色彩心理学を利用したカラーマーケティング。
色の効果で、ユーザーを集客したり購買意欲を増したりと色々な効果を期待できるものです。
これらの効果を得られるために、適切な場所で適切な色を使いたいものですが正しい知識のもと使う必要があります。
ふさわしくない色を利用すれば逆効果を招くこともあるからです。
本記事では、カラーマーケティングの正しい知識を事例と共に解説していきます。
目次
カラーマーケティングの特徴
カラーマーケティングの特徴は、その色で消費者が瞬間的に判断しているということです。
消費者が商品を判断するとき、第一印象は90秒で決まるといわれています。
そして、その短い時間の中で判断材料として使われるのが色なのです。
色は判断材料の中では、文章などと比較すると最も判断に用いられる材料となります。
そのため、色がもたらす商品の印象や企業のイメージがマーケティングに大きく応用できるのです。
使用するシーンに最適な色を選んで、それにより消費者によいイメージをもってもらう。
こういった戦略的に色を利用して、カラーマーケティングが行われるのです。
色によるマーケティング効果
カラーマーケティングは企業のイメージ作りなど、戦略的な利用が行われていることがわかりました。
自社にも取り入れて、カラーマーケティングを行おうと検討している人もいるでしょう。
しかし、効果と一言でいっても違いがあることをご存じでしょうか。
この違いを知らなければ、うまく消費者に色による効果を与えることはできません。
ここからは、色によるマーケティング効果を詳しく理解していきましょう。
表現感情
色による受け取り方は千差万別ですが、その受け取り方や効果を大きく分けると2つに分けられます。
その1つが表情感情といわれるものです。
この表情感情とは、色の受け取り方が人によって異なる感情を持つことをいいます。
例えば、ピンク色を可愛いと感じ黄色を派手な色と感じる人がいるとします。
しかし、ある人は黄色を可愛いと感じピンク色を派手な色と感じることもあるでしょう。
このように、同じ色でも人によって色のイメージや受け取り方が異なるのです。
したがって、もちろん色による効果も異なることがわかります。
このように、人によって色の持つイメージが異なることを表情感情というのです。
そして、企業がカラーマーケティングを行うにあたってこの表情感情に焦点を当てることは得策ではありません。
見る人によって印象が異なるため、表情感情の部分に検討を重ねても狙った効果は生み出せないからです。
固有感情
表情感情に対して、もう1つが固有感情といわれるものです。
こちらは、見る人が違っていても受け取るイメージや効果が同じものになります。
例えば、オレンジ色を見て温かみのある色と感じることがあるでしょう。
逆に、青色や水色といった色からは寒さや冷たさを感じることでしょう。
こういった、色から同じイメージを受け取ることを固有感情というのです。
これは、人の潜在意識の中にあるものなので通常はこの受け取り方が大きく変わることはないといわれています。
青色をみて温かみのある色だとは感じにくいということです。
そして、この固有感情こそ企業が焦点をあてて取り組むべき色になります。
表情感情と比べて、どの人にも共通のイメージを与えることができるからです。
すなわち、意図したイメージを多くの人に与えることができるので固有感情の色を検討する必要があるわけです。
色の影響を受けやすいシーンは?
正しい効果を得るために、まずは色や受け取り方の違いについて把握することができました。
次は色の影響を受けやすいシーンについて理解していきましょう。
実は、色の影響を受けやすいシーンがそれぞれあります。
どこでも、効果のある色を使えばいいというわけではないのです。
どんなシーンであれば、色を使ってその効果を最大限に発揮できるのか解説していきましょう。
集客
どのシーンで色が活躍するのか。具体的シーンの1つが集客シーンです。
そもそも、色は販売促進を促したいときに活用できると考えられています。
その中でも、集客シーンには適しているといわれています。
色によって集客は、20%程度アップするともいわれているのです。
特に赤色が効果を発揮するといわれており、その他の色を使用している時と比べて大きな差が生じるでしょう。
購買意欲
集客だけでなく、購買意欲をあ高めるシーンでも活用できます。
例えば、よく使用されるシーンとして安売りや値下げの表示がされているケースです。
赤色に黄色の文字といった様子で、「セール」や「値下げ」の表示がされています。
このように色の効果によって、印象強くして訴求効果を高めており購買意欲も上げています。
特に、このシーンでは赤色が効果を発揮するといわれているようです。
色のインパクトが強いのはもちろんですが、色によって気分を高揚させて活動的にさせるといわれています。
そのため、消費者に購入の意欲をアップさせる・行動させる効果をもたらすのです。
これらの色と効果を確認のうえ、取り入れていくと購買意欲アップを図ることができるでしょう。
回転率
回転率アップも、色の影響を受けやすいシーンといわれています。
そこで活用できる色は、特に暖色系のオレンジ色や赤色です。
例えば、これらの色を使った広告を店頭に貼っているだけで消費者の目に留まりやすくなります。
それに加えて、暖色系の色はエネルギーを消費させる効果を持つといわれているのです。
つまり、訪問を促してエネルギーを使わせ長時間いたように錯覚させるのです。
そうすると、短時間でも長く居続けた気になり自然と退店を促すことができます。
結果的に、回転率アップに結び付くのです。
色の効果により、消費者の目を引くのはもちろん消費者の気分を害することなく回転率がアップ。
これらの影響は、実店舗においてもネットショップにおいても使用できる手法といえるでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
カラーマーケティングの事例
シーンの選定とマーケティング効果を理解することができ、具体的な自社での運用も視野に入ってきたでしょう。
次は、これまでの事例についても把握していきましょう。
具体的な過去事例を知ることができれば、より自社で取り入れる際の参考にすることができます。
事例をもとに、今後のマーケティングの参考に役立てましょう。
コカ・コーラ
代表的な事例の中でも、特に有名なのがコカ・コーラでのカラーマーケティングです。
コカ・コーラは創立から間もなくして、企業イメージ構築のためにカラーマーケティングを取り入れています。
戦略的に用いられた色というのが、馴染みのある赤い背景に白の文字です。
この色合いを見ると、誰しもがコカ・コーラとわかるほど日常に定着しているでしょう。
そんな色合いですが、実は当初はサンタクロースに赤白の服を着せて販促を行っていたそうです。
現在でもこの赤白の服を着たサンタクロースをCMなどで見かけることもあるでしょう。
これにより、誰しもがコカ・コーラを想起させるマーケティングが成功しているというわけです。
ティファニー
成功事例の代表例としては、ティファニーも有名です。
この企業では、イメージカラーは青色になります。
そのイメージカラーの定着から、ティファニーブルーともよばれ商標登録もされているほどです。
企業のイメージカラーは定着させることができれば、ブランド構築になります。
その色で統一感を出すことで、ファッションであればコーディネートの面でも役立ちます。
うまくイメージ戦略とブランディングを成功させた事例といえるでしょう。
シャープ株式会社 | ヘルシオ
シャープ株式会社で開発・販売されたヘルシオと呼ばれるスチームオーブンも成功を収めた事例です。
その成功を収めたカラーマーケティングに使われた色は赤色です。
家電量販店などで、一度は目にしたことがあるでしょう。
実は、この赤色が使われた背景には事前の市場調査などにかなりの力が注ぎ込まれていました。
それゆえに、成功を収めたといえる企業努力とマーケティングの結晶です。
販売当初は、白物家電と呼ばれるものは奇抜な色は少ない傾向にありました。
そのほとんどが、白色や黒色・シルバーといった部屋に合う無難な色合いだったのです。
しかし、その中でヘルシオを売り出す際には赤色を押し出したのでした。
その背景では市場調査が入念に行われ、赤色が他のインテリアとの調和で選ばれやすいと判断したのです。
その結果、ヘルシオはこれまでの常識を覆すような売上をたたき出しました。
価格も決して安価ではありませんが、ヘルシオというブランドを構築し大きく成果を打ち出したのです。
三原色のマーケティング効果
事例をもとに、今後のカラーマーケティングについて具体的な戦略を考えている人もいるでしょう。
さらに具体的な施策を考えるのであれば、人に与えるイメージを考慮した色の選定も必要です。
先述した固有感情の中で、どの色がどういった感情や効果を消費者に与えるか解説していきましょう。
赤
カラーマーケティングの中でも、三原色と呼ばれる色の効果を解説します。
その1つ目が赤色による効果です。
赤色は先述したように、目を引く色であり見た人に活動的になる効果をもっています。
刺激が強い色・興奮させる効果のある色とされており、最も刺激的な色です。
そのため、集客したい場合は目を引きたい場所に赤色の広告を打ち出すと効果が見込めます。
そのインパクトの強さから刺激を受け、活動的になった消費者により多くの集客を見込めるからです。
また、赤色は時間経過を1.5倍も早く感じる効果ももたらすともいわれいます。
店舗であれば、実際の時間よりも1.5倍も長く滞在したように感じるのです。
そのため、店舗であれば回転率を上げたいときにも赤色が効果を発揮することでしょう。
青
三原色の中で、赤色の反対のイメージや効果を与える色が青色です。
刺激を起こす赤色に対して、刺激を鎮める色が青色になります。
また、青色が与えるイメージや効果はその他にも以下のように沢山あります。
- 集中力を高める効果
- 清潔感を与える効果
- 時間経過を遅く感じさせる効果
- 誠実さ・知的イメージを与える効果
このような効果を多数もつため、それぞれのイメージを利用した活用シーンは多いでしょう。
しかし、それ故に間違ったシーンで使用してしまった場合は逆効果を招く恐れがあるため注意が必要です。
黄
最後の三原色の1つが、黄色です。
その効果は、印象を与えることができる個性の強さになります。
例えば、道路標識や通行止め表示などの注意喚起のシーン。
また、赤色と組み合わせて強調したいシーンなどで使われていることをよく目にするでしょう。
黄色には、目を引いて印象に残りやすいという独自の個性があります。
その他色のマーケティング効果
三原色のマーケティング効果を把握することできました。
しかし、もちろん色はこれだけではありません。いろいろな広告などを見ていると様々な色が使われています。
実際にカラーマーケティングを行うのであれば、三原則以外の色の効果も把握しなければ実用的ではないでしょう。
ここからは、三原色以外のその他の色のマーケティング効果について紹介していきます。
緑
1つ目に紹介するのが、緑色です。
山や森といった自然を彷彿とさせる色ですが、穏やかな気持ちにさせてくれる色でもあります。
リラックス効果もある色で、精神的な安定をもたらす色にもなります。
企業のイメージカラーにも用いられる中、特に建築関連でも使われることが多いようです。
部屋に用いることでリラックス効果などをもたらし、時間的にもゆっくりと流れるイメージを与るのです。
紫
紫色は、幅広い効果やイメージをもたらす色として用いられます。
イメージや想像力向上といったクリエイティブな刺激を与えたり、不安感を解消してくれる効果があります。
しかし、使用シーンを間違ったり使いすぎてしまうと刺激が強すぎ下品なイメージを与える可能性も高いです。
どのシーンにどの程度使用するのか、検討を重ねてイメージを想定する必要があるでしょう。
黒
日常的に見かける頻度の多い色ですが、黒色にも効果があります。
その色の重さから、重厚感や高級感をイメージさせるのに適した色です。
一方で、不安を抱かせたり不吉なイメージを抱かせる色でもあります。
商品の重厚感や高級感を出したいブランドものなどには、黒色は最適な色になるでしょう。
白
黒色に対して、軽さや広さのイメージを与えるのが白色です。
そのイメージを聞くと使用用途が限られるように思いますが、清潔さをイメージさせる色でもあります。
また、新生活や心機一転などの新たにスタートを切るイメージを持たさせる色としても効果的です。
各色の特徴や効果を把握したうえで、応用していくことが求められるでしょう。
マーケティング戦略の事例はこちら
カラーとブランドイメージの関係性
三原色やそれ以外の色のもつ効果について、把握することができました。
三原色を含めて、どのいろもその用途やイメージを考慮して利用することが大切でしょう。
そして、さらに検討すべきことがカラーとブランドイメージの関係性です。
冒頭で解説したように、人の第一印象はほんのわずかな短時間で決まってしまいます。
さらにいうと、その第一印象の80%は色彩から得られたイメージによるといわれているのです。
この結果から、第一印象においていかに色をうまく利用するかの重要性がわかるでしょう。
企業や商品のブランドイメージは、この第一印象を決めるカラーと非常に関係が深いのです。
コンビニなどお店のロゴにしても、そのお店を想起させるカラーが使われています。
逆にいえば、その色を見せられたらそのお店を思い出すほど色がブランド構築に一役買っています。
このような状況を考えると、カラーとブランドイメージの関係性がどれほど重要かわかるでしょう。
今後ブランドイメージ構築に色を用いる場合、色の選定は上記重要性を踏まえた試行錯誤が必要になるでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ECサイトでの活用方法
それぞれの色の特徴を理解したうえで、活用できる場の一例としてECサイトでの活用が見込めます。
先述した通り、三原色を含む各色はそれぞれが効果やイメージを持ちます。
例えば、赤色であればECサイト上で使うのであれば「購入ボタン」に使用するのがいいでしょう。
赤色は消費者を刺激して、活動的にする効果を持ちます。
そのため、購入ボタンに赤色を採用すれば消費者の購買意欲を刺激することが可能なのです。
また、ECサイト内の配色にも各色の特徴を活かすことで購買を促すことができます。
毎年流行の色がありますが、この色をECサイト上に取り入れることも効果を発揮するでしょう。
また、男性と女性とでは与えるイメージも変えるためにECサイトの配色も異なります。
男性であればシックな黒色を基調にしているのに対して、女性には明るくピンク色などを取り入れるといいでしょう。
そうすることで男性にはシックな印象を与え、女性には可愛い印象を与えます。
このように配色をターゲットや年代ごとで変えることにより、与えるイメージを変えて最大限の効果を発揮します。
上記以外にも、もちろん色の使い方は様々です。
ECサイトでも効果的な活用を見つけて、今後の商品販売に活かしてみるとよいでしょう。
マーケティング戦略の事例はこちら
カラーマーケティングの導入で悩んだら
カラーマーケティングは、今後のイメージやブランド作りに大変役立つ方法です。
ECサイトだけに限らず、サイトや店舗づくりなど色々なシーンで活用できる方法でしょう。
しかし、もちろん各色の特徴や与えるイメージをある程度理解したうえで利用しなければなりません。
望む結果に結びつかない効果や逆効果を招く恐れもあるからです。
たとえ1色いえども、その効果を最大限に活かしたいのであれば油断はできません。
もし、今後運用をしたいがカラーマーケティングで心配があるようであればデジマクラスにご相談ください。
専門のコンサルタントがアドバイスし、適切な色の選定からマーケティングのお手伝いを行います。
今後のカラーマーケティングを行うにあたって、必ず一助となるでしょう。
マーケティング戦略の事例はこちら
まとめ
今回は、カラーマーケティングの事例を踏まえて活用方法などをご紹介しました。
色の持つ特徴や与えるイメージについて、具体的に把握することができたでしょう。
しかし、どのサイトにどのように色を取り入れるかは状況によって異なります。
今回の記事を参考に、自社ではどの色をどこで使うか検討を重ねて実施してみてください。