DECAX(デキャックス)は現在、マーケティングを行う上でとても重要な概念です。
コンテンツマーケティングが主流の今は、このDECAXを把握し、コンテンツに活かしていくことが必要不可欠となります。
この記事では、DECAXが誕生した時代背景や事例、実際に活用する際のポイントなどを解説。
これを読めばDECAXの実態を掴むことができ、マーケティングに取り入れる際のハードルがグッと低くなるでしょう。
目次
購買行動モデルの概要
購買行動モデルは消費者が商品・サービスを購入・利用する際の流れを表したもので、現在では数種類存在しています。
適切なモデルに基づいて戦略を練ることで、消費者が求めるものを最適なタイミングで提供できます。
そのため、購買行動モデルはマーケティングにおいて欠かせない概念となっているのです。
購買行動モデルは消費者が触れる媒体に合わせて時代によって変化してきました。今までの時代を考察すると以下の3つに分けられます。
- マスメディア時代
- インターネット時代
- コンテンツマーケティング時代
現在はコンテンツマーケティングの時代といわれており、それに対応するのがDECAXです。
次項から、さらに詳しく見ていきます。
マーケティング戦略の事例はこちら
DECAXの特徴
ここでは、DECAXの持つ特徴や背景について解説します。
コンテンツマーケティング時代の購買モデル
コンテンツマーケティング時代では、まず、消費者がSNSやインターネットで自分にとって有益なコンテンツを見つけます。
そこでコンテンツを気に入ったら繰り返しコンテンツに触れ、良し悪しを吟味。
消費者が自分にとってコンテンツが役立つと判断したら商品の購入へ進みます。つまり、コンテンツがかなり重要な役目を果たすのです。
これまでの購買モデルとの違い
DECAXがこれまでの購買行動モデルと違うのはスタートの部分です。
これまでのモデルでは企業からのアプローチを消費者が認知することが購買行動の発端となっていました。
DECAXでは企業のコンテンツを消費者が自ら発見することから始まります。
かつての代表的なモデルに、AIDMA(アイドマ)とAISAS(アイサス)があります。
AIDMAはマスメディアに対応しており、AISASはインターネットに対応しています。
- AIDMAはAttention(認知)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)
- AISASはAttention(認知)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(行動)→Share(共有)
二つの購買行動モデルを見てみると、どちらも企業側が消費者にアプローチすることから始まっていることが分かるでしょう。
これに対し、DECAXは「Discover(発見)」から始まりますが、詳しくは後述します。
DECAXが誕生した背景
DECAXは時代の移り変わりによって生まれました。DECAXの詳細よりも背景を先に解説しましょう。
消費者による情報の選別
現代は情報に溢れています。スマートフォンが普及し、ネットにつなげば、いつでもどこでも無料で情報が手に入る時代です。
そのため、消費者は自分の興味のある情報だけを選び、それ以外の情報には触れる余地がなくなりました。
この状況が企業にとっては問題だったのです。
今まではマスメディアやWeb広告で消費者にアピールしていたのに、消費者の時間的余裕がなくなり、見てもらいにくくなりました。
そこで企業は別の策を考え始めます。
直接的なアプローチをするのではなく、良いコンテンツをつくって消費者が見つけてくれるのを待つという方法です。
マス広告の効果の希薄化
インターネットが登場する前は、消費者が情報を得られる機会は限られていました。
テレビCM・新聞・雑誌の広告・ラジオCMなど企業から消費者に一方的に認知させる「マス広告」のみだったのです。
しかし、ネットが普及し、消費者が自ら情報を探せるようになったことで事態は一変。
マス広告は情報探しで忙しい消費者に見てもらえなくなり、広告としての効果が薄れていきました。
そうして、企業はこれまでのようにマス広告だけに頼ることはできなくなりました。
現在は多くの情報に埋もれないように、各企業が競り合いながら消費者にアピールしている状況です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
DECAXの5段階
DECAXの5つの段階をご紹介します。
Discover(発見)
情報に溢れた現代では消費者は自ら情報を探しにいき、自分にとって有益なものをSNSやインターネットで発見(Discover)します。
これに合わせて企業側も消費者に発見してもらうべく、有益なコンテンツを作り、発信するようになりました。
Engage(関係構築)
消費者は、気になったSNSアカウントやサイトのコンテンツに何度もアクセスしたり、いいねやシェアをしたりします。
こうして、企業と関係構築(Engage)します。
Check(確認)
次に、消費者は企業と関係を深めるなかで、そのコンテンツが本当に良質で自分にとって有益なものなのかどうかを確認(Check)。
それをクリアすると商品を確認するのです。もし、質が悪かったり、”押し売り感”があったりすると、消費者は離れていくでしょう。
Action(行動)
消費者が企業を信頼するようになり、商品を確認して「それが自分にとって必要だ、欲しい」と思ったら行動(Action)に移します。
すなわち商品を購入するのです。
Experience(体験共有)
消費者は購入した商品を体験(Experience)します。そして、その体験をもとに感想やレビューをSNSなどで共有します。
他の消費者は口コミを見て、新たに発見します。こうしてDECAXは循環していくのです。
DECAXの事例
ここではDECAXの事例をご紹介します。
例①:生活雑貨の販売
1.発見
おしゃれな生活に興味のあるAさんはInstagramの検索欄に「アロマキャンドル」と打ち込んで調査します。
そこで「#アロマキャンドル」とついた投稿がたくさん出てきました。
見ていくと、一つ魅力的なキャンドルの写真を発見しました。どうやらアロマキャンドル専門店の投稿のようです。
2.関係構築
Aさんはそのお店に興味が湧いて、過去投稿を見たり、プロフィールページに載っていたECサイトへ飛んでみたりしました。
もちろん最初に見たアロマキャンドルの投稿にいいねを押すのも欠かしません。
3.確認
このお店はお客さんに対して丁寧な対応をしてくれるようだし、商品の質も良さそうだとAさんはSNSや、サイトのページから判断します。
4.行動
お店を信頼したAさんはECサイトの商品ページで目ぼしい商品を探してみることに。
初めに見たキャンドルは残念ながらもう売り切れていましたが、新商品の中に惹かれるものがあったので購入しました。
5.体験共有
数日後、Aさんのもとに商品が無事到着。開けてみると期待通りの可愛らしいアロマキャンドルが入っていました。
早速、使ってみると香りに癒されて良い感じです。Aさんは「#アロマキャンドル」と付けてキャンドルの写真を投稿しました。
例②:ダイエットサイト
1.発見
もうすぐ夏が始まるという時期、Bさんは水着を格好良く着るためにダイエットを決意します。
ダイエットに関する知識はあまり持っていないので、とりあえずインターネットで「短期間ダイエット」とワードを入れて検索。
そこで上位表示されたサイトの中に企業がつくっているダイエット情報サイトが出てきました。
2.関係構築
痩身エステのサイトなんてなんだか怪しいと思いながらも、サイトの記事を読み漁っていくと意外にもまともなことが書かれています。
どうやら短期間で脂肪を落とすのは難しいが、むくみを取ることで外見がスッキリ見えるようです。
3.確認
むくみを取るなら、自力でやるよりマシンに頼った方が結果が早く出ることを知ったBさん。
痩身エステの体験者のビフォーアフターを見て驚きます。その変化に感動したBさんはその会社を信用するようになりました。
4.行動
Bさんは自宅に近い店舗を調べ、電話を掛けて予約を取ることに成功します。
5.体験共有
次の土曜日、Bさんはお店へ足を運びました。
エステティシャンのお姉さんはとても丁寧に説明してくれ、肝心のエステも強力なマシンのおかげで想像よりも効果がありました。
Bさんはちょっと恥ずかしいけれど、体型の分かる服を着てビフォーアフターの写真をFacebookに投稿。来週、再訪する予定です。
例③:コードレス掃除機
1.発見
主婦のCさんは、今まで愛用していた掃除機の吸引力が衰えていることに気づきます。
もう長く使っていることだし、掃除機を新調しようと決めたCさんは、使い勝手の良いコードレスタイプの掃除機を探し始めました。
ある日、CさんはX(旧Twitter)で友人がコードレス掃除機を自慢しているのを発見。引用リツイートを辿りメーカーアカウントを見つけました。
2.関係構築
メーカーアカウントのプロフィールに掲載されていたURLに飛ぶと、商品一覧が出てきました。
高価ではありますが、吸引力が長持ちするらしく、なおかつ使いやすそうな商品が並んでいます。
友人に連絡をとってみると、海外製の掃除機で日本での取扱業者は少ないが商品の機能はとても良いとのことでした。
3.確認
Cさんは少し高額な買い物に躊躇して、何度もメーカーのサイトに飛び、口コミも欠かさず確認。
そのうちに段々とメーカーに対する信頼度が増していきました。
4.行動
Cさんはついにそのメーカーで商品を購入することに決めました。
気になっていた商品を見比べて、最終的に口コミで一番人気の商品を買うことに決め、購入ボタンを押して決済完了へ。
5.体験共有
一週間後、商品がCさんの手元に届きました。今まで使っていたものよりも軽量なのに機能性が高く、使いやすいです。
喜んだCさんはX(旧Twitter)で「#(メーカーの名前)」で掃除機の写真を投稿。
もちろんメーカーに感謝の気持ちを込めて、メーカーのツイートに感想を書いたリプライを送りました。
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DECAXを活用する際のポイント
DECAXを実際に活用する際のポイントを解説していきます。
SNSなどで情報発信
消費者に企業のコンテンツを発見(Discover)してもらうためにはSNSが大いに役立ちます。
今やX(旧Twitter)・Instagram・FacebookなどのSNSの使用率は高く、一度人気に火がつけば、たちまち拡散されていくような状況です。
こういったSNSの特性を活かすことができれば、企業は多くの情報の中から消費者に見つけてもらいやすくなります。
消費者に発見してもらうためのSNS運用の5つの得策
- プロフィールページに情報を設置する。
- ユーザーが見つけやすいハッシュタグをつける。
- SNSの広告を利用する。
- 季節や行事に合わせたコンテンツを発信する。
- いかにも宣伝だとわかるような謳い文句は使わない。
コンテンツの提供で消費者と関係を深める
消費者に自社のコンテンツを発見してもらったら、次は関係構築(Engage)の段階に進みます。
関係を深めるために企業側は良質なコンテンツを提供し続けなければなりません。
消費者はコンテンツが良質で有益だと判断すると、何度も企業のサイトを訪問したり、メルマガに登録したりして、更に情報に触れます。
ここで消費者と企業の間に信頼関係を育むことがとても重要です。
消費者に良質なコンテンツだと判断してもらうには、消費者の目線で考える必要があります。次の項で詳しく解説していきましょう。
DECAXには消費者目線が必要
DECAXは消費者の自発的な行動によって成り立っています。
消費者が自ら発見し、企業のコンテンツに繰り返し触れてコンテンツを吟味し、気に入ったら商品をチェックして購入。
商品を使用したら、レビューや満足度を共有して拡散します。
このようにDECAXでは消費者が行動を起こさなければ何も始まらず、進みもしません。
企業は良質なコンテンツを発信することで消費者の行動を誘発するしかないのです。そのために消費者目線で考えることが大切になります。
消費者目線でのコンテンツ制作のポイント
では、どんなことに気をつけたら良いでしょうか。消費者の目線で見てみると気が付く点がたくさんあります。
SNS
- プロフィールページの情報は親切に分かりやすく書く。
- 投稿は目を引く内容にする。
- 企業や商品の強みを知ってもらえるような分かりやすい内容を投稿する。
- 企業と消費者がコンタクトを取りやすい体制にする。
- 消費者に共感してもらえるような内容を投稿する。
- コミュニケーションが取れて信頼関係を構築しやすい体制にする。
- 自社サイトへつながりやすい導線をつくる。
インターネット(自社サイト)
いわゆるコンテンツSEOを実行する。
- ユーザーの問題解決に役立つ内容にする。
- 継続して良質なコンテンツを提供し続ける。
- 検索vol.の多いキーワード設定をし、キーワードに見合ったコンテンツをつくる。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
DECAXを取り入れたマーケティング戦略で困った時は?
DECAXをもとにしたマーケティング戦略がうまくいかないときは、具体的にどこで行き詰まっているのかを検証する必要があります。
そんな時はツールを用いて解析しましょう。
各SNS解析ツール
SNSに対してはそれぞれの解析ツールを用いましょう。
『X(旧Twitter)アナリティクス』・『Facebookインサイト』・『Instagramインサイト』などそれぞれいくつも出ているので調べてみてください。
Google Search Console
Googleが無料提供している『Google Search Console』は自社サイトのSEO対策がうまくいっているかどうかを教えてくれます。
Googleがページをきちんと読み込んでいるか、良質なサイトだと判断してくれているか、などの情報です。
Google Analytics
同じくGoogleが無料提供している『Google Analytics』は訪問者がサイトに辿り着くまでの経緯や、サイト内での動きを教えてくれます。
ここでSNSからの流入も確認可能です。また、サイト訪問者の年齢層・性別なども分かるのでターゲット層を見直すのにも役立ちます。
マーケティング戦略の事例はこちら
まとめ
DECAXは情報量の多い現代の購買行動モデルです。
消費者は自ら情報に出逢い、関係を深め、本当に信頼できるか吟味します。
購入に至ったあとですら、商品の実態を暴露され拡散されてしまうので、一見、企業からすると難しい時代のように感じるでしょう。
しかし、それは今までの時代よりも消費者の目線に立つ必要性が求められるということです。
つまり、より良質な商品やコンテンツづくりが求められるということなので、結果的により良いサービスが提供できるようになるはずです。
厳しい消費者もひとたび信頼関係を築いたら、企業の根強いファンとなってくれる可能性もあります。
時代に則した購買行動モデルを取り入れることで、有効なマーケティング戦略を立てることができるでしょう。