購買意思決定プロセスの例を解説!顧客の購買後の行動をマーケティングに活かすには?購買意思決定プロセスのモデルも紹介します

消費者が商品の存在を知ってから購入するまでの心理的プロセスのことを、購買意思決定プロセスといいます。

購入までにある程度時間がかかるのは、消費者が頭の中で様々な段階を踏んでいるためです。

今回はこの購買意思決定プロセスに注目しました。

マーケティングは消費者の行動によって成果が左右されます。

消費者の心理を深く知ることで、マーケティング成功への道が拓けるでしょう。

まずはそのプロセスについて解説します。

購買意思決定プロセスの概要

購買意思決定プロセスにはさまざまな段階があります。

購入したいと思う商品が普段から購入し慣れているものなのか、あるいは高価格なものであるのかで、段階にかける時間も変わります。

購買意思決定プロセスを理解することは、マーケティングにおいて重要なポイントです。

それは、消費者がどの段階にいるのかで効果的なアプローチ方法が異なるからです。

例えば比較段階で悩む消費者に対しては、自社商品の長所をアピールすることで購入へとつながります。

購買意思決定プロセスは、マーケティングに活用できれば非常に便利な考え方です。

しかし注意したい点が3つあります。

  • 全ての消費者がモデルの通りに購入するとは限らないこと
  • 適切な段階の購買意思決定プロセスを用いること
  • 製品によって購買意思決定プロセスが活用できるかできないかを変えること

この3点に気をつけることで、購買意思決定プロセスを活用した効果的なマーケティングを行うことができるでしょう。

 

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消費者の心理を意識する必要性

マーケティングにおいて消費者の心理を意識する必要性はあるのでしょうか。

消費者が商品を購入するとき、いくつかの段階を踏んで最終的に購入するかしないかを決定します。

段階に応じた適切な商品PRをすることで、より効果的に購買意欲を高めることができます。

時代によって変化する消費者の購買心理を意識することは、マーケティング戦略を行う上で非常に重要です。

自社の商品やサービスはどのモデルを活用すれば効果的か、ターゲットにする層に合わせてモデルを検討しましょう。

その1:問題認識

購買意思決定プロセスは消費者自身が問題認識をすることによって始まります。

ここでは、消費者がニーズ(必要性)を認識します。消費者が自分の欲求を認識する段階です。

例えば、街を歩いていて焼き立てのパンの香りで空腹を感じたとします。

その時、消費者は「お腹が空いたから何か食べたい」と問題を認識します。

ここでのニーズは食事の必要性です。

マーケティングにおいては、まず消費者に問題の認識をしてもらうことが重要なポイントになります。

ニーズの中に消費者が必要性に気がついていない潜在ニーズと、既に気がついている顕在ニーズがあります。

潜在ニーズの段階の消費者に対しては、必要性に気づいてもらえるようなプロモーションが必要です。

マーケターは消費者が問題認識を行えるようなプロモーション戦略を準備する必要があります。

 

ワンポイント
消費者の潜在ニーズを顕在ニーズへと変化させましょう。

その2:情報探索

消費者が顕在ニーズとして問題を認識すると、ニーズを満たすためにあらゆる情報を手に入れようとします。

この段階を情報探索といいます。消費者がニーズを満たす方法を検索する段階です。

情報探索は内部探索と外部探索の2種類あり、内部探索は自身の経験に基づいて情報を集めます。

内部探索で不足した情報はインターネットなどの外部から集めることが多いでしょう。

消費者が情報探索に力を入れる度合いは商品やサービスに対しての関心の度合いによって変わりますが、その要因は3点あります。

  • 高価格なもの
  • 購入頻度が低いもの
  • 購入後に社会的ステータスが高まるもの

例えば車や不動産を購入する際に、瞬時に決める方は滅多にいないでしょう。

車であれば予算・ブランド・燃費など様々な情報を集めます。

消費者が3つの要因を元に行う情報探索は3つのタイプに分けることができます。

①定型的問題解決

低価格で購入頻度が高い商品を購入するときの購買行動です。

毎日使用する生活必需品のように、消費者が商品を熟知しているという特徴があります。

そのため情報を追加で探索するような時間や労力をかけず、決まった商品を購入する傾向があります。

②限定的問題解決

限定的問題解決は商品の特徴は知っているものの、ブランドや性能などの詳細などがわからないときの購買行動です。

価格や購入頻度が中程度で、家電製品や家具など生活の質を高めてくれるような商品が当てはまります。

より詳細に情報探索を行うことで、支出を抑えたり購入する商品の性能を高められたりします。

購入見込みのある消費者が、商品について最低限の知識を持っていることが特徴です。

③拡大的問題解決

購入頻度が低く、且つ価格が高いものを購入する場合の購買行動を拡大的問題解決を呼びます。

購入頻度が低いので、消費者はその商品についての情報をほどんど有していません。

しかしながら、価格が高いため消費者はこだわりを持って商品を購入します。

複数の商品を比較して、性能や値段を見比べるなど情報収集に多くの時間と労力をかけます。

具体例を挙げると家の購入や高級〇〇と名のつくものです。

 

ワンポイント
購買行動は価格と頻度によって3つに分けることができます。

その3:代替品の評価

情報探索の際に集めた複数の商品を比較検討する段階です。

商品の長所や短所を見比べて、候補を絞っていきます。

評価するポイントは、消費者それぞれで異なります。

それは消費者が重要視する項目が、個人個人で違うためです。

性能やスペックを重要視する人、価格を1番に考える人など、比較する項目も異なります。

ここでのマーケティングで重要なポイントは、見込み客が何を重視しているかを見極めることです。

安さで選ぶ見込み客の場合、高い商品は対象から外れます。

見込み客が重視しているポイントをどうアピールできるかが大切です。

 

ワンポイント
見込み客の重視するポイントを見極めましょう。

その4:購買決定

代替品の評価で、最も高い評価を受けた商品を購入する段階です。

マーケティングにおいては、確実に商品の購入につなげることがポイントになります。

商品の在庫がない、手に入れるまでに時間がかかるなどの不便を感じさせてしまうと、購入を断念するかもしれません。

以上のようなリスクはできるだけ回避しましょう。

また、消費者は無意識のうちに経験や先入観によって直感的に決断をしています。

その決断方法はヒューリスティックと呼ばれ、心理的な近道を用いて購買を決定することを選択ヒューリスティックといいます。

購買行動においては3つの種類に分けることができるので、1つずつ解説しましょう。

①連結型ヒューリスティック

重視する項目全てである程度の基準を満たしている場合に行われるタイプです。

最低水準を満たすいくつかの商品の中から、最初の候補を選びます。

ある基準を持って買い物をするとき、その基準を満たす商品が見つかった時点で購入を決定する方法です。

消費者は最初の商品が見つかった時点で購入を決定するので、より良いものを探そうとしません。

②辞書編さん型ヒューリスティック

消費者が重要視する項目で最高レベルの商品を選択するタイプです。

例えば車を購入する時に「燃費が良い」ことを最重要視するとします。

するとまず、燃費が悪い車は選択肢から外されます。

予算内で燃費が最も良い車となると、選択肢はかなり狭まるでしょう。

またここではブランドが判断基準になることが多いです。

「とりあえずここのブランドの商品を購入しておこう」と考える購買行動も、辞書編さん型ヒューリスティックになります。

③属性排除型ヒューリスティック

消費者が重視する項目で、基準を満たさない商品は除外していくタイプです。

車を購入する場合、

  • 性能
  • ボディタイプ

という選択条件を設定します。

すると性能が悪いものは選択肢から消去することができます。

以上のように選択条件を満たさないものを排除していき、残ったものを購入するのが属性排除型ヒューリスティックです。

購買決定の妨害要因

購買意思決定プロセスにおいては、購買を促す要因ばかりではありません。

消費者が購入を決定した後でも、購買を妨げてしまう要因があります。

それは、他者の評価予想外の状況要因です。

他者の評価とは、購入しようと決めた商品を否定的に評価されることです。

自分が良いと思っていても、周囲の人物に否定されたら購入意欲は下がります。

場合によっては購入自体を中止する可能性もあります。

もう1つの予想外の状況要因は、例えば、新しい靴の購入を決めたが突然天気が崩れてしまったなどの状況変化です。

自分の前に並んでいる人が同じTシャツを購入していたり、急な出費があったりと人によってその状況はさまざまでしょう。

思いもよらない要因で購入を妨げられることがあります。

 

ワンポイント
購買を妨げる要因もあることを、理解しましょう。

その5:購買後の行動

購買意思決定プロセスの最後の段階です。

購買が終わっても消費者の購買行動は完了ではありません。

購入後はニーズを満たすために商品を実際に使用します。

その際、商品に満足できたかどうか・自分の選択は間違っていなかったかどうかを振り返ります。

商品が期待通りまたは期待以上の効果を発揮した場合、消費者は友人や知人に語るかもしれません。

マーケティングにおいては、消費者が商品を購入した後にどのような感情を抱いて行動を取るのかを注視しましょう。

満足度の高さが顧客との関係構築に影響

商品を購入した消費者が、その商品に対して不満を持つ場合は再度購入は難しいでしょう。

一方で満足度が高いと、商品の再購入をしたりSNSや口コミで商品の良さを発信してくれたりするかもしれません。

満足度の高さは、その消費者が固定客になる可能性と比例し、継続的な利用を見込むことができます。

認知的不協和の解消

購入した商品に対して、全ての面で満足する消費者はほどんといません。

消費者のニーズを100%満たすのは不可能ということです。

しかし、不満を感じた消費者はその不満を解消しようと何かしらの行動に移します。

自分の選択や行動は間違っていなかったと正当化したいがために起こる行動です。

この行動を認知的不協和の解消といいます。

購買後の行動をもとにしたマーケティング戦略

消費者が購買後に取る行動をもとに、マーケティング戦略を考えましょう。

効果的な施策は3つあります。

  • 期待値を高めすぎない
  • 消費者自身に宣伝してもらう
  • 長期的な関係を構築する

1つ目の期待値を高めすぎない戦略は、消費者の満足度に関係します。

消費者は商品購入後に何かしら不満を抱えるものです。

購入につなげようとして期待値を高めすぎてしまうと、期待を下回った時に大きなリスクを被ることになります。

過度なPRは逆効果になり得るので注意が必要です。

2つ目のマーケティング戦略ですが、ポイントが1つあります。

それは、満足度の高い消費者に宣伝してもらうことです。

自社商品の良いところや満足ポイントを、SNSやネット上で発信してもらいましょう。

少ないコストて効果的な宣伝を行うことができます。

3つ目の戦略である、長期的な関係を構築することで、安定した収益を得ることができます。

満足度の高い消費者に対しては、割引や会員特典など特別な待遇をすることで、さらに満足度を高めましょう

長期的な顧客獲得は、長期的な収益に比例します。

消費者の購買後の行動を理解して、マーケティングに上手く活用しましょう。

 

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購買意思決定プロセスのモデル

購買意思決定プロセスには大きく分けて3つのモデルがあります。

基本のモデルは5つの行動の頭文字をとってAIDMA(アイドマ)と呼ばれています。

残りの2つのモデルとともに、1つずつ解説していきましょう。

AIDMA

注目(Attention)、興味(Intrest)、 欲求(Desire)、記憶(Memory)、行動(Acttion)という心理プロセスの頭文字を取っています。

  • 注目:商品の存在を知る
  • 興味:商品に興味や関心を抱く
  • 欲求:商品を欲しいと思う
  • 記憶:商品を記憶しておく
  • 行動:商品を購入する

消費者が商品を知ってから購入するまでの基本的な心理的プロセスのモデルです。

5つの段階を踏んでいますが、間の3つの段階を集約して3つの段階とされる場合もあります。

AISAS

AISAS(アイサス)はインターネットが普及した頃に、新しく誕生した購買意思決定プロセスです。

注目、興味、探索(Search)、記憶、共有(Share)という心理プロセスを辿ります。

その商品を既に購入した消費者の評価や口コミ、情報の共有が重要視されるようになった現代の消費者心理が表されています。

eコマースにおいては、消費者の評価や商品に対する情報がマーケティング成功の大きなカギです。

インターネットが普及した現代は、AIDMAに変わって主流になりつつある購買意思決定プロセスです。

その他

  • AISCEAS
  • AIDA
  • AIDEES

AISCEASはAISASモデルに比較(Conparison)、検討(Examination)を加えたものです。

インターネットやスマートフォンの普及によって、消費者が自由に評価を発信できるようになったことで生まれたモデルです。

AIDAはAIDMAモデルの、記憶(Memory)を省いたモデルとなっています。

AIDEESはAIDMAモデルに、製品の購入・体験(Experience)、購入後の心酔(Enthusiasm)、推奨(Share)するというプロセスが追加されたものです。

他にも製品や商品独自のプロセスを辿るものがあります。

例えば、車や不動産などの購買額が大きなものを購入する場合です。

他にも家族が増えたり、引越しや転勤など止むを得ない場合の環境の変化が購入を決定することもあります。

消費者は購入する商品の金額が大きくなると、その商品を必要だと確信し納得した上で購入します。

商品やサービスによって最適なプロセスを消費者の立場になって考えることが、大切です。

購買意思決定プロセスの活用で悩んだら

購買意思決定プロセスをうまく活用できれば、マーケティングの成功に1歩近づきます。

ターゲットにするユーザーが興味を持っている段階であれば、欲しいと思ってもらえるような広告を作成するのが効果的です。

興味が薄い消費者に対しては、興味を持ってもらうような広告が必要になります。

それぞれの段階に合ったアプローチをしていかなければ、マーケティングは成功しません。

購買意思決定プロセスを効果的に活用したいのであれば、デジマクラスへの相談をおすすめします。

マーケティングの専門家が、しっかりとサポートいたします。

不安や疑問の解消にも役立ちますので、是非一度ご相談ください。

 

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まとめ

購買意思決定プロセスを理解することは、マーケティングを成功させる上で非常に重要です。

段階に応じたプロモーションを行うことができれば、より購入意欲を高められます。

消費者が購入した商品の満足度が高ければ、長期的な顧客になり安定した収益につながります。

また自社商品の良い点をSNSやインターネット上で発信してもらいましょう。

少ないコストでの宣伝が可能になります。

商品を購入した後の行動にも注目することで、効果的なマーケティング戦略を検討することができます。

購買意思決定を効果的に活用して、マーケティングを成功させましょう。

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