新規事業が成功するかどうかはマーケティング戦略にかかっているといえます。
新規事業を始めるにあたり市場環境の調査や自社の優位性など分析が欠かせません。
その分野が今後も本当に成長していけるのか、その根拠をしっかり示せることが大事です。
単なるブームや一過性のものであればリスクを背負うことになるからです。
今回は新規事業を成功させるためのマーケティング戦略の重要性、フレームワークなどを紹介します。
目次
新規事業を成功させるためのマーケティング戦略の重要性を解説
新規事業を成功させるためには、マーケティング戦略の重要性を理解しておかなければなりません。
なぜマーケティング戦略が必要なのでしょうか。
それは次のような状況に陥らないためです。
- 顧客のニーズがなかった
- 想定していた市場規模が成長しなかった
- 競合他社との差別化ができず自社の特色が出せなかった
例えニーズがあっても消費者が認知できなければ商品は売れません。
また、ターゲットを間違えても同じことがいえます。
さらにあてにしていた市場が盛り上がらず、もくろみが外れる場合もマーケティング戦略不足といえるでしょう。
ニーズがある市場には競合他社がひしめいています。
そこでビジネスをやって行くなら競合他社にはない特徴を前面に出してマーケティングしなければなりません。
このようにマーケティング戦略は非常に重要なのです。
新規事業におけるマーケティング戦略の重要性
ビジネスが複雑化する中で、漫然とマーケティングしていても経営資源を無駄に費やすだけです。
新規事業ではターゲットをセグメントし、商品やサービスの優位性をアピールすることが重要になります。
マーケティング戦略を見誤らないために、分析・企画・立案は慎重に行うことがポイントです。
そしてビジネスフレームワークを活用するなどして課題を洗い出し、解決していきます。
フレームワークとは意思決定・分析・戦略立案などの枠組みのことで、図式化することができます。
フレームワークに自社のビジネスを当てはめることで分析が効率的にできるのです。
マーケティング戦略の事例はこちら
新規事業開発のためにすべきこと
新規事業開発のためにすべきことをいくつか見ていきましょう。
ニーズの調査・分析
ニーズの調査とはアンケート調査などでユーザーのニーズを知る典型的なマーケティング戦術の1つです。
調査によって市場の将来性を見極めることができます。
参入する市場に将来性があるかどうかは重要であり、期待感が先行して誤った判断をしないようにしましょう。
新規事業を立ち上げた時に撤退ラインを設定しおくことも欠かせません。
既存の事業へのダメージを最小限に抑えることも企業にとっては大切です。
また、新規分野に参入する場合、経営資源や経験が不足している会社にとって、競合他社は脅威です。
相手が市場のシェアの多くを握っていればまともに競っても負けてしまう可能性があります。
ライバルとの争いを回避して自社のポジショニングを優先しましょう。
市場調査を補完する目的で、Googleアナリティクスによるユーザーの動線分析・SNSでの調査・店舗調査も実施してみるのも効果的でしょう。
事業のアイデアや方向性の決定
新規事業の開発には、自社の事業のアイデアや方向性を決定する必要があります。
企業は同じ製品やサービスをただ提供し続けていては衰退してしまうからです。
企業が成長し続けるためには主に4つの方向性があります。
- 市場浸透
- 市場開拓
- 製品・サービス開発
- 多角化
既存の商品・サービスを市場内で強化していくことを「市場浸透」といいます。
既存の商品・サービスを新たな市場に供給するのは「市場開拓」になります。
既存の市場に新たな商品・サービスを供給するのは「製品・サービス開発」です。
新たな商品・サービスを新たな市場に供給する「多角化」があります。
新規事業開発は「市場開拓」「製品・サービス開発」が該当します。
事業内容の構築
新規事業開発には、骨格を組み立てて、確固たる事業内容の構築を行う必要があります。
下記の3つを行い、崩れることのない構築をしましょう。
- コンセプトの決定
- 事業モデルを構築
- 事業展開の計画を立案
コンセプトの決定では、いつ・なぜ・誰が・どこで・何を・どのようにして・いくらで、を決定します。
そして、顧客が自社の商品を購入するシミュレーションを明確化します。
事業モデルの構築は、決定したコンセプトを実際の事業モデルに実現していくプロセスです。
自社に必要なリソースを獲得し、強みに直結する機能を追加していきましょう。
構築した事業モデルをもとにどのような事業展開をすべきか事業展開の立案をします。
事業開始日から数年後までのビジョン、事業拡大マトリックスを把握し時系列ごとに比較します。
その上で必要に応じたプランを完成させるのです。
こうすることで抜け目がない事業内容の構築を行うことが可能になります。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
新規事業開発後にすべきこと
新規事業開発時だけでなく、その後もすべきことはあるので、細心の注意を払う必要があります。
なぜなら、市場の動向や変化により、ユーザーのニーズや関心が変わる可能性があるからです。
新規事業開発時に想定していたシナリオが開発後に変わることはよくあります。
市場はそれだけ常に動いているということです。
ここでは新規事業の開発後にすべきことを解説します。
事業の分析
事業を分析することは、新規事業開発後も欠かせません。
後述するフレームワークを使用して行うのですが、分析方法や速度を誤ってしまうと、自社が大ダメージを被ることになってしまいます。
こうなってからでは、フレームワークの選定のやり直しに時間やコストが大幅にかかってしまうのです。
その結果、追い付くまでに何十倍もの労力を費やさなければなりません。
最悪の場合、事業を撤退することになってしまいます。
そのためにも開発後もしっかりと分析をしてください。
事業内容の修正・改善
分析を行ったら、必ず事業内容の修正・改善を行うようにしましょう。
また、自社の強み・弱みは市場の状況や競合相手によって影響を受けるので、早めに修正・改善を施します。
単に現状の分析結果のみを把握するのではなく、先の傾向も予測し、修正・改善していけばいいでしょう。
そのためには、自社内での情報共有は重要です。
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新規事業の成功のためにはフレームワークが欠かせない
新規事業の成功のためにはフレームワークが欠かせません。
なぜなら、フレームワークを使用することで、マーケティングの動きを素早く、かつ労力を抑えて分析し実行に移せるからです。
フレームワークは、市場環境の調査やリサーチ、自社の優位性など一定基準を枠組みし、分析・パターン化したものです。
フレームワークを活用しなければ、環境の変化で、マーケティングのチャンスを失い、競合会社に先を越されてしまったりします。
新規事業開発時に役立つフレームワーク
新規事業開発時に役立つフレームワークとは、調査・分析・サービス構築・事業の修正や改善など分析検討する際に活用する枠組みです。
フレームワークを活用すれば自社にとって有益な新規事業の開発ができます。
それではフレームワークについて詳しく解説していきます。
ポジショニングマップ
ポジショニングマップはターゲッティングやセグメンテーションにおける自社の立ち位置のことです。
どのようにして差別化をしていくのかというポジショニングを明確にするためのフレームワークです。
ポジショニングマップを適用することで、自社の位置を可視化でき、競合優位性のあるポジショニングを実現することができます。
しかし、軸の設定の仕方によっては、差別化を図ることができなかったりします。
差別化ができたとしても、需要から逸脱した位置へポジショニングを行ってしまうことがあるので注意が必要です。
3C分析
3CはCustomer(市場・顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の3つの要素を分析する手法です。
3Cを用いることによって、事業やマーケティングの成功要因を導き出すことが可能になります。
自社の新規事業開発に大きなメリットを与えてくれるのです。
Customerは自社の製品やサービスを購入する見込みのある潜在顧客を把握したい時に活用するものです。
また、市場の規模や成長性・需要度・購買決定へのプロセス、購買決定者などの分析も行います。
Competitorは、同じ市場において、顧客層とニーズがマッチする相手を対象に分析をします。
企業規模、広告などのやり方からマーケティングにおける寡占状況・強み・弱みが分析可能となるのです。
また、競合には直接自社の製品やサービスを比較の対象にする直接競合と間接的に顧客に同等の価値をもたらす間接競合があります。
直接競合は明らかになっていることが多いため、分析から外れることはありません。
しかし、間接競合は市場や顧客の把握が不明瞭であれば、分析から外れてしまうことがあるので注意が必要です。
Companyは、CustomerとCompetitorの2つの分析結果をもとに行う分析になります。
顧客に対する自社の製品やサービスの提供価値から、競合社と比較した時の強み・弱みや市場での認知度を分析することです。
また、自社の人材や資産の経営資源も分析します。
これを行うことで、現状で自社が取るべき対策や先の経営戦略まで方針を定めることが可能です。
ただし、市場の動きや自社の強み・弱みは次々と変化して行きます。
3C分析を行って満足するのではなく、日々新しい情報を更新・分析していくことで最高の新規事業開発が行えます。
ペルソナ分析
ペルソナ分析とは顧客の年齢・性別・居住区・職業・ライフスタイルまで細かな情報を設定して、分析する手法です。
顧客のニーズに最適な商品やサービスを提供することができ、マーケティングを大きく有利に進めることができます。
また、Webやソーシャルメディアで集客することもできます。
自社でデザイナーや営業の異なった職種との間でも、共通の意識を持つことができるので、ターゲットの誤認識を未然に防ぐことが可能です。
ペルソナは理想の顧客像を作るのではなく、既存の顧客の情報や調査データから架空の顧客像を作ることです。
従ってペルソナ分析は様々な商品やサービスのマーケティングに有利なります。
新規事業開発後に役立つフレームワーク
新規事業開発後に役立つフレームワークは下記の3つあります。
詳しく解説します。
SWOT分析
SWOT分析とは、自社内と社外について分析を行うことであり、下記の4つの分析を実行することです。
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
Strength(強み)は、目的達成のために貢献する自社の強みや、競合会社に対して有利な状況を作れる能力のことです。
Weakness(弱み)は、目的を達成する上で、自社にとって不利になる弱点や、競合会社に対して劣勢となる能力をいいます。
Opportunity(機会)は、自社にとって有益なビジネスチャンスが生まれる市場の変化・競合会社の動きのことです。
Threat(脅威)は、自社にとって不利になる脅威である規制強化や法改正・市場の変化・競合会社の動きをいいます。
これら4つを洗い出すことで、自社が市場や競合会社に対して、どのような立場にあるのか、将来のビジョンが分析できます。
事業の目標設定や今後の行動方針の決定する際に有利となるでしょう。
さらに、クロス分析を行うことで、リスクに備えられるだけでなく、圧倒的な量の戦略を導き出すことが可能となります。
AISAS
AISASとはAttention(注意)・Interest(興味)・Search(検索)・Action(購入)・Share(情報共有)の略語です。
ネット上での消費者がある商品を閲覧してから購入に至るまでのプロセスを指します。
AISASを考慮することで、消費者の購買プロセスを徹底したマーケティング戦略を行えるのです。
SEOを考えることで検索エンジンの上位にランクインできたりします。
また、商品の値段や発送日、決済方法を分かり易く表示すれば、顧客の購入意識が上がり、最終的に購入へと繋げることが可能となるのです。
顧客は再度お店を利用して、最新の情報をいち早くメールで受信したいので情報共有をするようになります。
商品のファンになってくれれば、情報共有してくれた顧客はコメントしてくれるようになります。
高い評価であれば、他のユーザーにも広がり利益向上に繋がるでしょう。
PDCA
PDCAサイクルはあらゆるビジネスにおいて必須なツールです。
4つのサイクルを繰り返すことによって、問題点や課題を明白にし、改善を図るフレームワークです。
Plan(計画): ターゲットとする顧客層、自社の方向性、将来性を考慮した計画を立てます。
Do(実行):立てた計画を店舗の出店や製品の販売によって、実行に移し、記録や情報に残すことです。
Check(評価):計画に沿った実行ができているのか、目標が達成できているのか評価します。
Action(改善):評価した結果から問題点を検出し改善します。
PDCAサイクルは時間がかかってしまうものの、SWOT分析やAISASで発見できなかった細かな問題点を発見できるのです。
ただ、改善の見込みがない場合は、途中で撤退する迅速な判断も要求されるので心しておきましょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
マーケティング戦略を考える際のポイント
マーケティング戦略を考える際に2つのポイントがあります。
マーケティング戦略を考える上でも必要不可欠ですので、しっかりとおさえておきましょう。
市場分析を行う
フレームワークを用いて、的確に素早く市場分析を行いましょう。
例えば、リモートワークが広がり、ネットショッピングの需要が高くなっています。
そこでネットで商品を売る方法を考え、ターゲットとする顧客の属性に合わせた販売方法をする必要があります。
この時にフレームワークを用いれば、細かく市場を分析することが可能です。
自社の強みを明確にする
次に自社の強みを明確にしておきましょう。
例えば、顧客に商品やサービスを販売しようとしましょう。
競合会社がすでに顧客のニーズを満足していると、自社を利用してくれなくなってしまいます。
そういう時は、競合会社に対して自社の強みを明確にし、差別化を図るようにするのです。
例えば、原材料を工夫して安く仕入れることによって、競合会社よりも安価な価格で販売できるようにします。
ネットでの販売を通常の販売よりも安価にして、商品の検索から購入のし易さ、配送サービスを充実させます。
こうした施策を取ることで、顧客が自社の製品に興味を持つでしょう
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新規事業のマーケティング戦略で困った時は?
新規事業を立ち上げるのはリスクを伴うため綿密なマーケティングが欠かせません。
ニーズがあるターゲットに対して最適な情報を届けられるように集客やマーケティング戦略を練る必要があります。
ただ、新規事業のマーケティング戦略は誰でも不安になるものです。
どのようなマーケティング戦略がいいのか困った時はデジマクラスにご相談ください。
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まとめ
新規事業を成功させるためのマーケティング戦略の重要性について解説しました。
市場の動きや顧客の属性を把握し、いち早くニーズに合わせた商品を提供しましょう。
競合会社に絶対に負けることのない新規事業開発が行えるだけでなく、永続的に成功することが可能となります。