トーンアンドマナーとはもともと広告業界の言葉で、デザインの統一性を持たせるためのルールをいいます。
こちらではトーンアンドマナーでマーケティングの成果を上げるにはどうすればよいのか、その目的についても解説しています。
トンマナ合わせのコツもお話ししているので、ぜひ参考にしてください。
目次
トーンアンドマナーの概念
デザイン界におけるトーンアンドマナーの概念は、その企業・ブランドの考え方の根底にあるものです。
その伝えたい考え方を意図的にデザインすることで顧客の潜在意識に入り込むことがトーンアンドマナーの大切な役割です。
トーンアンドマナーを正しく設定することで、企業全体が1つの方向に向き同じ思いを発信することができます。
これこそがトーンアンドマナーの概念といえるのではないでしょうか。
トーンアンドマナーの目的
トーンアンドマナーの目的について解説していきましょう。目的には次のようなことがあります。
- 情報・感性を伝える
- 競合他社との差別化
- 関係者間での一貫化
トーンアンドマナーの最大の目的は発信もとのはっきりとした情報や企業の感性を顧客に伝えることです。
それにはトーンアンドマナーを正しく設定して繰り返し発信することが大切になります。
一貫性を持たせることで顧客に覚えてもらえやすくなるのです。
例えばWebサイトでのデザインを統一することで、この色使いはこの企業のものとすぐにわかってもらえ安心感も与えます。
ロゴやWebサイトがはっきりと自社のものとわかれば、競合他社と差別化することでブランドイメージが定着しやすくなるのです。
例えば商品のパッケージや色使いを他社とまったく違うものにすることで、他社とは違う商品の良ささえもアピールできるでしょう。
企業内の関係者間でトーンアンドマナーの認識を共有することで、一貫性が生まれます。
ルールを決めておくと考えや方向が統一でき、ブレなくスムーズにデザインできるでしょう。
トーンアンドマナーが重要な理由
トーンアンドマナーは目的のところでもお話ししたように、情報や感性を伝える重要な役目を持っているのです。
トーンアンドマナーのしっかりとしているデザインは、企業の顔として顧客のイメージの中に定着していきます。
顧客の中に企業らしさとして定着したイメージは、商品やサービスに対しても安心感を与えることでしょう。
顧客はデザインによって商品やサービスを理解し、企業のファンとなり信頼するのです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
トーンアンドマナーの要素
トーンアンドマナーの伝え方がばらばらでは、顧客のイメージも掴めず信頼感も薄れてしまいます。
それでは続いてトーンアンドマナーを一貫する為の要素について解説しましょう。どのような伝達の仕方が必要なのでしょうか。
トーンアンドマナーを伝えるための伝達方法を挙げてみます。
- 言葉で伝達する
- カラーで伝達する
- イラストで伝達する
- 写真で伝達する
上記のような伝達方法があります。それぞれについて解説しましょう。
言葉での伝達
言葉での伝達で大切なのは、言葉・文章に統一感を持たせることです。「です・ます調」なのか、「だ・である調」かです。
細かなところでは、英数字は半角にする・文章表記はブレのないようにするなどもあります。
常に伝える顧客に一貫したイメージを持ってもらうように注意して発信しましょう。
文章での伝達の場合は特にばらつきが出やすいので、しっかりとしたトーンアンドマナーを設定することが大切です。
カラーでの伝達
カラーでの伝達はトーンアンドマナーでは特にインパクトのある部分になります。カラーには強いメッセージ性があるからです。
統一したカラーでブランドらしさを出している企業は多いです。
顧客の男女比や年齢層などによってもカラー選択は重要になります。
落ち着いた雰囲気が良いのか明るい方がマッチするのかなど、ターゲットにより充分に検討してトーンアンドマナーを設定してください。
カラー統一することは他社との差別化にもなり、このカラーといったらこのブランドという強い独自性を持たせられます。
1つのカラーのみにこだわらなくても、そのカラーを基本にしていくつかの色を組み合わせて独自のブランドらしさを出すのもよいでしょう。
Webサイトやパッケージ包装紙に至るまで統一した色使いは、企業のイメージアップのみでなくブランディング戦略の強みにもなります。
イラストでの伝達
イラストでの伝達の魅力は、わかり難いこともわかりやすく伝えられるということでしょう。
言葉ではなかなか伝えられないニュアンスもイラストなら瞬時に伝わることが多いのです。
また、写真とは違うタッチやデフォルメで表現が誇張できるのもイラスト伝達の大きな役割です。
キャラクターを作り出して、自社のイメージを確立した企業もあります。イラスト伝達はトーンアンドマナー設定のポイントの1つです。
写真での伝達
写真は誰が見てもひと目で詳細な部分まで把握できる伝達方法となります。
そして何よりもリアルに商品やサービスを、より高い密度で届けることが可能な伝達方法といえるのです。
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トーンアンドマナーで成果を上げる方法
トーンアンドマナーの必要性や伝え方についてお話ししました。
次にトーンアンドマナーによって成果を上げるには、どのような方法があるのかを確認していきましょう。
ターゲットを選定
まず大切なのはターゲットとなる層の選定です。どのような目的でどういった人に対して何を伝えたいのかがポイントです。
もちろん向上するためにはターゲットを少し上の層に定めることも、時として必要になります。
その都度ターゲットを視野にいれておくことが成果を上げるためには必要といえるのです。
自社のポジショニングを確認
競合他社との差別化をはかるためのトーンアンドマナーの場合、自社のポジショニングを明確にする必要があります。
トップ企業なのかそれを追う立ち位置なのかで、戦略が違ってくるのです。
トップ企業よりも追う場合の方が思い切った戦略を打ち出せ、自由なトーンアンドマナーの設定も可能になるでしょう。
これから伸びる可能性のある企業にとって、トーンアンドマナーを有効に使って顧客の関心を自社製品に向けるチャンスでもあります。
根拠となるアイデンティティの明確化
企業としてのアイデンティティを明確に示すことがトーンアンドマナーの成果を上げる鍵となります。
ブランディングのデザインには、企業としてそこに働く人たちそして顧客への思いが詰まっている必要があるのです。
そのブランドデザインを見ただけで、アイデンティティが明確に伝わるように考えていく必要があるでしょう。
ブランド価値の構築
ブランド価値といっても高価なブランド商品に限ることではありません。
価格戦争を戦っている企業であっても、商品にブランド価値を与えることが可能なのです。
価格は安くても品質は負けない。といったコンセプトが商品にブランド価値を与えます。
そしてトーンアンドマナーを使うことで、そのコンセプトをデザインで可視化すれば費用対効果をブランド力にできるのです。
このようなブランディング戦略は単にものを売るということのみでなく、顧客の心をつかみ企業を信頼してもらう手段でもあるのです。
デザインのトンマナ合わせのコツ
トンマナ合わせとは、トーンアンドマナーでのデザインの一貫性を持たせることとイメージを合わせることです。
トンマナ合わせには、企業が大切にしているアイデンティティやコンセプトに合ったものかどうかがポイントとなります。
ブランドらしさということも重要なキーワードです。そういったことに留意しながらトンマナ合わせについて考えましょう。
色は3色以内
多くのトーンアンドマナーでは色の多様はバラつきに繋がると考えられます。
落ち着いた雰囲気かポップな感じかで基本の色は変わりますが、3色以内に抑えた方がよいでしょう。
1色のみを使う場合はかなりインパクトのあるものとなります。それだけにどの色を選ぶかが重要になります。
このカラー戦略は「1色訴求」と呼ばれ、コカ・コーラといえば赤というように1色で大きな企業イメージを作ることができるのです。
2、3色を組み合わせることで特徴的なイメージを作り上げる配色を「バズカラー」と呼び、独特な企業イメージを作り出せます。
世界観に留意
数を決めたら基本となる色を決めていきます。この時選ぶ色でイメージはずい分違ったものとなるので慎重に選びましょう。
どのようなことに留意して選ぶとよいか挙げてみましょう。
- コンセプトは伝わるか
- 世界観が伝わるか
- ターゲットに受け入れられるか
- 自社のイメージに合うか
上記のようなことを考慮しながら色見本などを見て基本色を選んでください。
フォントに留意
さまざまなフォントから自社に合うフォントを探しますが、あまりインパクトが強すぎないシンプルなものが好まれやすいです。
ロゴデザインに使うのなら、明朝体やゴシック体などのシンプルなフォントで2種類くらいまでがよいでしょう。
顧客目線で見て、読みやすいものということを頭に入れてトンマナ合わせを行うようにしてください。
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文章のトンマナ合わせのコツ
たとえデザイン重視だとしても、文章でのトンマナ合わせは重要なのです。
顧客がWebサイトを訪れた際に長めに滞在できるのも、トンマナ合わせがしっかりとできているからなのです。
何といっても居心地の良さが、文章のトンマナ合わせで目指したい場所となります。
居心地の良さのために、文章のトンマナが全体のバランスを崩すことなく調和のとれたものになる設定が必要なのです。
トンマナ合わせをしっかりと行うためのコツについて解説していきましょう。
ですます調/だ・である調
まず最初に担当者が迷うのは、文末を「ですます調」にするか「だ・である調」にするかです。
これは読んでみるとわかるのですが、親しみがわき読みやすいのは「ですます調」の方でしょう。
特にこだわりが無い場合は「ですます調」に統一するとより丁寧な感じもあり読みやすいです。
もちろん強いこだわりがある場合、断定的に言い切る形が取りたい場合には「だ・である調」が効果的な場合もあるので一概にはいえません。
どちらに統一するかは、企業のイメージに合わせて決めるのもよいでしょう。
ひらがな・漢字の量
文末のみでなく、文字表記についてもトンマナを統一することを忘れないでください。
またひらがな表記を多くするのか漢字を多くするのかなども、ターゲットに合わせて決めていきましょう。
表記をひらがなにするか漢字にするかも大切です。トンマナを統一することでライターに共有することができます。
よくある例としては下記のようなものです。
- ~の事…~のこと
- その時…そのとき
- 下さい…ください
カタカナ表記のコンピューター・コンピュータなども統一する方がよいでしょう。
英数字・記号
英数字や記号の場合も多くのライターが文章を書く場合には、トンマナを合わせておくと一体感を感じらればらつきが防げます。
英数字・記号は半角にすると決めておくと統一性が生まれます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
トーンアンドマナーの注意点
トーンアンドマナーを設定することでサイトに統一感が生まれ、企業にとってもしっかりと顧客にイメージしてもらえる利点があります。
顧客はトンマナを合わした広告やWebサイトで、好きなイメージの商品やサービスを容易に選ぶことが可能になるのです。
ただトーンアンドマナーの設定にも注意すべき点はあります。どのような点に注意が必要なのか確認していきましょう。
- 単に目立つだけの色やフォントで気を惹かない
- ターゲットに合わせた設定に気を配る
カラー戦略で目立つ色を使いたくなる気持ちはわかりますが、単に目立つ色で気を惹くのはかえって逆効果の場合が多いです。
顧客が心地よく感じる色や共感を持ちやすい優しいフォントを設定することも大切なのです。
またターゲットによって好みはそれぞれ違います。ターゲットに合わせた設定を心掛けることも大切でしょう。
ターゲットの立場に立って、心地よいと感じるトーンアンドマナーの設定を心掛けてください。
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トーンアンドマナーで悩んだら
トーンアンドマナーについて解説してきましたが、お分かりいただけたでしょうか。
トーンアンドマナーの設定がしっかりとできている企業は、商品やサービスそのものも信頼されやすいのです。
特にデザインの方向性がばらばらになると、企業イメージも損なう結果になってしまいます。
トーンアンドマナーの設定で悩みがあれば、ぜひデジマクラスに相談して解決してください。
コンサルタントの意見を取り入れることで、より良い方法が見つかるでしょう。
まとめ
トーンアンドマナーはデザインの方向性を統一させるためのルールです。
それぞれが別々の思いで動いたのでは、よい結果は生まれません。
色や形といったデザイン面のみでなく、文章の表記やフォントにいたるまでトーンアンドマナーの設定には気配りが必要なのです。
トーンアンドマナーを上手に設定すれば、多くの顧客の心をつかむことができるでしょう。
設定の方法に迷ったなら、まずはデジマクラスなどコンサルタントへ相談されることをおすすめします。