アプリのオンボーディングの重要性を解説!オンボーディングの目標設計や考え方は?ユーザーを離脱させない方法や事例もご紹介

アプリを提供する中で、ユーザーの離脱に悩む企業は少なくありません。

ユーザーの離脱を防ぐためにはオンボーディングが重要だと聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

しかし、オンボーディングの重要性や方法まで知らないという人もいるでしょう。

今回は、そんなアプリのオンボーディングの重要性や方法・考え方に至るまで詳しくご紹介します。

オンボーディングの意味

オンボーディングは、新入社員が会社に慣れるようにサポートしていく一連の流れを指します。

単に「育成」や「研修」という意味ではなく、組織の一員として継続的な戦力となることを目指すものです。

このように人事用語として用いられるオンボーディングですが、マーケティングへの活用が注目されています。

新規顧客を獲得したとしても、その顧客が定着しなければ成功とはいえません。

顧客を定着させてリピーターやロイヤルカスタマーを増やしてこそ本当の成功に繋がるのです。

それはアプリにとっても同じことで、ユーザーがアプリをインストールしたらそれで終わりではありません。

継続してアプリを使い続けるユーザーを育成していく必要があるのです。

アプリにおけるオンボーディングの重要性やポイントをこの後詳しく見ていきましょう。

 

マーケティング戦略の事例はこちら

 

アプリにおけるユーザーの動向

ここでは、アプリにおけるユーザーの動向をご紹介します。

ユーザーはアプリに対してどのような行動を起こしているのでしょうか。

ユーザーの1日での離脱率は高い

ユーザーが新たにアプリをインストールした場合、1日で離脱(チャーン)する人が多いといわれています。

せっかくインストールしたのに、1日でやめてしまうことに疑問を抱く人もいるのではないでしょうか。

ある調査では、アプリをインストールした1日後に約7割のユーザーが離脱していることが分かりました。

また14日後には半数、30日後には約9割のユーザーがアプリを離脱しているのです。

この離脱率にはゲームやショッピングなどの種類によって若干の違いはあります。

しかし、1日後・14日後・30日後と推移を見ていくと同じようなユーザー離脱の傾向が伺えるのです。

このようなユーザーの離脱率を考えると、インストールした最初の段階でのオンボーディングが必要といえます。

オンボーディングが突破できなければユーザーは離れる

オンボーディングはユーザーの離脱を防ぐために行われる取り組みです。

早い段階でユーザーにアプリを理解してもらい、成功体験を与える必要があります。

もしそれができなければ、先述したようにユーザーは1日で離脱してしまう可能性があるのです。

また一度アプリを離れたユーザーが自ら戻ってくることはほとんどありません。

 

ワンポイント
1日でアプリを離脱するユーザーが多く、一度離れたら自ら戻る可能性は低いです。

アプリのオンボーディングの重要性

アプリにおけるユーザーの動向を見ると、オンボーディングが重要だということに気づくのではないでしょうか。

ここでは、アプリのオンボーディングの重要性を3項目に分けてご紹介します。

ユーザーの定着の施策はコストを抑えることができる

アプリのオンボーディングは、コスト面から見ても重要なことです。

インストール数が増えても、ユーザーが定着しなければまた新規ユーザー開拓のための施策が必要になります。

しかし、新規ユーザー獲得のための施策は既存ユーザー定着の施策よりもコストがかかることが多いです。

ユーザー獲得のためには、様々なチャネルを使った宣伝活動に多くの費用や時間が必要になります。

しかし、アプリユーザーを定着させるための施策はそれよりも費用・時間ともに抑えることができるのです。

アプリの第一印象を左右する

オンボーディングは、アプリの第一印象を左右するという意味でも重要な位置づけです。

ユーザーは、アプリをインストールする際にどのようなことを気にするでしょうか。

見た目の良さ使い勝手興味など様々な要因が第一印象を決めます。

その第一印象が良ければしばらく使ってみるというユーザーは多いです。

しかし、第一印象が良くなければ「ちょっと違った」「やっぱりやめよう」と思うユーザーも少なくありません。

オンボーディングは、そんな第一印象を良くするためのステップとして重要だということを押さえておきましょう。

サービスの継続的成長に欠かせない

サービスの継続的な成長のためにも、オンボーディングは欠かせません。

先述したように、アプリは1日で離脱するユーザーが多いため、そこを脱却することが重要です。

その最初の段階でどのようなアプローチをするかが、リテンション率(既存顧客維持率)向上のために必要といえます。

それでは、リテンション率を向上させるとどのようなメリットがあるのでしょうか。

リテンション率が向上するということは、リピーターが増えロイヤルカスタマー(優良顧客)の育成に繋がります。

その効果を表す「パレートの法則」をチェックしておきましょう。

パレートの法則とは「2:8の法則」とも呼ばれ、マーケティングでは全体の2割のロイヤルカスタマーが売り上げの8割を占めるという考えです。

つまりアプリでもユーザーをロイヤルカスタマーに育成することで、継続的なサービス成長に繋がる可能性があります。

また既存ユーザーは熱心にアプリを利用したり、第三者にアピールしたりしてくれるでしょう。

オンボーディングによってユーザーを定着させることは、継続的成長につながる要素が多く含まれているのです。

 

ワンポイント
オンボーディングの重要性
・新規顧客獲得よりも低コスト
・オンボーディングがアプリの第一印象を左右する
・継続的成長が望める

オンボーディングの目標設計

マーケティング戦略に目標が必要なように、オンボーディングにおいても目標設定は大切です。

オンボーディングの目標設定は、「新規ユーザーを獲得する」というものではありません。

ユーザーの離脱を防ぎ継続ユーザーを増やしていくことが主な目的になります。

そんなオンボーディングの目標設定をする時に押さえておきたいポイントはこちらです。

  • ターゲットとなるユーザー層を明確にする
  • ユーザーがアプリを使う目的を考慮する
  • ユーザーのニーズを把握する
  • 単に数字を上げるのではなくユーザーの成功体験を意識する

アプリを利用した時の成功体験があれば、1日で離脱せず継続してくれる可能性があります。

「アプリでこんなことができた」「便利になった」というような成功体験は、ユーザーの心を掴むことができるでしょう。

そのためには、アプリのユーザー層やニーズの把握が必要不可欠です。

これらのポイントを踏まえてオンボーディングの目標設定をしてください。

 

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ユーザーを離脱させないオンボーディングの方法

オンボーディングの重要性は理解できても、具体的な方法が分からないという人は少なくありません。

ここではユーザーを離脱させないオンボーディングの方法を3つご紹介します。

ソーシャルログインを活用する

ユーザーを離脱させないオンボーディングの方法には、ソーシャルログインの活用があります。

ソーシャルログインとは、SNSアカウントを使ってWebサイトにログインできるという仕組みです。

ユーザーの利便性を高める方法として多くの企業や各種サービスが導入しています。

そんなソーシャルログインのユーザーにとってのメリットはこちらです。

  • 新たにID・パスワードを設定しなくていい
  • アプリ用のID・パスワードを覚えておく必要がない
  • 簡単に設定できる

SNSのアカウント情報から登録・ログインができるため、面倒な登録作業を省くことができます。

「入力することが多くて面倒」「登録が必要ならやめておこう」というユーザーの離脱を防ぐことができるでしょう。

利用するにあたりユーザー登録が必要というアプリでは、このソーシャルログインを検討することをおすすめします。

ユーザーの動線を意識したチュートリアル

ユーザーを離脱させないためのオンボーディング方法には、ユーザーの動線を意識したチュートリアルがあります。

アプリのオンボーディングでは、初回起動時のアプローチが重要です。

初回起動時の設定や説明が長いと、ユーザーは嫌になって離脱する可能性が高まるでしょう。

また、チュートリアルを行うのに時間がかかると「もういい」と嫌気がさすユーザーもいるはずです。

先述したように、オンボーディングによってアプリの第一印象を左右します。

つまり、ここで失敗するとそれだけ離脱率が上がるリスクがあるというこです。

離脱させないためには、ユーザーの動線を考えたオンボーディングが必要といえます。

先ほどの例でいくと、簡潔で分かりやすい説明やチュートリアルが求められるでしょう。

また、単に簡潔にするだけでなくユーザーが「スキップ」できるという機能があるといいです。

チュートリアルを見るかどうかの選択肢を与えることで、ユーザーの離脱を防ぐことにも繋がります。

アップグレードを意識させる

アップグレードをユーザーに意識させることも、離脱させないオンボーディングとして有効です。

そのオンボーディングの方法として、「プッシュ通知」の活用があります。

アプリを使っていると、キャンペーンやアップデート情報が通知されることがあるでしょう。

これがプッシュ通知というもので、アプリによって様々な使い方があるのが特徴です。

ある調査によると、プッシュ通知によって65%のユーザーがアプリを開くといわれています。

もしアプリをインストールしたまま放置していたとしても、プッシュ通知によってアプリに戻ってくる可能性があるのです。

アプリ内メッセージででアップグレードを通知しても、そもそも利用してないユーザーには情報が届きません。

プッシュ通知を活用して、ユーザーにアップグレードを知らせてください。

オンボーディングを設計する際の考え方

効果的なオンボーディングを行うことができれば、ユーザーの離脱を防ぐことができます。

そのためには、どのようなことを意識してオンボーディングを設計すればいいのでしょうか。

ここではオンボーディングを設計する際の考え方を2つご紹介します。

ユーザー心理を意識する

オンボーディングを設計する際には、ユーザー心理を意識することが大切です。

ユーザーの心を掴むことができなければ継続的な利用につなげることができません。

ユーザーがなぜアプリを使うのか、どのようなことを求めているのかを意識しましょう。

そして、使い勝手や初回起動時の動線も忘れてはいけません。

ゴールから遡ってキーアクションを考える

ゴールから遡ってキーアクションを考えることも、オンボーディングの設計には必要です。

いきなりアプリのオンボーディングを考えようと思っても、どこから手を付ければいいか分からない人は少なくありません。

まずはゴールを明確にして、そのために何ができるのかを考えていきましょう。

目標から遡って考えていくことで、目標がブレないようにオンボーディングを設計することができます。

 

ワンポイント
オンボーディングの設計の考え方
・ユーザー心理を意識する
・ゴールから遡って考える

良いユーザーオンボーディングにするコツ

オンボーディングは、アプリを提供する企業だけでなくユーザーにとって良いものでなければなりません。

ここでは、良いユーザーオンボーディングにするためのコツを3つご紹介します。

一番重要な情報を伝える

良いユーザーオンボーディングにするには、一番重要な情報を伝えることが大切です。

もちろん、企業ではなくユーザーにとって一番重要な情報を伝えましょう。

その重要な情報とは、ユーザーがアプリを利用することでもたらされるベネフィットや成功体験です。

そうすれば「何となく使ってみよう」ではなく「このアプリを使いたい」と思ってもらえるアプリになります。

ログインを簡単にする

良いユーザーオンボーディングにするには、ログインを簡単にすることをおすすめします。

ソーシャルログインを導入すれば登録が簡単に済むのは先述した通りです。

これに加えて、アプリを開いた時に簡単にログインできることもユーザにとってメリットといえます。

例えば「ログインを維持する」といった機能のことです。

一定期間ログインを維持することができれば、ユーザーの使い勝手が向上するでしょう。

反対に毎回ログインが必要だと面倒に感じるユーザーも少なくありません。

ログインを簡単にすることで、良いユーザーオンボーディングとなる可能性があるのです。

継続的に効果測定を行う

継続的な効果測定を行うことも、良いユーザーオンボーディングにするコツの1つです。

実施したことがどのような効果をもたらしたのか、あるいは効果がない場合はその理由を把握する必要があるのです。

オンボーディングの効果測定では、ユーザーの離脱率と定着率に着目しましょう。

ユーザー離脱率は、オンボーディングが終わってからではなくオンボーディング中のユーザーを対象にします。

もし離脱するユーザーがいるようなら、どの段階で離脱が起こるのか確認する必要があります。

ある段階でのユーザー離脱率が高いのであれば、そこを重点的に見直す必要があるからです。

ユーザー定着率は、オンボーディングが完了したユーザーを対象にします。

どのようなことが定着に効果があったのかを振り返ることも、良いユーザーオンボーディングには必要です。

アプリのオンボーディング事例

ここでは、アプリのオンボーディングを成功させた事例をご紹介します。

様々な映像コンテンツを提供する「WOWOW」は、テレビだけでなくスマートフォンアプリで映像が見られるサービスを開始しました。

コンテンツをダウンロードすればオフラインでも視聴できるのがWOWOWのアプリのメリットです。

しかし、WOWOWはアプリのリリース後にユーザーの視点に立っていないことに気づきオンボーディングを始めました。

WOWOWが行ったオンボーディングはこちらです。

  • 初回起動から1日・3日・7日後にプッシュ通知で視聴を促す
  • ユーザーのアプリ内での行動を基におすすめ動画をメッセージで伝える

これらの施策を行ったところ、アプリの継続率は143%、動画再生率は132%改善しました。

WOWOWの事例の驚くべきところは、1か月という期間でこの成果を出したことです。

 

ワンポイント
WOWOWはオンボーディングによって短期間で継続率・動画再生率を向上させました。

 

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アプリのオンボーディングで悩んだら

アプリのオンボーディングは重要なだけあって悩む人は少なくありません。

もしオンボーディングでお困りのことがあれば、デジマクラスにご相談ください。

アプリのオンボーディングの目標設定や効果的に行うコツなどを一緒に検討させていただきます。

デジマクラスの経験豊富なコンサルタントと一緒に、ユーザーオンボーディングを成功させましょう。

まとめ

今回は、アプリのオンボーディングについてご紹介しました。

アプリはインストール後1日で離脱する人が多いのが特徴です。

その離脱を回避して、いかに定着率を上げるか考えていかなければなりません。

もちろん、ユーザーの心理や成功体験にも目を向ける必要があります。

そこで重要なのがオンボーディングなのです。

アプリのオンボーディングでお困りのことがあれば、ぜひデジマクラスまでご連絡ください。

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