企業が広告の出稿を考えている場合、広告代理店にお願いする場合があります。

広告代理店と関わったときに大事な話となってくるのが広告費です。

そんな広告費について「グロス」「ネット」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?

広告費を運用する上でも、このグロスとネットについて理解しておく必要があります。

ここでは、グロスネットのそれぞれの特徴について解説していきます。

またどのように使われるのか、そして注意点も解説していくので参考にしてください。

グロスとネットの概要

BtoB

広告のマーケティングに関わるのであれば、グロスとネットについて理解しておくことが必要です。

業界用語として活用されていることが多く、意味を理解しておかないと間違った捉え方をしてしまうかもしれません。

グロスとネットのそれぞれの特徴について解説していきます。

グロスの特徴

グロスは全体という意味をもちます。

広告業界で用いられる意味としては、広告代理店に支払う広告費の総額のことです。

広告代理店は、広告主から依頼を受けて広告の運用を行っていきます。

運用には、純粋に広告費に関わってくる費用と代理店の手数料の2つが関わってくるのです。

代理店に広告主が支払うのは、このグロスと呼ばれる2つを合わせたトータルの金額になります。

ネットの特徴

グラフ

ネットは純量という意味をもちます。

広告業界で用いられる意味としては、純粋にかかってくる広告費のことです。

原価のことを指し、広告に関わってくる費用のみのことを指します。

グロスは広告費と手数料の2つが合わさった意味であることをお伝えしました。

この広告費はネットのことです。

代理店が広告費という場合は、このネットを意味していることが多くあります。

手数料はマージン

グロスの中には、手数料も入っています。

手数料のことをマージンと呼び、ビジネスで使われることが多いです。

マージンは代理店の利益に関わってくる部分になります。

代理店が依頼された広告の運用を無料で行っていたら、倒産してしまうでしょう。

運用にも、人員などのコストがかかっています。

そのコストを代理店はマージンとして広告費を請求するのです。

手数料○%というのがマージンのことを意味します。

 

ワンポイント
・グロス…マージンも含めた広告費の総額
・ネット…純粋にかかってくる広告費
・マージン…広告代理店手数料

グロスとネットはどのように使われる?

ファイルを持つビジネスマン

グロスとネットについて意味は理解できましたか?

グロスやネットは打ち合わせなどで、マーケティングに関わっている場合であれば耳にすることが多くなるでしょう。

どのように使われているのか理解しておくとスムーズに内容が入ってきます。

どのような場合に使われるのかご紹介するので参考にしてください。

原価と定価の場合

原価定価の意味で活用される場合があります。

広告業界で活用される時は、原価(ネット)定価(グロス)です。

原価が純粋にかかってくる費用で、マージンを足した費用が定価を意味します。

原価と定価は、広告業界以外でもビジネスでは多く活用されているのが特徴です。

例えば、アパレル業界では次のような意味で活用されます。

  • 定価…店舗で販売されている洋服の値段
  • 原価…洋服を仕入れている値段

ここでいう定価はグロス、原価はネットを意味します。

アパレルでは店舗に店員がいるのでその人員のコストもかかっており、原価に加えてそのコストが入った分が定価の金額で販売されているのです。

この人員のコストは、マージンを意味します。

ゴルフで使用される場合

グロスとネットはゴルフでも活用されます。

ゴルフでのグロスとネットは下記のような意味です。

  • グロス…18ホール回った総スコア数
  • ネット…総スコア数からハンディキャップを引いた数

ハンディキャップは、マージンの意味と同じです。

ゴルフは公平さを保つためハンディキャップがあります。

ゴルフの経験があり上手い人は、良いスコア数になるでしょう。

良いスコアを出されてしまうと初心者は勝つことができません。

そのため、経験がある上手い人にはハンディキャップが用いられるのです。

このようにビジネス以外でも活用される場面もあります。

 

ワンポイント
グロスとネットはあらゆるビジネス業界または他の場面でも活用されている言葉である。

マーケティングではネットでの取引が増加している

パソコン

広告のマーケティングは、以前と比べて随分と変わりました。

それはインターネットの普及が大きく関係しています。

以前は広告といえば下記のような媒体が主流でした。

  • テレビ
  • 新聞
  • 雑誌

このような媒体で広告を出稿する際には広告代理店を通し広告を運用していた企業がほとんどです。

しかしインターネットが普及し広告の市場が大きく変化しました。

Webでの広告媒体が増え、価格も安価から運用できるようになったのです。

広告代理店を通しての場合だと、広告主はマージンも入ったグロスで支払いをすることになります。

Web広告の場合、広告代理店を通さず自社で広告を運用する企業が多くなりネットでの取引が増加しました。

広告を運用できるようなツールも増えてきていて、自社での運用が気軽に行えるようになってきたことも大きく関係しているといえるでしょう。

広告代理店を通すことなく、広告の予算も抑えて運用できるメリットもありネットで取引する企業が増えているのです。

広告におけるグロスとネット

点

広告におけるグロスとネットの考え方について理解しておくようにしましょう。

広告費の設定の場合やCPAを考えたときについて解説していきます。

広告費の設定は必ず確認しよう

広告費を設定する際には、どのくらいのマージンがかかりグロスを支払うことになるのか確認するようにしましょう。

広告代理店によってマージンは大きく変わってきます。

どのくらいネットがかかっているのか把握しておくことが重要です。

広告代理店によってはマージンが抑えられ、支払うグロスを安く抑えることもできるかもしれません。

安ければ良いというわけではありませんが、妥当な金額か判断するためにも確認しておくことが重要です。

CPAを考えるときにも確認しよう

人さし指を立てるビジネスマン デジタルアイコン 画像

CPAを考える際にも確認するようにしましょう。

CPAとはCost Per Actionの略で、顧客獲得単価のことです。

1人の顧客を獲得するためにどのくらいのコストがかかっているのか表す指標のことになります。

CPAを考えたときに、グロスとネットそれぞれでどのくらいのコストがかかっているのか計算してみましょう。

グロスで計算するとCPAが高く、ネットで計算するとCPAが低くなる場合が多くあります。

CPAを低くしたいと考えている場合は自社運用がおすすめです。

グロス・ネットそれぞれで計算した際にCPAの値が大きく変わらない場合は、広告代理店に任せても良いという判断になるでしょう。

このようにグロス・ネットそれぞれを確認しておくことで、どのように広告を運用し予算を組んでいくかという大事な情報となるのです。

 

ワンポイント
広告費の設定、またCPAを考えたときにはグロスとネットをしっかり確認しておくことが重要。

予算を考えるときにグロスとネットを確認しないとどうなる

相違点,PC

企業はそれぞれの事業や施策に予算を組んでいきます。

予算を考えるときにもグロス・ネットを確認しておくことが重要です。

確認しないとどのようなことが起こるのかみていきましょう。

起こりうる問題

広告にかかる費用がグロスかネットか確認しないと下記のような問題が起こるかもしれません。

例えば、広告にかける予算を50万円と決めたとしましょう。

その50万円がグロスであれば大きく予算が変わることは少ないです。

しかしこの50万円がネットであった場合、50万円に追加してマージンがかかってくるので費用が大きく変わる可能性があります。

グロスかネットかを確認しておかないと、予算より多くかかってしまうかもしれないのです。

同じ見積もりに見えても違いがある

見積もりを出された際には、グロスかネットどちらの費用でかかれているのか確認しましょう。

企業によって見積書のフォーマットは変わってきます。

金額の箇所にマージンも含まれたグロスの金額が書いてある場合もあるでしょう。

または、ネットの金額が書かれて別途でマージンの費用が書いてある場合もあります。

多くの企業は広告の運用を始めるときには、広告代理店の相見積もりを取ることが多いです。

例えば見積もりを見比べたときに、金額が変わらないから安い金額の書いてある広告代理店に決めたとします。

もしその見積もりがネットの費用であれば、追加でマージンがかかるので予算を超えてしまうかもしれません。

同じ見積もりに見えても違いがあるので注意しましょう。

 

マーケティング戦略の事例はこちら

 

広告の費用と相場

ビジネスマン

広告の費用はどのくらいかかるのでしょうか。

それぞれの相場についてご紹介していくので参考にしてください。

新聞広告

新聞を取る人は減っていますが、以前から人気のある広告の種類です。

一面全てカラーで掲載した場合の費用は下記になります。

  • 読売新聞・・・約48,000,000円
  • 朝日新聞・・・約40,000,000円
  • 日本経済新聞・・・約20,000,000円
  • 産経新聞・・・約14,400,000円
  • 毎日新聞・・・約26,000,000円

全5段は下記のような費用です。

  • 読売新聞・・・約18,000,000円
  • 朝日新聞・・・約16,000,000円
  • 日本経済新聞・・・約7,400,000円
  • 産経新聞・・・約5,000,000円
  • 毎日新聞・・・約9,600,000円

上記でお伝えした費用は全国版の場合です。

東日本全域の場合など全国版と比べると費用は抑えることができます。

広告の中でも費用がかかることが特徴です。

幅広いターゲットに訴求できることがメリットといえるでしょう。

雑誌広告

雑誌広告の相場は、50〜250万が相場です。

1ページカラーで掲載した場合は下記のような費用になります。

  • 日経ビジネス・・・約2,600,000円
  • 週刊文春・・・約1,900,000円
  • 女性自身・・・約1,700,000円
  • MORE・・・約2,500,000円
  • レタスクラブ・・・約2,200,000円
  • 日経ヘルスケア・・・約520,000円

同じ1ページカラーでも上記のように費用が大きく変わってきます。

予算ターゲットを明確にして決めていくことが重要です。

雑誌広告は、特定のターゲットに絞って訴求することができます。

訴求したいターゲットの雑誌を絞り広告を出稿していくことがポイントです。

テレビ広告

テレビ

テレビ広告は大きい影響力があり、人気がある広告媒体です。

5秒CMを放映するのに下記のような費用になります。

  • 日本テレビ・・・約75〜100万
  • テレビ東京・・・約25〜50万
  • TBSテレビ・・・約75〜100万
  • テレビ朝日・・・約75〜100万
  • フジテレビ・・・約75〜100万
  • 東京MX・・・約4万

CMを流す時間帯によって変わってくるので、あくまでも参考価格として考えてください。

この金額に制作費用が追加でかかってきます。

どのようなCMにするのかで制作費用は変わってくるので注意してください。

電車広告

広告の中でも費用対効果が高く人気があるのが電車広告です。

毎日同じ電車に乗る人も多く、ブランディングに大きなメリットがあります。

電車広告といってもさまざまな種類があるのが特徴です。

電車の中に吊るされているポスターや、ドア横にあるもの、電車内で流れるデジタルサイネージの広告もあります。

中吊り広告と呼ばれる電車内で吊るされている広告は、山の手線でシングルの場合、約2,200,000円です。

ドア横の広告の場合は、JR東日本全線で1車両4枚出稿した場合、約20,000,000円になります。

利用する人が多い路線は費用が高くなる傾向です。

乗降者が多い路線でも、広告の種類によっては費用を抑えて出稿できる場合もあります。

Web広告

Web広告は、スマホの普及に伴い出稿する企業が増えました。

Web広告には下記のような種類があります。

  • リスティング広告
  • 動画広告
  • SNS広告

リスティング広告は、検索結果に表示させる広告です。

検索の内容に連動して表示させるので、コンバージョン(成果)に繋がりやすいのがメリットになります。

リスティング広告は、クリックされることで課金されていくシステムです。

1クリックの相場は、10〜500円位になります。月約20万を予算としている企業が多いです。

動画広告はYoutubeなどの動画サイトで、最初や途中で流れてくる広告のことになります。

1再生あたりの相場は、数円〜20円程度です。

動画広告は月で換算すると数万〜数十万単位で幅広く、Web広告の中では費用が高めなことが特徴になります。

SNS広告は、InstagramやTwitterなどのSNSを活用した広告です。

クリック課金型の相場は、20〜200円程度になります。

SNS広告は安価で始めることができ、ターゲットも絞りやすいので活用する企業が増えていることが特徴です。

 

マーケティング戦略の事例はこちら

 

グロスでCPAを見ると失敗する?

SNS,炎上

CPAを考えるときには、グロスかネットか確認することが大事であることをお伝えしました。

グロスでCPAを考えたときには、CPAが高くなる可能性が高いです。

CPAが高いため自社運用に切り替えて進めていくということは一概に正解ではないので注意しましょう。

グロスには、広告代理店のマージンが含まれています。

そのマージンの中には、広告を適切に運用し高い成果を出すため動いてくれる人件費が含まれているのです。

自社運用を行った際にも広告を運用するための人件費がかかります。

成果を出すためコストがかかり、自社運用の方が高いCPAになってしまうかもしれないのです。

グロスだけでCPAをみて判断すると失敗する可能性もあるので注意しましょう。

 

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代理店との付き合い方

握手

広告を出稿する際には、広告費がかかります。

広告の種類によっては莫大な予算をかけて行う場合もあるでしょう。

予算を管理し広告を運用していくためにも、広告代理店としっかりすり合わせをすることが重要です。

グロスかネットかを確認し、打ち合わせなどでは認識が合っているのか確認することがポイントになります。

認識のすり合わせをしておかないと、広告の出稿が決まり支払い時に予算をオーバーしトラブルが起きてしまうかもしれません。

広告代理店、広告主の双方でコミュニケーションを取っていくことが重要です。

 

ワンポイント
広告代理店と認識のズレがないようにすり合わせておくことが重要。

グロスとネットで悩んだら

コンサルティング

広告を運用していくためにも、グロスとネットについて正しく理解しておく必要があります。

グロスとネットが混同しトラブルにならないためにも広告代理店と上手く付き合っていくことが重要です。

自社にとってグロス、ネットどちらで運用してくのが最適なのか悩んでいる企業もあると思います。

グロスとネットに関してお困りであれば、デジマクラスへご相談ください。

あなたの企業に合った最適な運用についてアドバイスさせていただきます。

まとめ

ビジネスイメージ

グロスとネットについてお伝えしました。

広告費としてまとめてくくられてしまうことも多く、グロスとネットを理解しておかないと金額のトラブルが発生してしまうかもしれません。

正しく理解することで、運用をスムーズに進めていけるでしょう。

広告代理店にお願いするのであれば、認識をしっかりすり合わせておくことが重要です。

何かお困りなことがあれば、デジマクラスまでご連絡ください。