経験価値マーケティングの事例を解説!経験価値マーケティングが生まれた背景は?経験価値の要素や今後の展望を紹介します!

「モノ」から「コト」へ経済の流れが大きく変わりつつあります。

市場でも商品やサービスの魅力をアピールするだけでなく、「コト消費」を踏まえて体験レベルで考えるようになりました。

こうした「体験」に基づくマーケティングを「経験価値マーケティング」といいます。

不特定多数の人の経験を通して細かくマーケティングすることで印象に残るマーケティングができるのです。

今回は経験価値マーケティングについて解説します。

経験価値マーケティングの特徴

インターネットの普及やSNSの広がりが消費者の広告に対する味方を大きく変えました。

それまで受け身だった消費者がSNSで情報発信し、自ら広告を見極めて購入を決断します。

そのため曖昧な広告や心に響かないプロモーションは受け入れられなくなったのです。

こうした流れの中で消費者の使用した時の経験や体験に基づいた「経験価値マーケティング」が注目されています。

商品の使用感について積極的に意見を発信するインフルエンサーが登場するなど、消費者も彼らの意見を注視しています。

企業の間では実際に商品やサービスを経験してもらい、エンゲージメントを高める動きが始まっているのです。

経験価値マーケティングとはイベントやキャンペーンで経験してもらい、認知度好感度を高める手法です。

消費者に感動満足感を得てもらいエンゲージメントを生み出してもらいます。

 

ワンポイント
経験価値マーケティングは消費者の経験から来る認知度や高感度をマーケティングに活かす手法である。

サブスクモデルのキーワード

従来のような複数のチャネルから一方的に情報やメッセージが伝えられる広告は限界に来ています。

企業は消費者を中心としたあらゆるタッチポイントで得た経験を商品やサービスに活かすようになっているのです。

その代表的なモデルとしてサブスクリプションがあげられます。

サブスクリプションとは所有すること自体に価値はなく、欲しい時だけ利用する合理的な消費者心理から生まれたサービスです。

利用した分だけ料金を払うことで消費者は手が出せないブランドも気軽に利用できます。

企業もイニシャルコストが低いためメリットがあるのです。

サブスクリプションから生まれたキーワードに「経験」があります。

さらに経験は2つに分類されます。

  • 経験価値
  • 経験経済

この2つがキーワードとして注目されています。

経験価値を通して消費を全体的な経験価値として捉えるのです。

その心理状態は理性的で情緒的でもあります。

そして何よりも経験価値を求めるのは消費者ではなく人間だということです。

人は経験価値に感覚・感情・精神を満たす商品やサービスを求めています。

一方で経験価値が広がると、顧客は同じ経験でも場所によって価格が変わることを知ります。

「経験」は新たな価値を生み出し、企業の模倣や同質化が進めば差別化がなくなるのです。

そこで付加価値を付けて価格競争を誘発し、コスト競争に突入していくのです。

例えば喫茶店で一杯500円のコーヒーと同じものをホテルや高級レストランだと1,000円するのを想像してみましょう。

経験価値が経験経済を動かし、差別化が進み顧客にとっても価値が大きくなるのです。

 

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経験価値マーケティング事例

商品やサービスを購入することで得られる「経験」や「体験」に価値を見出す消費スタイルが経済価値マーケティングです。

具体的な例を見ていきましょう。

東京シティホテル

ホテルでは体験型サービスを取り入れて顧客にホテルの魅力を知ってもらう動きが主流になっています。

東京のシティホテルもその一つで、例えば「京王プラザホテル東京」では茶道の体験イベントを開催しています。

「グランドプリンスホテル高輪」では、和室の部屋を新たにオープンさせました。

生花を体験できる宿泊プランは外国人からも人気がありリピーターを増やすことに成功しました。

アディダス

スポーツブランドの大手である「アディダス」ですが、新宿に体験型店舗をリニューアルオープンさせました。

ここでは顧客にアディダスのシューズを履いてもらい運動をしてその使用感を確かめてもらうのです。

こうした試みで購買力が高まり、顧客がブランドに対して愛着を持ってくれるようになります。

トヨタ

「トヨタ自動車株式会社」は名古屋市内で小型電気自動車の走行体験ができる店舗をオープンしました。

若者の車離れが加速する中にあって、実際に試乗する体験をしてもらい車に興味を持ってもらうサービスです。

1時間から車のレンタルができるサービスもあります。

気軽の電気自動車が体験できると若者を中心に人気があるようです。

スターバックス

大手コーヒーチェーン店「スターバックス」のケースを見ましょう。

「スタバでコーヒーを飲む」ことが単にコーヒーを飲むことではなく、スタバで飲むこと自体が価値になるコンセプトです。

スタバでは職場や家庭とは異なる「第三の空間」を顧客に提供し、安らぎとくつろぐ楽しい場所を目指しているのです。

店舗も出店する地域のライフスタイルに合わせるなどデザインにも凝っています。

そうした効果があってこれまでコーヒーをあまり飲まない会社員にも人気が出て来客数も増加したそうです。

経験価値マーケティングが生まれた背景

経済の大きな変化・消費者のライフスタイルや価値観の変化・インターネットの普及などビジネスも大きなうねりの中にいます。

こうした環境の中で生まれた経験価値マーケティングですが、生まれた背景について詳しく見ていきます。

これまでのマーケティングの問題点

これまでのマーケティングは大量生産で広告費をかけて宣伝するのが一般的でした。

一方的な広告はマスメディアを通して行われ一定以上の効果があったのです。

しかし、インターネットが登場してその状況は一変しました。

これまでのマーケティングの媒体は以下の通りでした。

  • テレビ
  • 雑誌
  • 新聞
  • ラジオ

インターネットが普及し始め、これまでは企業側の一方通行であった情報発信が変わりました。

消費者がどんどんモノを言い始め、商品やサービスのメリット・デメリットが明らかになったのです。

消費者は企業の広告よりも同じ立場の消費者の声を重視するようになりました。

デメリットを発信しない企業広告は信頼できないと感じているのです。

そのため企業も消費行動に合わせたマーケティングが求められるようになったのです。

経験価値マーケティングが生まれた背景にはこうした変遷があります。

企業は経験した消費者の意見を、コミュニケーションを通してマーケティングに活かすようになったのです。

コモディティ化を脱する「経験」という価値

脱コモディティ化の手法として注目されているのが経験価値マーケティングです。

コモディティ化した商品では、同じ商品ならどこで購入しても同じことになります。

機能が似ていればどのブランドも大差がないからです。

そうなれば価格は下り、商品としての価値も下がる結果になります。

そこで重要になったのが「経験」という価値を商品に与えて販売することです。

客観的な機能だけでなく主観的な経験を売ることで消費者目線に立ち、個性が強調されます。

そうすることで実際に高くても売れるブランドの育成に成功した企業もあるのです。

消費者は欲しい商品やサービスの経験を聞いて購入するかどうか判断します。

企業が全面に出す商品の特徴や魅力より、同じ消費者の口コミなどを信頼するのです。

脱コモディティ化こそ経験価値マーケティングといえるでしょう。

消費は「モノ」から「コト」へと変化

時代の変化に伴い市場と消費者のニーズは変化しています。

その大きな要因はインターネットの普及です。

消費は「モノ」から「コト」さらに「トキ消費」へと変わってきています。

「モノ」消費とは消費者がお金を使う際に商品の所有に価値を見出すことです。

「コト」消費とは所有では得られない体験や経験に価値を見出す消費傾向を指します。

いつでもどこでも同じ商品が購入できる「モノ」より体験や経験などの「コト」に対する価値を求める消費者が増えているのです。

「コト消費」になると、例えば外国人観光客が来日して日本伝統の生花・茶道・着物などを体験します。

こうした貴重なレアな体験や商品を手に入れることが「コト消費」なのです。

そして「トキ消費」とは今その場でしか体験できないことを消費することをいいます。

例えば有名アーティストのライブやクラウドファンディングなどです。

 

ワンポイント
経験価値マーケティングが生まれた背景には時代の変化と消費者意識の多様化である。

経験価値の要素

経験価値には主に5種類の要素があるとされます。

1つずつ解説します。

SENSE

「SENSE」(感覚的な経験価値)では顧客の五感に訴求します。

  • 視覚
  • 聴覚
  • 嗅覚
  • 味覚
  • 食感

例えば店舗展開している場合は、店舗の魅力を感じてもらうために外装や内装、BGMにこだわるなどします。

FEEL

「FEEL」(情緒的な経験価値)では斬新なアイデアやサービスを展開して顧客の好奇心に訴求します。

既存顧客にも新しい経験を提供することで顧客満足度を向上させるものです。

体験イベント・コラボ商品・音楽に関わるイメージ戦略などが該当します。

THINK

「THINK」(創造的・認知的な経験価値)は顧客がサービスを利用した時に感じる高揚感や感動を想起させます。

使ってみたいと期待を持ってもらえる経験になります。

ACT

「ACT」(身体的な経験価値やライフスタイルに関わる価値)は、顧客の身体的変化やライフタイルへ訴求するものです。

美容系の体験で変化を実体験することで価値を実感できます。

RELATE

「RELATE」(関わる集団や文化の中での交流)は同じ商品やサービスに関わった者同士がコミュニティの中で交流します。

仲間意識が芽生えることで感じる共感するという経験です。

例えばアニメのイベントや展示会などが該当します。

 

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経験価値マーケティングを行うメリット

経験価値マーケティングを行うメリットについて解説します。

他社との差別化ができる

従来のマーケティングでは、商品の特性利便性などに重きをおくことで差別化をしていました。

しかし、時代と共にこうした差別化も段々通用しなくなり、価格競争もあり商品としての価値も落ちていきます。

経験価値マーケティングでは商品やサービスの経験をマーケティングの対象とし、付加価値を与えることで差別化が図れるのです。

経験価値は感性を通じて向上するため理想的な経験を顧客に提供することが企業の成長に欠かせなくなりました。

ブランドロイヤリティの向上が期待できる

ブランドロイヤリティとはある特定のブランドを購入したいという消費者の欲求を表します。

経験価値マーケティングの効果は顧客満足やロイヤリティの向上でもあります。

ブランドロイヤリティが高ければ顧客はそのブランドを繰り返し購入するでしょう。

ブランドロイヤリティが高まることで得られるメリットには次のものがあげられます。

  • リピーターの増加
  • 顧客単価の増加
  • 宣伝コストの低下

ブランドロイヤリティが高まった顧客はブランドの有益性を強く感じ、他のブランドを試そうとしません。

そして同じブランドを継続して買うようになります。

顧客のブランドロイヤリティが高まると顧客単価が増加する傾向が高まります。

また、企業は売上をアップさせるために多額の広告費を出す必要がなくなるのです。

口コミが広がれば宣伝コストも低下し、口コミだけで商品が売れるようになります。

ブランドの知名度信頼度がブランドロイヤリティには欠かせないのです。

 

ワンポイント
経験価値マーケティングのメリットは他社との差別化とブランドロイヤリティ向上である。

経験価値マーケティングの今後の展望

経験価値マーケティングは商品や広告だけでなく、商品のストーリー・家族・コミュニティ・コーポレートブランドなどから生成されます。

顧客の経験ストーリーはこれからも続き、共感を持って多くの消費者に受け入れられます。

企業はそのストーリーに応える商品開発や企画が求められるでしょう。

 

ワンポイント
経験価値マーケティングは顧客がストーリーを求め続ける限り続くものである。

ブランディングでの重要度が増す

ブランディングとは企業が持つブランドの価値を高め、消費者に選ばれるブランド作りをすることです。

ブランドは企業の財産ではありますが、実際は消費者の中で蓄積されるイメージで作られています。

消費者は多くの経験や体験、それらを口コミなどで共有することで自身にとってのブランド作りをするのです。

今後も個人のライフにはブランディングは必要であり、ブランドが輝き続ければ人々の経験や体験も増えるでしょう。

経験価値マーケティングで高められたブランディングは企業の成長に非常に重要なのです。

 

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経験価値マーケティングで悩んだら

消費者の消費傾向は「モノ」から「コト」に変化しています。

企業の努力だけで商品やサービスの差別化は生まれにくくなっているのです。

今後は消費者にいかに経験や体験を通して共感させ、拡散したいと思ってもらえるかが重要になるでしょう。

消費者に感動や満足感を体感してもらう経験価値マーケティングが分からないと悩んでいる方は、デジマクラスに相談してください。

どうすれば心理的価値が提供できるか経験豊富なコンサルタントが適切にアドバイスします。

自社における5つの経験価値を実現するためにデジマクラスにお任せください。

まとめ

消費者の価値が多様化する社会で結果だけを見るのではなく、過程における満足も重要なポイントになります。

多様な価値観を消費者の経験から総合的にデザインし、商品やサービスの開発に活かすマーケティングが経験価値マーケティングです。

新しいマーケティングのアプローチを検討して自社の成長に活かしてみませんか。

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