Webマーケティングの世界には、多くの専門用語や概念が存在します。
その中でも、「流入経路」と「態度変容」は、マーケティング戦略を考える上で非常に重要な要素となっています。
しかし、これらの用語や概念について、具体的にどのようなものなのか、また、どのように活用すればよいのかを正確に理解しているマーケターは意外と少ないかもしれません。
この記事では、「流入経路」と「態度変容」についての基本的な知識から、それらをWebマーケティングに活用する方法までを詳しく解説していきます。
目次
「流入経路」と「態度変容」とは?
Webマーケティングを行う上で、次の2つについて理解をしておくことは非常に重要です。
- 流入経路:ユーザーがどのような経路でサイトに訪れるのか
- 態度変容:そのユーザーの心の動きや行動がどのように変化していくのか
流入経路とは、文字通りユーザーがWebサイトやアプリに訪れるまでの経路のことを指します。
例えば、Googleなど検索エンジンからのアクセスやSNSの投稿からのクリックなど、ユーザーがサイトに到達するまでのさまざまな経路が考えられます。
一方、態度変容とは、ユーザーの心の中での認知・感情・行動が変わっていくプロセスです。
具体的には、商品やサービスに対する知識・興味・評価や意向・実際の購買行動など、ユーザーの態度や行動が段階的に変化していく過程を示しています。
これらの概念を理解し、適切に活用することで、マーケティング活動の効果をより高めることができるようになるでしょう。
代表的なユーザーの流入経路
Webサイトやアプリへの訪問者がどのような経路でアクセスしてきたのかを知ることは、マーケティング戦略を練る上での重要な手がかりとなります。
以下では、代表的なユーザーの流入経路を詳しく解説しましょう。
検索
検索エンジンを利用して、特定のキーワードやフレーズで情報を検索した結果、サイトに訪れる経路です。
GoogleやYahoo!などの検索エンジンからの流入が主となります。
SEO(検索エンジン最適化)の取り組みにより、この経路からの流入を増やすことが可能です。
広告
オンライン広告をクリックしてサイトに訪れる経路も代表的なユーザーの流入経路です。
Google AdsやFacebook Adsなど、様々な広告プラットフォームが存在します。
広告のターゲティングやクリエイティブの工夫により、効果的な流入を促進できます。
SNS
X(旧X(旧Twitter))・Facebook・Instagramなどのソーシャルメディアからの流入経路です。
ユーザーがSNS上でシェアしたコンテンツや公式アカウントの投稿を経由して、サイトにアクセスするケースが多いです。
サイト内回遊
一度サイトを訪れたユーザーが、他のページやコンテンツにも興味を持ち、サイト内を巡回する経路がサイト内回遊です。
内部リンクの最適化や関連コンテンツの提示などにより、ユーザーの滞在時間を延ばし、購入を促すことができます。
代表的な態度変容モデル
態度変容モデルは、消費者が商品やサービスに対して持つ態度や認識が、どのようなプロセスを経て形成・変化していくのかを示すモデルです。
以下に、代表的な態度変容モデルを3つ詳しく解説します。
AIDMA(アイドマ)
AIDMAモデルは、伝統的な態度変容モデルの一つで、消費者が商品・サービスに気がついてから購入するまでに以下の5つのステップを辿ると考えるモデルです。
- Attention:注目・認知
- Interest:興味・関心
- Desire:欲求
- Memory:記憶
- Action:行動
まず、消費者が商品・サービスを購入するためには、その商品・サービスについて知っておく必要があります。
これが第1のステップであるAttention(注目・認知)です。
しかし、商品・サービスを知っているからといって、消費者は購入してくれるわけではありません。
その商品・サービスを知った上で、Interest(興味や関心)をもつ必要があり、興味や関心を持った上で欲しいというDesire(欲求)をもつ必要があります。
ただし、消費者は欲しいと思ってもすぐに買うわけではありません。
CMなどを見て、「この商品が欲しい」と思ったとしても、すぐにそのことを忘れてしまって結局は購入してくれないということもしばしばあります。
そのため、欲しいという欲求を記憶(Memory)し続け、購入という行動(Action)につなげていく必要があるのです。
当然ながら、まずはAttention(注目・関心)を抱いてもらうためのマーケティングと、欲求を抱いてもらうためのマーケティングは異なります。
そのため、各5つのステップでそれぞれ異なるマーケティング施策を行う必要があることが、AIDMAモデルによって示唆されています。
AMTUL(アムツール)
AMTULモデルは、デジタル時代の消費者行動を捉えた新しいモデルとして提唱されました。
- Awareness:認知
- Memory:記憶
- Trial:試用
- Usage:本格使用
- Loyalty:忠誠心
AIDMAモデルが消費者の短期的な購買行動を表す態度変容モデルであるのに対して、AMTULモデルはより長期的な態度の変化を示したモデルです。
商品・サービスを認知してから、その商品・サービスを試しに利用してみて、気に入れば本格的に使用するようになります。
そして、最終的には使用するブランドが固定されていくと考えるモデルです。
このAMTULモデルにおいても、各段階のどこで消費者が離脱してしまっているのかを考え、マーケティング施策を行うことが重要です。
AISCEAS(アイシーズ)
AISCEASモデルは、さらに細分化された消費者の行動変容を示すモデルです。
- Attention:注目
- Interest:興味
- Search:検索
- Comparison:比較
- Examination:関与
- Action:行動
- Share:共有
近年ではSNSの普及によって、消費者は検索を行った後にSNSなどで商品間の口コミ比較を行ってから、商品を購入するようになりました。
また、商品を購入するだけでなく、その商品の情報をSNSで投稿するようになっています。
こうした、消費者が情報を生み出す点により注目を当てたモデルがAISCEASです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
態度変容モデルをWebマーケティングに活用するには?
Webマーケティングにおいて、態度変容モデルは非常に有効なツールとなります。
それぞれのステージに合わせたアプローチで、消費者の心理や行動を理解し、最適なマーケティング戦略を展開することが可能です。
顧客ニーズを理解する
態度変容モデルを活用することで、消費者がどの段階にいるのかを把握できます。
例えば、「Interest」の段階にいる消費者は、商品やサービスに興味を持っているが、まだ購入に至っていない可能性が高いです。
このような消費者に対しては、商品の特長や利点を強調したコンテンツを提供すると、購買意欲を高めることができます。
それに対して、Desireの段階にいる消費者はすでに欲しいと思っているにもかかわらず、購入にまで至っていません。
そのため、商品の利点を強調するよりも、購入までの手間を省くなどのActionを起こしやすい状況を作ることがより重要です。
マーケティングの効果測定
態度変容モデルを基に、各段階での消費者の反応や行動を分析することで、マーケティング活動の効果を具体的に測定できます。
例えば、「Action」の段階でのコンバージョン率を分析すると、実際に購入に至った消費者の割合を知ることができます。
その結果をもとに次回のマーケティング戦略の見直しを行うことで、より優れたマーケティング戦略を構築できるようになるでしょう。
コミュニケーション戦略
態度変容モデルを活用することで、消費者とのコミュニケーション戦略も最適化できます。
例えば、AMTULモデルの「Usage」の段階にいる消費者には、次の段階であるLoyaltyへと移行してもらうことが必要となります。
そのためには、ブランドとの関わりを深めるためのキャンペーンやイベント情報を提供することで、ブランドロイヤルティを高める取り組みが効果的です。
態度変容モデルは流入経路によって変わる
Webマーケティングにおいて、流入経路によって、態度変容モデルの各段階における消費者の反応や行動が変わる点には注意が必要です。
例えば、検索エンジンからの流入の場合、消費者は特定のキーワードで情報を求めてアクセスしてきます。
このような消費者は「Interest」の段階から入ることが多く、具体的な情報や解決策を求めている可能性が高いです。
一方、SNSや広告からの流入の場合、消費者はブランドや商品の情報をあまり知らない初期段階からのアクセスが多いでしょう。
このような消費者は「Attention」や「Awareness」の段階からスタートし、ブランドや商品に対する基本的な知識や興味を持つことから始めるケースが多いです。
また、サイト内回遊を通じての流入の場合、すでにサイトを訪れている消費者がさらに深い情報を求めて移動してきます。
このような消費者は「Desire」や「Action」の段階に近いと考えられ、具体的な商品の詳細や購入方法などの情報を求めていることが多いです。
このように、流入経路によって消費者の態度変容モデルのスタート地点や進行速度が変わることがあります。
そのため、マーケティング戦略を考える際には、流入経路を考慮してそれぞれの経路に合わせたアプローチを行うことが重要です。
態度変容モデルを活用するコツ
ここでは、このモデルを効果的に活用するためのコツを以下で詳しく解説しましょう。
考察は多角的に行う
態度変容モデルを使用する際、一つのモデルだけに頼るのではなく、複数のモデルやデータを組み合わせて考察することが重要です。
例えばAIDMAモデルを基本にしつつ、特定のターゲット層や商品に合わせてAMTULやAISCEASなどのモデルも参考にすることで、より深い洞察を得られるでしょう。
また、実際のユーザーの行動データやフィードバックを取り入れると、モデルの理論だけでなく実際の消費者の声を反映させることができます。
プロセスのボトルネックをなくす
態度変容モデルを通じて、消費者の購買プロセスや意識の変化の中でのボトルネックや障壁を特定できます。
これを基に、その障壁を取り除くための施策を実施することが重要です。
例えば、AIDMAモデルにおいて「興味(Interest)」の段階での離脱が多い場合、情報提供の方法やコンテンツの質を見直すことが重要となります。
Webマーケティングの事例はこちら
流入経路を分析する方法
Webサイトやアプリの流入経路を正確に分析することは、マーケティング戦略を成功に導く鍵です。
流入経路の分析には、まずアナリティクスツールの導入が必要です。
Google AnalyticsやAdobe Analyticsなどのツールを使用すると、訪問者の流入元や行動を詳細に把握することができます。
次に、流入元を分類して分析することが重要です。
「検索エンジン」「直接アクセス」「リファラー」「SNS」「広告」などのカテゴリに分けて分析しましょう。
特に検索エンジンからの流入を詳しく調べる場合、どのキーワードで訪問されたかを確認することで、ユーザーの検索意図やニーズを掴めます。
広告からの流入の場合、どの広告がどれだけの効果をもたらしているのか、コンバージョンまでの流れを詳細に調査することが重要です。
また、流入経路ごとのユーザーの行動やコンバージョンパスも分析することで、サイトの最適化の方向性を見つけられます。
継続的な流入経路の分析とそのデータに基づいたアクションは、Webマーケティングの成果を向上させるために不可欠なステップとなります。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
流入元をチェックするポイント
Webサイトやアプリの成功を測るためには、流入元の分析が欠かせません。
特に、以下のポイントを重点的にチェックすることで、より効果的なマーケティング戦略を策定する手助けとなります。
流入経路のバランス
Webサイトを成長させていくためにも、流入経路のバランスを保つことは重要です。
例えば、検索エンジンからの流入が過度に多い場合、アルゴリズムの変更による影響を大きく受けるリスクがあります。
逆に、複数の流入経路から安定して訪問者が来ることで、一つの経路にトラブルがあっても影響を最小限に抑えることができます。
そのため、バランスのとれた流入経路となるように工夫しましょう。
ダイレクトの流入数
ダイレクトの流入数は、ブランドの認知度やリピートユーザーの数を示す指標となります。
高いダイレクトの流入数は、ユーザーが直接URLを入力して訪問していることを意味し、そのブランドやサイトに対する信頼やリコールの高さを示唆します。
SNSからの流入数
SNSからの流入数は、そのブランドやサイトのSNSでの影響力を示す指標です。
高いSNSからの流入数は、SNSでの投稿やキャンペーンが効果的であることを示しています。
また、どのSNSプラットフォームからの流入が多いかを確認すると、ターゲットとするユーザー層の特性や嗜好を更に詳しく知ることができます。
流入経路の分析は外注できる
Webマーケティングの一環として、流入経路の分析は非常に重要な作業です。
しかし、この分析作業は専門的な知識や技術が求められるため、すべての企業や個人が自ら行うのは難しい場合があるでしょう。
その場合、外部の専門家やサービスに流入経路の分析を外注することも検討しましょう。
外注のメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 専門的な知識を持つプロフェッショナルによる分析
- 優れたツールや技術の活用
- 時間の節約
- コスト削減
外注先は通常、Webマーケティングや流入経路分析の専門家で構成されています。
そのため、高度な分析が可能となり、より優れたマーケティング施策を提案してくれるでしょう。
また、外部の専門家や流入経路の分析を専門に行っているため、より優れたツールやそのツールの使い方に習熟しています。
そうした優れたツールや技術を活用できる点も、外部の専門家に頼る大きなメリットです。
そして、自社で分析を行う場合、時間と労力がかかることも少なくありません。
外注することで、その時間を節約し、他の重要な業務に充てられます。
最後に、意外に思われるかもしれませんが、外部の専門家に外注することでコストを削減できる場合もあります。
慣れない作業を行うため、自社でツールを導入したり1から分析のノウハウを蓄積するなど、時間もコストもかかります。
そのため、外部の専門家に外注することで、そうしたコストよりも低いコストで分析ができる場合もあるでしょう。
このように、外部の専門家に依頼することで、時間・コストを抑えながらもより優れた分析やノウハウを反映させたマーケティング戦略を構築できます。
しかし、外注にはデメリットも存在することには注意が必要です。
情報の共有・コミュニケーションの取りづらさ・外部に依存することでのリスクなど、慎重に外注先を選ぶ必要があります。
そのため、外注を検討する際は、信頼性や実績を確認し、自社のニーズに合ったサービスを提供してくれる企業を選ぶことが大切です。
Webマーケティングの事例はこちら
Webマーケティングのプロに依頼してみよう
Webマーケティングは、企業やブランドの成功を左右する重要な要素となっています。
しかし、その実施には専門的な知識や技術、そして経験が不可欠です。
特に、流入経路の分析や態度変容モデルの活用など、高度な戦略が求められる場面も少なくありません。
そんな中自社だけでの取り組みに限界を感じたり、より専門的なアプローチが必要と感じた場合には、プロの力を借りることを検討するのが賢明です。
特に、Webマーケティングのプロフェッショナルが集まる「デジマクラス」は、多くの企業やブランドのマーケティングを成功に導いてきた実績を持っています。
Webマーケティングの課題や悩みを抱えている方、更なる成果を目指している方は、一度デジマクラスに相談してみてはいかがでしょうか。
プロのアドバイスやサポートにより、ビジネスの更なる飛躍が期待できるでしょう。
Webマーケティングの事例はこちら
流入経路や態度変容を考慮してWebマーケティングに活用しよう!
Webマーケティングは、企業やブランドの成果を大きく左右する要素の一つです。
その中でも、流入経路や態度変容は、ユーザーの行動や意識を理解して効果的なマーケティング戦略を立てるための鍵となります。
流入経路を理解することで、どのチャネルからの訪問が多いのか、どの経路がコンバージョンに繋がりやすいのかを把握できます。
これにより、広告予算の最適化やコンテンツの改善方針を明確にすることが可能となるでしょう。
一方、態度変容モデルを活用することで、ユーザーが商品やサービスに対してどのようなステップを踏んで意識や態度を変えていくのかを理解できます。
これにより、各ステップごとに最適なコンテンツやアプローチを提供することで、ユーザーのコンバージョンを促進できるでしょう。
これらの要素を組み合わせ、Webマーケティングの効果を最大限に引き出すことができるのです。
流入経路の分析や態度変容モデル自体は、単なる数字やモデルに過ぎません。
しかし、それらを適切に活用することで、実際のビジネスの成果に繋げられるのです。
最後に、Webマーケティングは常に変化と進化を続ける分野です。
流入経路や態度変容の考慮はもちろん、最新のトレンドや技術を取り入れることで、より効果的なマーケティングを展開できるでしょう。