購買データとは顧客が実際に購入した商品やサービスに関する情報を蓄積し、様々な角度から分析したものです。
顧客のニーズを詳しく知ることができるため、効率的で効果的なマーケティング戦略を立案する上でとても重要なものといえます。
しかし実際に取り組むとなると、購買データを具体的にどう活用するべきなのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では購買データ活用方法や分析方法について詳しく解説します。
購買データを活用することの具体的なメリットや活用の際の注意点、実際の活用事例も紹介しますので参考にしてください。
目次
購買データの活用方法を解説
マーケターは購買データを分析して得た情報を用いてより効果的で効率的なマーケティング施策を行えるようになります。
購買データを詳細に分析すると市場の傾向や顧客のニーズが明確になり、次に何をどう売るべきか戦略が立てやすくなるからです。
たとえば数種類ある商品のうちどれがどんな年代の顧客にどれくらい売れたかを分析すれば注力すべき商品が何か分かるでしょう。
メインターゲットとなる顧客層に人気のデザインを取り入れることで更なる売上げアップも狙うことができます。
データ解析・活用の事例はこちら
購買データを分析する目的
購買データを詳細に分析すると市場の傾向や顧客のニーズを知ることができます。
また、今何が求められているのかを把握することによって将来何がどう必要とされるかを推測しやすくなります。
この項目では将来の購買予測と顧客のニーズの把握についてそれぞれ掘り下げてご紹介しましょう。
将来の購買予測をする
購買データを詳細に分析する目的、1つ目は将来の購買予測をするためです。
市場は常に変化しています。今現在の状況だけを見て行動を始めても後手に回ってしまう場合が少なくありません。
常に先手を打つ気持ちでマーケティング戦略を展開しなければならない。そんな時、購買データの分析結果が力を発揮します。
現時点のトレンドを把握することが将来的な市場の動向の予測に繋がるのです。
売れそうな商品に注力して逆に不人気なものの生産を控えればより効率的な経営の実現にも繋げられるでしょう。
ニーズを把握する
購買データを詳細に分析する目的、2つ目はニーズを把握することです。
どのような顧客が何を求めているのかを把握することによって、自社商品・サービスに適切な調整を加えられるようになります。
これはメインターゲットへの注力によって生産・販売の効率を最大化できるということに他なりません。
ニーズが分かればキャンペーンなどの企画も展開しやすくなり、いっそうの集客や売上げアップに繋がることでしょう。
購買データの重要性
仮に購買データの分析結果をまったく用いることなく商品・サービスの販売にのぞむとしたらどうでしょうか。
どんな顧客に何が人気か判然としないため、場合によっては完全に的外れな企業活動を展開してしまいかねません。
購買データを分析して得られた結果は次の行動のための重要な指針を与えてくれます。
特にデジタル化が進む現代では様々な切り口のデータを大量に取得し、詳細に分析することができます。
それらを活用して効率化を図らない手はありません。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
購買データの活用方法
購買データから導き出した顧客の行動パターンという情報は有益なことこの上ありません。
工夫とアイデア次第で以下のように色々と活用できます。
- 顧客の状態や課題を知る
- 詳細なペルソナ設定をする
- マーケティング施策に優先順位を付ける
- マーケティング施策の成果と課題を明らかにする
メインターゲットとなる顧客像を見える化して、より具体的で効率的なマーケティング戦略に活かしていくこともできます。
逆にメインではない顧客層に対してどのようなアプローチがありえるかを検討するための材料にもなります。
顧客にリピートを促すために何をすれば良いかヒントを探ることもできるでしょう。
このように購買データの活用はマーケターに様々な示唆を与えてくれます。
購買データを活用するメリット
購買データを活用することには様々なメリットがあります。ここではその中から主な3つをピックアップします。
マーケティングの効率化・ニーズにあった商品やサービスの開発・顧客満足度の向上です。
それぞれ詳しくご紹介しましょう。
マーケティングを効率良く行える
購買データを活用することのメリット、1つ目はマーケティングを効率良く行えることです。
顧客データを分析するとマーケティング戦略を展開するにあたって重要なターゲティングの精度を上げることができます。
どのような顧客が何を求めているのか予測しやすくなるので、マーケティングがいっそう効率的になるでしょう。
できる限りの無駄を省き、メインターゲットだけに注力した商品・サービスの生産、プロモーションの実行が可能となります。
ニーズにあった商品・サービスの開発
購買データを活用することのメリット、2つ目はニーズにあった商品・サービスの開発が可能となることです。
顧客が実際に何を購入したのか知ることによって、顧客が何に関心を持っているのかを把握することが可能となります。
ニーズにマッチした商品・サービスをピンポイントで提供することができれば大きな売上げアップが期待できるでしょう。
逆に不人気な商品・サービスの存在を炙り出して生産・販売活動のいっそうの効率化を図ることも可能となります。
顧客満足度の向上
購買データを活用することのメリット、3つ目は顧客満足度の向上が期待できることです。
ニーズにマッチした商品・サービスを提供されて嬉しく感じない顧客はいません。
購買データの分析結果を利用して将来の購買予測を立て、ターゲットに求められる商品・サービスを開発する。
予測が当たれば顧客が求めるものを先回りして提供できることになり、大いに歓迎されるでしょう。
結果的に顧客満足度の向上と企業のイメージアップに繋がることになります。
データ解析・活用の事例はこちら
購買データの主な分析方法
購買データを活用するためには目的に応じて最適な分析方法を取らなければなりません。
目的に見合った適切な方法で得た結果でなければ本当の意味で有効に利用できるものとはいえないからです。
数ある分析方法の中から今回は3つピックアップしてご紹介します。
クラスター分析・行動トレンド分析・RFM分析です。以下詳しく見てみましょう。
クラスター分析
クラスター分析は顧客全体に見られる相互の類似性に着目して複数の集団(クラスター)に分類するという分析手法です。
得られた結果に対して性別や年齢といった様々な属性情報を掛け合わせることでターゲットのセグメントを可視化します。
販促戦略を展開するにあたってセグメントに優先順位を付けるなど、より効率的なマーケティングが可能となるでしょう。
顧客の概要を把握したい時にはとても有効な手法だといえます。
行動トレンド分析
行動トレンド分析は季節・曜日・時間帯といったシーズンごとの顧客のふるまいに着目する分析手法です。
かき氷や冷やし中華が夏場を中心に消費される傾向があるように、多くの商品・サービスはシーズン性を備えています。
シーズンごとのニーズを把握できれば次にどのような商品・サービスが売れそうか予測が立てやすくなるでしょう。
Web広告などに応用すると、特定の顧客に対してより効率的かつ効果的なタイミングで広告を表示させることも可能となります。
RFM分析
RFM分析は3つの指標を用いて顧客を立体的にランク付けする分析手法です。
最新購買日(Recency)・購買頻度(Frequency)・累計購買金額(Monetary)という指標が使われます。
低額商品を高頻度で買う顧客、低頻度ながら利用金額の大きい顧客など、顧客ごとの特性を把握しやすくなるでしょう。
それらの情報を元にして、よりふさわしいマーケティング戦略を立案することができるようになります。
購買データを分析する際の注意点
購買データの分析はマーケターに効果的で効率的なマーケティング戦略のための重要な判断材料を提供してくれます。
ただし分析にあたって注意しなければならないこともあるので気を付けましょう。
この項目では注意点を2つに絞ってご紹介します。
分析方法にこだわりすぎない
購買データを分析する際の注意点、1つ目は分析方法にこだわりすぎないことです。
目的に応じて最適な分析方法を用いるべきなのは確かですが、こだわりすぎてはいけません。
1つの分析方法を活用することにばかり意識が向いてデータの活用という本来の目的を忘れてしまいかねないからです。
各種の分析方法はあくまでもデータを有効利用するためのツールにすぎないことを忘れないようにしましょう。
定期的に分析し直す
購買データを分析する際の注意点、2つ目は定期的に分析し直すことです。
情報には鮮度があり、時間が経つと古くなって用をなさなくなることがあるため、定期的に分析し直さなければなりません。
分析結果を元に展開した施策がどれほど効果を上げたとしても、新たな分析結果によっては方針転換が必要となるでしょう。
アップデートされ続ける分析結果を用いた、その時々に最も適したマーケティング戦略の立案が求められます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
購買データ活用事例
日々蓄積される膨大な数の購買データを分析・活用することは今やマーケティング戦略に欠かせません。
ただ、購買データの活用事例には具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。
この項目では楽天・三菱地所・ヤクルトの3社が実際に取り組んでいる購買データの活用方法についてご紹介します。
実際の事例を確認して、自社商品・サービスへの応用ができないか検討してみてください。
楽天
楽天は日本における代表的ECプラットフォームである自社のポジションを有効利用した購買データの収集と活用を行っています。
その軸の1つが買い物レシートを撮影するだけで楽天ポイントが得られるサービス「Rakuten Pasha」です。
膨大な数のレシートを通じて購買データを蓄積した楽天は、その分析結果を用いた新たなサービスを展開しました。
それが企業のマーケティング施策の最適化を支援する「RMP-OmniCommerce」です。
このサービスの利用によって購買起点でのオフラインマーケティングが実現できると同社は語っています。
三菱地所
三菱地所が行ったのは商業施設内における顧客の行動データと購買データに着目した実証実験です。
施設に来訪する顧客の行動を専用アプリ・ビーコン・他社製プラットフォームで見える化し、購買情報と紐付けました。
得られた結果は施設内における顧客の回遊ルートや来店経路といった購買プロセスの把握に役立てられます。
また使用した専用アプリに顧客の嗜好に最適なクーポンを送るなど積極的なアプローチも展開しています。
この実証実験によって得られたデータは今後更なる集客と販促活動のために役立てられることでしょう。
ヤクルト
ヤクルトのオランダ法人が行った購買データの分析結果の活用は小売業におけるデータ利用の好例です。
同社は取り扱う商品の数が多い上、店頭での棚配置を各担当社員に任せており、効率的な販売を実現できていませんでした。
データはあちこち分散していて、スタッフが個々に作成したスプレッドシート上にしかない場合も珍しくなかったといいます。
そこで同社はそれらのデータを集めて統合し、分析を加えて売上げを最大化するための理想的な棚割を導き出しました。
ヤクルトは現在も同じようにデータを活用しています。
小売店に対して同データへのアクセス権限を与えているので、担当者は必要に応じてその場で最適な棚割を把握できます。
また棚割を工夫・変更した場合の効果を見るため各小売店に実験してもらうといったことも可能となりました。
データ解析・活用の事例はこちら
購買データの活用で困った時は?
購買データの重要性や主な分析方法・活用方法については理解できた。活用事例についても把握した。
けれどいざその分析結果を用いてマーケティング戦略を練ろうとした時、自社の場合はどう活用すれば良いのか今一つ分からない。
そんな悩みを抱えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
購買データの活用に関して困った時はデジマクラスのコンサルタントに相談してみてください。
マーケティングのプロが親身になってお話をうかがい、適切なアドバイスをさせていただきます。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回の記事では購買データの活用方法を具体的な分析方法や活用事例と合せて解説しました。
デジタル化が進む現代において購買データを分析・活用することは効果的なマーケティング戦略立案のための重要事項です。
分析結果から自社商品・サービスのよりよい在り方を推測し、ぜひ将来的な売上げアップに繋げてください。
本稿が効率的かつ効果的なマーケティングのための一助となれば幸いです。