WebサイトのSEO対策において重要なのが「ミラーサイト」の存在です。
他社や自社のサイトにミラーサイトがあることでSEOにさまざまなデメリットが発生します。
コピーコンテンツであるミラーサイトを見つける方法や見つけたときの対処法を見ていきましょう。
かつて大量にミラーサイトが作られていた理由であるSEO効果や、他の目的についても解説します。
放置すると起こり得るリスクも理解すると早急な対処につながるでしょう。
目次
ミラーサイトが作られた背景
「ミラーサイト」とはあるWebサイトをそのままコピー・または一部のコンテンツをコピーして作られたサイトです。
現在もインターネット上に多く残っているミラーサイトは、どのような背景の元に作られたのでしょうか?
新しく作ることが推奨されなくなった理由も併せて見ていきましょう。
本来の目的はSEO効果
Googleをはじめとした検索エンジンでは以前、同じ内容のサイトが複数存在しても検索結果に表示される仕組みでした。
ページを大量に作成するという手法が有効だったため、ミラーサイトの作成もSEO効果が高かったのです。
自社内で作る類似したサイトだけでなく他社のサイトを複製して作ったページもミラーサイトとなります。
当時は検索上位に表示されたサイトをコピーして、アクセスの増加を測るという対策を取っていた企業もありました。
システムで他サイトの情報を自動で収集してコンテンツを大量に作るのも、以前はよく使われていた手法です。
現在はペナルティの対象に
ミラーサイトがSEO対策として有効でなくなったきっかけは、Googleが2011年に初めて行った「パンダアップデート」です。
以降は独自性があり、ユーザーにとって役立つサイトのみが優良サイトとして検索結果に表示されるようになりました。
日本でも2012年からアップデート後のアルゴリズムが適用され、質の低いコンテンツはペナルティの対象となっています。
コピーサイトはユーザーにとって有益でないと判断され検索順位が大幅に落ちるのです。
現在はミラーサイトを作ってもSEO対策にならないばかりか、アクセス数の激減という問題も十分に起こり得ます。
また第三者にミラーサイトを作られると、オリジナルである自社サイトの順位も下がる可能性があるため対策が欠かせません。
ミラーサイトはなぜ作られる?
ミラーサイトが作成される理由は以前のGoogleアルゴリズムに基づいたSEO対策だけではありません。
現在でも何らかの目的があってミラーサイトを作るケースがあります。具体的にどのような理由からなのでしょうか?
SEO効果を狙って作っていたときどのような効果があったのかも深掘りしていきましょう。
アクセス負荷軽減
ミラーサイトを作る目的の1つが「サーバーのアクセス負荷を軽減すること」です。
1つのサイトにアクセスが集中するとページの動作が重くなり、ユーザーの端末で表示が遅れるケースがあります。
サーバーがダウンするほどのトラフィック量であれば、閲覧自体ができない状態に陥りかねません。
アクセスが集中してサーバーに障害が起こったとき、内容が同じミラーサイトへ誘導するとアクセス負荷が軽減されます。
サーバーを増強するという方法もありますが、常に多くのアクセスがある状態でもなければ維持費が無駄になりかねません。
ミラーサイトであれば自社のサイトをコピーしてもう1つページを作るだけで済み、低いコストで対策を取れます。
この場合はミラーサイトの作成が有効になるため、SEOに悪影響を受けない対策を講じれば問題はありません。
SEO効果
パンダアップデート前のGoogleアルゴリズムは精度が低く、現在に比べて低品質なコンテンツも検索結果に表示されていました。
同じキーワードで検索されたとき複数のコピーサイトがあると、全て表示されるケースもあったほどです。
当時はコンテンツの量をとにかく増やすことがSEO対策として有効だったため、ミラーサイトが大量に作られました。
自社メディア内で類似した内容のミラーサイトを作るのは、かつてコンテンツを量産するために一般的だった手法です。
結果としてユーザーは同じようなページを多く見ることになり、利便性は決して高くなかったといえます。
Googleは初回のパンダアップデート以降アルゴリズムを複雑化させ、読み手にとって無駄なミラーサイトを検索上位から排除しました。
悪質な目的
フィッシング詐欺など個人情報の不正取得といった悪質な目的も、ミラーサイトが作られる理由の1つです。
有名企業のサイトの外観やURLに酷似したサイト作り、SNS・ショートメッセージなどの媒体でユーザーを誘導します。
あるキーワードで下位まで見ていったとき、詐欺用のコピーサイトにたどり着くケースもゼロではありません。
悪質な目的で作られるミラーサイトについて各企業は警告を発していますが、被害は完全に抑えられていない状況です。
自社のミラーサイトが詐欺に使われると、顧客からの信用を失いブランドイメージが低下する可能性があります。
・ミラーサイトにユーザーを誘導してオリジナルサイトのアクセス負荷を軽減するため
・かつてのGoogleアルゴリズムを基準とするSEO対策をするため
・有名企業のサイトに似せたミラーサイトで個人情報を抜き取るため
ミラーサイトを放置するリスク
2012年のパンダアップデート適用以前からサイトを運営していた企業は、すでに存在するミラーサイトへの対策が不可欠です。
コピーコンテンツを放置していると起こるリスクを理解して、早急に対処しましょう。
第三者にミラーサイトを作られている場合に対策が欠かせない理由も、併せて把握しておくことが大切です。
SEOに悪影響を与える
ミラーサイトがSEOに与える悪影響は、コピーしたページと元のページの評価が下がることだけではありません。
コピーコンテンツが多いサイトは、低品質なコンテンツを提供する媒体としてサイト全体の評価を落としてしまいます。
複製元が自社か他社かに限らず、過去に作ったミラーサイトを多く放置していると他のページまで検索順位が落ちてしまうのです。
また他社にコンテンツを多くコピーされている場合も、自社のページまで低評価を下される可能性がある点に注意が必要です。
優良なコンテンツを作っていても過去に作ったミラーサイトや、他社のミラーサイトに対策をしないとSEOに悪影響が及びます。
著作権侵害で訴えられることも
複製元の許可がないミラーサイトの制作は「著作権侵害」に当たる違法行為です。
インターネット上のコンテンツであってもオリジナルの制作者(サイトの運営元)に著作権があります。
無断で別のサイトからコンテンツの全部または一部を引っ張ってくると、訴えられる可能性がある点には十分に留意しましょう。
特にメインのコンテンツとなる文章は書いた人の創意工夫が施された「著作物」であるため、高確率で著作権が認められます。
著作権法の規定は細かくケースごとに罰則は変わりますが、有罪になれば最悪で10年以下の懲役・1,000万円以下の罰金です。
クリーンなサイト運営を続けていくためにも、他社に無断で作ったミラーサイトは早急に削除しましょう。
・サイト全体の評価が下がりSEOに悪影響を及ぼす
・無断で他社サイトをコピーしていた場合、著作権侵害で訴えられる可能性がある
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ミラーサイトの見つけ方
今後も生き残っていけるSEO対策を講じるためには、悪影響を及ぼすコピーコンテンツを見つける作業は欠かせません。
速やかな対策を取れるようにミラーサイトを見つける方法を3つ紹介します。
急に検索順位が急降下しているページがあるなら、他社のミラーサイトが原因の可能性があるため早急な対処が必要です。
検索エンジンで文章を調べる
Googleの検索エンジンを使って手作業で検索すると、ミラーサイトが見つかる場合があります。
主な方法は次の2つです。
- サイト内の文章を検索窓に打ち込み、重複しているサイトを探す
- キーワードを打ち込んで隠れているミラーサイトを探す
特定の文章がコピーされていないか調べるには、文章を「””」で囲んで検索窓へ打ち込みましょう。
完全一致する文を含むサイトが検索結果に表示され、コピーコンテンツを発見できます。
自社のコンテンツを作る際に使ったキーワードで検索するときに有効なのは、「&filter=0」というコマンド使う方法です。
特定のキーワードで検索したとき、上部にあるURLの末尾に「&filter=0」を追加して再度Enterキーを押します。
最初に検索したときはミラーサイトとして隠されていたサイトも表示される仕組みです。
上位に表示されるはずだった自社サイトが隠れていたなら、他社のコピーサイトがオリジナルと判断されている可能性があります。
被リンクをチェック
自社サイトの検索順位が落ちたり検索結果に表示されなくなっていたりするなら、「被リンク」もチェックしましょう。
被リンクとは他サイトに貼られた自社サイトへのリンクです。
Googleサーチコンソールを使えば「リンク表示機能」から自社へのリンクが貼られているサイト確認できます。
許可した覚えのないサイトはコピーサイトの可能性があるでしょう。
ミラーサイトからの被リンクは不正な手法で検索順位を上げる「ブラックハットSEO」と判断される可能性もあります。
またGoogleの「ペンギンアップデート」が始まって以降、低品質なサイトからの被リンクは検索順位を下げる原因です。
サーチコンソールのリンク表示からミラーサイトを見つけた場合は、早急に対策を取りましょう。
コピーコンテンツチェックツールの活用
検索窓に文章を打ち込んでミラーサイトを探すには相当な時間と手間がかかります。
効率よくコピーサイトを探したいなら積極的にツールを活用しましょう。
ミラーサイトを探すときに便利なツールの代表格が、無料でも使える「CopyContentDetector」です。
テキストウィンドウにチェックしたいサイトの文章全体または一部を貼り付けて、チェックにかけます。
コンテンツ内容の類似性を示す「類似度判定」・一致する語句の割合を表す「一致率判定」などが表示される仕様です。
完全に一致している・または類語に言い換えただけというページは、詳細を見れば赤字・黄色の文字から分かります。
公開済みページのミラーサイトを探すほか、公開前に内容が他サイトのコピーになっていないか確認するときにも役立つツールです。
・Googleの検索窓に文章やキーワード・コマンドを入れて探す
・見覚えのない被リンク先を確認してコピーサイトかどうかチェックする
・コピーコンテンツチェックのツールで複製サイト・酷似しているサイトを調べる
ミラーサイトを発見したときの対策
自社のミラーサイトが第三者によって作られているのを見つけたら、早めに対策を講じましょう。
SEOへの悪影響を阻止するにはどのような対処法が有効なのでしょうか?簡単にできる方法を2つ紹介します。
Googleへ削除申請する
ミラーサイトを見つけたとき「DMCA通告窓口」からGoogleに申請をすると、著作権を侵害したページが削除されます。
この申請はアメリカの法律「デジタルミレニアム著作権法(DMCA)」に違反していることを報告するものです。
DMCAは日本で適用される法律ではありません。しかしGoogleはコンテンツの管理をするに当たってDMCAに準拠しています。
申告があったサイトが著作権を侵害していると判断した場合、検索結果に表示するためのインデックスから削除する決まりです。
ただしサイト自体が削除されるわけではありませんので、ミラーサイトが復活する場合もあります。
また十分な証拠がないままに申請を行うと損害賠償を請求されるケースもあるため、事前に根拠をそろえておきましょう。
リンクを拒否する
ミラーサイトからの被リンクを発見した場合、リンクを拒否することでGoogleから低評価を受けにくくなります。
サイトの運営者に直接連絡をしてリンクを削除してもらえる場合は、比較的簡単に問題の解決が可能です。
ただし応答がない・削除要請に応じないといった場合は、サーチコンソールの「リンク拒否機能」機能を使いましょう。
自社へのリンクを貼られたくないサイトを選ぶことでリンクを拒否できます。
ただし外部サイトからの被リンクは現在もSEO対策に重要な要素であることを忘れてはいけません。
明らかにミラーサイトであるページからの被リンクや、ガイドラインに違反する被リンクに関してだけ否認するのがベストです。
・GoogleにDMCA違反を通告し、インデックスから削除してもらう
・低評価を避けるためにミラーサイトからの被リンクを拒否する
意図せずミラーサイトが生成されてしまう場合も
コンテンツの量産や個人情報の抜き取りといった意図がなくても、自社内でミラーサイトが作られてしまうケースがあります。
項目が統一された色違いの商品紹介ページや、同じトピックスが入りがちなランキング形式のコンテンツなどが代表例です。
ユーザーにとっては利便性が高く有用なコンテンツなのですが、Googleのアルゴリズムから見ればコピーサイトになります。
せっかく有益なページを作っても検索順位が落ちてしまうと集客につながりません。
できる限りそれぞれの内容を差別化できる工夫を施しましょう。
SEO対策の事例はこちら
SEOでペナルティを受けないために
アクセス負荷軽減の目的や意図しない重複でミラーサイトが作られたときも、品質ガイドラインに抵触するとペナルティを受けます。
自社内でミラーサイトを持ちながらもペナルティで検索順位を落とさないために、講じられる対策を確認しておきましょう。
canonicalタグの記述
アクセス軽減などの目的でミラーサイトを持つ場合には、元になるサイトを決めて「canonical(カノニカル)タグ」を挿入します。
canonicalタグはHTMLファイルに記述するタグの一つです。複数のURLのうち1つを正規のものと定める役割があります。
重複する全ページのheadタグ内に以下のコードを記述しましょう。
「<link rel=”canonical” href=”○○”>」
「○○」の部分に正規のものとしたページのURLを挿入すれば、他のページがミラーサイトと判断されて評価が下がるのを防げます。
色違いの商品ページがミラーサイトと判断されてしまうケースでも、canonicalタグは有効です。
ただしそれぞれのカラーで検索上位を取りたい場合も、1ページしか表示されなくなる点には注意しなければなりません。
クローラーにインデックスさせない
Googleがインターネット上のページから検索結果を表示するとき、まずはクローラーで情報を収集します。
その後にサイトの要素をチェックしてインデックスしていく仕組みです。
キーワードに関連のあるサイトを結果に表示するためストックしていくと言えば分かりやすいでしょう。
良識的な目的のためにミラーサイトを作っていて、低評価を受けたくない場合インデックス自体を避ける方法もあります。
クローラーによるインデックスを避けたいページに付けるのは「noindexタグ」です。
canonicalタグと同じくheadタグの中に記述して使います。ソースコードは以下です。
「<meta name=”robots” content=”noindex”>」
noindexタグを挿入するサイトの選定は慎重に行う必要があります。
インデックスされなければもちろん検索結果には表示されません。誤ってメインのサイトに記述しないように注意しましょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ミラーサイトの発見はSEO対策に不可欠
ミラーサイトは自社内でも他社のものでも、現在ではSEOに大きな悪影響を及ぼします。
適切な対策を講じるためにも早めの発見が大切です。この記事で参考にした見つけ方を参考にまずはミラーサイトを探しましょう。
過去に自社でコピーサイトを作っていたのなら調査を進め、作成のし直しや削除といった対応が必要です。
第三者によるコピーコンテンツ・ミラーサイトの詐欺利用は、自社に甚大な被害をもたらす可能性もあります。
見つけ次第Googleへの削除申請や低評価を招く被リンクの拒否など、正しい対処が必要です。
SEO対策の事例はこちら
ミラーサイトの見つけ方で困ったときは
検索窓に打ち込んでミラーサイトを探すのは手間がかかりますし、ツールの使用にもある程度のコツがいります。
Googleサーチコンソールのリンク表示から見覚えのないサイトを探すのも、慣れていなければ難しい作業です。
自社にデジタルマーケティングの経験がある人材がおらず見つけ方に困ったときは、コンサルティングサービスを活用しましょう。
デジマクラスでは本ページのボタンからミラーサイトの発見についての相談を無料で承っています。
発見した後の対処からより効果の高いSEO対策まで、デジタルマーケティングの施策全般の提案も可能です。
SEO対策の事例はこちら
まとめ
サイトの全部または一部をコピーした「ミラーサイト」は、検索順位の低下を招くばかりか顧客の信用を失う原因にもなります。
過去にはSEO対策として有効でしたが、現在はアクセス軽減など一部の目的を除いて作るメリットはありません。
自社で過去に作っていたミラーサイトはもちろん、第三者に作成されたミラーサイトも発見する必要があります。
探す際に効率的なのはコピーコンテンツのチェックツールを活用する方法です。
Googleサーチコンソールのリンク表示から怪しいサイトを探し、コピーサイトであるか確認する場合もあります。
見つけた後はインデックスから削除するようGoogleに申告する・被リンクを外すといった対処が必要です。
急に自社サイトの検索順位が下がったなどのトラブルがあったときは、まずはミラーサイトの存在を確認しましょう。