BtoBにおけるデジタルマーケティングを進めていく上で、その購買プロセスを理解することはとても重要です。
また、どういったデジタル施策が有効なのかを理解しておくことも、マーケティング戦略を立てる上では必要不可欠だといえます。
しかし、どのように購買プロセス・デジタル施策を把握すれば良いのか分からないマーケターも少なくありません。
この記事ではBtoBにおける購買プロセスに加え、デジタルマーケティングの重要性・デジタル施策の活用法を紹介します。
目次
BtoBの購買行動における代表的な特徴
BtoBにおけるデジタルマーケティングを進めるには、まず購買プロセスを理解することが必要不可欠です。
BtoBはBtoCとは異なり、検討期間や決定に至るポイントにおいていくつかの特徴があります。
ここでは、BtoBの購買プロセスを理解するにあたって知っておきたい、代表的な特徴について整理しておきましょう。
合理的
BtoBの購買行動において特徴的なのは、合理的な判断によって意思決定が成されることです。
BtoCの場合、判断基準は利用者(=購買者)の主観であり、利用者の「好き・嫌い」によって最終判断が下されます。
しかしBtoBの場合、主観は一切介入せず企業にとってのメリットが最優先されるのが特徴です。
例えば、企業がコストを優先させるなら必然的に価格が低いものが選ばれ、品質最優先なら品質の高いものが選ばれます。
したがって、BtoBマーケティングにおいては、いかに企業のニーズに訴求できる合理的な情報を提示できるかが大きなポイントです。
複数人が関与する
BtoBにおいて最終的な決定を下すのは相応の役職者となりますが、1人で決定までのプロセスを対応するわけではありません。
大半のケースでは各担当部署にその対応を委ねることとなり、組織が大きくなるほど関与する人数が増えていきます。
そのため、購買プロセスの担当者と製品・サービスの利用者が異なることが大半であり、BtoBにおける購買プロセスの大きな特徴です。
また、利用者が必ずしも社内の人間であるとは限らない点も忘れてはならない特徴だといえます。
ある程度の期間が必要
ここまで解説してきたとおりBtoBでは意思決定までに複数の人が関与することから、ある程度の期間が必要となります。
特に高額な商材になれば事前調査やプレゼンテーション・関係者への説明などいくつかのステップを踏まなければなりません。
そのため、最終的な契約までに数か月から数年かかることもあり、いかに各部門の関係者を納得させるかがポイントになります。
したがって、マーケターは営業担当者・開発担当者と連携を図りながら、各部門の関係者が納得する戦略を立てることが大切です。
BtoBにおける購買プロセス
前項ではBtoBの購買行動における代表的な特徴を解説しましたが、デジタルマーケティングを進めるには不十分です。
ここでは、デジタルマーケティングを進めるにあたって知っておきたい、企業側から見た購買プロセスについて解説します。
現状の課題把握のための情報収集
企業が製品やシステムなどの購買を決定するにあたって、まず始めることは現状の課題把握のための情報収集です。
「販売実績が伸び悩んでいる」「人件費が圧縮できない」「品質面での課題がクリアできない」など企業の抱える課題は多岐にわたります。
まずは制限を定めず各分野における課題を洗い出し、カテゴリーごとに整理することが必要不可欠です。
なお、現状の課題把握のための情報収集する際は情報が偏らないよう、様々なポジションの社員から収集することが大切になります。
解決する課題の決定
現状の課題について把握・整理ができたら、解決すべき課題を決定するステップに移ります。
解決すべき課題を絞り込むには、洗い出した課題に優先順位を付けることが不可欠です。
優先順位を付すには以下の項目を検討材料とすると良いでしょう。
- 緊急性があるか
- 経営基盤の根幹に関わるものか
- 営業実績に直結するものか
- 課題解決に大きな予算が必要なものか
なお、解決すべき課題を絞り込む際には、各部署の面子などにとらわれず企業経営の為に何が必要かを考えることが重要です。
改善方法にあったサービスの比較・検討
解決すべき課題が決定すれば改善方法を探し出し、比較・検討するステップに移ります。
改善方法を探し出すには、「インターネットの情報」「これまで取引のある業者への相談」などの方法を活用するのが一般的です。
このとき1つの改善方法ではなく複数のサービス・製品などをピックアップし、それらを比較・検討します。
比較・検討する項目は「何を解決したいのか」で異なるため、その本質を見極め様々な角度から検討することが重要です。
また、最終選考まで残ったサービス・製品については、販売元にコンタクトを取り、金額面を含め細部まで詰めを行います。
適切なサービスの選択
改善方法にあったサービスの比較・検討がある程度進んだら、適切なサービスを選択するステップに移ります。
最適なサービスを選択する際には社内承認が必要となりますから、担当者において様々な資料を揃えておくことが大切です。
また、販売元にプレゼンテーションを依頼することも、社内承認を得るには有効な方法となります。
なお、社内承認を得るには担当者自身が、合理的かつ理論的な説明ができるよう準備しておくことが重要です。
BtoBにおけるデジタルマーケティングの重要性
BtoBにおいてもデジタルマーケティングの重要性が年々大きくなっており、マーケター・営業担当者も無視できません。
デジタルマーケティングとは、その名のとおりデジタルコンテンツを活用したマーケティングであり、代表的なものは以下のとおりです。
- Webサイト
- ECサイト
- Eメール
- ソーシャルメディア(SNS)
- スマホアプリ
ここでは、かつてはBtoCが主流であったデジタルメディアが、BtoBにおいて重要となってきた背景・理由について解説します。
営業前にWebで情報収集している
BtoBにおいてデジタルマーケティングが重要になってきた背景の1つが、顧客が営業前にWebで情報収集していることです。
インターネットの普及によって、顧客は自社の課題解決の手法をWeb上で情報収集することが一般的になりました。
したがって、リードを獲得する手法としてデジタルマーケティングは欠かせないものとなっているのが現状です。
また、リードを獲得する手法もWebサイトだけでなく、ECサイトやSNSなど多様化していることも特徴だといえます。
営業のタイミングが変化
デジタルマーケティングの導入により、マーケティング・営業活動もデジタル化され、営業のタイミングも変化しています。
かつて営業活動の主流は「外回り」が中心であり、リードの獲得数に限りがあり営業担当者のスキルに依存する傾向が強くありました。
デジタルマーケティングが導入されたことにより、インサイドセールス(内勤営業)を導入する企業も増えているのが実態です。
インサイドセールスを導入することで、大量のリードと対応することが可能となり、成約までの期間も短縮されています。
つまり、これまでのBtoBとは営業のタイミングも変化しており、それに対応できるマーケター・営業担当者の育成が急務です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
購買プロセスのフェーズに合わせたアプローチ
BtoBにおける購買プロセスの特徴は、多くの関係者がそれぞれの立場で関与することです。
したがって、購買プロセスのフェーズに合わせたアプローチが必要不可欠であることはいうまでもありません。
ここでは、営業担当者・マーケターが理解しておきたい購買プロセスに合わせたアプローチ方法について考えてみましょう。
フェーズによってニーズや必要な情報が異なる
ターゲットとする顧客企業の規模が大きくなれば、意思決定までに多くのフェーズがあり関与する部署・担当者も増えます。
営業担当者・マーケターは各フェーズに関与する部署・担当者によって必要な情報が異なることを理解しておきましょう。
つまり、営業担当者は顧客のフェーズを把握するとともに、どういったニーズを持っているのかを掴むことが不可欠になります。
そのためには、日頃から多くの部署・担当者から情報収集し、良好な人間関係を構築しておくことが大切です。
顧客の状況に合わせたアプローチが必要
顧客の検討状況や各部署・担当者のニーズが把握できたら、それに合わせたアプローチを行います。
例えば、情報収集のフェーズであれば、自社の専門性を活かした業界全体の動向などの情報を提供すると良いでしょう。
予算担当者のニーズに応えるなら、顧客の予算に応じた見積もりを提示することも1つのアプローチ方法です。
大切なのは自社製品・サービスのアピールに終始することなく、様々な角度からアプローチを行い信頼関係を作ることになります。
また、マーケターは各フェーズにおいて効果的なアプローチ方法を検討しておくことが不可欠です。
BtoB購買プロセスを意識したコンテンツ戦略
BtoBマーケティングにおいてコンテンツ戦略は非常に有効ですが、ここでも購買プロセスを意識することが大切です。
そもそもコンテンツ戦略とは、顧客にとって有益な情報(=コンテンツ)を提供し続ける戦略となります。
BtoBの特徴は成約までに様々なフェーズがあり、それぞれに担当者が存在していることです。
したがって、コンテンツ戦略を実施する際には、それぞれのフェーズにおいて有効なコンテンツを提供することが重要になります。
マーケティング戦略の事例はこちら
リアルなBtoB購買プロセス
BtoB購買プロセスは前項で紹介したとおりですが、リアルな現場においてはさらに注意すべき点があります。
つまり、本来の購買プロセスに加え例外的な購買プロセスを把握しておくことで、成約率はより高くなるのが一般的です。
ここでは、購買プロセスの基本では語られることのない、リアルなBtoB購買プロセスについて解説します。
サポーターの存在
BtoB購買プロセスにおける各フェーズには、担当者が存在しますが最終決定に関して同じ力を持っているわけではありません。
社内には各部署に対して発言力を持つ社員(=キーパーソン)が必ず存在し、最終決定に大きな影響を及ぼしています。
キーパーソンはサポーターとなって、自社製品・サービスを社内でアピールしてくれる存在です。
したがって、自社製品・サービスを効果的にアプローチするには、いかにキーパーソンにサポーターになってもらうかが大切になります。
そのためにも、まずは顧客企業におけるキーパーソンと接点を持ち、信頼関係を構築することが重要です。
スイッチングコストがかかる
企業が現在使用している製品・システムなどを新たに導入もしくは大幅に改善することは頻繁に起こるものではありません。
大きなスイッチングコストがかかることから、喫緊に解決すべき課題が発生していない限り消極的になるのが一般的です。
したがって、顧客を「その気にさせる」にはスイッチングコストを低く見積もることも1つの打開策です。
スイッチングコストを低く見積もることで、収益率は一時的に低下しますが、長期的なスパンで見れば十分に回収できるでしょう。
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BtoBでのデジタル施策の活用法
BtoBでのデジタル施策において代表的な活用法に「動画マーケティング」があげられます。
動画マーケティングとは、その名のとおり動画において自社製品・サービスを紹介する手法です。
紙媒体と比較すると、短時間で多くの情報を伝達できるほか、一定のクオリティを保ったプレゼンテーションが可能になります。
また、営業担当者が顧客を訪問することなく、短時間でやり取りできることから成約までの期間を短縮できることも大きなメリットです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
BtoBマーケティングで活かせるフレームワーク
BtoBマーケティングにおいて注目されているフレームワークがシリウスディシジョンズする「デマンドウォーターフォール」です。
デマンドウォーターフォールは、以下の4つのフェーズで構成されています。
- Inquiry:リードの獲得
- MQL(Marketing Qualified Lead ):マーケティング部門がリードを分類→営業部門に引継ぎ
- SQL(Sales Qualification): 営業部門がセールス
- Close:案件を成約・受注
デマンドウォーターフォールを活用すれば、マーケティング部門と営業部門の役割が明確になります。
また、各フェーズにおける進捗管理が行いやすくなることも大きなメリットです。
BtoB購買プロセスに合わせたマーケティング戦略で悩んだら
BtoB購買プロセスに合わせたマーケティング戦略を立てるには、豊富な経験と高いスキルが必要です。
そのため、経験の浅いマーケターの中には、有効なマーケティング戦略を立てることができず悩んでしまう人も少なくありません。
しかし、いくら悩んでも経験の差を埋めることは不可能であることから、デジマクラスのコンサルティングの利用を検討してみましょう。
デジマクラスでは様々な業界における、BtoB購買プロセスに合わせたマーケティング戦略をサポートしています。
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まとめ
BtoBにおける購買プロセスの特徴は、利用者とは異なる多くの担当者が様々なフェーズで関与するため成約までの期間が長いことです。
意思決定は非常に合理的であるため、いかにフェーズごとに有効なコンテンツを提供するかがポイントだといえます。
また、BtoBにおいてもデジタルマーケティングの重要性が増しており、営業のタイミングにも変化が起きているのが現状です。
顧客は事前にWeb上で情報を取得していることから、Webサイトを充実させるなどデジタルマーケティングへの対応が急務だといえます。
そのためBtoB購買プロセスに合わせたマーケティング戦略を立てるには、デジタルマーケティングに対する深い造詣も必要です。
デジマクラスでは豊富な経験と高いスキルをもって、BtoB購買プロセスに合わせたマーケティング戦略をレクチャーしています。