ABMは「アカウントベースドマーケティング」の略で、BtoBマーケティングにおけるアプローチ手法の1つです。
アカウントというのは企業のことを意味します。
企業のことを組織的に理解することによってその企業に合った戦略を立てるというものです。
詳しく知ることで企業に合わせた最適な施策を行えるようにしていきましょう。
目次
ABMがマーケティングで重要な理由を解説
ABMはマーケティング分野において、重要視されている手法の1つです。
企業を1つのまとまりと考えて対応を変化させる手法のため、マーケティングの効果を最大化させるのに役立ちます。
この手法には今までよりピンポイントでターゲットを設定できたり、無場なコストを削ることができたりするというメリットもあります。
今回の記事では重要視されているのは何故か、その理由を解説していきましょう。
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ABMが注目される背景
まずはABMが注目されている背景について詳しく解説していきます。
この手法は以前から日本企業に取り入れられてきたものです。
しかしながら、また注目されてきたのにはマーケティングオートメーション(MA)が関係しています。
MAというのは、企業が人の手で行っていた業務の一部を自動化することが効率を高めることを意味します。
このMAの技術が進歩したことによって、ネックとなっていた施策立案にかかるコストの削減が可能となったのです。
また、LTV(顧客生涯価値)が重要視されるようになったことも関係しています。
LTVを最大化することによって、企業はさらなる利益を生み出すことができるためです。
LTVの最大化とこの手法の活用は大変相性が良いため、多くの企業がまたこの手法を取り入れ始めています。
この手法が注目されたのには、LTVとマーケティングオートメーションが大きく影響を与えているということが分かります。
ABMの重要性
ABMは個人を対象として行ってきたマーケティングとは違い、企業をターゲットとして戦略を練っていくものです。
これは取引先との関係が変わっていることも影響しています。
以前まで、企業は顧客に対して尽くす形で企業活動を行ってきました。
しかし現在は顧客と自社の関係が対等になりつつあるのです。
これにより、自社が利益を上げるために最適な顧客を選ぶ時代へと変化しています。
利益を最大化する上で、この手法は大変重要なのです。
また事業部制の企業にとって事業部間での情報の共有ができていないとビジネスチャンスを逃すケースが出てきています。
例えば現在アプローチしたいと考えている企業が他事業部の顧客だった場合、それを知らないと非効率な営業活動を行わなくてはいけません。
しかし、もし事業部間で情報を共有できていれば、もっとスムーズにマーケティング活動を行えます。
企業単位でのマーケティングが重要視されているのにはこうした理由があるのです。
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ABMの手順
ここからは具体的な手順について解説していきます。
ABMは以下の手順で施策を行っていきます。
その手順を詳しく知り、自社のマーケティングに活かしていきましょう。
ターゲットの設定
まずはターゲットを設定するところから始めましょう。
どの企業をターゲットとするか、具体的に設定することが重要です。
どの企業をターゲットとすれば自社の優良取引先となってくれるのかという目線でターゲットを選択します。
その際、以下のような判断基準で選ぶと良いでしょう。
- 企業規模が大きい
- 知名度が高い
- 競合優位性が高い
上記のような企業を優良な取引先にできれば、大きな利益を挙げられます。
また、ターゲットを設定する上で自社の商品・サービスがどれだけニーズを満たせるかという視点を持つことも重要です。
そのターゲットに対して自社が何をできるのかということもしっかりと考えるようにしましょう。
コンタクトポイントの確認・創出
ターゲットとなりそうな企業をリスト化したら、次はその企業とのコンタクトポイントを確認しましょう。
コンタクトポイントというのはその企業の意思決定者との接点を意味する言葉です。
名刺などを確認することで、既にコンタクトポイントを持っていないかを確認しましょう。
もし、コンタクトポイントを持っていないと分かったら次はコンタクトポイントの創出を目指しましょう。
コンタクトポイントを創出する方法は様々で、例えば以下のようなものがこれに当てはまります。
- 展示会
- 電話による営業
- Web広告
- SNS広告
Webが発展したことにより、オンライン上でもコンタクトポイントを創出する手段が増えました。
IPや職種などを限定して広告を打つこともできるため、ピンポイントでの広告も可能です。
そのためオフラインとオンラインの両面から戦略を練ると良いでしょう。
ターゲットにアプローチ
コンタクトポイントの確認・創出が行えたら、次はターゲットに対してアプローチをしていきましょう。
企業に対して直接的にアプローチすることによって、接触頻度を高めていくことが重要です。
インサイドセールスによって顧客との関係性を築いたり、顧客の元を訪問して直接製品・サービスを提案したりすると良いでしょう。
ナーチャリングを行って自社の製品・サービスに対しての購買意欲を高めるという方法もあります。
多様なアプローチ方法を駆使して、ターゲットとの商談成立を目指しましょう。
・次にコンタクトポイントの確認・創出を行っていく
・コンタクトポイントができたらターゲットに対してアプローチを行い商談成立を目指す
ABMのメリット
次はそのメリットについて解説していきます。
この手法には具体的にどういったメリットがあるのでしょうか。
ROIの向上が期待できる
ROIというのは投資利益率を意味する言葉です。
ABMでは事前にターゲットを絞って施策を行っていきます。
そのため、他の手法よりもROIが向上しやすいという傾向にあります。
効果的に行うことができれば、ROIの向上が期待できるでしょう。
リソースの無駄を削減
先述したように、ターゲットを事前にある程度絞っているためリソースの無駄を削減できるという側面もあります。
個人に対して施策を行う場合には、多くの見込み顧客に対して画一的なアプローチを行わなければなりませんでした。
しかし、ABMでは事前にターゲットを限定するためリソースを無駄にすることなく施策を行えるのです。
多くの見込み顧客に対してアプローチするよりも、より効果的にアプローチできるというメリットもあります。
リソースの無駄を削減できるため、企業も効率的にマーケティングを行えるのです。
効果の測定がしやすくなる
ABMでは個人に対しての施策よりも、ある程度ターゲットを絞った上での施策であるため、効果測定がしやすいという利点もあります。
この手法では迅速に効果を測定し、それを元にすぐ調整・修正を行うことが可能です。
これによってPDCAサイクルを素早く回すことができ、精度の高いマーケティングを行えるようになるまでにかかる時間を短縮できます。
精度の高いマーケティングが行えれば、それだけ優良顧客を手に入れるチャンスも増えるでしょう。
マーケティングと営業の連携をスムーズにできる
この手法は事業部間での連携がスムーズに行いやすいというメリットもあります。
個人ではなく企業に対してマーケティングを行うため、自社内で同じ発想を持って成果を求めていくこととなるのです。
そのため、事業部間で連携を行い、アプローチしていくことが重要となります。
企業全体で認識を1つにできれば、様々な場面で効率的に施策を行っていくことが可能です。
ABMのデメリット
先述したように、事業部間で認識を統一できるのはこの手法のメリットといえますが、同時にデメリットでもあるといえるでしょう。
元々それぞれの概念で行っていた施策を統一するためには、手法の切り替え時に意識のすり合わせが必要となります。
営業部などは既に確立していた手法を捨てて、新たな概念を取り入れなくてはならなくなるでしょう。
そのため、スタートの段階で意識のすり合わせに相当な時間がかかるという可能性もあります。
足並みを揃えるために必要となる認識の統一ですが、企業全体を1つにまとめ上げるのは規模が大きくなればなるほど難しくなるでしょう。
動き出しが鈍くなりがちなのがABMのデメリットだといえます。
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ABMの効果が得やすい領域
次はこの手法を活用することで効果が得やすい領域について解説していきます。
以下のような領域では効果が得やすいと考えられるでしょう。
新製品提供
この手法は新製品を提供する際に効果的です。
既存の製品を買い換えてもらうために顧客に対してアプローチをする際に、この手法は効果を発揮します。
自社が取引履歴のある企業に対して新製品を提供することで売上の向上を狙えるでしょう。
既存商品を強化
また、既存商品の強化にも効果的です。
この手法では個人ではなく企業全体をターゲットと判断するため、その企業が感じている既存商品への不満点を改善することができます。
この手法を導入すれば、商品を強化することによって販売した後も顧客の満足度を向上させていくことができるのです。
こうした施策はLTVの最大化とも関係してきます。
商品購入後も、顧客をサポートしていくことによって、満足度を向上させられるでしょう。
新規顧客の獲得
この手法は、新規顧客を獲得する際にも大変役立ちます。
新規顧客を獲得する際は既存顧客の情報を活用することで、ターゲットの設定が用意になるでしょう。
既存顧客が業界内で知名度のある会社であれば、新規顧客獲得の際もその顧客が自社を認知している可能性は高まります。
自社に興味を持ってもらうために、既存顧客の情報を活用してアプローチを行っていきましょう。
既存顧客の別の事業部への展開
他にも、既存顧客の別の事業部へ展開することも得意としています。
既に自社と取引のある企業の別の事業部というのは、コンタクトポイントがあるためアプローチしやすいでしょう。
もし既に取引のある事業部で、自社の製品が気に入ってもらえている場合には、別事業部でも成果を挙げられる可能性が高くなります。
取引のある事業部の人物から他事業部との関わりが深い人物を見つけ関係性を深めることによって、別事業部へ展開していくことが可能です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ABMの成果を上げるポイント
この手法で成果を上げるためにはどういったことに気を付ければ良いのでしょうか。
成果を上げるためのポイントについて解説していきます。
各部門の足並みを揃える
先述したように各部門で足並みが揃わない場合、この手法を取り入れることは難しくなります。
営業・マーケティング・開発など各部門でABMの考え方を理解することが何よりも大切です。
もし、企業全体でこの手法の考え方を導入することができれば効果的に成果を上げていくことができるでしょう。
部門ごとに施策を練るのではなく、企業全体で意識を統一してターゲットにアプローチしていくことが求められます。
デジタルツールの活用
デジタルツールの活用も成果を上げるポイントの1つです。
顧客との関係性をまとめるためのCRMツールや、営業を支援するSFAツールなどを活用することで人件費を削減して成果を上げられます。
また、先述したMAツールはCRMなどの情報と連携することで見込み顧客のスコアリングなどを実現することが可能です。
様々なデジタルツールを活用することによって、成果を向上させていきましょう。
・デジタルツールを活用することで効率的に成果を上げられる
ABMの導入で困った時は?
もしABMを導入する際に困ったことがあった場合には、デジマクラスのコンサルタントに相談することをおすすめします。
デジマクラスのコンサルタントはマーケティングの専門家であり、深い知識を備えています。
そのためABMの導入についても、その知識を生かして導入を手助けしてくれることでしょう。
この機会にコンサルタントの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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まとめ
今回はB2Bマーケティングにおいて大きな注目を集めているABMについて解説してきました。
この手法では顧客を絞ることで効果的な施策を行っていくことができます。
LTVの最大化を目指している方も、活用を検討してみてください。
この手法を導入すれば、リソースの無駄を削減しながらマーケティングを行っていくことができるでしょう。
また、もし導入の仕方で困った場合にはデジマクラスのコンサルタントに相談してみましょう。
専門家として効果的なアドバイスを行ってくれるはずです。