキャッシュフローがある程度必要です。
そのため、しっかりとした経営計画を立て、綿密なマーケティングをしておくことが必須です。
契約率・解約率に左右される
当たり前のことではありますが一定数の顧客確保ができても、その数値が永久に続くわけではありません。
例えば学習塾においては、必ず毎年卒業生が存在するため一定数の解約が生じます。
また夏休み期間や受験前などには塾の乗り換えがありますので少なからず解約が生じるのです。
契約率と背中合わせの解約率がストックビジネスにはデメリットといえます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ストックビジネスで意識すべき注意点は?
顧客さえ確保することができれば収入が安定するのでしょうか。
ここではストックビジネスの意識すべき注意点を見ていきます。
事業がストック化できるか十分な検討が必要
そもそも検討している事業がストックビジネスに向いているかどうかです。
レストランを経営しようと思い立って、広告を配り、顧客にサービスを提供して利益を上げるのではストックビジネスになりません。
会員制にして、定価で購入するよりも割安なメリットがなければビジネスモデルとして成り立ちません。
例えば、飲食店において月額費が発生したとします。
今までの飲食店は食事に対して提示された金額を支払うのが主流でした。
それが定額料を支払うことでアルコール飲料が飲み放題になり、おすすめニューをいつでも食べられるようになります。
こうしたビジネスが実際にストックビジネスとして成り立つのか検討することが重要なのです。
損益分岐点の見極めが重要
事業を開始してすぐに収益が安定しないことは先ほどでも述べました。
ストックビジネスで注意しなければならないのは、損益分岐点を越えるのにどれくらい時間がかかるかです。
そして、そのためにどれくらいの費用がかかるのかしっかり検証することが重要です。
損益分岐点を越えるまでの初期投資額をいくらにするのか、初期投資を抑えるならキャッシュフローはどうするのかなど考えます。
事業を開始して1年目で100万円の利益が出も、初期費用に200万円かかっていたらビジネスモデルとして成り立ちません。
余分な経費をカットしていくことも忘れないでください。
ストックビジネスを始めるならプロに相談しよう
ストックビジネスは収益の安定が見込めるビジネスモデルです。
しかし、ターゲットをどの層に設定し、どんな商品なら定期購入の契約をしてくれるのか分析が必要です。
過疎化地域に学習塾を開く、ネット社会が進む中で若年層の居住者が多い地域に新聞販売を行うなど市場を分析しないビジネス戦略は危険です。
ストックビジネスをするなら、緻密なマーケティングを含めて戦略や計画を立てる必要があります。
成功したストックビジネスモデルが、それがそのまま当てはまるわけではありません。
これからストックビジネスを始めようとするならデジマクラスに相談しましょう。
デジマクラスは自社のビジネス内容を徹底的に分析し、戦略に最適なストックビジネスモデルを提案します。
熟練したコンサルタントがストックビジネスの施行までサポートするので安心です。
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まとめ
注目のストックビジネスについて解説しました。
さまざまな業種がストックビジネスに参入をしています。
ストックビジネスは売り手と買い手の双方において満足度が上がるビジネスモデルです。
企業においても消費者においても多様化が叫ばれています。
ビジネスツールの融合化が進む中、偏った方法に囚われすぎずに多方面からジャッジを下す必要があります。
企業に合った事業展開や戦略方法を見つけ、安定した収益確保の手段としてストックビジネスを始めてみてはいかがでしょうか。