「バリューチェーンの具体的な事例を知りたい」という方もいるのではないでしょうか。
バリューチェーンは企業によって異なります。
そのため、その企業を分析し、自社と比較することで新たなビジネスの解決策創出にもつながるのです。
そこで今回は、バリューチェーンの事例について5社に厳選して紹介していきます。
バリューチェーンの事例や分析方法を知りたい方は必見です。
目次
バリューチェーンの事例を解説
ここからはバリューチェーンの事例について解説していきます。
まず簡単にバリューチェーンについて概要を理解しておきましょう。
バリューチェーンとは、簡単にいうと「価値連鎖」のことになります。
原材料を調達することから顧客にサービスや製品を届けるまでの工程で、価値を加えることです。
バリューチェーンは次の2つに種類が分かれます。
- 主活動
- 支援活動
主活動は、企業が製品を提供する直接的な価値を生む活動です。
製造業を例にすると、「購買・製造・物流・販売・サービス提供」の一連の流れになります。
他方、支援活動とは製品を届けるまでにサポートする役割を担うものです。
これは例えば、「全般管理・人事管理・技術開発・調達活動」という4つの要素で構成されています。
以上がバリューチェーンの大まかな概要になります。
では次の5社を例にバリューチェーンについて事例を確認していきましょう。
- IKEA
- 伊藤園
- スターバックスコーヒー
- ニトリ
- メルカリ
実際の企業の例をみることで、自身のビジネスにもつなげやすくなります。
マーケティング戦略の事例はこちら
バリューチェーンの事例①:IKEA
まずはIKEAから紹介していきます。
IKEAは、北欧のスウェーデンを発祥とした世界規模で家具を提供している企業です。
高品質で低価格をモットーに数多くの家具を販売しています。
では、IKEAのバリューチェーンについてみていきましょう。
バリューチェーン
IKEAのバリューチェーンは、主に次のような順序です。
- 商品の設計
- 材料の調達
- 製造
- 物流
- 店舗販売
中でも「物流」に着目してIKEAは価値を提供しています。
事業への活かし方
IKEAはバリューチェーンの中でも「物流」に着目し、商品を顧客に組み立ててもらうことを前提に商品を販売しています。
これは商品を組み立て前の材料のみの状態で販売することによって、商品を小さい状態で販売することができます。
結果、次のような効果が得られました。
- 倉庫スペースの削減に成功
- 物流コストの削減に成功
組み立て前の状態で販売することによって、倉庫のスペースが圧縮されます。
そのため、効率的に商品を収納することができますし、予備の商品を棚に多めに置いておくことも可能です。
結果、膨大な量の商品を倉庫にしまうことができるので、品切れという状態がなく販売することもできるようになったのです。
また、物流コストの削減にも成功することができました。
配送する荷物が大きければ大きいほど、当然コストも大きくなってしまいます。
加えて家具という性質上、サイズが大きくなりがちですので、結果として配送料金が高くなってしまうのです。
そこで組み立て前の状態で出荷することで、サイズを圧縮して販売することができ、配送料金を抑えることができます。
結果として、消費者にとってもIKEAにとってもメリットがある「Win-Win」の関係に持っていくことができたのです。
ちなみに顧客自身が組み立てて完成させるのを、「IKEA効果」と呼んだりします。
バリューチェーンの事例②:伊藤園
次は伊藤園について紹介していきます。
伊藤園は、「お〜いお茶」を筆頭に様々なドリンクを販売している企業です。
ほうじ茶や麦茶など、お茶をメインとして販売しています。
では伊藤園のバリューチェーンについてみていきましょう。
バリューチェーン
伊藤園のバリューチェーンは次のようになっています。
- 商品企画・開発
- 調達
- 製造・物流
- 営業・販売
特に「SDGs」という持続可能な開発目標を基盤として運営しているところが大きなポイントです。
「お客様第一主義」を掲げ、それぞれの項目で価値提供ができるような施策を行っています。
事業への活かし方
伊藤園は、そもそも日本においてお茶の市場を創造した立役者でもあります。
そのためそもそものブランド価値が高いということも1つポイントです。
中でもバリューチェーンは、次のような点が特徴的となっています。
- 産地開発
- NS充填方式
伊藤園は徹底的に産地開発にこだわっています。
静岡・鹿児島・三重など、様々な産地で取れた高品質な茶葉を使って、お茶を製造しているのです。
加えて、現在「茶産地育成事業」といって畑から育てていく活動も行っています。
他にも生産者と茶葉を買い取る契約を交わしたり、培ってきたノウハウをもとに新産地で畑から育てていくことも行っているのです。
このように、茶葉を生産するために実際に現地に行き、徹底的に高品質な茶葉を開発することを行っています。
また、安全に配慮した価値提供も行っているのです。
NS充填方式といって、常温充填が可能で、ボトルの殺菌の際に殺菌剤を使用しない方式になります。
この方式を取り入れることによって、消費者の方に安全に飲んでもらうことが実現できたのです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
バリューチェーンの事例③:スターバックスコーヒー
3つ目の事例は、スターバックスコーヒーです。
スターバックスコーヒーは、アメリカで発足した世界規模のコーヒーチェーン店です。
コーヒーはもちろんのこと、フラペチーノやラテなど様々なドリンクを提供しています。
その他にも、ベーカリーやデザートなど、コーヒーに合うようなフードメニューも充実しているのが特徴です。
では、スターバックスのバリューチェーンについて確認していきましょう。
バリューチェーン
スターバックスのバリューチェーンは、次のようになります。
- 仕入れ
- 製造
- 物流
- 販促
- サービス提供
仕入れは主に豆選びのことです。
また、その豆を焙煎して実際の店舗へと輸送し、各店舗に保存されます。
加えて、コーヒーに合うようなメニューを開発したり、マーケティング施策を練ったりします。
最後に、そのメニューを販売していくまでが一連の流れです。
事業への活かし方
スターバックスの場合、非常に強い特徴を持っているのが次の2つです。
- 独自の仕入れルートがある
- サードプレイスの提供
スターバックスは高品質な豆を仕入れています。
アラビカ種のコーヒー豆を厳選して提供しているので、質の高いコーヒーを飲むことが可能です。
加えて抽出方法も様々ですので、淹れ方によって味の変化を楽しむことができるのも特徴の1つです。
もちろんコーヒー豆の品質が高いことが前提ですので、独自の仕入れルートで高品質の豆を仕入れているのが大きな強みでしょう。
また、もっとも強い特徴としてはサードプレイスを提供していることです。
居心地の良い空間を作って提供することや、おしゃれなカップを使用することなどで他社との差別化を図っています。
そのため「他のコーヒー店よりもスタバを利用するとオシャレ」という心理を形成しているのです。
結果ブランディングの向上にもつながり、業績を伸ばしています。
バリューチェーンの事例④:ニトリ
4つ目に紹介するのはニトリです。
ニトリは、家具やインテリアを提供している企業です。
生活必需品・調理器具・収納など、様々なジャンルの製品を提供しています。
では、ニトリのバリューチェーンについてみていきましょう。
バリューチェーン
ニトリのバリューチェーンは、次のようなものになっています。
- 商品の設計
- 材料の調達
- 製造
- 物流
- 店舗販売
最初に紹介したIKEAと流れはほぼ同じです。
ですが、全ての工程を自社で完結させるモデルを採用し、IKEAとは違ったバリューで勝負をしています。
事業への活かし方
ニトリの場合、ノックダウン生産という方式で商品が生産されています。
ノックダウン生産とは、他国で生産された製品や材料を輸入し、現地で組み立て・販売を行うことです。
この方式を取り入れることで、次のような効果が見込まれます。
- 時間的コストの削減
- 安価に製品を作成することができる
加えて、ニトリはSPAを導入しています。
SPAとは商品設計の企画・製造・小売までの流れを一貫して行うことです。
自社で全てを完結させることで、流通コストや生産する際のコストも削減することができます。
市場のトレンドに合わせて、自社商品を素早く変更することができるのも1つのメリットです。
以上のように、自社で全てを完結させるというところで、IKEAとは別のバリューを出しているといえます。
バリューチェーンの事例⑤:メルカリ
最後にメルカリを紹介します。
メルカリは、中古製品を売買するフリマアプリを提供している企業です。
それではバリューチェーンについてみていきましょう。
バリューチェーン
メルカリのバリューチェーンは以下のような流れになります。
- プラットフォーム構築
- 受発注機能運営
- 商品配送
- 支払い売上管理
- アフターサービス
特に受発注機能運営の点で、他社との差別化を図っています。
事業への活かし方
メルカリは、全ての受発注機能が参加者で完結するように仕組みを作成しています。
例えば商品を買われた場合、発送方法を選択し、近くのコンビニに届けて発送されるのを待つなどの流れです。
全てを参加者に委ねることによって、自社でコストをかけないようにすることができています。
そのため、配送に関する不必要なコストを削減することができているのです。
他にも次のような点でバリューを提供しています。
- 料金未払い・配送トラブルを防止する
- 匿名でサービスを使えるので個人情報の保護につながる
メルカリは、個人情報を詳細設定する必要がないようにサービスを設計しています。
特に不必要な情報まで公開する必要がないので、個人情報を守れ、心理的安全を獲得できているのです。
バリューチェーン活用のポイントは?
バリューチェーンの活用のポイントは、競合分析を行う時に使うということです。
例えば、IKEAとニトリの例のように、同じ業界であってもビジネスモデルや工程は異なってきます。
そのため、これらを比較して分析するのに最適なのがバリューチェーンなのです。
自社を客観的にみれるということにもつながりますし、他社との違いを見出すためにも有効なのです。
例えば業界で有名な企業のTop3を選出して、それぞれの特徴やバリューを出している分野を分析してみるといいでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
業界別のバリューチェーンの特徴は?
ここでは業界別のバリューチェーンの特徴について紹介していきます。
今回取り上げるのは以下の3つの業界です。
- 製造業
- サービス業
- 農業
ではそれぞれ紹介していきますので、参考にしてください。
製造業
製造業のバリューチェーンは次のような流れで構成されています。
- 購買活動
- 製造
- 出荷物流
- 販売
- サービス
特に製造業は、製品を生み出さなければビジネスにならないため、購買活動から製造までに力を入れているところが多いです。
中でも製品の品質管理や、どの原材料を使うかなどの点も重要な部分と考えられます。
サービス業
サービス業は、次のようなバリューチェーンになります。
- 事業企画
- 営業活動
- サービス提供
- 料金徴収
- カスタマーサポート
サービス業においては、どのようなサービスを提供するかが非常に大事です。
なぜならニーズのないサービスを提供しても、利用されることがないからです。
このことから事業企画が最も肝であるといえるでしょう。
他にも、顧客と良好な関係を築き、利用されるためにもカスタマーサポートの存在は重要だといえます。
農業
最後に農業です。
農業のバリューチェーンは具体的には次のようなものです。
- 農業生産に必要な機材の搬入
- 農業生産
- 農産物の加工・保管
- 流通
- 販売
特に現代において、「フードバリューチェーン」という言葉が重要視されています。
これは、各段階における役割の人・企業が、それぞれの価値を創出して、より付加価値を高くすることを目的としています。
ですので、伊藤園の例のように、うまく生産者と企業が提携していくことがカギとなるのです。
マーケティング戦略の事例はこちら
バリューチェーンの活用で困った時は?
バリューチェーンについてはここまで紹介してきた通りです。
しかし中には、「どうやってバリューチェーンを活用していったらいいかわからない」という方もいるのではないでしょうか。
そんな時はデジマクラスまでご相談ください。
デジマクラスであれば、バリューチェーンを専門とするコンサルタントが在籍しています。
加えて、競合を比較した上であなたが取るべき最適な施策について助言することが可能です。
バリューチェーンをうまく活用して、弊社と一緒に効果的な施策を考えていきましょう。
マーケティング戦略の事例はこちら
まとめ
ここまでバリューチェーンの事例について紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
簡単に振り返っておきましょう。
- バリューチェーンは簡単にいうと「価値連鎖」
- バリューチェーンは競合分析を行う時に利用すると良い
まずは、自社のバリューチェーンを分析することから始めてみるといいでしょう。
この記事があなたにとって参考になれば幸いです。