ビジネスモデルとは半永久的に利益を得続けられる仕組み・メカニズムです。
強固で綻びの無いビジネスモデルであればあるほど継続性や需要と供給のバランスが安定し、業界のトップランナーでい続けられます。
理想的なビジネスモデル構築のためには「ビジネスモデルとは何か?」を理解することが大切です。
パターンや成功事例など、ビジネスモデルとは何か理解を深めていきましょう。
目次
そもそもビジネスモデルが表す役割
ビジネスモデルとは何か、を一言で表すならば利益を得るためのテンプレート・必勝パターンといえます。
まずはビジネスモデルの概要を理解し理想的なビジネスモデルを構築する事前準備をしましょう。
ビジネスモデルの目的
ビジネスモデルとは何か理解するヒントは元になった英単語にあります。
- ビジネス(business):仕事・職業・事業・商売・利益の取得を目的として行われる仕事や活動
- モデル(model):模型・原型・ひな形・テンプレート・型枠
特にビジネスが持つ意味は幅広く発展しています。
- 企業が行う活動そのもの
- 事業内容、それに伴う業務
- 企業活動によって得られた収入・売上・利益などのプラス
このような意味合いで使うシーンも珍しくありません。
これを踏まえるとビジネスモデル=利益を得るためにテンプレート化(定番化)された活動、ということになります。
つまり、ビジネスモデルを構築するということは利益を得るための必勝パターンを作ることなのです。
ビジネスモデルのわかりやすい例
ビジネスモデルの構造を最もシンプルな形にすると誰に・何を・どのように提供するか、となります。
理解のヒントを得るために米農家を例に考えてみましょう。
米農家のターゲットは米を主食とする人、もしくは米を販売する小売業者です。
つまり商材を提供する誰かとは米を主食とする人、もしくは米を販売する小売業者ということになります。
基本的には日本国内ですがWebビジネスも視野に入れるなら海外の米料理がある国の潜在顧客・見込み顧客も見逃せません。
何については当然お米ということになりますが、商材の特性上ブランドの選定も重要です。
コシヒカリ・あきたこまち・ゆめぴりか・ひとめぼれなど、様々なブランド米の中からターゲットに適したものを選択する必要があります。
どのようには配送ルートという意味もありますが、ステークホルダーについても検討が必要です。
苗を販売する業者や農業用車両メーカーといったステークホルダーと協力しながらメインの米の栽培を担います。
ビジネスモデルの3つの要素
ビジネスモデルをさらに詳細に見ていくと9つの項目がありますが、大きくカテゴライズすると下記3つの要素に分かれます。
- マーケティング
- オペレーション
- ファイナンス/PL
9つの項目とはビジネスモデルキャンバスというフレームワークに登場するものです。
各項目を埋めビジネスモデルキャンバスの構造に当てはめてみると自社のビジネスモデルの全体像を客観的に把握できるようになります。
各項目がどのようなものでどのようなカテゴリに属しているか見てみましょう。
マーケティング
マーケティング要素に属するビジネスモデルキャンバスの項目は下記4つです。
- Customer Segments(顧客セグメント)
- Customer Relationships(顧客との関係)
- Channels(チャネル・販路・接点)
- Value Propositions(提供する価値)
<Customer Segments(顧客セグメント)>
顧客(潜在顧客・見込み顧客・顧客・固定客・ファン)とは誰かを明らかにするための項目です。
例えば、BtoCとBtoBのどちらなのかといった問いからスタートします。また、顧客の悩みやニーズもこの項目に含めてよいでしょう。
<Channels(チャネル・販路・接点)>
顧客に商材を届けるためのルートです。
配送ルートという意味もありますが顧客がどのタイミングで商品を知りどのように理解を深め何と比較したか、という通過点を表します。
通過点となる各チャネルをつなぎ、自然に自社商材へ誘導できる道筋の構築が必要です。
<Customer Relationships(顧客との関係)>
商材と顧客がどのように関わるか、を表します。
例えば、ファストフードチェーンのイートイン・テイクアウト・デリバリーといった関わり方がわかりやすいかもしれません。
対面での商材提供・セルフサービス・オンラインといった選択肢もあります。
<Value Propositions(提供する価値)>
顧客に何を提供するのか、を表す項目で次に紹介するオペレーション要素にも属しています。
- 顧客が持っている悩みの中で何を解決するか
- ニーズが複数あるなら優先順位は
- 何に対してならお金を払ってくれそうか など
商材の根幹にあたる部分なので、特に時間をかけて練りたい項目の1つです。
オペレーション
オペレーション要素を構成するのは次の4項目があります。
- Key Partners(主要なパートナー)
- Key Activities(主要な活動)
- Key Resources(主要な資源)
- Value Propositions(提供する価値)
<Key Partners(主要なパートナー)>
ビジネスを成立させるために何らかのサポートをしてくれるキーパーソンです。
野菜農家の事例でいえば、栽培・収穫に携わる社員や卸先の小売店担当者、ECサイト運用スタッフなどが挙げられます。
また、リソースの確保を他者に頼る場合ならアウトソーシング先の業者も見逃せないパートナーです。
<Key Activities(主要な活動)>
利益を得るまでに取るべき行動のことで、わかりやすくいうと事業内容や各社員が遂行すべき業務のことです。
<Key Resources(主要な資源)>
企業活動に必要な資源のことでひと・もの・かね・情報・時間・権利を表します。
まずは何が足りているのか・足りないのか・過剰なのかを確認してみましょう。
ファイナンス/PL
ファイナンス/PL要素に属する項目は2つあります。
- Revenue Streams(収益の流れ)
- Cost Structure(コスト構造)
<Revenue Streams(収益の流れ)>
顧客がどのように・どのようなお金を払ってくれるのか、という仕組み・メカニズムです。
- 価値を認めてもらう方法
- お金を払ってくれるまでのプロセス
- 対価の設定方法
- 売り方
- プロモーション手法 など
利益を得るまでの収支の流れという意味だけでなく、上記についてもこの項目で明らかにしておきましょう。
<Cost Structure(コスト構造)>
事業活動を行うためにどのような費用がどの時点でどのようにかかるのか、というメカニズムです。
- 各項目を実行するためにいくらかかるのか
- 利益を出すためにどのくらいコストをかけているのか
- かけすぎている項目・かけなさすぎている項目はないか など
提供する価値を維持、もしくは高めながらコストをより低く適切に配分しましょう。
ビジネスモデルのパターン
どうやって利益を生み出すか、その方法を考えた時にお金と価値に注目する2つのアプローチ手法があります。
お金の流れに着目
企業活動に求められるリソースの中でかねに注目したビジネスモデルを構築するパターンです。
例えば、仲介手数料によって利益を得るのであれば商材を提供する人へお金が流れることで自分たちも利益を得る流れが見えてきます。
商材を提供し対価としての利益を得るためにはどうすればいいか、というアプローチが出発点となる考え方です。
価値に着目
顧客が対価を支払いたくなるような価値とは何かを追求するアプローチ方法です。
例えば、仲介手数料の事例でいえば次のような価値に対価が支払われています。
- 自分で探さなくてよい
- 客観的な視点からの選択肢が提案される
- 知識を持った人にお願いできる など
思わずお金を出したくなる価値とは何か?がアプローチの出発点です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
主なビジネスモデルの例
過去のビジネスモデルや成功事例を観察する中で、特に注目したいパターンとして下記6つが挙げられます。
- 広告モデル
- 物販モデル
- サブスクリプションモデル
- フリーミアムモデル
- レンタルモデル
- マッチングモデル
それぞれどのようなものか概要を掴んでみましょう。
広告モデル
オウンドメディアやアフィリエイトなど各メディアに出稿する広告によって得られる収入です。
提供は無料で成果がでれば利益を得られる成果報酬型のビジネスモデルでもあります。
広告による収入を増やすためには訪問するユーザー、そのメディアを利用するユーザーの増加が必要です。
そのため、まずは他メディアとの差別化を最優先に考えてみてください。
物販モデル
わかりやすくいうとものづくりビジネスのことです。
基本的には自社開発・製造・販売まで自社内で行うケースを指しますが、最近はアウトソーシングやOEM・ODMも珍しくありません。
ビジネスモデルの中でもシンプルかつ基本の形なので、提供するものには独自性が絶対不可欠です。
サブスクリプションモデル
料金を支払えばある一定期間に限り商材・サービスが使い放題になる定額制サービスです。
例えば、パソコンのセキュリティソフトウェアサービスや音楽配信サービスがわかりやすいかもしれません。
また、定額制のウォーターサーバーやアミューズメントパークの年間パスポートなども広義のサブスクリプションモデルに該当します。
フリーミアムモデル
フリーミアムとはベーシックな基本プランを無料で使えるサービスです。
有料プランにランクアップすればより多機能でグレードアップしたバージョンのサービスを受けられます。
例えば、オンライン会議ツールのZoomは無料プランのままでも十分なオンライン会議が可能です。
しかし、有料プランに加入すると無料プランのサービスに加えてミーティング参加人数の増加やミーティング動画の保存が可能になります。
レンタルモデル
他者が権利を持っている商材を借りて二次利用することで利益を得るモデルです。
また、自社が権利を有している商材を貸し出すことで利益を得るケースもあります。
例えば、具体的にイメージが浮かびやすい企業としてTUTAYAなどが挙げられるでしょう。
マッチングモデル
サービスを受けたい人とサービスを提供したい人の間を取り持ち、需要と供給をスムーズにするビジネスモデルです。
例えば、求人マッチングサービスを提供するコンサルタントなどがビジネスモデルとしてイメージしやすいかもしれません。
ビジネスモデルの成功事例
ビジネスモデルの成功事例としてコンビニコーヒーの事例を見てみましょう。
<Key Partners(主要なパートナー)>
- コーヒー豆の仕入れ先
- コーヒーマシンのメーカー
- コーヒーカップ・ふた・コーヒーフレッシュ・砂糖などの仕入れ先
<Key Activities(主要な活動)>
- 売上・利益などのデータ収集・分析
- コーヒー豆の仕入れ
- コーヒーマシンの定期メンテナンス・修理
<Key Resources(主要な資源)>
- コーヒーマシン
- 売上・利益・支出に関するデータ
<Value Propositions(提供する価値)>
- 安価にできたてのコーヒーが飲める
- 飲みたい時にすぐ飲める
- 手軽に購入できる
- 手軽さがイメージダウンにならない
<Customer Relationships(顧客との関係)>
- 原則はテイクアウト
<Channels(チャネル・販路・接点)>
- コンビニエンスストアの各店舗
<Customer Segments(顧客セグメント)>
- コーヒーを日常的に愛飲する人
- おいしさはある程度で構わないので手軽にコーヒーを飲みたい人
<Cost Structure(コスト構造)>
- 豆の仕入れにかかる費用
- 機器の購入・メンテナンス・修理にかかる費用
- カップやふたなど消耗品の仕入れにかかる費用
<Revenue Streams(収益の流れ)>
- コーヒーそのものの売上
- コーヒーにあうお菓子やコンビニに来たついでに買う商材とのクロスセル
コンビニコーヒーの成功要因の1つとして大手のカフェチェーンと競合しなかったことが挙げられます。
大手カフェチェーンは落ち着いてくつろげる店内で手間のかかったコーヒーを飲めるという価値がビジネスモデルの軸です。
そのため、コンビニコーヒーと大手カフェチェーンはお互いの利益追求を邪魔しない共存できる関係を構築できました。
強力なライバル候補に邪魔されず共存可能な価値を発見できた点はコンビニコーヒーの成功にとって不可欠な要素だったのです。
優れたビジネスモデルの条件は?
理想的なビジネスモデルは半永久的に利益を得続けられる仕組みです。そのためには3つの重要な条件をクリアする必要があります。
- 継続・持続可能であること
- 模倣が難しいこと、模倣不可能であればベスト
- 提供する価値が最大であること
つまり、競合が少なく最大限の価値提供を長く維持できるビジネスモデルの構築が目標となります。
ビジネスモデルの作り方
ビジネスモデル構築に役立つフレームワークが9セルフフレームワークです。
ビジネスモデルの本質を明らかにする問いを9つ用意し、それを9つのマスに分けて埋めていきます。
9つのマスに入る問いは下記の通りです。
<顧客>
- 顧客は誰?
- 顧客に何を提供する?
- 顧客にどのように提供する?
<利益>
- 誰から利益を得る?
- 何で利益を得る?
- どのように利益を得る?
<過程>
- 誰と協力する?
- 何の役割を果たす?
- どのような過程を構築する?
9つの問いは顧客・利益・過程の3つについて誰に・何を・どのようにという問いを考えるものです。
顧客・利益・過程が縦軸、誰に・何を・どのようにが横軸となります。
9つの問いに明確な答えをすべて用意できれば、利益を得るために何をすればいいかがおのずと明確になるフレームワークです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ビジネスモデル構築のポイント
構築したビジネスモデルが優れたものになっているかどうか、チェックポイントがいくつかあります。
- 実現可否:実現するために十分なリソースを確保できますか?
- ニーズ:需要の発掘とあわせてニーズがあるのにだれも取り組んでいないのはなぜかも考えてみましょう。
- 差別化:単なる差別化だけではなく、競合他社よりも優位な状態にできるかが重要です。
- 利益:特に利益の量と得るまでにかかる時間、必要な利益以上を得られるかに注目してみてください。
- 成長可能性:事業規模を大きくできるかの縦の可能性と、関連業種に広げていけるかの横の可能性を考えてみましょう。
- 継続可否:初期投資にかかる期間・ニーズ・価値提供体制について継続できるかが重要です。
- 代替可否:同業界だけでなく他業界に顧客のニーズを満たすものがないかどうかも注意してみてください。
- 生活に必要か:必要性の程度次第でマーケティングのアプローチが変わることがあります。
- 認知:現状の不便を解消し心地よい状態になるために適度な目新しさや適度に知的好奇心をくすぐるメカニズムが求められます。
- 循環:需要と供給を生み出すサイクルを半永久的に回せるかどうかを検討してみましょう。
例えばニーズはあるのに使い方が難しすぎて認知するのが難しい商材はビジネスモデルの脆弱性につながります。
また、代替不可能でニーズがある商材であっても供給のためのリソースを用意できなのであればビジネスとして成り立ちません。
強固なビジネスモデルを構築する力を身につけるなら
強固で抜け目ないビジネスモデルの構築力を身につけられる仕事をしてみませんか?
そのような仕事に就職・転職を希望しているのであればぜひ、デジマクラスにお手伝いさせてください。
ビジネスモデルを構築できる力は誰もが持っているわけではない、ビジネスパーソンとしてワンランク上の力です。
あらゆる業種・業界で新しい商売が生まれては消え、を日々繰り返しています。
そのような中で半永久的な利益につながるビジネスモデルやその仕組み作りができる人材は、企業にとって喉から手が出る程欲しい人材です。
特に変化のスピードが速いWebマーケティングやデジタルマーケティングの分野におけるビジネスモデル構築力は貴重なスキルとなります。
今後、Web・デジタルマーケティング業界で長く活躍できる人材を目指すなら20代のうちに修得すべきスキルの1つといえるでしょう。
デジマクラスはWebマーケティング・デジタルマーケティングのスペシャリストとして働きたい人の就職・転職をサポートできます。
- ビジネスモデルを構築する部署や職種に就いてみたい
- 今後、就職・転職に困らないスキルを身につけたい
- 専門的なスキルを身につけたいけれど方向性がわからない など
将来のキャリアプランについてこのような希望をお持ちでしたら、まずはデジマクラスへ気軽にご相談ください。
マーケティングフレームワークの事例はこちら
まとめ
ビジネスモデルの構築は利益を得続ける仕組みづくりであり、自社の経営安定性を確保する手段でもあります。
業種・商材によって様々なビジネスモデルが考えられますが、クリアすべきポイントや手法も数多くあるので恐れることはありません。
特に客観的な目線を失わないようにしながら理想的なビジネスモデルを構築してみましょう。