マーケティングの分野で注目されている「エンゲージメント率」という言葉をご存知でしょうか。
X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを評価する場合、一般的にはフォロワオーに注目しがちです。
しかし、いくらフォロワーが多くとも、ユーザーから反応がなければ意味がありません。
エンゲージメント率はSNSにおける「反応」を示す指標であり、SNSの価値を示すものです。
そこで、この記事ではエンゲージメント率の目安や計算方法などを具体的に紹介します。
目次
SNS別のエンゲージメント率の目安を解説
マーケティングの手法としてSNSを活用する場合、大切なのはフォロー数ではありません。
SNSにおいて大切なのは、投稿に対してどれだけの反応があったかです。
エンゲージメントを直訳すれば「契約」「約束」を意味しますが、マーケティングの分野では「反応」を意味します。
より効果的なSNS戦略を展開するには、SNS別のエンゲージメント率を理解・意識することが大切だといえるでしょう。
エンゲージメント率を知る重要性は?
マーケティングにおいてSNSを活用する際、最も重視すべき指標はエンゲージメント率だといえるでしょう。
一般的に「影響のあるSNSアカウント」とは、フォロワーの多いアカウントと定義されがちです。
しかしフォロワーは相互フォローなどで集めることも可能であり、必ずしも意味のあるものではありません。
マーケティングにおいて大切なのは、SNSアカウントや投稿に対して興味・共感を示してくれるフォロワーです。
ここでは、エンゲージメント率を知るべき理由・重要性について具体的に解説します。
どれくらいのユーザーが反応したか分かる
エンゲージメント率を割り出すことで、どれくらいのユーザーがアカウントに反応したかが分かります。
SNSのエンゲージメント率とは、投稿数に対するユーザーが反応した数の割合です。
つまり、エンゲージメント率が高ければ、多くのユーザーがアカウントもしくは投稿に興味・共感を示していることになります。
反対にエンゲージメント率が低いアカウントはユーザーの反応が鈍く改善の余地があるといえるでしょう。
SNS戦略が成功しているかが分かる
エンゲージメント率を分析することで、SNS戦略が成功しているか否かが明確になります。
マーケティングでSNS戦略を展開する際、単に情報を発信すれば良いというものではありません。
マーケターが発信した情報に対して、ユーザーに反応・アクションを起こさせることが目的です。
したがって、エンゲージメント率が低い場合には、その原因を分析してSNS戦略の見直しが必要だといえるでしょう。
また、エンゲージメント率の基準を明確にして、稼動しているアカウントを冷静に評価することも大切です。
SNS別エンゲージメント率の計算方法
マーケティングに有効なSNSには「X(旧Twitter)」「Facebook」「Instagram」があります。
それぞれのSNSに特徴があるように、エンゲージメントの計算方法も異なりますので注意が必要です。
ここでは「X(旧Twitter)」「Facebook」「Instagram」のエンゲージメント率の計算方法について解説します。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)のエンゲージメント率の計算方法は次のとおりです。
- エンゲージメント率=エンゲージメント数÷インプレッション×100
なお、分子となるエンゲージメントは以下のとおりとなります。
- いいね
- リツイート
- 返信
- 画像・動画のクリック
- プロフィールのクリック
- リンクのクリック
- 詳細のクリック
- ハッシュタグのクリック
- 投稿からフォローした人数
X(旧Twitter)の場合、「Facebook」「Instagram」と比較するとエンゲージメントの種類が多いのが特徴だといえるでしょう。
Facebookのエンゲージメント率の計算方法は次のとおりです。
- エンゲージメント率=エンゲージメント数÷投稿のリーチした人数×100
なお、分子となるエンゲージメントは以下のとおりとなります。
- いいね
- シェア
- コメント
- 投稿のクリック
Facebookの場合、X(旧Twitter)と異なり、分母は投稿のリーチした人数となるのがが特徴だといえるでしょう。
Instagramのエンゲージメント率の計算方法は次のとおりです。
- エンゲージメント率=エンゲージメント数÷投稿のリーチした人数×100
なお、分子となるエンゲージメントは以下のとおりとなります。
- いいね
- コメント
- 投稿の保存
Instagramのエンゲージメント率の算出方法はFacebookと似通っており、分母も投稿のリーチした人数となります。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
SNS別のエンゲージメント率の目安
SNS戦略を展開する上で、エンゲージメント率を算出することはとても大切ですが、単に算出しただけでは意味を成しません。
目安となる数値を見極め、自社アカウントのエンゲージメント率と比較・分析することが重要です。
なお、企業が運営するSNSアカウントの平均エンゲージメント率は次のとおりになります。
- X(旧Twitter):0.3~1.0%
- Facebook:0.5~2.0%
- Instagram:1.0~12.0%
エンゲージメント率の目安はSNS別に異なることはもちろん、アカウントのカテゴリーによっても異なります。
したがって、上記の数値を目安としながら、自社アカウントのエンゲージメント率を見極めることが大切です。
エンゲージメント率を高める方法
エンゲージメント率が低いアカウントをいくら運営しても、成果はもちろん費用対効果を期待することはできません。
また、エンゲージメント率は1度指標を上回っても安心できるものではありません。常に変動していると考えておきましょう。
SNS戦略を展開する場合、マーケターは定期的にエンゲージメント率が指標に対して上回っているか否かを確認する必要があります。
なお、エンゲージメント率が指標を下回った場合、エンゲージメント率を高める方法を試行・実践することが大切です。
アカウントの差別化
エンゲージメント率が高いアカウントに共通するのは、オリジナリティに溢れたコンテンツを提供し差別化を図っていることです。
SNSには同じジャンル・カテゴリーのアカウントが無数にあり、その内容はとても似通っています。
ユーザーが評価するのは、オリジナリティ溢れるコンテンツを速報するアカウントであり、必然的に反応されやすくなります。
したがってマーケターがSNSを運営する際は、類似するアカウントを研究し「ここにしかない情報」を速報することを心がけましょう。
また、類似する情報であっても動画で配信するなど、見せ方を工夫することでも差別化を図ることができます。
SNS上の交流を大切にする
企業が運営するアカウントであっても、SNS上の交流を大切にすることを心がけましょう。
ユーザーにとってSNSを利用する醍醐味は、SNS上でアカウントの管理人との交流を楽しむことです。
管理人からすれば、常にSNS上でユーザーとの交流を持つことは大きな負担になる上、トラブルや炎上の可能性もあります。
しかし、SNSの特徴をみすみす手放すのは得策ではありません。そこで、時間を決めて交流することも1つの方法です。
また、事前に交流することを予告することで、ユーザーの興味を引くことになり、エンゲージメント率にも良い影響を及ぼすでしょう。
継続的に情報発信をする
継続的に情報発信することも、エンゲージメント率をアップさせる方法の1つです。
SNSの魅力は情報の即効性にあり、ユーザーはお気に入りのアカウントを毎日チェックしています。
したがって、情報発信が途絶えてしまえば、たちまち他のアカウントに乗り換えられ忘れ去られてしまうことも少なくありません。
ユーザーの興味を惹き続けるには、オリジナリティ溢れるコンテンツや情報を定期的に発信しなければならないことを心得ておきましょう。
見ている人が多い時間に投稿する
SNSにも見ている人が多い「ゴールデンタイム」と呼ばれる時間帯があり、情報発信するには絶好のタイミングです。
なお、SNSにおけるゴールデンタイムとは次の時間帯となります。
- 7:00~9:00
- 12:00~13:00
- 19:00~22:00
テレビとは異なり、SNSのゴールデンタイムは通勤時間やランチタイム・夕方から深夜にかかる時間帯です。
したがって、エンゲージメント率を向上させるには、質の高い情報をゴールデンタイムに絞って発信しましょう。
フォロワー数とエンゲージメント率の関係
ここまでSNS戦略を成功させるには、エンゲージメント率をアップさせることが大切であることを紹介してきました。
このことはマーケティングの世界では常識になりつつありますが、未だにフォロワー数が「絶対」だとする考え方があるのも事実です。
そこで、今一度フォロワー数とエンゲージメント率の関係について整理してみましょう。
フォロワー数とエンゲージメント率は比例しない
フォロワー数とエンゲージメント率の関係において、両者の数値は比例しないことです。
例えばX(旧Twitter)の場合だと、フォローしてもらった相手にはフォローを返すのがマナーだとされています。
つまり、フォローしてもらった相手に対する「義理」だけのフォロワーが多く存在しているのが実態です。
こういったフォロワーは、フォロー先のアカウントに対して必ずしも興味を持っているわけではありません。
したがって、単にフォロワー数が増えただけでは、エンゲージメント率には比例しないといえるでしょう。
インフルエンサーへの依頼時には注意が必要
自社アカウントではなく、インフルエンサーのアカウントで商材などを広める手法は自然な広告手段として有効です。
いわゆるインフルエンサーマーケティングを実践するには、インフルエンサーに広告掲載を依頼しなければなりません。
このとき、フォロワー数だけで依頼するインフルエンサーを選ぶと、思わぬ失敗につながることがあります。
中身のないフォロワーばかりだと広告に対する反応が得られず、経費だけがかかってしまう結果になりかねません。
インフルエンサーを選択する際もフォロワー数ではなくエンゲージメント率に注目しましょう。
なお、依頼するインフルエンサーのエンゲージメント率は。少なくとも2~3%以上であることを確認しておくことが大切です。
エンゲージメント率が低くなる原因
SNS戦略においてアカウントの育成は不可欠であり、とりわけアカウント立ち上げ当初は神経を使うものです。
また、順調に当初こそエンゲージメント率が伸びていたアカウントでも、急に伸び悩むことも少なくありません。
エンゲージメント率が伸び悩んだり急に数値が下落した場合は、慌てず原因を突き詰め対処することが大切です。
ここでは、エンゲージメント率が低くなる原因について詳しく紹介します。
アカウントの方向性が不明瞭
エンゲージメント率が低くなる理由として考えられるのが、アカウントの方向性が不明瞭であることです。
そもそもアカウントを立ち上げる時点で、アカウントの方向性を明確に定めておくことが鉄則になります。
しかし、当初から方向性が不明瞭であったり、エンゲージメント率が伸びないからと方向性に迷ってしまうことも少なくありません。
エンゲージメント率が伸びない場合、安易にアカウントの方向性を変更せず、まずは当初の方向性からズレていないか確認しましょう。
その上で方向性の見直し・新たなコンテンツの試行を繰り返すことがエンゲージメント率の改善には有効です。
アカウントの稼働が不定期
アカウントの稼働が不定期であることも、エンゲージメント率が低くなる原因の1つです。
SNSのメリットは情報の即効性にあり、ユーザーはお気に入りのアカウントの新しい情報を毎日チェックしています。
ところが情報が更新されていないと、やがてそのアカウントは忘れ去られてしまうでしょう。
したがって、SNSは定期的かつユーザーに見られやすい時間帯に稼働させることが鉄則です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
業界別のエンゲージメント率は?
自社アカウントのエンゲージメント率を測るには、業界別の平均エンゲージメント率を把握することが有効だといえます。
業界別の平均エンゲージメント率の目安は概ね次のとおりです。
- ファッション 3.0~3.5%
- エンターテイメント 7.5~8.0%
- メディア 4.0~4.5%
- 美容・化粧品 5.0~5.5%
- 小売 5.0~5.5%
- ライフスタイル 4.0~4.5%
- 日用品 6.5~7.0%
SNSの属性は比較的若年層に偏ることから、エンターテイメントや美容・化粧品に高いポイントがついていることが分かります。
エンゲージメント率向上の対策に困った時は?
SNS戦略を成功させる上で、エンゲージメント率を向上させることは不可欠です。
インターネット上にはエンゲージメント率を向上させる様々な方法がアップされています。
しかし、アカウントの属性やマーケターのスキルによって状況は異なり、エンゲージメント率向上対策に困ることも少なくありません。
そこで活用したいのが、マーケティングに精通したコンサルです。コンサルは様々なノウハウを有しています。
個々の状況に応じた、より実践的なアドバイスやレクチャーを受けることができるでしょう。
SNSマーケティングの事例はこちら
まとめ
SNS戦略を展開する上でアカウントへの集客が極めて重要であり、その評価方法にはエンゲージメント率を用いることが適切です。
アカウントの評価方法としては「フォロワー数」を重視する傾向が強くありましたが、必ずしも成果に結びつくものではありません。
エンゲージメント率はアカウントへの反応を図るものであり、ユーザーの注目度や興味の度合いを図ることができます。
したがって、エンゲージメント率を向上させるには、質の高い情報を定期的にユーザーに見られやすい時間帯に投稿することが鉄則です。
また、業種ごとにエンゲージメント率の平均値を把握し、定期的に自社のアカウントと比較することが不可欠になります。
なお、エンゲージメント率向上の対策に困った時にはコンサルに相談し、適切なアドバイス・レクチャーを受けると良いでしょう。