Eコマース(EC)の市場規模と動向を解説!消費者の購買プロセスの変化は?EC化のメリットや今後のトレンドもご紹介します

Eコマースの市場規模は年々拡大しており、多くの企業がEC化に向け積極的な姿勢を見せています。

とりわけ、コロナウイルス感染症拡大の影響から巣ごもり需要が伸びており、ますます市場規模の拡大が見込まれているのが現状です。

今後、Eコマース市場に参入する企業は増加傾向にありますが、そのメリットやトレンドについてはあまり知られていません。

この記事では、マーケターが知っておきたいEコマースの市場規模や動向に加え、EC化のメリットや今後のトレンドについて解説します。

Eコマース市場の概要

Eコマースとは、Webサイトなどインターネットを通じた商品・サービスの売買を指します。

企業がEC化を進めるにあたって、まず把握しておきたいのがEコマース市場の概要です。

Eコマースはあらゆる分野で市場規模が拡大していますが、その概要が正確に理解されていないことも少なくありません。

ここではEコマース市場の概要について、その市場範囲と分類といった観点から解説します。

「Eコマース市場」が指す範囲

「Eコマース市場」が示す範囲は年々拡大しており、その市場規模は17兆円を超えており年間成長率は10%に迫る勢いで推移しています。

中でもBtoCのEC市場における物販系分野の市場規模は2019年に10兆円を超えており、伸び率は10%前後で推移しているのが現状です。

なお、BtoCにおける物販系分野において、Eコマース市場の範囲は7%程度ではあるものの、年々急速に伸びています。

とりわけ、スマートフォン経由による売買は急激に伸びており、市場規模は3兆円を超えています。

したがって、Eコマース市場の示す範囲は拡大し続けることが予想され、「スマートフォン」がキーワードだといえるでしょう。

ECの3つの分類

ECサイトは次の3つに分類することができます。

  • BtoB:企業同士の取引
  • BtoC:企業と一般消費者の取引
  • CtoC:一般消費者同士の取引

BtoBは仕入れサイトなど企業間での売買であり、市場規模が大きいのが特徴です。

BtoCはECサイトなどを通じて、企業が一般消費者に商品などを販売する形態であり、ここ数年で需要が伸びている種類になります。

CtoCはフリマなど個人間の売買であり一時期は急激な伸びを見せましたが、やや落ち着いているのが現状です。
 
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Eコマースの市場規模と動向

Eコマース市場に参入する上で大切なのは、カテゴリ別の市場規模・動向を正確に把握することです。

一般的にEコマース市場は以下のカテゴリーに分類することができます。

  • 食品・飲料・酒類
  • 生活家電・AV機器・PC及び周辺機器等
  • 書籍・映像及び音楽ソフト
  • 化粧品・医薬品
  • 生活雑貨・家具・インテリア
  • 衣類及び服飾雑貨等
  • 自動車・自動二輪車・パーツ等
  • 事務用品・文房具
  • その他

したがって、Eコマース市場に参入する際には、販売する商品が属するカテゴリの市場動向を十分に分析する必要があるといえるでしょう。

商品カテゴリごとの市場規模・成長率・EC化率

Eコマース市場で成功するには、商品カテゴリごとに以下の項目をチェックすることが大切です。

  • 市場規模
  • 成長率
  • EC化率

Eコマース市場への参入に当たっては市場規模ばかりが注目されがちですが、既にEC化が進んでいる分野だと参入する余地がありません。

また、市場規模が大きいにも関わらずEC化が進んでいない分野だと、そもそもEC化に向かない分野であることも考えられます。

したがって新規参入する場合、市場規模が大きくEC化率が低い分野であること、さらに成長率が高い分野が狙い目だといえるでしょう。

EC化率が高い分野

市場規模とEC化率は必ずしも比例するものではありません。市場規模が小さくともEC化率が高い分野もあり、その反対も然りです。

EC化率が高い分野としては以下のカテゴリがあげられます。

  • 事務用品・文房具
  • 生活家電・AV機器・PC及び周辺機器等
  • 書籍・映像及び音楽ソフト」

いずれも型番商品が多く、実店舗で商品を確認しなくとも「失敗しない」分野だといえます。

また、比較的サイズが小さく梱包しやすい商品が多いことから、通販に適していることもEC化率の高さにつながっています。

市場規模が大きい分野

前項で解説したとおり市場規模とEC化率は比例しません。市場規模が大きくともEC化が進んでいない分野はたくさんあります。

もちろんECにそぐわない商品もありますが、アイデア次第では大きな利益をもたらすことも十分に考えられるでしょう。

市場規模が大きい分野としては以下のカテゴリがあげられます。

  • 食品・飲料・酒類
  • 生活家電・AV機器・PC及び周辺機器等
  • 生活雑貨・家具・インテリア
  • 衣類及び服飾雑貨等

このうち「生活家電・AV機器・PC及び周辺機器等」はEC化率が高い分野にも上げられています。

したがって、市場規模が大きくとも既に多くの企業が参入しており、新規参入が難しいカテゴリだといえるでしょう。

なお、「食品・飲料・酒類」「衣類及び服飾雑貨等」は実際の商品が確認できないと売り上げに結びつきにくい分野です。

また「生活雑貨・家具・インテリア」は大型商品が多く、通販に向かない分野だといえるでしょう。

ただし、ユーザーのライフスタイルの変化により急激にEC化が進む分野もあり、常に市場動向を把握することが大切です。

伸び率が高い分野

EC化の伸び率が高い分野としては「食品・飲料・酒類」「衣類及び服飾雑貨等」があげられます。

前項で解説したとおり、両方ともEC化には向かないとされてきましたが、ユーザーのライフスタイルの変化により伸びている分野です。

なお「食品・飲料・酒類」の伸び率が高い大きな要因は、新型コロナウイルス感染拡大に影響による巣ごもり需要の拡大です。

「お取り寄せグルメ」「お取り寄せスィーツ」は様々なメディアでも紹介されており、今後、ますますEC化が進むことが予想されています。

「衣類及び服飾雑貨等」も返品対応などカスタマーサービスの充実で高い伸び率を示しているのが現状です。

加えてコロナウイルス感染拡大の影響で、実店舗からECサイトに移行しているブランドも急増しており、さらなる伸びが期待されています。

 

ワンポイント
Eコマースで成功するには市場規模・成長率・EC化率の見極めが大切であり、市場動向を常に意識しておくことが不可欠です。

BtoBとCtoCのEコマースの特徴

日本国内におけるBtoBのEコマース市場規模は350兆円を超え、EC化率も30%を超えています。

一見堅調に伸びているように感じられますが、その伸び率は2〜3%程度であり高止まりの間は拭えません。

その背景にあるのはITリテラシーに対する意識が高い企業と、低い企業の間に大きな差が出ていることがあげられます。

今後はEC化が進むことが想定されますが、システム導入に関するコストや社員育成といった課題が残っているのも事実です。

また、フリマアプリの普及により急激にEC化が進んだCtoCですが、伸び率が10%を切り始めたことで安定期に入ったといえるでしょう。

今後は個人間取引に関する法整備なども行われる見込みですが、1兆円程度の市場規模で推移していくことが想定されます。

世界のEコマース市場と日本の関係

世界のEコマース市場は非常に大きな成長曲線を描いており、その市場規模は313兆円を既に超えてるのが現状です。

さらに、成長率もここ数年20%前後の伸びを示しており、この傾向はしばらく続くことが予想されます。

日本国内市場規模が10兆円超、成長率が10%前後であることを考えると、日本はやや遅れ気味だといえるでしょう。

言い換えれば、日本国内のEコマース市場は開拓の余地が大きく残されており、新規参入の企業にもチャンスがあるといえます。

消費者の購買プロセスの変化

Eコマース市場が右肩上がりに拡大している要因には、消費者の購買プロセスの変化があります。

したがって、Eコマースで成功を収めるには消費者の購買プロセスの変化に対して、常にアンテナを張っておくことが大切です。

ただし、消費者の購買プロセスは恒久的なものではなく、時代とともに変化し続けることを心得ておきましょう。

ここではマーケターが知っておきたい、現時点における消費者の購買プロセスの変化について解説します。

スマホファースト

スマートフォンの普及率が高まるにつれ、「スマホファースト」という言葉が使われるようになりました。

スマホファーストとは「スマホ優先」という意味ではなく、「ユーザー優先」という意味で使われます。

ユーザーにとって使い勝手の良いサイト作りがトレンドであり、ECサイトもスマホファーストで作られるようになりました。

つまり、ユーザーにとって使いやすいサイトが増えていくことで、ECサイトの利用者増にもつながっているといえるでしょう。

ネット利用層の拡大

インターネットの普及は消費者の購買プロセスを大きく変化させています。

かつて購買プロセスといえば「知る→興味をもつ→欲しいと思う→記憶する→購入する」でした。

この購買プロセスを以下の単語の頭文字を取って「AIDMA」と呼びます。

  • A:Attention(注意)
  • I:Interest(関心)
  • D:Desire(欲求)
  • M:Memory(記憶)
  • A:Action(行動)

しかし、インターネットの普及により現在では「AISAS」が主流です。

  • A:Attention(注意)
  • I:Interest(関心)
  • S:Search(検索)
  • A:Action(行動)
  • S:Share(共有)

消費者は気になる商品をネットで検索して、その口コミ情報を確認して購入するといってプロセスが常識となっています。

つまり消費者は実店舗がなくともネット上で商品情報を得ることが可能となり、ECサイトでの購入スタイルが定着したといえるでしょう。

SNS検索

SNSの普及も消費者の購買プロセスに大きな影響を与えているといえるでしょう。

消費者にとってSNSのメリットはタイムリーな情報を素早く入手できることであり、新商品や話題の商品情報は即座に拡散されます。

したがって、消費者はSNS検索を利用することで、気になる商品の情報や口コミ情報を簡単に得ることが可能です。

一方企業はECサイトとSNSを連動させて情報発信することで、消費者を自社ECサイトに誘導する手法も取り入れています。

 

ワンポイント
Eコマースを成功させるには消費者の購買プロセスの変化に対応することが重要であり、常にアンテナを張っておくことが大切です。

Eコマース市場の今後のトレンド

Eコマース市場は消費者のライフスタイルの変化などによって、大きく影響を受けやすいのが特徴です。

したがって、マーケターは常に消費者の動向を注視し、市場のトレンドに対応することが必要だといえるでしょう。

ここではEコマース市場への参入を検討しているマーケターが知っておきたい、今後のトレンドについて解説します。

パーソナライゼーション

今後Eコマース市場では、パーソナライゼーションを追求する戦略が主流となっていくことが想定されています。

日本国内のEコマース市場の特徴は、実店舗との間で厳しい価格競争が繰り広げられてきた点です。

一般的に実店舗よりもECサイトの方が安価であると認識されていますが、価格競争が続くと業績悪化の要因にもなります。

そこで重要視されているのが「ユーザーに有益なコンテンツ」「丁寧なアフターフォロー」といった付加価値の提供です。

つまり、パーソナライゼーションを高めることで、自社ECサイトのファンを増やすといった戦略がトレンドとなるでしょう。

オムニチャネル化

実店舗とECサイトなどを両立させるオムニチャンネル化も、Eコマース市場におけるトレンドだといえるでしょう。

スマートフォンの普及に加えコロナウイルス感染症の拡大により、消費者の購買チャネルは大きく変化しています。

Eコマース市場は年々拡大し続けていますが、販売チャネルをECサイトに絞るのはリスキーです。

とりわけ、実店舗である程度の業績が見込めるなら、無理にECサイトに販売チャネルを絞り込む必要はありません。

オムニチャネル化によって、実店舗とECサイトをシームレスに運営することで大きな利益をあげることも今後のトレンドです。

D2C

D2Cとは「Direct to Consumer」の略であり、企業が自社ECサイトを構築して販売活動を展開するビジネスモデルです。

大手モール系ECサイトは知名度が高い反面、出品しても類似商品に埋もれてしまうことも少なくありません。

D2Cであれば顧客とマンツーマンでやり取りできるため、丁寧なアフターフォローも可能となります。

したがって、D2Cを取り入れることで単なる顧客ではなく、自社もしくは商品に対するファンを獲得することができるでしょう。

 

ワンポイント
Eコマース市場におけるトレンドである「パーソナライゼーション」「オムニチャネル化」「D2C」を正確に理解しておきましょう。

 
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Eコマース化のメリット

Eコマース化の最大のメリットは販路拡大が期待できることです。実店舗だと販売エリアはその所在地周辺でしか拡大できません。

しかしEコマースの場合だと、インターネットさえ接続できれば日本全国、24時間体制で販路を拡大することが可能です。

また、詳細な顧客情報が入手できることもEコマースのメリットだといえます。

とりわけ顧客の購入傾向は、Eコマースにおけるマーケティング戦略の大きな武器となるでしょう。

Eコマース化のチェック項目

企業がEコマース化を推進するに当たっては、必ず確認しておくべきチェック項目があります。

ECサイトは実店舗と異なり店員が不在であることから、商品の選択から決済までの手続きを消費者自身が行わなければなりません。

つまり、消費者が安全・安心してECサイトを利用できる仕組み作りが重要だといえるでしょう。

ここでは、Eコマース化に当たって企業がチェックすべき項目を解説します。

多様な決済手段への対応

ECサイトでは消費者が自ら決済処理を行わなくてはなりません。そこで課題となるのが決算手段です。

最近では多種多彩な電子マネーが発行されており、複数の決済手段が活用できなければ競合他社に太刀打ちできません。

ただし、多様な決済手段を導入すればコスト高にもなることから、いかに効率的に導入するかがポイントです。

セキュリティ対策

ECサイトには顧客の支払情報をはじめ様々な個人情報が保管されていることから、万全のセキュリティ対策が不可欠です。

万が一、情報漏洩を引き起こしてしまうと、多額の賠償責任を伴うばかりか会社の信用も失いかねません。

そこで、少なくとも以下のセキュリティ対策を検討・導入することが必要です。

  • セキュリティ対策サービスの導入
  • サイトへのアクセス権限の絞り込み
  • ASP型ショッピングカートの導入
  • 個人情報の保管方法のルール化
  • アプリ・システムのアップデートの徹底
  • 社員教育の徹底

なお、技術的な対策については常に新たな情報を収集するとともに、必要なアップデートをタイムリーに実施することが不可欠です。

 

ワンポイント
ECコマース化を進めるにあたっては、多様な決済手段への対応のほか万全なセキュリティ対策が求められます。

Eコマースのマーケティング戦略で悩んだら

今後様々な企業がEコマース市場に参入するにあたって、マーケターの役割はさらに重要になります。

各企業のマーケターは、従来のマーケティング手法に加え、Eコマースに特化した手法もマスターしなければなりません。

しかし、Eコマースにかかるマーケティング戦略は業種によっても大きく異なり、一朝一夕にマスターすることは困難だといえます。

そのため、マーケティング戦略で悩んでしまうマーケターも少なくありません。そこで活用したいのがコンサルです。

様々な業種の企業・現場で養ったノウハウは、どんなマニュアルよりも有益だといえるでしょう。
 
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まとめ

日本国内におけるEコマースの市場規模は300兆円を超え堅調な伸びを示していますが、世界各国と比較すると遅れているのが現状です。

ただしスマートフォンの普及に加え感染症拡大による巣ごもり需要の影響から、Eコマース市場の需要は拡大し続けています。

EC化を進めるにあたっては、参入したい分野の市場規模・EC化率・伸び率を的確に分析することが不可欠です。

加えて、ECサイトにおける多彩な決算手段の確保及び万全なセキュリティ対策を講じることが重要だといえるでしょう。

ただし、ECコマースで成功を収めるには効果的なマーケティング手法が大切ですが、一朝一夕にマスターできるものではありません。

ECコマースを短期間で軌道に乗せるのであれば、経験豊かで様々なノウハウを有するコンサルに相談することが得策だといえます。

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