マーケティングと営業はそれぞれに役割は異なるものの、自社の業績をアップさせるという点では同じ目的を持っています。
最近ではセールスとマーケティングを掛け合わせた造語である、「スマーケティング」が注目を集めるなど両者の連携は不可欠です。
しかしながら、現実にはマーケティングと営業の連携が十分ではない企業も少なくありません。
この記事ではマーケティングと営業の連携方法に加え、連携の成果を高めるためにすべきことを紹介します。
目次
マーケティング部門と営業部門のすれ違い
本来は連携すべきマーケティング部門と営業部門ですが、実際にはすれ違いになっている企業も少なくありません。
マーケティング部門が抱く営業部門に対する言い分は次のとおりです。
- 見込み客へのアプローチが弱い
- マーケティング戦略を理解していない
- 顧客のニーズを押し付けすぎ
- 営業はクロージングするだけだ
一方、営業部門が抱くマーケティング部門に対する言い分は次のとおりです。
- 業績に直接貢献していない
- 顧客と直接対応していない
- リードの質を考えていない
- 見込み客のニーズがわかっていない
双方の言い分とも一理はあるものの、互いの立場や役割について理解が不十分だといえます。
いずれにしても、マーケティング部門と営業部門が連携を測るには、双方の立場を理解することが大切だといえるでしょう。
新規顧客獲得の事例はこちら
営業の役割
営業の役割は、見込み客への電話・アポ取り・商談・プレゼン・クロージング・アフターフォローを通じて実績につなげることです。
最近ではインサイドセールスも増加しているものの、基本的には顧客のもとに出向くフィールドセールスを行います。
つまり、営業部門は顧客に最も近い存在であり、感謝・賞賛される反面、厳しいクレームを受けることも少なくありません。
また、社内においては業績が上がれば評価されますが、期待値に届かなければ全ての責任が転嫁されることもあります。
したがって、必然的に個々の顧客との信頼関係を構築することに傾注し、実績至上主義になりがちです。
マーケティングの役割
マーケティングの役割は、市場動向を分析し長期的な営業戦略を構築するほか、見込み客を掘り起こし営業部門に託すことです。
また、自社のブランドイメージをアップさせるため、自社商品・サービスのプロモーションやイベントの実施も担っています。
オフィス内で仕事を行うことが多く、広告代理店やイベンターなどとのやり取りが多いのも特徴です。
個々の顧客と対応することはほとんどなく、自社のブランドイメージやターゲット市場でのシェア拡大に傾注しがちになります。
社内では営業部門だけでなく開発部門などとも関わることが多く、高い調整力が求められるといえるでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
営業とマーケティングの違いはどこにある?
営業部門とマーケティング部門が連携強化を図るには、双方の立場・考え方を深く理解することが不可欠です。
そのためには、営業部門とマーケティングの違いを正しく把握することが大切になります。
ここでは、営業部門とマーケティング部門の違いを「対象」「目的」「期間」の別に解説します。
対象が違う
営業とマーケティングでは、仕事をする上での「対象」が次のとおり違います。
- 営業:顧客
- マーケティング:市場
営業担当者は目の前の顧客を対象としており「顧客第一主義」が基本的な考え方であり、顧客のニーズに可能な限り応えようとします。
一方、マーケターは常に企業のブランドイメージを第一に考えることから、個々の顧客のニーズに応えるといった概念がありません。
したがって、営業部門からすればマーケティング部門は「顧客のニーズを蔑ろにしている」「現場の意見を聞かない」と思い込みがちです。
マーケット部門からすれば営業部門は「目先の顧客のことしか考えていない」と思い込みがちであり、双方の考え方が交わることはありません。
目的が違う
マーケティングと営業では「企業の業績をアップさせる」といった大きな目的では共通しますが、それぞれの役割における目的は異なります。
マーケティングの目的は市場動向を的確に把握するとともに、ターゲット市場におけるブランドイメージをアップさせることです。
これに対して、営業の目的はあくまでも「数字」を上げることであり、成約件数・販売額など目に見える成果に拘る傾向が強くなります。
市場におけるシェアという部分では、マーケティングも数値で実績を表すことは可能ですが、営業ほど数字に対する拘りはありません。
そのため、最終的な目的は同じであっても、マーケティングと営業では目的に対する考え方に大きな違いがあるといえるでしょう。
期間が違う
1つの業務にかかる「期間」に対する考え方・手法もマーケティングと営業では大きく異なる要素です。
マーケティングは市場を相手に仕事をしていることから、長期的な視点に立ってじっくりと業務に取り組む傾向が強くなります。
これに対して営業は目の前の見込み客・顧客が相手ですから、必然的に短期間で結果を求める傾向が強くなるといえるでしょう。
また、会社もマーケティングに対しては獲得したリードを時間をかけて見込み客に育成し、営業部門に引き継ぐことを求めます。
一方営業に対しては、時間をかけて育成した見込み客から、短期間で成果を出すよう求めるのが一般的です。
営業担当者とマーケティング担当者が連携できない理由
前項では営業とマーケティングの違いについて「役割」「目的」「期間」の観点から解説しました。
両者とも最終目標は「会社の業績を上げる」ことであり同じ目標に向かっているにも関わらず、なぜ連携できないのでしょうか。
ここでは、改めて営業担当者とマーケティング担当者が連携できない理由を考えてみましょう。
マーケターは何を考えている?
マーケターが考えているのは「将来にわたって売れる仕組みを作ること」であり、その主体は「市場」です。
マーケターは市場動向を的確に分析し、ターゲット市場における自社の立ち位置・シェアを向上させるべく様々な戦略を構築しています。
とりわけ、自社のブランドイメージを高めれば市場拡大にも好影響を与え、顧客獲得にもつながることが明らかです。
したがって、マーケターは効果的なブランディングによって、自社企業のイメージを高めることがマーケット部門の使命だと考えています。
営業は何を考えている?
営業が考えているのは「自社商品・サービスを数多く販売すること」であり、その主体は「顧客」です。
営業は見込み客との信頼関係を構築し、具体的な提案を行うことで成約に結びつけるべく様々な手法を実践しています。
企業の最前線で顧客と対応していることに誇りを感じており、営業マンにとっては「顧客」が全てです。
つまり、営業は顧客のニーズを的確に把握し、それに沿った自社商品・サービスを提供することが営業部門の使命だと考えています。
マーケターの会社への貢献の指標とそのために必要な能力
マーケターはターゲット市場における自社のシェアをアップさせること、リードを獲得・育成することで会社に貢献します。
したがって、マーケターの会社の貢献度を指標にするなら以下の項目が適切です。
- ターゲット市場における自社のシェア伸び率
- リードの獲得数もしくは営業に引き継いだ見込み客数
なお、これらの指標をクリアにあるには以下の能力が必要とされています。
- 経営者としての視点
- 柔軟性に富んだ仮説を想像する力
- 顧客の志向を分析・理解する力
いずれにしても、マーケターは将来的な見地から、物事を冷静に分析する姿勢が重要だといえるでしょう。
営業の会社への貢献の指標とそのために必要な能力
営業はマーケターから引き継いだ顧客データを基に、顧客との信頼関係を築き実績を上げることで会社に貢献します。
したがって、営業の貢献度を指標とするなら以下の項目が適切です。
- 自社商品・サービスにかかる販売実績
- 新規顧客の獲得数/リピーターの確保数
なお、これらの指標をクリアにあるには以下の能力が必要とされています。
- 高いコミュニケーション力・交渉力
- 円滑な人間関係を構築できる力
- 自分の言葉で話せる力
いずれにしても、営業は現状を踏まえながら短期的に実績を上げる手法をマスターすることが大切だといえるでしょう。
マーケティングと営業の現場の状況を把握しよう
マーケティングと営業が連携するには、双方が現場の状況を理解し合うことが不可欠です。
そのためには、営業とマーケティングが具体的に何を理解・共有すべきかを明らかにすることが大切だといえます。
ここでは、マーケティングと営業が双方の現場の状況を確認するために理解・共有すべきことを考えてみましょう。
マーケティングと営業がお互いを理解するべき
マーケティングと営業がお互いに理解し合うには、そのメリットを明らかにすることが不可欠です。
双方が現場の状況を理解し合うことで期待できるメリットは以下のとおりになります。
- お互いの立場が理解できる
- 業務効率が上がる
- 情報共有によって商品・サービスの開発や改善に活かせる
メリットを実感させるには共同でプロジェクトを立ち上げたり、定期的に人事交流を行うなど多くの接点を持たせることが有効です。
役割と目標を設定・共有するべき
マーケティングと営業が双方に現場の状況を理解するには、役割と目標を設定・共有することが有効です。
例えばリードの獲得について、マーケティング部門はどういった質のリードをどのタイミングで営業部門に引き継ぐのかを明確にします。
一方、営業部門はいつまでに引き継いだリードにアプローチして案件化するのかを双方で話し合いながら決めていくといった具合です。
役割と目標を共有することで、双方の間にコミュニケーションが生まれ、相互に連帯感を持たせることができるでしょう。
定期的にKPIの進捗や成果を共有し分析・見直しを行うべき
マーケティングと営業が共有する目標を確実に達成するには、KPIを設定することが不可欠です。
マーケティングと営業が一体となってKPIの進捗や成果を分析・見直しを行うことでさらに連携が深まります。
また、双方が連携してPDCAサイクルを回すことで、大きな相乗効果が期待できるとともに成功体験を実感させることが可能です。
マーケティングと営業が連携して成果を高めるためにすべきこと
マーケティング担当者と営業担当者が相互に現場の状況を把握できれば、連携強化に対する不安や反発も解消することができます。
しかし、相互に現場の現状を確認するだけでは、大きな相乗効果を期待することはできません。成果を高める取組みが必要です。
ここでは、マーケティングと営業が連携して成果を高めるために取り組むべきことについて考えてみましょう。
売上に繋がるリードの現状分析をする
マーケティングと営業の間に「壁」ができる要因の1つに、リードに対する認識の違いが挙げられます。
マーケターが「成約に結びつく」と判断したリードが、営業担当者からすれば「見込みがない」と感じることは少なくありません。
これは「売上に繋がるリード」に対する共通認識がマーケット担当者と営業担当者の間でできていないことに起因します。
したがって、営業担当者とマーケット担当者の認識のズレを修正するには、売上げにつながるリードの現状分析が不可欠です。
営業担当者とマーケット担当者がしっかりと議論することで、まずは双方の認識を一致させることに取り組みましょう。
リードを選別する基準とフローをつくる
売上に繋がるリードの特徴・質に対する共通認識が共有できたなら、リードを選別する基準と作業フローをつくりましょう。
一般的にリードの選別にはMAツールを活用しますが、営業に引き継ぐリードのスコア基準を明確にしておくことが鉄則です。
さらに、基準となるスコアをクリアしたリードをどのタイミングで営業担当者に引き継ぐのかも大きなポイントとなります。
また、営業担当者は引き継いだリードに「いつまでにアプローチをするのか」など、一連の作業をフロー化しておくと良いでしょう。
それぞれのKPIとマーケティング活動の売上貢献度合いを可視化する
リードを選別する基準とフローが完成すれば、マーケティング担当者・営業担当者のそれぞれにKPIを設定しましょう。
マーケティング担当者であれば、「いつまでにリードを育成するのか」「月間何人のリードを営業に引き継ぐのか」などです。
営業担当者は「いつまでに何件アポを取るのか」「何件成約するのか」などをKPI指標とすることで、売上貢献度合いを可視化できます。
なお、KPIの分析結果はマーケティング担当者と営業担当者が共有することで、より効果的にPDCAサイクルを回すことが可能です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
対策の効果は数字に表れる
マーケティングと営業は役割や考え方の違いを理解して連携することで、その効果は確実に数字に現れます。
マーケティング部門が上手く機能すれば営業効率が良くなり、営業担当者はより多くのリードにアプローチ可能です。
アプローチする件数が増えれば、必然的に契約件数が増えるでしょう。しかもアプローチするリードの質は一定基準をクリアしています。
したがって、マーケティング部門と営業部門が連携することで、より大きな相乗効果が数字に表れるといえるでしょう。
マーケティングと営業の連携で悩んだら
マーケティングと営業の連携は不可欠ですが、実際に取組むとなると思いもよらない事態になることも少なくありません。
様々な事態を打開するには、豊富な経験と高いスキルが必要ですが、一朝一夕にマスターすることは困難です。
そこで、頼りになるのがコンサルです。コンサルはマーケティングと営業の連携強化に数多く取り組んでいます。
職場の特性にマッチした、マーケティングと営業の連携強化の方法を的確にレクチャーしてくれるでしょう。
新規顧客獲得の事例はこちら
まとめ
多くの企業がマーケティングと営業の連携が不可欠であることを認識していますが、その実現には苦慮しているのが現状です。
なお、マーケティングと営業の連携が上手くいかない理由には、会社への貢献内容や必要なスキルなどの違いがあげられます。
マーケティングと営業の連携を強化するには、双方で役割や目標を共有しそれぞれのKPIを確実に遂行することが大切です。
しかし、マーケティングと営業の連携強化は決して簡単なことではありません。そこで活用したいのがコンサルになります。
コンサルは様々な職場でマーケティングと営業の連携に力を発揮しており、その職場に適した解決策をレクチャーしてくれるでしょう。