IT技術の進化に伴い、コンテンツマーケティングにおいても新しい技術の活用が急務となっています。
近年急速に普及しつつある「VR」や「MR」などを利用した体験型コンテンツも、マーケティングにおいて重要となりつつあるでしょう。
こういった体験型コンテンツを取り入れることによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。
その種類や活用方法・成功事例に至るまで、詳しく解説していきます。
目次
体験型コンテンツの概要
体験型コンテンツとは、VRやMRなどの技術を用いることで、使用者が仮想現実を体験できるコンテンツのことを指します。
例えば、実際には行けない場所に行ったような体験ができることで、実際にそこに行ってみたいという欲求を喚起することが可能です。
あるいは購入を迷っている商品を仮想現実上で使用体験することで、購入意欲を向上させることもできます。
このように、言葉や画像だけでは伝わらない商品やサービスの良さを、「体験」を通して知ってもらうことが体験型コンテンツの特徴です。
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体験型コンテンツ導入のメリット
体験型コンテンツを導入することで、実際にはどのようなメリットが得られるのでしょうか。
体験型コンテンツの1番の特徴は、その圧倒的な情報量の多さにあります。
また、コンテンツの価値をより能動的に感じてもらうことにもつながるでしょう。
圧倒的な情報量の多さ
文字や画像、または映像を見ることで得られる情報だけでは、どうしても想像しづらい部分があるでしょう。
しかし、体験型コンテンツを活用すれば、現実の延長として疑似体験をしてもらうことができます。
「百聞は一見に如かず」の言葉通り、目の前にそれが存在しているかのように観察できるため、圧倒的な情報量を得ることが可能です。
それによってより深い理解や納得が得られ、商品の購入などのアクションを取りやすくなります。
コンテンツの価値を感じてもらえる
目の前にないものは様々な角度から観察することができないため、その価値を判断するのは難しいでしょう。
しかし体験型コンテンツであれば、仮想空間を様々な視点で観察することが可能です。
そのため、商品を使ってみた場合の良さやコンテンツの満足感など、その価値を体験として感じてもらうことができます。
そのため、実際に手に取りづらい商品やコンテンツの価値を実感してもらうのに向いているといえるでしょう。
体験型コンテンツの種類と活用方法
体験型コンテンツと呼ばれるものは、一般的に以下の3種類が挙げられます。
- VR(仮想現実)
- AR(拡張現実)
- MR(複合現実)
それぞれどのように異なるのか、活用方法も交えて詳しく見ていきましょう。
VR(仮想現実)
VR(Virtual Reality・仮想現実)とは、3Dモデルによって構成された仮想空間を疑似体験できる技術です。
VRゴーグルやHMD(head mounted display)などを用いることで、自分があたかもその空間にいるかのような視覚作用が得られます。
仮想空間の種類は観光地や不動産物件のような実在する場所から、宇宙空間やゲーム内空間など非現実的な場所まで様々です。
VRは疑似観光や不動産の内見など、時間や費用の面で現地に行くのが難しい場合に最適な体験コンテンツといえます。
AR(拡張現実)
AR(Augmented Reality・拡張現実)とは、CGなどで作成したイメージを現実に存在するかのように見ることができる技術です。
スマホなどのカメラを通して実際の風景を表示し、その上にCGを重ねることで、その空間にCGが存在しているように見えます。
自分の顔に似合うメイクや髪形・服装を試着したり、オンラインショップの商品を自分の部屋に配置したりすることが可能です。
ARは商品の購入前のシミュレーションや、オンラインショッピングへの誘導などに効果を発揮します。
MR(複合現実)
MR(Mixed Reality・複合現実)とは、CGなどで作成したイメージをあたかも現実で触っているかのように利用者が操作できる技術です。
利用者の動きや操作によって映像が変化するため、VRやARと比べより現実に近い疑似体験が可能になります。
大型機械の組み立てや操作を始め、医療分野や危険分野のシミュレーションなど、実地で訓練することが困難な技術の研修も可能です。
MRは学習用の体験コンテンツなどに用いられることで、学習機会の増加や経費削減などに役立てられています。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
体験型コンテンツ作成に必要なこと
体験型コンテンツを作成する場合には、どのような意識が必要になるでしょうか。
ここでは以下の点について説明していきます。
- コンテンツの質
- 消費者ニーズの理解
- 自社の強みを分析
- ユニークな発想
それぞれについて具体的にポイントを確認していきましょう。
コンテンツの質
体験型コンテンツを作成するにあたり、コンテンツの質は非常に重要です。
せっかく作成したコンテンツでも、低品質で価値が低ければかえって悪影響につながりかねません。
できることなら、ユーザーが「すごかった」「思った以上だった」と感動するような、質の高いコンテンツの作成を目指しましょう。
消費者ニーズの理解
せっかく体験してもらっても、そこにニーズがなければただの体験で完結してしまいます。
マーケティング戦略の一部としての体験型コンテンツは、そこで得られた感動や理解が消費行動につながる仕組みが必要です。
そのためには消費者ニーズをよく理解し、自社の製品を通してどのような課題が解決できるかを提示しなければなりません。
あくまでも消費者の目線で物事を考え、ニーズを満たす意識を持ちましょう。
自社の強みを分析
消費者のニーズが理解できても、それが自社の製品の良さに直結できなければ購入につながりません。
自社の強みを良く分析し、消費者ニーズとすり合わせることで初めて、消費者に自社の製品の価値を実感してもらえるのです。
自社の強みを分析するためには、当然競合についてもよく分析しておく必要があります。
自社の立ち位置を把握し、その良さを存分に活かすコンテンツの作成に努めましょう。
ユニークな発想
体験型コンテンツの最も難しいところは、ユニークな発想が求められるところといえます。
せっかく品質の高いコンテンツを作成しても、他社と似たようなもので目新しさがなければ、ユーザーには見向きもされないでしょう。
自社の製品ならではの視点や切り口から、他では見られないユニークな取り組みを行うことで、自社のファンを増やすことにつながります。
体験型コンテンツの導入事例を紹介
ここで、体験型コンテンツを実際に用いた導入事例をご紹介していきます。
VRを用いたANA VIRTUAL TRIP・ARを用いたIKEA Place・MRを用いたMicrosoft HoloLensの例について見ていきましょう。
ANA VIRTUAL TRIP(VR)
ANA VIRTUAL TRIPは、自宅にいながらにして旅行気分をよりリアルに楽しめるというVRサービスです。
2021年3月でサービスの提供を終了しており、現在利用することはできません。
様々な事情から旅行に行くことができない場合に、現地の360度カメラで撮影した映像を共有できるという画期的な体験を提案しました。
新規顧客の開拓や新しい旅行先の需要を喚起する役割を果たしたといえるでしょう。
IKEA Place(AR)
IKEA Placeは、オンラインストアでIKEAの家具を購入する際、実際に置きたい場所にAR上で配置することができるサービスです。
室内の様子をアプリで計測し、ストア内の商品を選択することで、画面上で家具の配置を確認することができます。
これにより購入前に商品が部屋のレイアウトに合うかどうかを判断することができるため、購買の促進につながりました。
また買ってからサイズ間違いや雰囲気が合わない等での返品が減り、顧客の満足度向上にも役立っています。
Microsoft HoloLens(MR)
Microsoft HoloLensは、専用のHMD「HoloLens」を利用するMRサービスを提供しています。
これは学習用アプリケーションとの親和性が高く、飛行機整備や外科手術など、現実での技術教育が難しい場合に役立つサービスです。
実地での学習にかかる費用や時間・人的リソースなどを削減することができます。
また学習者にとっても立体的に構造を把握することができ、効率的に技術を習得することが可能です。
体験型コンテンツのサービス事例を解説
VRやARなどを用いた体験型コンテンツは様々なサービスに活用されています。
ここでは、体験型コンテンツが商品として、あるいは企業や商品への導入用に提供されているサービスをご紹介しましょう。
商品として提供されているサービス
VRを始めとした体験型コンテンツが商品として提供されている場面には、アミューズメント業界が挙げられます。
非現実的なゲームの世界を現実のように体験でき、迫力のあるプレイを楽しむことができるため、それ自体が商品として成立するのです。
東京ジョイポリスやSEGA VR AREAが代表的なアミューズメント施設といえるでしょう。
そのほか、PSVRなどの家庭用ゲーム機でもVRを使ってゲームをプレイすることができます。
企業や商品への導入用に提供されているサービス
VRが企業や商品への導入として提供されている場面には、旅行業界が挙げられるでしょう。
H.I.S.では、VRでハワイやバリ島を始めとした人気の観光スポットのホテルを見学できるというサービスを提供しています。
あるいは、オンラインショッピングでの活用も見逃せません。
三越伊勢丹ホールディングスは「REV WORLDS」という仮想都市空間サービスにおいて、アバターによるショッピング体験を実現しています。
自社ファンを増やす体験型コンテンツ作成に必要なこと
体験型コンテンツで自社ファンを増やすためには、ターゲット層のユーザーにどんどん価値の高い体験を提供していくことが必要です。
そのためにはしっかりとユーザーの目線に立ち、何を好んでどのような行動を選択するかよく分析を行いましょう。
また、自社のコンテンツを好きになってくれたユーザーがその体験を他の人にシェアできる仕組みも必要になります。
SNSとの連携や、シェアすることによるインセンティブなどを取り入れることで、よりファンが増える仕組みを構築しましょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
「体験型コンテンツ」とデジタルマーケティングの今後はどうなる
本格的なIoT時代の到来とともに、デジタルマーケティングにおいて体験型コンテンツの比重はより大きくなっていくと予想されます。
VR技術などの進歩に加え、様々な業界や分野においてより体験型コンテンツの需要が高まることで、さらに身近な存在となるでしょう。
そのため消費者の目はよりシビアになり、ただ「体験できる」というだけでは顧客満足につながらない可能性があります。
AIやビッグデータを駆使し、1人1人の顧客に寄り添った体験を提供することが求められるようになるでしょう。
体験型コンテンツで悩んだら
体験型コンテンツの導入には、技術力やコンテンツの独自性が不可欠です。
しかしこれらの開発には専門知識やマーケティングに関する幅広い知見が必要となります。
体験型コンテンツで悩んだ場合は、幅広い知識を持ったマーケティングコンサルタントに相談するのがおすすめです。
プロの視点から開発のアドバイスを行い、消費者ニーズや自社の強みを活かした提案などでプロジェクトを成功に導いてくれるでしょう。
まとめ
体験型コンテンツのメリットや導入事例などについて細かく解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
体験型コンテンツには、他のコンテンツにはない圧倒的な説得力があります。
ぜひマーケティング戦略に取り入れ、自社の商品やサービスの良さを知ってもらい、自社のファンを増やしていきましょう。