ソーシャルグッド広告というマーケティングをご存じでしょうか。
ソーシャルグッドとは、社会に良い行動を指す言葉です。
海外では企業活動の一環として自社のソーシャルグッドな活動を積極的に発信しています。
これらはソーシャルグッド広告と呼ばれており、その認知度は高く国際的なコンペが開かれるほど。
今回はソーシャルグッド広告の特徴やメディアとの関係を詳しく解説。
併せてソーシャルグッドの歴史やソーシャルグッドな広告の事例もご紹介します。
目次
ソーシャルグッド広告の特徴
ソーシャルグッド広告とは、自社が行う社会貢献などの活動を広く知らせるための広告のことです。
ソーシャルグッド広告を取り入れることで企業イメージが向上しブランドの価値も高まります。
近年のマーケティングでは欠かせない広告のひとつといえるでしょう。
社会のためになる広告
では、ソーシャルグッドな広告とは具体的にどのような広告なのでしょうか。
自社の商品やサービスが社会貢献になっているのか疑問を感じる担当者もいるでしょう。
何も企業の取組みを発信するだけがソーシャルグッド広告ではありません。
ユーザーにボランティアや環境にやさしい行動を促すことも立派なソーシャルグッド広告になります。
また、地域の活動や災害時の情報発信など社会に役立つ情報こそがソーシャルグッドな広告といえるのです。
世界を幸せにするために広告ができること
インターネットは普及した現在、世界中のあらゆる情報がどこでも手軽に手に入るようになりました。
広告を通じて世界中の人々とコミュニケーションが取れるといっても過言ではないでしょう。
企業のポジティブなメッセージを広告という形で発信すれば、必ず多くの人の目に留まります。
多くの人が企業が発信するメッセージに共感・賛同することで社会が良い方向に向くきっかけにもなるでしょう。
こうした活動は最終的に世界を幸せにすることも十分考えられます。
広告にはこのような社会を動かす力を持っているのです。
ソーシャルグッド広告とは自社の行う社会貢献活動を広く知らせるための広告です。
社会にとって役立つ情報やポジティブなメッセージは企業イメージの向上やブランディングにもつながります。
ソーシャルグッド広告は企業から社会に対して役に立つ情報やポジティブなメッセージを発信するツールです。
企業のイメージ向上やブランディングにも活用できる効果的なマーケティングツールのひとつともいえます。
ソーシャルメディアとの関係
ソーシャルメディアが発達した現在、さまざまな情報を多くの人が共有できるようになりました。
今までごく一部の人たちが抱える悩みや問題もソーシャルメディア上のユーザーで共有をしたり拡散することが可能になったのです。
言いかえれば問題の当事者の声がそのまま多くの人に届くソーシャルメディアの特徴が生かされた結果といえるでしょう。
ソーシャルメディアから生まれたキャンペーンが世界のトレンドになることも少なくありません。
これまでもソーシャルメディアがきっかけに数々の世界的なキャンペーンが生まれています。
ALSの治療研究目的で始まったアイスバケツチャレンジもソーシャルメディアが生んだ世界規模のキャンペーンの1つです。
このようにソーシャルグッド広告とソーシャルメディアは密接な関係を持っています。
インターネット広告の事例はこちら
社会貢献意欲の高い層にリーチ
世界各国で深刻な問題になっている環境問題などは多くの人が関心を寄せています。
特にちいさな子どもを持つファミリー層などは環境に配慮した商品やサービスに注目をしています。
これは子どもたちが将来安心して暮らしていける世の中にしたいという願いの表れといえるでしょう。
また、シニア世代や若者はボランティアや地域貢献に高い関心を持っています。
このように社会貢献欲が強い層にソーシャルグッドな広告は好意的に受け止められています。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ソーシャルグッドの歴史
日本では2000年頃から企業の社会的責任を表すCSRという考え方が広く一般にも知られるようになりました。
これ以降、多くの企業が自社の社会活動を積極的にPRするようになりました。
企業のHPでCSRレポートというページを見られた方も多くいるでしょう。
東日本大震災や中越地震など大きな災害が発生したことがきっかけにこうした活動は変化を迎えることになります。
それは人々の意識が変化をしたことが原因であると考えられます。
社会全体を変えるほどの災害はニュース以外にもあらゆるソーシャルメディアでも拡散・共有されることになりました。
休日を利用して多くの若者がボランティア活動を行ったり、環境にやさしい暮らしを心掛けるようになったのもこの時期からでしょう。
大企業をはじめ多くの企業も被災地の支援活動を積極的に行い、その活動はマスメディアでも取り上げられ大きな評価を受けました。
このように以前から力を入れていたCSRをさらに発展させる形でソーシャルグッド広告が広がるようになったのです。
アメリカにおける取り組み
さまざまな人種が集まるアメリカでは1960年代から公共性の高い広告がリリースされています。
日常から自分たちにできることは何なのかという考え方が浸透しているアメリカならではの特徴かもしれません。
こうした考え方がベースとなり、ボランティア活動が当たり前のように行われています。
これは企業でも同様でソーシャルグッドをビジネスモデルに掲げる企業も少なくありません。
アメリカのソーシャルグッドな企業の代表が以下の2社です。
- TOMS
- NIKE
次にこの2社の取り組みについてご紹介します。
TOMS
ソーシャルグッドをコンセプトに掲げる靴のブランドです。
創業当初から靴が1足売れる度にアルゼンチンのこどもたちに新しい靴を1足贈る「One for One」活動を行っています。
この取り組みは「Giving活動」と呼ばれ、新しいビジネスモデルを確立しました。
NIKE
世界各国に多くにファンを持つスポーツメーカーです。
過去にさまざまなアスリートの意見を取り入れた商品を発売し話題となりました。
機能性とデザイン性に定評があり実際にユーザーである方も多いのではないでしょうか。
このように世界規模で多くのファンを持つナイキですが環境問題にも積極的に取り組んでいます。
「Space Hippie」と呼ばれる商品は、製造過程で生まれるゴミを再利用したサスティナブルシューズです。
環境にやさしいだけでなく、ファッション性の高いデザインでコレクターからも注目を浴びています。
ソーシャルグッド広告の先進国であるアメリカではソーシャルグッドをビジネスモデルに掲げる企業が存在します。
その取り組みは世界中で評価され成功を収めています。
日本でのソーシャルグッドの先駆け
日本では2000年以降ソーシャルグッドの理念が企業にも取り入れ始めました。
日本を代表する自動車メーカーであるトヨタはソーシャルグッドという言葉が生まれる前からそうした活動を行ってきました。
では、どのような取り組みを行ってきたのでしょう。
実際にトヨタが以前に行っていたキャンペーンについてご紹介します。
トヨタの行ったキャンペーン
「あなたの車を凶器にしないでください」キャンペーン
自動車メーカー大手のトヨタが行ったソーシャルグッドなキャンペーンです。
インパクトのあるメッセージから交通事故を無くしたいという企業の想いが伝わってきます。
車を通じて社会を良くする意識は現在も変わりません。
現在は車を通じて環境問題に取り組んでいます。
水素で走る車MIRAIを開発し大きな話題を呼んでいます。
日本を代表する自動車メーカーが環境問題に取り組むことは、人々の意識を変えるきっかけになることにつながるでしょう。
ジェンダー問題への取り組み
世界では環境や貧困などの問題に加え、人の多様な生き方についてもさまざまな意見が支持されています。
特にジェンダーと呼ばれる従来の性別のカテゴリーに囚われない生き方を支持する取り組みが行われていることをご存じでしょうか。
世界的規模の事業戦略で成功しているP&GはフィリピンのCMでトランスジェンダーのモデルを起用し世界の注目を集めています。
CMの中でも性的少数者のマイノリティーを励ますメッセージを発信することで彼らに勇気を与えました。
また、イギリスではロンドン交通支局の構内アナウンスを一新しています。
従来の「ladys and gentlemen」から「Good afternoon everyone」と誰に対しても公平に扱う言葉に変更しています。
2021年には東京ディズニランド・ディスニーシーも同様のアナウンスに変更されました。
ジェンダー問題の取り扱いは慎重さが必要
ジェンダーに対する認識は世代や価値観によってとらえ方は違います。
ジェンダー問題の取り組みが進む一方、日本ではまだジェンダーに関する認識は統一されていません。
しかし偏った価値観は時に重大な問題を引き起こすきっかけにもつながります。
ここではソーシャルメディアの運用で炎上を起こした例を日本でのジェンダー問題についてご紹介します。
アツギ ラブタイツ
ストッキングメーカーのアツギがタイツの日に合わせてX(旧Twitter)上でキャンペーンを展開しました。
その際に露出度の高いポーズの女性のイラストを掲載したことでユーザーから抗議を受けることになります。
X(旧Twitter)で炎上した結果、アツギは公式HPで謝罪。
SNSアカウントを停止するまでに至りました。
こうした一連の問題の原因は以下の2点が考えられます。
企業全体のジェンダーに関する認識が不足していたこと。
ネットリテラシーが不十分だったこと。
ジェンダー問題はデリケートな側面がありこうした問題を扱う際には十分な注意が必要といえます。
ジェンダーに関する取り組みは世界でも多く見受けられます。
しかし、デリケートな問題でもあるので取り組む際には十分な配慮が必要です。
カンヌライオンズの特徴
カンヌオンラインは世界最大級の広告賞です。
その歴史は古く、カンヌ映画祭の中で劇場広告のコンクールとして誕生したことが知られています。
- 国際クリエイティビティ・フェスティバル
- ライオンズ・ヘルス・フェスティバル
- ライオンズ・イノベーション・フェスティバル
上記の3つのフェスティバルから構成されています。
世界的な広告賞
特に国際クリエイティビティ・フェスティバルは世界的な広告賞といわれ、過去に日本から11作品がグランプリを受賞しています。
ここでは国際クリエイティビティ・フェスティバルについて解説をします。
部門の種類
国際クリエイティビティ・フェスティバルは全部で9つのトラックと呼ばれる部門で構成されています。
新聞広告や雑誌広告・ポスターなどの印刷物が対象の「プレス部門」
モバイル端末が対象の「モバイル部門」
などが含まれます。
その中にもさらにライオンと呼ばれる7つの大部門があり、ライオンごとにグランプリが選出されます。
日本の受賞事例
過去に日本がグランプリを獲得した受賞例を2例ご紹介します。
グランプリを受賞した背景も併せて解説します。
日本の受賞事例①
リクルートライフスタイルの「THE FAMILY WAY」という作品です。
この作品はモバイル部門でグランプリを受賞しました。
ジェンダー差別に立ち向かう優秀なキャンペーンを表彰するグラスライオンズ部門でもブロンズを受賞。
グラスラインオンズでの受賞は日本初の作品で話題となりました。
日本の受賞事例②
パナソニック エネループの「Life is electric」という作品でデザイン部門でグランプリを獲得。
この作品は動物や人の運動によってつくられた電気で電池を充電する様子が描かれています。
ではどの部分がグランプリに繋がったのでしょうか。
それはデジタルとアナログをつなぐ世界観がユニークであるということです。
この独特な世界観が評価の決め手となりました。
国際的な広告賞であるカンヌライオンズは世界でも権威のある広告賞です。
グランプリ受賞作品は世界でも評価され企業のイメージアップに効果があります。
ソーシャルグッド広告の事例
海外でも評価の高い日本のソーシャルグッド広告ですが、国内でもさまざまな作品が作られています。
代表的な作品が以下の3社の広告です。
- P&G
- 日本コカ・コーラ
- TOYOTA
上記の3社の広告について詳しく解説をします。
P&G
「パンテーン #この髪どうしてダメですか」
髪染めに関する校則について生徒からの質問に対し、教師が回答する広告です。
髪をキーワードに生徒の自主性と校則の関係性を考えさえるメッセージ性の高い広告が話題に。
ブラック校則と呼ばれる社会の問題を浮き彫りにしました。
日本コカ・コーラ
「サスティナブルパッケージ」
100%リサイクルペットボトルを使用した製品が「いろはす」だけだったのが、2021年から全商品に使用されたことを紹介した広告です。
日本初の取り組みは世界に向けて発信され、環境問題に企業ができることを明確にしたことが広く支持されています。
ファーストリテイング
「1000万着のHELP」プロジェクト
世界で急増する難民を支援する取り組みとして全商品のリサイクルを行うキャンペーンです。
店内に設置されたリサイクルボックスに集められた商品は世界中の難民・避難民へと届けられます。
世界の国々で行われているキャンペーンには有名アスリートや大手企業も参加し世界規模での支援の輪が広がっています。
インターネット広告の事例はこちら
企業イメージをアップに繋がる
ソーシャルグッドな活動は社会を良くするだけでなく企業にとってもメリットのある取り組みです。
昔から「三方よし」という言葉があるように、消費者や社会にやさしい商品やサービスは広く受け入れられます。
反対に企業の利益だけを考えたマーケティングは批判の対象になってしまうでしょう。
このように社会に役立つ・環境に配慮した企業活動は自社のイメージアップに欠かせない要素といえます。
社会貢献活動なども含まれる
ソーシャルグッド広告は商品やサービスだけでなく企業活動そのものも含まれます。
例えば募金活動などの社会貢献もソーシャルグッドな取り組みといえるでしょう。
はじめは小さな一歩でも地道な活動を長期に亘って発信することですこしずつ認知度を上げることが可能です。
結果、企業価値が高まり自社のファンを獲得することもできるでしょう。
ボランティア活動などの情報発信
ボランティア活動など情報発信もソーシャルグッドな活動のひとつです。
地域の人たちと積極的に交流することで自社の認知度を高める効果も期待できます。
地元の企業が積極的にボランティア活動をすることで町全体にボランティアに関する関心が高まるでしょう。
その結果、町の活性化につながるだけでなく地域の人々のコミュニケーションの場としても活用が期待できます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ソーシャルグッド広告でのブランディング
自社のブランディングにもソーシャルグッド広告は非常に効果があります。
アメリカでの事例でもご紹介したようにソーシャルグッドな活動は企業の価値を向上させるきっかけにもつながります。
TOMSやファーストリテイングはソーシャルグッドな活動からビジネスチャンスを生み出すことに成功しています。
これにより企業理念に賛同した企業や国際機関との連携を可能にしました。
その結果、世界規模でのファンを獲得するまでに至っています。
ソーシャルグッド広告で悩んだら
ここまでソーシャルグッド広告について解説をしてきましたが、中には専門的な知識を必要とするものも少なくありません。
実際に運用をお考えの際はこうした知識のある専門の企業にご相談いただくことをおすすめします。
自社にとって一番な最適な運用方法についてのヒントが得られることでしょう。
インターネット広告の事例はこちら
まとめ
今回はソーシャルグッド広告の特徴やメディアとの関係を国内外の企業を例に解説しました。
中には世界規模の取り組みもご紹介しましたが、一番大切なのは社会に必要なことを行うということです。
地域社会と連携しながらボランティアなどの社会貢献をすることもソーシャルグッドな活動といえるでしょう。
そうした地道な活動をソーシャルメディアなどを通じて発信することで企業価値を高めることは十分に可能です。
まずは自社のマーケティングに合った活動方法を検討することから始めてみましょう。