テレワークを導入する企業が増えるとともに、オンライン経由で営業活動を行うインサイドセールスが注目されています。
そもそもインサイドセールスは、国土の広いアメリカを中心に普及した営業手法です。
日本では文化の違いから敬遠されがちでしたが、感染症対策やコスト削減にメリットがあることから導入企業が増えています。
なお、オンラインを主体とするインサイドセールスを導入する際には、「どういったツールを活用するか」が重要です。
この記事ではインサイドセールスで活用したいツールの種類や役割・ツール選定のポイントを紹介します。
目次
インサイドセールスツールの種類と役割
インサイドセールスを円滑に進めるには、日々の営業活動に役立つツールの種類や役割を理解することが不可欠です。
なお、インサイドセールスでは顧客管理やマーケティング・Web会議などに活用できるツールを活用します。
ただし、単にツールを使うだけではその効果を実感できません。目的と期待する効果を明らかにすることが大切です。
ここでは、インサイドセールスを円滑に進めるためのツールの種類・役割について解説します。
名刺管理
インサイドセールスにおける名刺交換はオンライン上で完結する「デジタル名刺」が一般的であり、そこで必要となるのが名刺管理ツールです。
インサイドセールスでは実際に顧客と対面しないことから、いかに効率よく顧客管理を行うかがポイントだといえます。
その点、名刺管理ツールは「デジタル名刺」を顧客情報としてリスト化し、各種関連情報との紐づけも簡単に行うことが可能です。
また、顧客情報の流出防止にも威力を発揮することから、インサイドセールスには必須のツールだといえるでしょう。
CRM・SFA
CRM・SFAは顧客管理・営業支援を目的としたツールであり、業務の効率化に役立つのが特徴です。
CRMは「Customer Relationship Management」の略称であり、日本語では「顧客管理システム」と訳されます。
氏名・住所・性別・年齢といった基本情報に加え、購入履歴や趣向などの顧客情報を集約し顧客のニーズを的確に把握するツールです。
SFAは「Sales Force Automation」の略称であり、日本語では「営業支援システム」と訳されます。
営業に関する最新情報のチェックや商談の進捗状況などを社内で共有できるほか、顧客情報の管理も可能とするツールです。
CRMとSFAはとても似通った機能をもったツールですが、自社の目的に沿ったものを選択することが大切だといえるでしょう。
MA
MAは「Marketing Automation」の略称であり、マーケティング業務の効率化に役立つツールです。
見込み客の基本情報を一元化し、自動的にマーケティング施策を実施するなど、以下のとおり様々な機能を実装しています。
- リード管理機能
- キャンペーン管理機能
- パーソナライズ機能
- スコアリング機能
- ランディングページやフォームの作成支援機能
- メールマーケティング機能
- 社内アラート機能
- レポーティング機能
- API連携機能
- CRM・SFA統合機能
このとおりMAは非常に多機能であることから、必要な機能を絞り込んで選ぶことがポイントだといえるでしょう。
Web会議システム
インサイドセールスを展開する上で必要不可欠なツールが、Web上でのコミュニケーションを実現するWeb会議ツールです。
Web会議ツールにはURLにアクセスするだけで接続できるものもあり、商談先の負担を軽減できるツールが数多くリリースされています。
インサイドセールスのメリットは、商談先に向かわなくとも面談にてスピーディに商談を進められることです。
したがって、Web会議ツールはインサイドセールスにおける生命線であり、自社の用途にマッチしたツールを選ぶことが重要になります。
インサイドセールスのツール選定のポイント
インサイドセールスツールは、用途・目的別に様々な種類のものがリリースされています。
また、同じ用途・目的のツールであっても機能が細分化されており、どのツールを選択すべきか迷うことも少なくありません。
そこで、インサイドセールスツールの選定の際に押さえておきたいポイントについて考えてみましょう。
部分最適化か全体最適化か
インサイドセールスのツールを選択する際、まず考えなければならないのが、「部分最適化か全体最適化か」という点です。
各部門が個々にツールを導入すれば部分最適化は図れますが、社内全体でツールの連携性・互換性がなければ全体最適化が図れません。
インサードセールスツールの導入にあたっては、社内全体の課題を洗い出した上で全体最適化を図るのが一般的です。
その上で、各部門における部分最適化に有効なツールにカスタマイスするのが得策だといえるでしょう。
各部門が使いやすいツールであるか
インサイドセールスツールを導入する際には、全体最適化を優先すべきですが各部門の使いやすさを無視することはできません。
あくまでもツールを活用するのは各部門の担当者であることから、いかに現場担当者の意見を取り入れるかが課題です。
したがって、インサイドセールスに活用するツールを導入する際は、丁寧に社内調整を行うことが重要だといえるでしょう。
また、いくつかのツールを試行するなど、操作性をしっかりと確認して導入することも大切なポイントです。
将来的なカスタマイズの可能性
インサイドセールスツールは「導入したら完了」ではありません。将来を見据えた対応も重要です。
インサイドセールスツールは日々進化しており、新しい機能をもったツールが続々とリリースされています。
したがって、インサイドセールスを導入する際には、将来的なカスタマイズの可能性も考慮しておくことが大切です。
なお、将来的なカスタマイズを円滑に実施するには、ツール開発会社の担当者とのコミュニケーションが不可欠になります。
日頃からツール開発会社の担当者とは連携・情報共有を密にし、現場の意見が反映できるカスタマイズを目指しましょう。
どのツールから導入すべき?
インサイドセールスを始める際、まず導入すべきツールは「Web会議システム」です。
インサイドセールスの本質は商談先に出向かずに、先方と円滑かつスピーディに商談を進めることだといえます。
したがって、まずは「商談先に出向かない」ためのツールを導入することが最優先となります。
なお、Web会議システム導入後は必要に応じてCRM・SFAをはじめ、MA・名刺管理システムなどを導入するのが一般的です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
インサイドセールスツール選定前に準備したいこと
インサイドセールスツールの選択前には、いくつかの準備事項があります。いくら高性能なツールでも活用するのは現場営業マンです。
現場営業マンにとって使いやすいツールであることは当然であり、費用対効果も無視できません。
大切なのは使い勝手とコストのバランスが取れたツールを導入することです。ここでは、そのために必要な準備について考えてみましょう。
適切なKPIの設定
インサイドセールスの効果を実感するには、ツール導入前後の実績を検証することが不可欠となります。
そのためにはポイントとなる項目にKPIを設定し、ツール導入後の効果検証を行うことが鉄則です。
なお、インサイドセールスツールの導入にあたり、KPIを設定しておきたい項目は以下のとおりになります。
- アポイント件数
- 商談件数
- 受注件数
上記に加え、自社の営業スタイルなどにより数項目を増やすのが一般的です。なお、KPIはツール導入前に設定しておきましょう。
必要な機能の洗い出し
インサイドセールスツールには用途・目的別に様々な種類があり、その機能も多様化・進化しています。
できる限り多機能なツールを導入すべきと考えがちですが、全ての機能を活用しきれなければ意味がありません。
また、多機能なツールは高額になることから、費用対効果の面でも慎重に検討することが求められます。
したがって、コストと機能性のバランスを取るためにも、ツールの導入前に必要な機能を洗い出しておくことが大切です。
このとき、現場でツールを活用する営業マンの意見を可能な限り取り入れるのが、ツール選択のコツだといえるでしょう。
担当者の細かく明確な設定
新しいインサイドセールスツールを導入する際には、ツールごとに担当者を細かく明確に設定しましょう。
営業担当者は新たなツールが導入されると、興味とともに様々な質問や疑問が沸き起こるものです。
このとき、ツールに精通した担当者が不在だと個々に思いのままにツールを起動させるなど、現場が混乱してしまう恐れがあります。
ツールの導入に先行して担当者が精通しておけば、現場を混乱させることなくツールの使い方を他の社員にレクチャーできるでしょう。
費用対効果の見積もり
多機能なインサイドセールスツールが、現場営業マンにとって最適なツールだとは限りません。
多くの機能が搭載されていても使わなければ意味がなく、コストばかりが嵩む結果になるのがその理由です。
インサイドセールスツールを導入する際には、事前に費用対効果の見積もりを行いましょう。
ツールの導入経費○○円に対して「○○円の人件費が節減できた」「○○円の営業利益が上がった」といった具合です。
費用対効果の見積もりをシビアに行えば、自ずと「真に搭載すべき機能」「必要なコスト」が明確になります。
なお、費用対効果の見積もりを正確に行うには、ツールの価格に加えて保守にかかるメンテナンス費用も含んでおきましょう。
インサイドセールスツール活用のポイント
インサイドセールスツール活用のポイントは、無駄な機能はできるだけ省いてコストを抑えることです。
そのためにも、事前に現場営業マンとの調整を密にすることがポイントだといえるでしょう。
とりわけ、部署間でツールを共有する際には互換性を持たせることに加えて、機能差による不公平感が出ないよう調整することも大切です。
また、ツールを導入後には効果検証を必ず行い、PDCAサイクルを回すこともインサイドセールスツール活用のポイントだといえます。
インサイドセールスツールの例
インサイドセールスはツールを導入することが目的ではありません。ツールを活用して実績を上げることが目的になります。
したがって、インサイドセールスを成功させるにはツールを理解するだけでなく、その活用方法を理解しておくことが大切です。
そのためには成功事例に触れておくことも不可欠だといえるでしょう。ここでは、具体的な活用例について紹介します。
「未来電子テクノロジー株式会社」の成功事例
クリエイティブ制作事業などを運営する「未来電子テクノロジー株式会社」は、インサイドセールスによって商圏の全国拡大に成功しています。
未来電子テクノロジー株式会社では、訪問営業は事業所から1時間以内の範囲と定められていたため、商圏に限界がありました。
そこで、Web会議システムを導入し販売支援・顧客サポートの全国展開を実施したところ、商圏は大きく広がり実績アップに繋がっています。
移動時間だけでなくテレアポにかかる手間も削減し、営業マンがより営業活動に専念できる環境が整備された好事例だといえるでしょう。
「ビズリーチ」の成功事例
転職サイトを運営する「ビズリーチ」では、インサイドセールスツールを導入することでリードタイムの短縮に成功しています。
ビズリーチでは電話営業から訪問につなげるアウトバウンドセールスを行っていましたが、リードタイムが長期になるのが課題でした。
そこで、オンラインでの集客に移行し、インサイドセールスツールを導入することでリードタイムを40日から17日に短縮しています。
リードタイムが短縮されたことにより対応できる顧客数も増えたことで、実績アップにもつながっている好事例だといえるでしょう。
インサイドセールスツールの注意点
インサイドセールスツールは上手く使いこなせれば、大きな効果・実績を得ることが可能です。
その反面、インサイドセールスツールを活用しきれないと全く効果が実感できず、コストの無駄使いになることも少なくありません。
そこで、インサイドセールスツールで失敗しないために、導入する際に知っておきたい注意点について考えてみましょう。
操作性は導入前に確認
インサイドセールスツールの操作性は、実際にツールを活用する営業マンが導入前に確認しておくことが鉄則です。
ツールを導入する担当者と実際に活用する営業マンが異なる場合、現場とのミスマッチが起きやすくなります。
事前に必要な機能を洗い出していても、実際に操作してみると使い勝手が良くないことは少なくありません。
インサイドセールスツールにかかるコストは決して安価ではなく、何よりインサイドセールスの実践に支障をきたします。
インサイドセールスツールを導入する際には、導入前に操作性を確認しておくことでミスマッチを防ぐことが大切です。
他ツールとの連携性を確認
インサイドセールスツールを導入する際には、ツール間の連携性を確認しておきましょう。
インサイドセールスツールは、機能・目的別にいくつかの部署に数種類を導入することも少なくありません。
このときツール間の連携性や互換性が担保できていないと、ツール本来のメリットを引き出すことができなくなります。
特にCRM・SFAとMAの連携性は必須であることから、確実に連携できることを確認しておくことが重要です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
いかに効率よくターゲットを見つけ出せるかかが重要
インサイドセールスはネット上で行われる商談であることから、ターゲットはネット上で見つけると効率的です。
ネット上でターゲットを見つけるにはオウンドメディアの構築が不可欠であり、メルマガやSNSなども有効な媒体だといえるでしょう。
オウンドメディアやメルマガ・SNSを通じて、資料請求や問い合わせのあった見込み客を絞り込むことでターゲットを獲得できます。
したがって、インサイドセールスを進めるには、その特性にマッチしたマーケティングを実践することが必須です。
メールマーケティングの事例はこちら
インサイドセールスツールの活用で悩んだら
インサイドセールスツールは用途・目的別に様々な種類があり、機能も多彩であることから悩んでしまうことも多くあります。
しかし、1人で悩んでも解決には至りません。インサイドセールスツールの活用で悩んだらデジマクラスのコンサルに相談しましょう。
インサイドセールスは次世代の営業手法として注目されており、様々な企業が導入していることからデジマクラスのコンサルも充実しています。
インサイドセールスツールの選び方から活用方法まで、現場で養ったノウハウに基づいたレクチャーが受けられるでしょう。
まとめ
インサイドセールスを成功に導くにはツールの選び方と活用方法が大きなポイントです。
インサイドセールスではWeb会議システムが必須ですが、その他にもCRM・SFAやMAなど様々なツールがリリースされています。
インサイドセールスツールを導入する際には、その内容を把握することは当然として必要な機能を絞り込むことが大切です。
また、費用対効果のメリットを明らかにするとともに、実際にツールを操作する社員が事前に操作性を確認しておきましょう。
なお、インサイドセールスツールは多種多様であり、選択や活用方法に迷ってしまうことも少なくありません。
こういった場合にはコンサルに迷わず相談しましょう。現場で養ったノウハウをもとに的確なアドバイスを得られるでしょう。