ブランディングは企業や企業の製品・商品に対する重要なイメージ戦略です。
しかし、ブランディング広告を打ち出したものの期待通りの効果が出ない、または効果があったのかわからないと悩んでいる方も少なくありません。
ブランド効果測定は広告の効果を数値化し指標を示す手段です。
有効に活用できれば広告のブランディング力の向上だけでなく、広告宣伝費用の削減も期待できるでしょう。
本記事では、ブランド効果測定の仕組み・指標となるデータについて解説します。
またブランド効果測定の種類や調査方法も紹介しますので、マーケティングの参考にしてください。
目次
ブランド効果測定の概要
ブランディングは企業の重要なイメージ戦略です。
ユーザーや消費者に「○○社といえば××!」といったプラスのイメージをいかに持ってもらうかが最大の課題になります。
しかし、いくらブランディング広告を打っても、どれだけの効果があったかを知るのは難しいといわれてきました。
それは、ブランド効果は直ぐに現れるものではないためや、ブランディング広告の効果を可視化するのが難しかったためです。
ブランド効果測定は、こうした見えにくい効果を指標として数値化し、目で見える形(可視化)にしたものです。
ブランディングについて詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみてください。
ブランディング戦略の事例はこちら
ブランド効果測定の仕組み
ブランド効果測定は目に見えない「認知度」や「好感度」などを目に見える数値として可視化するものです。
可視化するためにはアンケート調査の結果や、ブランディング広告を出した後のキーワードに対する自然検索率を用います。
「アンケート調査はどうやるのか?」と疑問に思うかもしれません。
しかし、アンケート調査は私たちがWebで見かける広告によく組み込まれています。
YouTubeやニコニコ動画などの動画広告で次のような質問を目にした方は多いのではないでしょうか。
- 「この製品を知っていましたか?」
- 「この新機能を知っていましたか?」
- 「この製品を使ってみたいですか?」
これらの質問がアンケート調査です。ブランド効果測定では、こうした質問から認知度や好感度を可視化します。
自然検索率の測定はツールを用います。代表的なフリーツールはグーグルサーチコンソール(Google Search Console)でしょう。
会社名・製品名・サービス名など検索されたキーワードを確認できるほか、平均クリック率・平均掲載順位なども知ることが可能です。
Googleのブランド効果測定では、宣伝対象のブランド・商品・製品・店舗などの宣伝したいモノを登録します。
質問群は宣伝対象の詳細情報を入力すると自動的に作成されるので、質問を考える必要はありません。
広告キャンペーンの運用が始まると、Googleがターゲットと認識するユーザーに質問群を表示します。
その回答から自動的に可視化されたブランド効果測定データが提供される仕組みになっています。
ブランド効果測定の種類
ここまでは概念的な解説をしてきましたので、実際の測定方法の話に移りましょう。
デジタルマーケティングで実際に多く用いられているブランド効果測定の指標には「ブランドリフト」と「サーチリフト」があります。
ブランドリフト
ブランドリフトはブランド効果測定で用いられる指標の1つです。
ブランディング広告を見たユーザーと見ていないユーザーの意識を比べ、見たユーザーの意識の変化を測定します。
測定対象は「ブランドの認知度」「好感度」「広告のメッセージの理解度」「買いたい・使いたいなどの購買意欲」などです。
これらの測定結果はアンケート結果から導かれます。
アンケートの方法は次の2つに分かれます。
広告の枠内に回答用のバナーを設置する「インバナーサーベイ」と回答用のページを設ける「リードバナーアンケート」の2つです。
インバナーサーベイでは、1~3問程度の質問を設置するのが一般的なスタイルです。
質問は「この製品を知っていましたか?」「この製品を使ってみたいですか?」といった直感的に回答できる簡易な内容で高い回答率を得ます。
リードバナーアンケートは質問の回答ページを設けるため、より多くの突っ込んだ質問が可能です。
インバナーサーベイより回答の精度が向上しますが、ページ遷移により面倒くさくなって離脱するユーザーもいます。
そのため、回答率が低くなる傾向がある点に留意が必要です。
サーチリフト
サーチリフトもブランド効果測定で用いられる指標です。
サーチリフトでは広告を見た後のユーザーが、会社名・ブランド名・製品名といったキーワードでどれだけ検索するのかを測定します。
こうした検索を自然検索といい、アンケートを実施する必要のないリサーチです。
サーチリフトでは広告を見たユーザーの自然検索数の伸びや、検索したユーザーの属性などを可視化できます。
今や、こうして可視化した広告効果を分析し、さらに囲い込みのキャンペーンでブランディングを強化するのはデジタルマーケティングの常識といっていいでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
キャンペーン開始直後から確認できるデータ
Googleのブランド効果測定では、広告キャンペーンの開始直後から確認できるデータと、一定の回答数を得てから確認できるデータがあります。
以降の章で開始直後から確認できるデータについて解説します。
広告表示グループ回答数
広告を見たユーザーから得たアンケートへの回答数です。
キャンペーン開始して間もないと回答数が少ない場合があります。
その場合は、キャンペーンの運用を続け再確認しましょう。
基準グループ回答数
広告を見ていないユーザーから得たアンケートへの回答数です。
広告表示グループ回答数と基準グループ回答数を比較すると、広告の効果を測る指標の1つにできます。
キャンペーン開始直後は回答数が少ない場合があります。少ない場合はキャンペーンの運用を続け再確認しましょう。
アンケート回答数
アンケート回答数はアンケートへの全回答数で、広告を見たユーザーと見ていないユーザーの回答数を合わせた数になります。
回答数に応じて確認できるデータ
以降の章で、一定の回答数を得てから確認できるデータについて解説します。
効果があったユーザーの数
効果があったユーザー数とは、広告を見てイメージが変化したユーザー数を推定した値です。
この数値は広告を見たユーザーと見ていないユーザーのキャンペーン対象への肯定的な感じ方を比較し、広告効果を測る指標の1つとして使えます。
ただし、この値は好感を持ったユーザー数を確定するものではありません。
同一ユーザーが何度も回答している可能性があり、手放しで好感度アップを喜ぶのはおすすめできません。
ユーザーあたりの費用
広告を見てキャンペーン対象を購入の候補に入れたユーザー、即ち広告の効果があったユーザーの1人に対する広告費用です。
ユーザー1人あたりの費用は「広告キャンペーンの全費用」÷「効果があったユーザー数」で算出します。
この費用は、1人のユーザーのキャンペーン対象の考え方を肯定的に変えるための費用の指標と考えられます。
この費用がキャンペーン対象の価格を上回るようだと、キャンペーンそのものの見直しを検討した方がよいかもしれません。
初期投資として想定の範囲内であれば、しばらく動向を注視し再度検討しましょう。
絶対的ブランドリフト
絶対的ブランドリフトは、広告がどれだけよいイメージ(好感)をユーザーに与えたかを示す指標です。
広告を見たユーザーと見ていないユーザーの好感度の差から珪計算します。
計算式は「広告を見ていないユーザーの肯定的回答数の割合」―「広告を見たユーザーの肯定的回答数の割合」です。
例えば、広告キャンペーンの初期段階で広告を見ていないユーザーの肯定的回答数の割合が10パーセント、広告を見たユーザーの肯定的回答数の割合が30パーセントだったとします。
そうすると初期段階の差は20パーセントです。
1ヶ月後にその差が50パーセントに増加すれば、絶対的ブランドリフトの測定値は30パーセントになり、広告キャンペーンの効果で好感度がアップした指標と考えられます。
余力に関するブランド効果測定
余力に関するブランド効果測定は、好感を持たないユーザーが広告により好感を持つようになった割合です。
「どれだけのユーザーの好感度に影響を与えたか」を表す数値・指標と考えてください。
計算式は「絶対的ブランドリフト」÷「1.0-広告を見ていないユーザーの肯定的回答の割合」です。
例えば、絶対的ブランドリフトが30パーセントで、広告を見ていないユーザーの肯定的回答の割合が50パーセントであれば以下の計算ができます。
余力に関するブランド効果測定値 = 30÷(100-50)=0.60=60パーセント
従って、広告は10人中6人に影響を与えた計算になります。
相対的ブランドリフト
相対的ブランドリフトは、ユーザーの好感度に広告が与えた影響を表す指標です。
「広告を見て好感を持つユーザーがどれだけ増えたか」をパーセントで表しています。
計算式は(「広告を見たユーザーの肯定的回答数」-「広告を見てないユーザーの肯定的回答数」)÷「広告を見てないユーザーの肯定的回答数」です。
例えば、広告を見たユーザーの肯定的回答数を20、広告を見てないユーザーの肯定的回答数を5とすると、以下の計算になります。
相対的ブランドリフト=(20-5)÷5=3.0=300パーセント
相対的ブランドリフトはユーザーの回答を基に計算しますが、全てのユーザーが回答してくれるわけではありません。
そのため推定値になり、一般的な信頼区間は90パーセントといわれています。
肯定的回答の割合
広告を見ていないユーザーがキャンペーン対象に肯定的な回答をした割合です。
広告を出していないTV・雑誌などの一般的なメディアにユーザーの好感度がどれだけ影響されているかを測る指標になります。
データの解析や活用について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
データ解析・活用の事例はこちら
必要な回答数と絶対的ブランドリフト
絶対的ブランドリフトはユーザーからの回答から算出する指標です。そのため一定数以上の回答がなければ適正な値を得られません。
絶対的ブランドリフトに必要な回答数は一般的に2,000件といわれています。
しかし、絶対的ブランドリフトの値が小さければ小さいほど、正確な値を算出するために必要な回答数が増える点に注意が必要です。
ブランドリフト調査方法
ここまでは一般的なブランド効果測定について解説してきました。
実際にブラントリフト調査をするにはどうすればよいのか悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
ここからはブランドリフト調査方法について解説していきます。
- 広告配信プラットフォームの利用
- 調査会社に依頼
- Brand Lift Optimizerを活用
以上が代表的な調査方法です。
広告配信プラットフォームの利用
比較的簡単にできるのが広告配信プラットフォームを利用したブランドリフト調査で、測定値をリアルタイムで確認できるのがメリットです。
広告配信プラットフォームには、サーチエンジンを含めあらゆるネットサービスを提供するGoogle・Yahoo!・オンラインショップで有名なAmazon・SNSのFacebookなどがあります。
これらの広告配信プラットフォームは、独自のブラント効果測定ツールを有料提供していますので、使ってみるのも悪くない方法でしょう。
調査会社に依頼
リサーチ会社に広告の効果を調査してもらう方法です。
綿密な調査を行うため一定数の回答を得るまでに時間が必要ですが、正確なブランドリフトの結果を得られます。
広告効果の分析の依頼も可能です。また場合によっては、広告へのフィードバックなどの相談もできるでしょう。
Brand Lift Optimizerを活用
Brand Lift Optimizerは、ブランドリフト効果測定にアンケートへの回答を必要としないサービスです。
サービスを利用するだけで自動的に動画広告のブランドリフト効果を高めるという優れモノですが、そうした効果を実現してるのがAIです。
Brand Lift OptimizerのAIは、ユーザーのこれまでのオンライン行動から関心を持ちそうな動画広告を配信し広告効果を推測します。
また同時に通常のアンケートも実施しAIの推測の精度を高めています。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ブランド効果測定の結果を広告配信に活かそう
ブランド効果測定して結果が出ても、そこで満足していてはいけません。結果を今後の広告配信に活かさなければ測定の意味はないといえます。
結果を分析しよい部分を伸ばしユーザーへのアピールを強化しましょう。
よい結果が出なければ、原因を分析し広告にフィードバックして好感度アップを狙ってください。
ブランド効果測定で悩んだら
ブランド効果測定について解説してきましたが、デジタルマーケティングにブランド効果測定を活用するのは難しい問題でもあります。
あれこれやってみても上手く活用できない場合もあるでしょう。そういう場合に頼りになるのがコンサルティング会社です。
ブランド効果測定で悩んだときは、コンサルティングを活用してみませんか。
コンサルティングを依頼すれば、デジタルマーケティングのエキスパートから状況に合わせたアドバイスを受けられます。
ブランド効果測定の結果を広告に活かす方法が得られるでしょう。
データの解析や活用について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
データ解析・活用の事例はこちら
まとめ
ブラディングは企業にとって重要な戦略ですが、好感度を上げようとやみくもに広告キャンペーンを打ち出しても効果をあげられません。
ブランドリフトを調査・分析し広告にフィードバックする必要があります。しかし、その調査でどの方法を選択するかは悩ましい問題です。
広告配信プラットフォームを利用し自力でブランド効果測定するのも1つの方法です。リサーチ会社に依頼するのも悪くはないでしょう。
できれば限りある予算の中で1番効果をあげられる方法を選択したいものです。
手段の選択でトライ・アンド・エラーを繰り返すのはもったいないお話です。
コンサルティングでは、限られた予算を最大限に有効利用するためのアドバイスをします。
広告の効果で悩んでいるなら、1度使ってみてはいかがでしょうか。