ある商品やサービスに関する情報がSNSなどで熱狂的に拡散されることを「バズる」と表現します。
飲食物・化粧品・イベントなど、特定のものを皆がもてはやして流行するのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
こうしたある種の口コミ効果を人為的に起こそうとするのがバズ・マーケティングというマーケティング手法です。
今回の記事ではバズ・マーケティングの事例をいくつかご紹介します。
その特徴や手法・種類のほか、成功させるコツや効果的な商材についても解説しますのでぜひ参考にしてください。
目次
バズ・マーケティングの事例を紹介!
バズ・マーケティングには様々な種類・手法が存在します。まずはそれらについて事例を紹介しましょう。
まずはインフルエンサーを起用する方法です。特定の人物に商材に関する情報発信を依頼してファンへの拡散を狙います。
ユニクロは36周年誕生祭にあたって人気YouTuberヒカキンさんを起用したキャンペーンを行いました。
キャラクタライジングも多く見られる手法でしょう。ご当地キャラや名物店長などの存在が人気を博す例は枚挙に暇ありません。
熊本のゆるキャラ「くまモン」がもたらした2020年の経済効果は1,700億円に迫る額です。
企業向けの方法ではないためおすすめはできませんが、あえてバッシングを狙う炎上商法もバズ・マーケティングの一種です。
炎上した企業がSNS上にすぐに謝罪文を掲載したところ「対応が早い」とむしろプラス評価を受けた事例が過去にありました。
話題や人気の陰には少なからぬ割合でマーケターによるバズ・マーケティングへの狙いと期待が潜んでいます。
バズ・マーケティングの成功事例
この項目ではバズ・マーケティングの成功事例を3つピックアップしてご紹介します。
いずれも異なる手法のバズ・マーケティングです。
自社の商品・サービスにも適用できそうなものがあればぜひチャレンジしてみてください。
森永チョコレートの例
森永チョコレートが2019年に行ったバズ・マーケティングはその手法がとてもユニークでした。
X(旧Twitter)の公式アカウントを使って「#ベイクを買わない理由100円買取」と題したキャンペーンを展開したのです。
焼きチョコ「ベイク」を買わない理由をコメント付きRTすると消費者はAmazonギフト券100円を入手できました。
森永チョコレート側は公式アカウントのフォロワー増加と商品知名度のアップ・批判的意見の収集が同時にできました。
文面だけを見ればネガティブな印象を抱かれかねませんがこれはとても優れたバズ・マーケティングの一種です。
オペラの例
2019年にバズった数多くの化粧品の中にオペラのリップティントとシアーリップカラーがあります。
オペラはこの時、X(旧Twitter)の公式アカウントでバレンタインの限定色発売と同時にキャンペーンを行いました。
2つのリップにそれぞれ違ったストーリーを持たせ、消費者にどちらが好きかを選んでもらうというものです。
消費者参加型のキャンペーンが功を奏して「いいね」の数もリツイート数も他の投稿よりずっと伸びました。
丸井グループの例
小売・フィンテック事業を行う丸井グループでは2017年にオリジナルアニメCMを軸とするキャンペーンを行いました。
コラボカフェや関連書籍の発売などリアルとネットの両方からアプローチして同社の企業理念の浸透を図るものでした。
結果として丸井グループは公式X(旧Twitter)で最大1.7万のフォロワーを獲得し、動画再生数も320万回を越えることになります。
これもまた一種のバズ・マーケティングの成功例だといえるでしょう。
SNSマーケティングの事例はこちら
バズ・マーケティングを成功させるコツ
バズ・マーケティングを成功させるためにはどのような方法を取れば良いのでしょうか。
数多くの消費者を相手にすることになるので、可能な限り好意的に受け取ってもらえるよう取り計らいたいものです。
この項目ではバズ・マーケティング成功のコツを3つ取り上げてご紹介します。ぜひ参考にしてください。
ターゲット層に合わせる
バズ・マーケティングを成功させるためのコツ、1つ目はターゲット層に合わせることです。
自社の商品・サービスがどのようなターゲット層による消費を期待して販売されるものなのかを深く理解しておきましょう。
どんなターゲット層を相手にするかによって取り得る手段は大きく変わってくるからです。
たとえば高齢者層をメインターゲットとする商品を若者に人気のYouTuberに紹介してもらっても効果は期待できません。
ターゲット層と各種メディアの主な接点はどこなのかを意識した選定が必要となります。
簡潔に説明する
バズ・マーケティングを成功させるためのコツ、2つ目は簡潔に説明することです。
主なターゲット層があるとはいえ、バズ・マーケティングは不特定多数の消費者を対象とするマーケティング手法です。
どんな相手にでもすんなり趣旨を分かってもらえるよう、内容についてはできるだけ簡潔な説明を心がけなければなりません。
一部の専門家にしか理解できないような専門用語や難解な言葉選びをしていてはとても拡散などしてもらえないでしょう。
また商品・サービスの画像や動画を用いて視認性の高い内容にすることも広く受け入れられるための重要なポイントです。
SNSのマナーを守る
バズ・マーケティングを成功させるためのコツ、3つ目はSNSのマナーを守ることです。
話題をさらうことにばかり意識を向けて、マナー違反やルール違反に当たる振る舞いをしてしまってはいけません。
その場合、悪くするとバズるのではなく炎上という形で広く世間に認知されることになるでしょう。
炎上すると、適切に対処して可能な限り早く火消しをしなければ後々までダメージを引きずることになります。
商品やサービスだけでなく企業全体のイメージまでも大火傷してしかねないので注意しましょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
効果的な商材を紹介
数ある商品・サービスの中でもとりわけ高いバズ・マーケティングの効果を見込める商材があります。
ジャンルは飲食系・コスメ系・イベント系です。以下それぞれについて詳しく見ていきましょう。
飲食系
飲食系の商材はそのターゲット層の広さもあってバズ・マーケティングの成功を狙いやすいジャンルです。
公式アカウントをフォロー&リツイートすることで消費者にリターンがある、というのはよく見る手法ではないでしょうか。
商品券やポイントなど魅力的なリターンを用意することができればフォロワー数増加と商品の認知度アップの両方が狙えます。
こうした参加型のプロモーションを展開することで不特定多数の消費者を大きく巻き込んでいきたいものです。
コスメ系
コスメ系の商材も高いバズ・マーケティングの効果が期待できるジャンルです。
特によく知られているのはインフルエンサーを起用する手法でしょう。
華のあるインフルエンサーたちと同じアイテムを同じように使ってメイクしたいという女性は少なくありません。
その時、サイトの流入経路としてYouTubeなどの動画チャンネルへの移行が多く見られます。
それら動画サイトとの連携やサービスの充実を図ることでさらなる顧客獲得のチャンスが広がるでしょう。
イベント系
イベント系の商材も広く周知することでバズ・マーケティングの効果が期待できます。
その際に重要なのは、必要な情報をしかるべきタイミングでふさわしいターゲット層に向けて投下する意識でしょう。
よく検討した上でリリースすれば情報はより広範囲に拡散され、想像以上の集客が見込める場合があります。
バズ・マーケティングの注意点
バズ・マーケティングの注意すべき所は、受け手がその情報をどう感じるかまでは完全にコントロールできないという点です。
主催する側は瑕疵など1つもない戦略のつもりでいても、重箱の隅を突くような厳しい批判が出てこないとは限りません。
この項目ではバズ・マーケティングを展開する際に気を付けておくべきことを3つ挙げて解説します。
ネガティブな反応が広がる場合がある
バズ・マーケティングの注意点、1つ目はネガティブな反応が広がる場合があるということです。
消費者と企業の認識の違いが思わぬ軋轢や対立を産んでしまう例は少なくありません。
その場合、消費者から痛烈な批判を浴びせられたり手厳しい意見を頂戴したりすることは避けられないでしょう。
批判や意見ならまだ良い方で、攻撃としか思えないようなコメントを受け取ることさえありえます。
発信する側は、どんな場合であれその情報の内容に細心の注意を払うべきです。
誤情報が拡散される場合がある
バズ・マーケティングの注意点、2つ目は誤情報が拡散される場合があることです。
発信する情報に誤りは付き物です。その誤りがバズ・マーケティングを狙った情報発信で起きない保障はありません。
そうした場合、すぐに何か手を打たなければ消費者の間で誤情報が拡散・共有されてしまうことになります。
発信する側が誤りに気付いていない時は手の施しようがありません。やはり情報発信には細心の注意を払う必要があります。
ステマと誤解される場合がある
バズ・マーケティングの注意点、3つ目はステマと誤解される場合があることです。
ステマとはステルスマーケティングのこと。商品やサービスに対する不純な評価でもって消費者の誤認を誘う手法です。
バズることを期待してリリースした情報が消費者にステマだと勘違いされ、非難の対象となる可能性は0ではありません。
その情報が景品表示法上の不当表示に当たらないかどうか、しっかり精査してから発信する必要があるでしょう。
バズ・マーケティングの特徴
バズ・マーケティングにはどのような特徴があるか改めて確認しましょう。
特徴を踏まえて活用すれば、より高い効果が望めるようになるだけでなく、リスクを避けることにも繋がるでしょう。
ここではSNSとの相性の良さと口コミの活用という2点について詳しくご紹介します。
SNSと相性が良い
バズ・マーケティングの特徴、1つ目はSNSと相性が良いことです。
情報をできるだけ多くの人に共有してもらいたい時、不特定多数の消費者が繋がりを持つSNSを利用することは非常に有効です。
時に情報は海外にも拡散され、想像だにしなかった需要の掘り起こしに成功する場合もあるでしょう。
情報を発信する企業側とターゲットである消費者との距離が近いことも利点の1つです。
フランクでフレンドリーなやり取りが企業の印象にプラスの評価を与えた例が数多くあります。
口コミを活用する
バズ・マーケティングの特徴、2つ目は口コミを活用するプロモーション手法であることです。
口コミは消費者による能動的な行為です。強いられたものではないからこそ進んで発言され、拡散されるともいえるでしょう。
そんな能動的行為を喚起するためにも、バズ・マーケティングはそれがバズ・マーケティングであると匂わせないことが肝心です。
情報に明らかな作意を感じ取った消費者は、それに関して発言・拡散することに消極的になってしまうからです。
バズ・マーケティングの手法
バズ・マーケティングに取り組んでも、リリースした情報が本当にバズるかどうかは実行してみるまで分からないものです。
ただそれは、バズ・マーケティングが偶然に期待する博奕的要素の強いマーケティング手法だという意味ではありません。
分析に分析を重ね、消費者に好意的に受容・拡散してもらえるよう計算して話題を作るのが本来のバズ・マーケティングです。
時に炎上の可能性もあることを思えば、安易な気持ちで何度も用いるべき手法ではないといえるかもしれません。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
バズ・マーケティングの種類
ここで改めてバズ・マーケティングに以下のような種類があることを確認しておきましょう。
- SNSへの投稿
- お試しサンプル
- インフルエンサー起用
- キャラクタライジング
先に触れた通りバズ・マーケティングはSNSとの相性が抜群です。SNSへの投稿はそうした性質を利用しています。
お試しサンプルやお試し期間の設置は、化粧品やサプリメントなどの販売で多用される方法としてご存知の方も多いでしょう。
インフルエンサーの起用やキャラクタライジングではファン心理を利用して商品・サービスを好意的に受け止めてもらいます。
上記リストには含めていませんが炎上商法もバズ・マーケティングの種類の1つです。
バズ・マーケティングに悩んだら?
自社の商品・サービスを売り込む戦略の一環としてバズ・マーケティングを実行してみたい。
けれど不発に終わったり炎上したりする可能性を思うとなかなか踏み切れない。そう悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
バズ・マーケティングに関することで悩んだら、デジマクラスのようなコンサルタントに相談してみてください。
マーケティング戦略のプロフェッショナルが親身になってお話をうかがい、適切な提案をしてくれることでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回の記事ではバズ・マーケティングの事例や成功させるコツなどについてご紹介しました。
バズ・マーケティングは上手く扱えば大きな効果が期待できますが、用い方を誤ると炎上のきっかけともなりえます。
そのためマーケティング戦略として取り組む時は細心の注意を払って実行しなければなりません。
今後バズ・マーケティングを実施するにあたって本稿の内容が少しでも参考になれば幸いです。