ミッション・ビジョン・バリューの例を解説!定めるメリットは?決定する際に必要な視点・考え方や浸透させる方法をご紹介!

日本では現在、毎月10,000社前後の企業が新たに法人として登記されています。

大きな目標を抱いて事業の計画を立て、定款を作成して必要な書類を揃え、起業に踏み切る方がそれだけ多くいるということです。

彼らのほとんどは、形は違えどミッション・ビジョン・バリューの3つを定めて自社を成功へ導こうとしていることでしょう。

今回の記事ではそんなミッション・ビジョン・バリューについて日本の大手企業の例を挙げて解説します。

定めるメリットや決定する際に必要な視点・考え方・浸透させる方法などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ミッション・ビジョン・バリューの意味と特徴

ミッション・ビジョン・バリューという言葉を聞く機会が増えてきた一因として起業のハードルが下がってきたことがあります。

インターネットの普及が個人の発信力を高め、個人事業主の誕生と比較的小規模な事業の開始を後押ししているのです。

今後、企業の存在意義や行動指針を定める言葉は多くの人にとってより身近なものとなっていくことでしょう。

この項目では、そんなミッション・ビジョン・バリューについてそれぞれの意味と特徴を解説します。

ミッション

ミッションは「任務」を意味する言葉です。社会において自社がなすべきこと、果たすべき使命を指しています。

ピーター・ドラッカーは「企業の目的は社会貢献であり、利益はその目的をなすための基本条件だ」という趣旨のことを述べました。

企業にとって自社がどんな社会的役割を果たす存在であるかを定めることは、人間が自分の生き方を決めることと変わりありません。

これは非常に重要なことなので、ミッション・ビジョン・バリューを決める時も最初に検討して定めます。

ビジョン

ビジョンは「展望」と言い換えられる言葉です。ミッションを果たした先の未来でどのような企業になっていたいかを示しています。

「業界トップの会社になる」や「世界100カ国に事業所を置くグローバル企業になる」など具体的で分かりやすいものが理想的です。

企業が目指す「なりたい姿」を具体的な言葉で表現したものがビジョンだといえるでしょう。

このビジョンは一部の経営陣が抱いているだけでは効果がなく、社員全員で同じ認識を共有していなければ意味がありません。

バリュー

ここで使われるバリューは「価値観」を意味しています。会社に所属する社員全員が共通して持つべき価値観のことです。

「顧客第一主義に徹する」や「提案型の営業を推進する」など基本的な行動指針にあたるものがバリューだといえます。

ミッションやビジョンとは違って、「価値観」であるバリューはいくつかあって構いません。

バリューではミッションを果たすためにどんな行動を取れば良いかを具体的に示すことになります。

ミッション・ビジョン・バリューの必要性

人が誰でもそうであるように、企業もまた顧客・取引先・従業員・金融機関など様々な関係の中で生きています。

特に企業の場合は市場で存在感を示すことが重要で、まずは認知してもらわなければ意味がありません。

ミッション・ビジョン・バリューを定めて広く知らしめることは、自分自身を内外に積極的にアピールすることに繋がります。

自社がどんな存在であるかを端的に示すために欠かせないのがミッション・ビジョン・バリューだといえるでしょう。

ミッション・ビジョン・バリューを定めるメリット

ミッション・ビジョン・バリューを定めることにはたとえば以下のような大きなメリットがあります。

  • 会社の存在意義を示しやすくなる
  • 経営判断に迷った場合の指針となる
  • 理念に共感する人材を集めやすくなる

会社の存在意義を示す相手は顧客・金融機関・ステークホルダーなどの第三者ばかりとはかぎりません。

自社の社会的な存在意義を明確に示すことは社員のモチベーション向上や維持にも大きなプラスとなります。

悩ましい経営判断を迫られた際、ビジョンやミッションに立ち返ることが決断を後押ししてくれることもあります。

また求人情報にミッション・ビジョン・バリューを掲載すればその理念に共感してくれる人材を集めやすくなるでしょう。

企業の成功事例

この項目では日本の大手企業が定めたミッション・ビジョン・バリューの成功事例をご紹介します。

各社いくらか表現の違いはありますが、いずれもミッション・ビジョン・バリューに相当するものを掲げています。

様々な業界のトップ企業を5社ピックアップしましたのでぜひ参考にしてください。

株式会社日立製作所

株式会社日立製作所はミッションを「優れた自社技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」と定めています。

これは1910年の創業以来受け継がれてきた企業理念であり、日立グループが社会において果たすべき使命に他なりません。

ビジョンはやや長文です。「日立は、社会が直面する課題にイノベーションで応えます。

優れたチームワークとグローバル市場での豊富な経験によって、活気あふれる世界をめざします。」と定められています。

グローバルな視点を明確に取り入れた日立らしいグループ・ビジョンだといえるでしょう。

バリューは「和・誠・開拓者精神」と極めて端的に示されています。

ソフトバンクグループ株式会社

ソフトバンクグループ株式会社のミッション・ビジョン・バリューはいずれも実にシンプルです。

ミッションにあたる経営理念は「情報革命で人々を幸せに」と定められています。

創業以来一貫して情報革命を通じて人類と社会への貢献を推進してきた、と自負する同社ならではのミッションといえるでしょう。

ビジョンは「世界の人々から最も必要とされる企業グループ」を目指すことです。

バリューは「努力って、楽しい。」で、特に大切なバリューとして具体的に№1・挑戦・逆算・スピード・執念を掲げています。

LINE株式会社

LINE株式会社はミッションを「世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮めること」と定めています。

2011年3月の東日本大震災をきっかけにモバイルメッセンジャーとして誕生したLINEらしいミッションだといえるでしょう。

ビジョンとして定められているのは「24時間365日生活のすべてを支えるライフインフラになること」です。

メッセンジャーアプリの枠を超えてユーザーの毎日に寄り添うプラットフォームになることを志しています。

LINEはバリューを明言していません。

しかしバリューに相当するものとして「LINE STYLE」と「LINE CODE」を定めています。

前者はLINEグループメンバーが心がけるべき姿勢、後者は取るべき行動にあたります。

楽天グループ株式会社

楽天グループ株式会社のミッションは「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」ことです。

ここでいうエンパワーメントとは「夢や希望を与えること」や「生きる力を湧き出させること」と捉えて良いでしょう。

ビジョンは「グローバルイノベーションカンパニー」であり続けることです。

バリューとして掲げる「楽天主義」はブランドコンセプトと成功のコンセプトの2つで構成されています。

キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングス株式会社はミッションを社会における永続的・長期的なキリンの存在意義と捉えています。

具体的には自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献することです。

キリンがユニークなのはビジョンを2027年までに達成したいと具体的に明言していることでしょう。

「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」がそのビジョンです。

またキリングループの一員として大切にする考え方・気持ち「熱意・誠意・多様性」の3つをバリューに定めています。

優れたミッションの条件

会社組織の方向性を明確にする役割を持つという意味で、ミッションはとりわけ重要です。

ピーター・ドラッカーはその著書において優れたミッションが持つ3つの条件について触れました。

  • 社会的に受容される機会がある
  • 組織が持つ強みや特性に合っている
  • 遂行する価値を従業員が心から信じている

どんなに耳に心地良いミッションも社会のニーズに合っていなければ受け入れられず、存在意義を確立できません。

また自社が持つ特性や強みに合致したミッションでなければ社会の要請に応えて結果を出すことは難しいでしょう。

さらに、そのミッションを実現させることの重要さを従業員全員が認識していなければ実現はいっそう困難になります。

ミッション・ビジョン・バリューを決定するタイミング

ミッション・ビジョン・バリューを決定するタイミングは起業の時がベストです。

もちろん起業してから決めることもできますが、将来の目標や自社の存在意義が最初から明らかになっている方が良いでしょう。

ただし、企業理念や向かうべき方向に深く関わるミッションやビジョンと違って、バリューは社員の行動指針に相当するものです。

そのため起業時ではなく、社員の人数がある程度揃い、自社のカラーが見えてきてから改めて定めると良いでしょう。

 

ワンポイント
目的を達成するたびに新たなビジョンを打ち立てるという方法もある。

決定時に必要な視点・考え方

この項目では実際にミッション・ビジョン・バリューを決めるにあたって必要な視点や考え方について解説します。

それぞれ明確な違いがあり、無自覚なまま決めようとしてもまとまらない可能性があるのでぜひ気を付けて下さい。

ミッション

ミッションでは社会において自社がなすべきこと、果たすべき使命を明確にします。

そのためにはまず、社会にどのようなニーズや解決すべき問題があるかを明らかにしなければなりません。

可能な限り多くの問題を書き出して分類し、それらの問題に対して自社は具体的に何ができるのかを考えましょう。

社会のニーズと自社の関係を明らかにしながら意見を詰めていくと、広く受け入れられやすいミッションを定めることができます。

ビジョン

ビジョンが示すのはミッションを果たした先の未来でどのような企業になっていたいかです。

ビジョンには「社会を将来どうしたいか」を掲げることもあり、その場合ミッションと同じく社会のニーズへの着目が欠かせません。

ご紹介したキリンホールディングス株式会社のように「○○年までに達成したいビジョン」と期間を区切ることも良い方策でしょう。

その場合、目標を達成するたびにビジョンを見直すことが必要となります。

バリュー

バリューは会社に所属する社員全員が共通して持つべき価値観のことなので、ミッションやバリューが固まってから定めます。

目指すべき方向やなすべきことが明確になっていなければ、そこに至るまでにどんな行動を取れば良いかが定まらないからです。

会社のあるべき姿を思い描いた時、社員はどのようにあるべきか、多くの意見を吸い上げてリストアップしてから決めましょう。

またその際、どんなバックボーンを持つどのような社員であっても柔軟に取り組めるバリューを定めることが肝心です。

 

ワンポイント
社会や社員の多様性への配慮を欠いたミッション・ビジョン・バリューを定めてはいけない。

ミッション・ビジョン・バリューを浸透させる方法

せっかく練りに練ったミッション・ビジョン・バリューも、社会や社員に広く浸透しなければ意味がありません。

とりわけ社員への周知を徹底することは重要です。ここではミッション・ビジョン・バリューを浸透させる方法について解説します。

「共有」を徹底する

ミッション・ビジョン・バリューを浸透させる方法、1つ目は「共有」を徹底することです。

社員全員がバリューにのっとった行動を心がけることの重要性を自覚できるよう、共有を図ります。

その際よく取られがちな方法が「企業理念の唱和」ですが、これは上からの押しつけを強く感じさせるのでおすすめできません。

社員の積極性を引き出しつつ、同時にバリューの共有もできるような方法が理想的です。

たとえば部署ごとに持ち回りでバリュー浸透のための動画作りを企画するなど、時代に即したユニークな方法が考えられます。

全社員を巻き込んでの策定

ミッション・ビジョン・バリューを浸透させる方法、2つ目は全社員を巻き込んでの策定です。

これはミッション・ビジョン・バリューを決める段階から社員全員に意見を求め、他人事だと思わせないという方法です。

社員全員が出資者であり経営者でもある「合同会社」のような場合はこの方法が取りやすいといえるでしょう。

ミッションやビジョンは創業メンバーで策定して、バリューに関しては集めた従業員を巻き込んで決めるという方法もあります。

 

ワンポイント
どの社員にとっても「自分事」と思えるミッション・ビジョン・バリューを策定しよう。

ミッション・ビジョン・バリュー決定に必要な視点が身につく環境で働くなら

ミッション・ビジョン・バリューの策定のためには経営者的な視点が欠かせません。

ただそうした視点や知識は一朝一夕に身に付くものではないので、より近い環境で働きながら獲得するのが望ましいといえます。

もしも経営者的な視点を身に付けられる環境で働くことをお望みであれば、ぜひデジマクラスコンサルタントにご相談ください。

弊社では主にデジタルマーケティングに精通したスタッフがコンサルティング業務も行っております。

より経営に近い現場で実践的な知識を身に付けながら働くことが可能です。

 

ワンポイント
経営者的な視点を身に付けるためにはより実践に近い環境で働くのが1番。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回の記事では日本のトップ企業が掲げるミッション・ビジョン・バリューを例に挙げて解説しました。

ミッション・ビジョン・バリューを明確にすることはどんな企業にとっても重要なことだといえます。

社会のニーズに応じた理念や行動指針を策定し、場合によってはそれらをより最適化する柔軟さも求められるでしょう。

本稿がより良いミッション・ビジョン・バリューの策定を目指す皆様の一助となれば幸いです。

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