マスメディアの1つであるラジオは、インターネットの普及で一時期衰退していました。
しかし、近年そのラジオを活用したラジオ広告が注目されています。
そんなラジオ広告の導入を検討しているマーケティング担当者も多いのではないでしょうか。
今回は近年注目されるラジオ広告の効果や事例を詳しく解説していきます。
目次
ラジオ広告の特徴
ラジオ広告とは、無線通信で配信するラジオを活用した広告のことです。
テレビでいうCMと同じような立ち位置ですが、「音」や「声」だけで広告を発信しなければなりません。
そのため、「難しい」「魅力が伝わるの?」と感じる人も少なくないでしょう。
ここでは、そんなラジオ広告の特徴を見ていきましょう。
ターゲティングを明確にできる
ターでティングを明確にできることは、ラジオ広告の特徴といえます。
マーケティングにおいて重要であるターゲティングとは、顧客の属性を絞って戦略を立てることです。
ラジオを聞く人(リスナー)を思い浮かべてみましょう。
朝の通勤時間帯であればサラリーマンや学生が、昼間であれば主婦層や社用車を運転する営業職などがラジオを聞く可能性が高いです。
時間帯によってどのようなリスナーがラジオを聞いているか特定しやすいので、ターゲティングも明確にできるのです。
近年インターネットを介してラジオを試聴できるようになり、さらに多くの人が視聴しやすい環境になっています。
費用対効果が高い
ラジオ広告の特徴には、費用対効果が高いことがあげられます。
ラジオもテレビを同じように不特定多数の人に配信するマスメディアです。
しかし、テレビCMは広告費用がかかるというイメージをもつ人は多いのではないでしょうか。
実際にラジオ広告はテレビCMの広告費用の1/5~1/10といわれています。
都市部と地方で広告費用に差があるのですが、それでもテレビCMよりも低コストで導入できます。
広告費用を抑えつつも不特定多数の人に配信ができるため、費用対効果が高い方法なのです。
ラジオ広告の種類
ラジオ広告を検討する時に知っておきたいのが、ラジオ広告の種類です。
ここではラジオ広告の種類とその特徴をご紹介します。
目的や費用に合った種類を選択するといいでしょう。
番組提供
ラジオ広告の種類には、番組提供というものがありタイムCMとも呼ばれます。
番組提供とはつまり、スポンサーのことです。
ラジオの中で、「この番組は〇〇の提供でお送りしました」という文言を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
これこそが、番組提供という形での宣伝なのです。
この番組提供では、企業名や商品・サービス名などが紹介されるのが特徴です。
番組提供には以下のような種類があります。
- ベルト番組(帯番組):月~金曜日など複数曜日の同時間帯に配信する番組
- レギュラー番組(箱番組):毎週特定の曜日・時間に配信する番組
どの時間帯にするのか、どの番組がいいのかはターゲットによって異なります。
この番組提供は、月単位で広告枠を購入することが多いです。
また、1社提供にするか複数の企業で共同提供にするのかも費用を考慮して検討しましょう。
スポットCM
スポットCMとは、あらかじめラジオ局で決めた広告枠で広告を配信するというものです。
この場合、企業はどの番組でCMを放送するか指定はできません。
- 放送期間
- 放送時間
- 放送回数
スポット広告は、これらの条件を決めて広告枠を購入することになります。
ラジオ広告が流れるのは「番組の途中」「番組の前後」など様々です。
このスポット広告は1回から発注することができるので、低コストで始めることができるでしょう。
イベントやキャンペーン中だけ集中してラジオ広告を配信することも可能です。
ラジオ広告で期待できる2つの効果
ラジオ広告には、他の広告にはない効果が期待されます。
その効果こそ、ラジオ広告の魅力であり注目される理由です。
ここではラジオ広告で期待できる効果を2つ見ていきましょう。
イメージャリー・トランスファー効果
イメージャリー・トランスファー効果とは、他の媒体で見聞きしたイメージを別の広告によって思い出す効果のことをいいます。
ラジオ広告を聞いた時にテレビCMを思い出すというパターンが多いでしょう。
何度も同じフレーズや音楽を耳にすると、人間の記憶に残りやすくなります。
ラジオ広告を聞いてテレビCMの映像を思い出すのは、それだけ印象に残っているということです。
しかし、このイメージャリー・トランスファー効果を発揮するにはテレビCMとの併用が必要になります。
その分広告費用がかかることに注意しなければなりません。
リーセンシー効果
リーセンシー効果とは、前に聞いたことのある情報・接触した広告が購買行動に影響を与えるというものです。
お店に買い物に行った際に、商品を見て「この前テレビで紹介していた」と思い購入する消費者は少なくありません。
そのリーセンシー効果はラジオ広告でも期待されています。
ラジオ広告の場合は何度も同じ情報を耳にすることも多く、記憶に残りやすいという特徴があります。
また車の運転中に記憶に残った場合、その直後の買い物でリーセンシー効果が発揮されることもあるでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
事例①:ウィルキルソン
ウィルキルソンはサントリーが販売する炭酸水で知られています。
そのウィルキルソンが2015年にラジオ番組の中で、SNSを上手く活用したキャンペーンを実施しました。
ウィルキルソンの事例を見ていきましょう。
ラジオ番組との連動キャンペーン
ウィルキルソンはラジオ番組「WILKINSON “twilight music” Holiday Edition」の中でリスナー参加型のキャンペーンを行いました。
生配信のこの番組内で、リスナーがビンゴゲームに参加するというラジオ番組初の試みです。
参加者は、ウィルキルソンのWebサイトか公式Facebookでビンゴシートを手に入れます。
そのビンゴシートに書かれているのは数字ではなく、「曲名」という遊び心満載のものです。
ラジオ番組の中で流れた曲名がビンゴシートにあれば、穴をあけていきます。
ビンゴになると、ウィルキルソン1ケースが当たるということで話題になりました。
SNSへの誘導
このウィルキルソンの事例が話題になったのは、ラジオ番組とビンゴ大会の連動だけではありません。
X(旧Twitter)を通して楽曲をリアルタイムにリクエストしたり、「リーチ宣言」をしたりして参加者が楽しめるイベントにしたのです。
ラジオ番組のキャンペーンを通して自然とSNSに誘導することができた事例です。
事例②:タカラッシュ
タカラッシュは、体験型のリアルイベントやWeb上で行うバーチャル宝探しなどを手掛ける企業です。
多くの体験をユーザーに提供しているタカラッシュは、ラジオ広告をどのように活用したのでしょうか。
イベント・ニュースメディア・ラジオ番組のコラボ企画
タカラッシュは2013年に3社合同のコラボ企画を行いました。
- タカラッシュ
- All About「News Dig」
- TOKYO FM「TIME LINE」
特設ページの中に隠された謎を解いて、宝箱を探すというオンライン宝探しゲームです。
宝箱を見つけて応募すると、毎週抽選で1名に10万円が当たるという企画でした。
それぞれのサイトをユーザーが行き来
このキャンペーンの特徴は、それぞれのサイトをユーザーが行き来できることです。
タカラッシュとAll Aboutのサイトで情報が公開され、特設サイトで宝箱の手がかりを探します。
さらに、TOKYO FMのラジオ番組「TIME LINE」内で宝箱を開けるためのキーワードが配信されました。
宝箱を開けて10万円を手に入れるためには、それぞれのサイトやラジオ番組を見聞きしなければなりません。
それによって、3社ともにユーザーに広く知ってもらうことができたのです。
事例③:株式会社ソーシャルクリエーション
株式会社ソーシャルクリエーションは、高齢者向けの宅配弁当サービスを行っている企業です。
「ニコニコキッチン」の名で広く知られるようになった背景には、ラジオ広告の影響がありました。
そんな株式会社ソーシャルクリエーションの事例をご紹介します。
定時スポットCMの配信
株式会社ソーシャルクリエーションは定時スポットCMの配信を行いました。
- 配信曜日:月~金曜日
- 本数:各曜日1本
- 配信時間:20秒
- 配信期間:9か月間
これらの条件のもと、福井地区を中心にラジオ広告が配信されたのです。
「ニコニコキッチン」の認知度アップ
各曜日の配信は1本なので、少なく感じる人もいるのではないでしょうか。
しかし、定時スポットCMとして9か月もの間配信し続けてきたのです。
その結果、株式会社ソーシャルクリエーションが提供する「ニコニコキッチン」の認知度は倍近くに上昇しました。
事例④:J-WAVE
J-WAVEは、首都圏をメインに配信するラジオ局です。
そんなJ-WAVEは、雨の日限定キャンペーンやX(旧Twitter)の活用など様々な取り組みを行っています。
ここではJ-WAVEの事例を見ていきましょう。
雨の日限定のクーポンキャンペーン
J-WAVEは2016年に雨の日限定のクーポンキャンペーンを実施しました。
これは、特設サイトに雨の日限定でクーポンが表示されるというものです。
キャンペーン参加店舗でそのクーポンを提示すると、店舗毎に特典が得られるという内容です。
それだけだと、参加店舗にはあまりメリットがないように感じる人もいるのではないでしょうか。
しかし、このキャンペーンはリスナーにとっても参加店舗にとってもメリットがあるものでした。
キャンペーンに参加した店舗は、雨の日にラジオ番組で紹介されたり電話インタビューが行われたりしたのです。
ラジオ番組で紹介されるということは、ラジオ広告と同じくらいの効果が期待できるといえます。
雨の日キャンペーンで話題になっている番組なので、それだけリスナーも意識して聞いているでしょう。
楽曲リクエストをX(旧Twitter)で募集
J-WAVEは楽曲リクエストをX(旧Twitter)で募集したことでも知られています。
もともとラジオの楽曲リクエストは、ハガキに書いて送るという方法がメインでした。
しかし、それではリアルタイムにリクエストができず、自分が送ったリクエストが放送されたかどうか分からないこともあります。
いつハガキが届いて紹介されるか分からないので、聞き逃していることもあるでしょう。
そんな中、X(旧Twitter)ならラジオを聞きながらリアルタイムに楽曲リクエストができるのです。
X(旧Twitter)を使う世代がラジオを楽しんで聞くことができ、リスナーがX(旧Twitter)を使うきっかけにもなります。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ラジオ広告の費用相場
ここまではラジオ広告の特徴や効果、具体的な事例についてご紹介してきました。
コラボ企画やキャンペーンなど、ラジオ広告で成功した事例はたくさんあります。
そんなラジオ広告の導入を検討する際に、気になるのが広告費用です。
ここでは、ラジオ広告の費用相場を見ていきましょう。
ラジオ広告の費用は配信地域・時間・広告の種類によって相場が異なります。
スポットCMの場合の地域別の相場はこちらです。
- 北海道:22,000~23,000円
- 東北:14,000~22,000円
- 関東:30,000~70,000円
- 甲信越:16,000~22,000円
- 東海:20,000~50,000円
- 北陸:16,000~18,000円
- 関西:20,000~70,000円
- 中国:16,000~30,000円
- 四国:17,000~23,000円
- 九州・沖縄:10,000~40,000円
人口の多い都市部ほどラジオ広告の相場が上がります。
これらの費用は1回20秒のCMで、1回当たりの金額です。
そのため配信する回数によってかかる費用が異なることに注意してください。
番組提供の場合の広告費用の相場は、地域や配信時間・番組の種類によって差があります。
例えば東京都のラジオ局の場合、10分間の冠番組の前後で60秒の広告で月額200万円台が相場です。
また、30分間の冠番組の前後に160秒の広告を流す場合は400万円台となっています。
番組提供の方が高く感じるかもしれませんが、スポットCMは1回当たりの費用なので配信が多ければそれだけ高額になります。
マーケティング戦略の事例はこちら
ラジオ広告の導入に悩んだら
ラジオを聞いていると自然に耳にするラジオ広告は、不特定多数の人に配信できるマスメディアの1つです。
しかしテレビと異なるのは、映像がないということです。
それはデメリットのようで、メリットになり得るものだということをご存じでしょうか。
テレビCMの場合は、CMが流れたらその間他の番組に変える人も少なくありません。
しかし、ラジオを聞いている人はCMが流れたからといって番組を変える人はほとんどいないでしょう。
また、運転をしながら・家事をしながら・スマートフォンを操作しながらなど「ながら視聴」ができるのもラジオの特徴です。
これだけの特徴と、先ほどお伝えした効果があればラジオ広告を導入したいと思う人も多いのではないでしょうか。
しかし、費用の相場に差があることや広告の種類があることから、導入に悩むこともあるでしょう。
そんな時はデジマクラスのコンサルタントに相談してください。
マーケティング戦略の事例はこちら
まとめ
今回はラジオ広告の効果や事例についてご紹介しました。
ラジオは一時期衰退傾向にありましたが、近年また注目されているマスメディアです。
SNSとの連動やキャンペーンなど、これまで多くの取り組みが行われてきました。
広告配信だけでなく、SNSとの連携ができればますますラジオ広告の可能性が広がるでしょう。
そんなラジオ広告の導入に悩んだら、デジマクラスに相談してください。