リーンキャンバスの事例を解説!リーンキャンバスの役割は?リーンキャンバスを活用するメリットやよくある間違いも紹介します!

スタートアップビジネスモデルとして活用される手法に「リーンキャンバス」があります。

「Running Lean」の著者アッシュ・マウリャ氏が提案したビジネスモデルです。

新しいビジネスを開発・実践するため、9つのフレームワークに分類されます。

リーンキャンバスは無駄な工程を失くし、アイデアを素早く事業化するためのフレームワークです。

今回はリーンキャンバスの事例を紹介しながら役割やメリットを解説します。

リーンキャンバスの役割

リーンキャンバスはスタートアップ向けであり、課題ソリューション価値提案を重視します。

つまり事業を始める上で欠かせないビジネスモデルなのです。

それではリーンキャンバスの役割について見ていきます。

ビジネスの全体像を把握するフレームワーク

リーンキャンバスは1枚のキャンバスを9つに分割し、ビジネスの全体像を捉えて分析します。

それぞれの領域を埋めていくのは慣れが必要で、1つの事業企画なら30分もあれば全体像をまとめることが可能です。

リーンキャンバスはビジネスモデルの本質的な価値構造を1枚のシートに記載するため可視化でき全体像が把握しやすいといえます。

活用する目的

リーンキャンバスの目的は、アイデアに対してビジネスの視点に立ってユーザーとビジネスのバランスを考えることです。

そうすればユーザーの目線で価値を定義することができます。

また、価値の構造を可視化することで実現性を検証できるようになります。

リーンキャンバスは、仮説を立案・検証し、素早くアップデートができるのが特徴です。

検証の結果、アイデアに問題が見つかればすぐに修正をし、サービスの成功率を上げるように取り組んでください。

なお、リーンキャンバスでは修正してアップデートする作業が比較的多くあるためプロジェクトメンバーを組織して対応に当たりましょう。

 

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リーンキャンバスの9つの要素

リーンキャンバスを作るためには9つの要素を組み入れたフレームワークを完成させる必要があります。

ここでは9つの要素について解説します。

項目は以下の通りです。

  • 顧客セグメント
  • ユーザーが抱える問題
  • バリュープロポジション(独自の価値提案)
  • 解決策
  • チャネル
  • 収益の流れ
  • コスト構造
  • 主要指標
  • 競合優位性

「顧客セグメント」は、顧客をグループ化してどのセグメントに属するのか検証します。

リーンキャンバスでは価値を感じお金を払ってくれる顧客がいるからビジネスが成り立つと考えます。

そのため顧客セグメントを考える際は思い浮かぶさまざまな種類の顧客を書き出しておくのです。

「ユーザーが抱える問題」では、顧客セグメントにとって優位順位の高い課題を3個ほどあげてみましょう。

また、現在どのような代替品を利用しているか洗い出しておくのです。

自社商品の差別化をどのようにすればいいか考えましょう。

「バリュープロポジション」では、自社の提案が競合他社にくらべてどれくらい独自性があるか示します。

ポイントとしてはできるだけシンプル明快なメッセージにするよう心掛けてください。

ユーザーエクスペリエンス(UX)を高めて差をつける企業もあります。

UXとはユーザーが商品やサービスを通じて得られる体験をいいます。

ユーザーがどうすれば喜んでくれるか、楽しんでくれるかをデザイン・企画するのがUXです。

「解決策」では顧客の課題に対するソリューションを設定します。

ポイントは自社のオリジナリティを加えることです。

高い価値提案(UVP)を取り入れることで会社としての価値が高まり、方向性が見通せます。

なお、既に他社が採用しているビジネスモデルを取り入れても価値が下がるだけです。

「チャネル」では、顧客に対してどのようなルートで商品やサービスの価値を届けるか設定します。

Webを駆使するのか、あるいはオフラインで価値を届けるのかなど複数のチャネルを用意してください。

「収益の流れ」では、収益のプランを設定します。

例えば顧客生涯価値やサービス価格などいくつかの収益モデルを考えてみましょう。

儲けるための仕組みを構築することでしっかりとした経営基盤ができ上がります。

「コスト構造」では、価値を提供するための原価を考えます。

商品を市場に流通させるためのコスト、例えば外注費人件費交通費などのコストを加味してください。

詳細にリストアップする必要はなく、おおまかでいいので思いつくままあげてみましょう。

「主要指標」では、KPIを記載すればいいでしょう。

KPIは中間目標のことですが、最終目標を定める際に中間目標は重要なポイントになります。

「競合優位性」では、他社に負けない自社の強みを書き出してください。

市場でこれだけは自社が優位だと思えるものをいくつか洗い出しましょう。

例えば、既存顧客・コミュニティ・内部情報などです。

なおアプリやサービスの機能は優位にはならないので注意してください。

 

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事例①:RIZAP

スタートアップ時に事業計画書の働きをするリーンキャンバスですがここからは具体例をあげて解説していきます。

まずはお馴染みの「RIZAP」です。

痩せたいと願う顧客の肉体改造を支援するサービスでは市場において優位性があります。

「結果にコミットする」というキーワードがユーザーに広く認知されている企業です。

リーンキャンバスの内容

まず設定したのは「顧客セグメント」です。

引き締まった体で、自分のさらなる価値を加えたいビジネスパーソンがターゲットになります。

そこを目指せば「ユーザーが抱える課題」が見えてきます。

他社との差別化を意識しながら「ソリューション」「顧客提案」を立案していきましょう。

「主要指標」はKPIを設定して、新規顧客をどうやって生み出すのか考えます。

「収益の流れ」や「コスト」も考慮しながら進めていきます。

リーンキャンバスの活かし方

KPIを達成するために継続的に分析をしPDCAサイクルを回すのです。

これによりビジネスがどんどん一新され、常に最新のビジネスモデルが構築できます。

RIZAPは広告に使用前・使用後の有名人を起用する印象的なテレビCMで話題になっています。

繰り返し放映されるCMであのキーワード「結果にコミットする」がユーザーに刷り込まれているのです。

その結果、多くのビジネスマンを中心に集客効果が向上しました。

事例②:Airbnb

「Airbnb」は宿泊場所を提供するホストとそれを利用する旅行者であるゲストをアプリでマッチングさせるサービスです。

これまでにない斬新なビジネスモデルとして注目されています。

「ゲスト」と「ホスト」に分けて検討

Airbnbではサービスを通じて「ゲスト」「ホスト」が契約を結びます。

ホストは貸家を提供し、ゲストは気に入った場所をアプリで検索して予約するという簡単な操作が売りです。

ゲストはホテルや旅館よりも安い価格で宿泊でき、ホストは活用されていない遊休資産を活用できるメリットがあります。

ユーザーのタイプが分かれている場合の考え方

Airbnbのような需要と供給でユーザーが分かれている市場を「ツーサイデット・マーケット」といいます。

このケースの場合、リーンキャンバスを構築する際には双方からの情報を記入しなければなりません。

「ツーサイデット・マーケット」では、需要側・供給側・さらにどちらにも共通する、で色分けすれば見やすくなります。

事例③:ferret

「ferret」とはWebマーケティングメディアです。

2014年9月にWeb担当者が求められる知識やスキルアップ向上を目的としたWebマーケティング総合サイトを開始しました。

「Webマーケティングの大衆化」をミッションに掲げています。

国内の中小企業にいるWeb担当者のスキル向上のための情報発信をしている企業です。

リーンキャンバスの内容

まず、「顧客セグメント」「課題」を記載することで方向性がはっきりしてきます。

セグメントは国内の中小企業にいるWeb担当者になります。

課題はWebマーケティングを学びたいがどうやったらいいのか分からないといったユーザーにどう応えるかです。

リーンキャンバスで一番難しいのが「価値提案」です。

差別化要因と注目されるような価値を説明した明確な説得力のあるメッセージを記述しなければいけません。

「ホームページの悩みは今日で終わりWeb担当者に必要な情報は全てココに」とメディアでも公開されています。

ユーザーには分かりやすいと評判です。

「ソリューション」では、Webマーケティングの分かりやすいカリキュラムニュース事例の提供となります。

また、24時間ネット環境があればどこでも気軽に学習できるのがポイントです。

「チャネル」FacebookX(旧Twitter)メルマガリファラルRSSフィードLINESEOなど多岐に渡ります。

ferretではより深く学習したいユーザー向けに有料会員制度「ferretOne」を採用しています。

ここでは実践でマーケティングを学びたい人に最適な情報が提供されているのです。

「コスト構造」は人件費・取材費・サーバー使用料などが含まれます。

「優位性」では、Webマーケティングに特化したメディアで立ち上げ1年3カ月で月間200万PV、約30万人の会員がいることです。

リーンキャンバスの活かし方

ferretの例でも分かるように、ここでは顧客セグメント課題に比重が置かれています。

つまりここが固まればあとは比較的スムーズに記載できるのではないでしょうか。

また、コストについて詳しくない場合が少なくありません。

周囲にヒアリングしながらリーンキャンバスを完成させていきましょう。

 

ワンポイント
リーンキャンバスは顧客セグメントと課題がポイントになる。

リーンキャンバスを活用するメリット

リーンキャンバスを活用するメリットについてまとめておきます。

事業の見直しに活用できる

リーンキャンバスのメリットは何といっても1枚で簡潔に記載できるため、見直しが容易にできることでしょう。

新規事業ではリーンキャンバスを最初からしっかり記載するよりも進めながら修正を加えていく方が確かな成功に結び付きます。

事業の優位性を考察できる

リーンキャンバスの最大の魅力は市場での自社の優位性を見極められることです。

リーンキャンバスを考えていく中で自社の強みに気づくこともあるでしょう。

実は一般的な企業で飛び抜けた優位性を誇るところは実は少ないのです。

多くの企業は優位性を持たないまま事業展開しているケースがほとんどです。

しかし、リーンキャンバスを作成すると今はまだ見えない優位性をどうすれば生み出せるかヒントが見つかります。

つまり将来に向けての優位性を引き出すための準備をするのです。

要点が分かりやすい

リーンキャンバスはA4サイズ1枚に収まるビジネスモデルです。

社内で説明する際も視覚的に分かりやすく、商品やサービスの本質的な価値を説明しやすいのが特徴です。

例えば、ユーザーにアンケート調査する場合リーンキャンバスで企画書を作成すると大変便利といえます。

質問内容も分かりやすく確度が高いフィードバックが戻ってくるので、PDCAを回しやすくなります。

PDCAはPlan(計画)->Do(実行)->Check(評価)->Action(改善)のサイクルを繰り返し、継続的な業務の改善を促す技法です。

 

ワンポイント
リーンキャンバスはA1の紙1枚に記載されたビジネスモデルで可視化されて分かりやすい。

リーンキャンバスでよくある間違い

新事業を立ち上げてリーンキャンバスを初めて見る方も多いでしょう。

A4の紙1枚を見てどう感じるのでしょうか。

ここではリーンキャンバスでよくある間違いを解説します。

項目を全て埋めなければならない

リーンキャンバスは最初からびっしり項目を埋める必要はありません。

ブラッシュアップしながら埋めていくイメージが正しいリーンキャンバスの活用方法です。

初めてリーンキャンバスを担当して項目を埋められず挫折するケースが多いのです。

ただし、課題は価値提案をするため埋めておきましょう。

たとえそれが正しくなくても構いません。

進めていく中でいくらでも見直しをすればいいのです。

ブランクも同様にやりながら埋めていくことでゴールに到達できると思ってください。

時系列を意識せずに書く

リーンキャンバスで大切なのがいつの時点での計画であるかということです。

一般にビジネスフレームワークは時系列に記載することを想定していません。

しかし、リーンキャンバスでは時系列を意識して目標を設定し活用することが重要になります。

時系列でポイントを押さえることで上手くいってない事業を見つけ出し、改善を施すことができるのです。

 

ワンポイント
リーンキャンバスは時系列を意識しながら書くのがポイントになる。

リーンキャンバスとあわせて活用したいフレームワーク

リーンキャンバスとあわせて活用したいフレームワークを2つご紹介します。

PEST分析

「PEST分析」では、自社を取り巻く政治・経済・技術・社会といった4つの観点からチャンスやピンチを分析し、経営戦略を策定します。

リーンキャンバスでもこれら4つのマクロ環境が構想したビジネスにどういった影響を及ぼすのか検証していくのです。

5Forces分析

ビジネスにおいて自社が属する業界や産業構造内にある5つの要因を解説したものが「5Forces分析」です。

5つの要因とは「売り手」「買い手」「競合」「新規参入者」「代替品」です。

これら5つのバランスによって収益性が決まるとされています。

リーンキャンバスでは競合考察をする際に、ステークホルダーや台頭勢力・新規参入の難易度・代替品などが存在します。

マーケットで戦うためには5Forcesというフレームワークを活用して検証することが重要なのです。

 

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リーンキャンバスの活用術が身につく環境で働くなら

リーンキャンバスについて解説してきました。

未経験者に方にはかなり大変そうに感じるかもしれません。

全ての項目を埋めるのが目的ではありません。

リーンキャンバスを活用すれば事業収益のプロセスが理解できてビジネス感覚も磨かれます。

将来マーケターを目指す方、既にリーンキャンバスを活用したことがある方もリーンキャンバスの魅力に触れてみませんか。

デジマクラスではリーンキャンバスの活用術が身につく環境で働きたい方を応援します。

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ワンポイント
リーンキャンバスを作成すれば事業収益のプロセスが学べる。

まとめ

新規事業立ち上げに欠かせないリーンキャンバスは1枚の紙にビジネスモデルを書いて、ユーザー視点で価値を定義します。

仮説を立てて実証を継続することで無駄を省いたサービスの向上と企業収益拡大を目指します。

メンバーで目標に向って考えながらフェーズごとに何が必要か事業作りに携われるのがリーンキャンバスの魅力です。

リーンキャンバス活用術が身につく環境を見つけてキャリアアップを目指しましょう。

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