ERPはひと・もの・かねの流れなどに関する情報資産を、CRMは顧客に関する情報資産を一元管理できるツールです。
全社的に情報共有できる共通点を上手に活かせれば、安定した売上確保の仕組み作りに役立ちます。
導入成功の鍵はツールの意義・必要性を企業全体で理解し、浸透するまでのプロセスをスモールステップで踏まえること。
まずはERP・CRMそれぞれの特徴や導入をおすすめできるケースを確認し、導入成功の可能性を探ってみましょう。
目次
業務効率化・データ管理に欠かせないITシステム
企業内では業務の方向性や量を様々な数字に基づいて判断しています。
しかし、根拠となる数字が違うと企業活動全体がちぐはぐになってしまうリスクもあります。
例えば、生産管理部門と販売管理部門で把握している在庫状況が違うと必要在庫の不足や過剰在庫リスクにつながってしまうでしょう。
そのため、すべての部署が同じ数字に基づいて効率的に活動するために経営資源に関するデータの一元的な管理が求められます。
ERPはそれを実現するITシステムです。
また、企業内のすべての部署は顧客に購入・利用してもらうことを目的にしています。
企業活動を行うためには商材を購入・利用してくれる顧客の存在が不可欠だからです。
例えば「商材を買わなかった人はなぜ買わなかったのか」という情報は営業ノウハウの構築・ブラッシュアップに不可欠です。
もし「高すぎる」という理由であれば販売管理部門や生産管理部門でのPDCAが求められるでしょう。
そうした顧客にかかわる情報を一元的に管理できるITシステムであればCRMが適しています。
ERPとCRM共通の「情報管理を一元化できる」という特徴がどのようなメリットをもたらすのか、より詳しく見てみましょう。
ERPの特徴
ERPはひと・もの・かねの流れや過不足といった情報資産をリアルタイムで一元管理できる手法、もしくはITシステムです。
企業の「ひと・もの・かね」を管理
ERPは企業活動に必要なリソースをスムーズに管理できるようになり、企業の財務会計の透明性を確保できます。
2000年代初頭、不透明なリソース運用や会計上の不祥事が問題になり多くの企業が信用を失いました。
そこでひと・もの・かねがどのように動いているのか、正確にリアルタイムで把握できる手法やツールが必要とされたのです。
ERPはその問題を解決するシステムとして注目・導入されました。
組織全体の効率化ができる
ERPは業務効率アップが期待できる点もメリットです。
ERPはシステムに情報を登録する入力作業を最小回数に抑えられます。
各部署の工数削減につながるため、これまで入力作業に取られていたマンパワーの有効活用ができるようになるでしょう。
また、入力ミスなどヒューマンエラーによる間違った情報活用やクレーム発生リスクの解消も期待できます。
情報の活用を促進
企業の情報資産を一元管理できるようになると部門間の連携が期待できます。
例えば、マーケティング部門と営業部門で同じ在庫管理状況を共有できていると考えてみてください。
マーケティング部門は在庫の流れをリアルタイムで把握することで、現状のマーケティング戦略の改善点を迅速に発見できます。
営業部門はマーケティング部門と連携しながらより市場ニーズに近いアタック方法を検討できるようになるでしょう。
つまり、部門間で連携しながらERPを活用することで縦割り構造の弊害を受けない強い組織づくりにつながるのです。
ERPのメリット
ERPのメリットは企業の情報資産を一元的にまとめ、全社共有できる点です。
企業内における経営資源の流れをリアルタイムで把握できるので、スムーズな経営意思決定につながります。
リアルタイムで経営判断できる
ERP導入によって経営判断の迅速化・効率化につながります。
自社の経営資源は何があって・何が必要で・何が不足しているのか、リアルタイムで情報が手に入るからです。
企業活動に必要なリソースの流れや過不足の状況が見えやすくなるため、今後の見通しが立てやすくなります。
上層部の意思決定に必要な情報をリアルタイムで入手でき、ビジネスインテリジェンス型経営につながるでしょう。
情報を一元管理できる
ERP導入により企業活動に必要なリソースの流れを一元管理できるようになります。
近年、ほぼすべての企業では継続的な売り上げを確実に得る方法が求められています。
そのためには企業規模を問わず過去の取引データの収集・分析やマーケティング戦略へ反映できるノウハウ構築が必要です。
ポジティブに考えるならば十分なデータの収集と正しい分析ができれば、売り上げを得る可能性を最大限高めることができます。
ERPはその切り札として期待されているのです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ERPのデメリット
ERPのデメリットは導入成功実績のあるシステムの種類が豊富すぎる点です。
タイプ・機能・開発元から受けられるサポート内容などに違いがあり、自社に最適なシステムの選定難易度はかなり高めです。
また自社にあわせてカスタマイズしたシステムが必要な場合、かなりの時間と予算を要します。
ベンダーとの打ち合わせによる要件定義から実際の運用開始まで、担当者を中心に腰を据えて取り組む熱意が求められるでしょう。
情報という企業の経営資源・機密事項を取り扱うツールなので、セキュリティ対策を万全にしておく必要も見逃せません。
アップデート対応など日常的な運用体制の整備といった準備も不可欠です。
CRMの特徴
CRM(Customer Relationship Management)とは顧客関係管理の手法、またその情報を管理できるITツールです。
顧客との関係を育成し深めていくためには顧客に関する多くの情報が必要になります。
CRMは顧客との関係育成に必要な情報を一元管理し営業課題を発見・分析するのに役立ちます。
顧客情報を管理
CRMはそのすべての機能が顧客管理を目的としています。
企業が生き残るためにはお金を出して商材を購入・利用してくれる顧客の存在が必要です。
そのため、対顧客を前提にマーケティング戦略を考えなければなりません。
顧客とより良好な関係を構築し抱えている課題や要望を解決するためには顧客についてより深く考え理解することが必要です。
CRMはそのために必要な顧客情報を全社で一元的に管理できるツールとして活用されています。
営業課題をあぶり出すことができる
CRMは顧客情報・商談内容・マーケティング手法などを管理できるツールです。
例えば営業日報機能によって下記を全社共有できます。
- アポイント時の注意点
- 連絡を取りやすい時間帯
- 担当者名・所属部署
- 日々のアポイントメント目的
- 毎回の商談結果
- 次回アポイント予定 など
もし、シナリオ通り成約がとれないクライアントがいるのならばこうした情報を追って成約できない理由を分析できます。
他にも懸念事項がある案件のマークアップ機能があれば、クレームの未然防止につながるでしょう。
つまり、CRMに登録されている情報はより効率的な営業・マーケティングノウハウ構築に欠かせない情報の宝庫なのです。
CRMのメリット
CRMのメリットは情報の透明性を高められるという特徴から生まれます。
情報共有によって有益な顧客情報や的確なアプローチノウハウをも共有でき、チーム単位で連携した営業活動が可能になります。
顧客情報の属人化を防ぐ
CRM導入メリットとして営業活動やマーケティング戦略のために有用な情報を全社共有できることが挙げられます。
- 成約率を高める有益な情報が行き渡らない
- 有益な情報を得るノウハウが属人化してしまう
- 担当者個人の資質で売り上げが左右される など
これらは企業規模・業種を問わずよくある営業部門の課題で、不安定な企業活動の原因にもなり得ます。
しかし、情報を全社共有することで解決できる問題でもあるのです。
CRMで情報の属人化を防ぐことができれば、各顧客の情報やアプローチ方法を全社的な共有財産にできるかもしれません。
営業活動をチームプレイ化できる
顧客情報を一元管理できると企業の営業部門全体で連携を図れるようになります。
例えば営業担当者それぞれで得意なこと、不得意なことが違います。
商材の魅力を伝えることが得意な営業担当もいれば、クロージングの決め手となるフォローがうまい人もいるでしょう。
また業界知識のないクライアント対応が必要な場合、チーム内にフォローを依頼できるかもしれません。
見込み顧客への的確なアプローチが可能
見込み顧客は有力な顧客候補・ファン候補です。上手に関係を深めれば安定した売り上げを支えてくれるかもしれません。
CRMは見込み顧客を顧客・ファンにするために必要なヒント・情報を一元管理できるのがメリットです。
- どのような課題解決を期待しているのか?
- 商材についての知識をより深めたいのか?
- 他社商材と比較検討したいのか?
- 商材購入の決裁権を持った担当者向けにもう一押しが必要なのか?
- クロージングはどのようなアプローチが有効なのか? など
CRMは見込み顧客がどの段階で・どのようなアプローチが有効なのかを的確に判断するための情報を管理できます。
担当者個人ではなくチームとして的確なアプローチができるため、より成約可能性を高められる可能性があります。
CRMのデメリット
CRMのデメリットはERPのデメリットと類似した問題点が指摘されています。
特に下記3つに注意が必要です。
- 導入にかける準備期間
- コスト面のデメリット
- 定着しづらい
コスト面のデメリットは企業ごとの業種・業態にあわせたカスタマイズやオーダーメイドシステムが必要な場合に要注意です。
また、選択肢が豊富すぎるツールでもあるため、導入に向けた比較検討に時間を要する場合があります。
さらに、顧客情報を最も必要とする営業部門はフレキシブルでフットワークの軽い顧客対応が求められます。
情報の登録・更新対応を手間と感じさせない運用を含めて検討しなければならないでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ERPとCRMのどちらを導入すべきか
ERPとCRMは結局どちらを導入すべきか、という疑問を持つ人も多いです。
結論、自社の課題を解決できるのはどちらかという視点で考えてみましょう。
ERPが向いているケース
ERPの導入が向いているケースとして下記が考えられます。
- 全社的に工数削減したい
- ひと・もの・かねをはじめ、企業活動に必要なリソースをまとめて管理したい
- 部署間で共有している情報が違う
- 経営判断・上層部の意思決定を迅速にしたい
- 在庫・備品などデータ上の数字と実際に棚卸しした数のズレがよくある など
企業活動に必要なリソースの流れをわかりやすく明確にしたいということであればERPを導入する価値があります。
CRMが向いているケース
CRMの導入をおすすめできるケースとして下記が挙げられます。
- 新規顧客を獲得したい
- 比較・検討まではしてもらえるが成約率が低い
- リピート率を高めたい
- インバウンドマーケティングを取り入れたい
- ブランドイメージを構築したい
- その他マーケティング戦略の有効性を高めたい など
現在抱えている課題が顧客につながる場合であればCRMの導入が適しているでしょう。
ERPとCRMを連携
ERPはリソースの全体的な流れを掴むツールとして最適です。
対してCRMは顧客に特化しているため、顧客管理にかかわる機能はCRMの方が充実しています。
「どちらも必要」「どちらも使ってみたい」という場合はERP・CRMの機能をいずれも搭載し、連携できるツールがおすすめです。
ただし、ツールによって仕様に幅があるため導入に向けた比較・検討は慎重に行いましょう。
ERPとCRMの導入で困った時は?
CRM・ERPともに重要なのは必須業務フローとして定着させられるかどうか、です。
新しいシステムを導入する場合、既存システムに対する慣れから抵抗感を抱く人がいるかもしれません。
また、全社で情報を共有できるということは全社員にアクセス権限が与えられているということでもあります。
- 自社に最適なツールの選定
- システムの意義・必要性を共通認識にしておく
- 情報の登録・運用・保守ルールの策定
- 取り扱い権限の管理
- 全社的なコンプライアンス意識の定着 など
取り組んでおく必要があります。
事前の研修やプレ導入など細かいプロセスを踏まえてスモールスタートで徐々に浸透させていくのがおすすめです。
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Webマーケティングコンサルタントはマーケティングに関する悩みを相談、課題解決に向けたサポートができます。
事前研修やプレ導入など、スムーズにシステムを導入するためのプロセスをお手伝いさせていただくことが可能です。
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まとめ
ERPは経営資源の流れや過不足に関する状況をリアルタイムで・一元的に全社共有できます。
対してCRMは顧客と良好な関係を築き見込み顧客を顧客へ、顧客をファンへ育成するために役立つツールです。
それぞれ目的や状況に応じて導入・連携させることで安定した売り上げを確保できる仕組み作りができます。