ビジネスモデルキャンバスというフレームワークをご存知でしょうか?
ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスモデルを示す設計図のようなものです。
特別な道具は要らず、筆記用具と紙があれば誰でも簡単に作ることができます。
今回ご紹介するのは、ビジネスモデルキャンバスの作り方です。
ビジネスモデルを明確にしたいと思っている人は、この記事を参考にビジネスモデルキャンバスを作ってみてください。
目次
ビジネスモデルキャンバスの作り方を解説
ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスモデルを可視化するために使われます。
ビジネスモデルキャンバスが最も利用されるシーンが、新規事業の立ち上げの際です。
自分たちのビジネスモデルに対する理解だけではなく、他のスタッフや出資者への説明にもつなげることができます。
社内外にビジネスモデルをアピールする上でも便利なフレームワークです。
新規事業の立ち上げを考えている人は、ぜひ今回ご紹介するビジネスモデルキャンバスを活用してください。
ビジネスモデルキャンバスを使うメリット
ビジネスモデルキャンバスの作り方について紹介する前に、ビジネスモデルキャンバスを使うメリットを紹介しましょう。
ビジネスモデルキャンバスを作ることで得られるメリットがこちらです。
- 自分たちのビジネスモデルに対する理解を深めることができる
- 既存事業の場合、現状のビジネスモデルの強みや弱みを知ることができる
- 社内スタッフの共通認識として使える
- 株主や出資者に対してビジネスモデルの説明をする際に役立つ
新規事業の立ち上げの際に使われることが多いですが、既存事業でも使用することができます。
特に、社内で共通認識としてビジネスモデルを共有したいときは、ビジネスモデルキャンバスを使うと便利です。
ビジネスモデルキャンバスの各要素
ビジネスモデルで最も大切なのは「誰に何をどんな価値で提供するのか」ということです。
それを細かく分析するために、ビジネスモデルキャンバスは使われています。
まずは、ビジネスモデルキャンバスで使われる各要素をご紹介しましょう。
顧客セグメント
顧客セグメントでは「誰に価値を提供するのか」を記入していきます。いわば、製品やサービスのターゲットです。
年齢や性別だけではなく、居住地やどのような生活を送っているか等も分析していきます。
より細かく分解することで、ターゲットが途中でブレてしまうことが防げるでしょう。
提供価値
提供価値は、企業の製品やサービスの内容を指します。
「顧客のどんな悩みを解決するのか」を定義するのが、提供価値のフェーズです。
提供価値は、製品やサービスの存在価値となります。
製品やサービスがあることで、顧客の生活がどのように変わるかを想像しながら分析をしましょう。
チャネル
チャネルは、製品・サービスの届け方やPRするための方法です。顧客セグメントやコスト構造と深い関係にあります。
ターゲットが高齢者の場合、PRはSNSで行うより、新聞で行った方が効果的です。
逆に若年層がターゲットなら、TVCMよりもネット広告が効果的であることが予想できるでしょう。
製品やサービスの届け方も、通販にするか店舗販売にするかでコストは変わります。
流行りに流されるのではなく、ターゲットとコストを加味した上でチャネルは決定するようにしましょう。
顧客との関係
顧客との関係では、顧客とどのように関係を構築し、展開していくかを定義します。
まずは、新規顧客を狙うのか既存顧客を狙うかを決める必要があるでしょう。
そして、製品やサービスは1回きりなのか、リピートしてもらうかでもアプローチ方法は異なります。
製品やサービスがどのような使い方をされるのかを考えた上で、顧客との関係をどう作るか決めましょう。
収益の流れ
収益の流れでは、お金の流れを決めていきます。
支払いのタイミングや支払い方法を明確にすることで、今後の展開方法も見えてくるでしょう。
支払いは1回だけとは限りません。定額制にするだけでも、利用者が増える可能性があります。
ターゲットの生活水準も踏まえながら、収益の流れを決定してください。
主な資源
主な資源では、スムーズにビジネスを回すために必要なリソースの量を決めます。
会社のリソースとして挙げられるのが、ヒト・もの・カネ・情報の4つです。
リソースが多すぎたらムダになり、少なすぎたらビジネスが回らなくなってしまいます。
最適なリソースを設定することで、マネジメントを安定させることができるでしょう。
主な活動
主な活動では、事業をスムーズに進めるための活動を決めていきます。
活動として挙げられるのは、営業・メディアや商品の制作・マーケティング・アプリやシステムの開発です。
自社が取り組まなければならない活動が見えてくるので、主な活動のフェーズは細かく決めましょう。
主な活動が曖昧だと、ビジネスモデルが社内に浸透しづらくなってしまいます。
主なパートナー
主なパートナーでは、外部発注や外部連携について決めます。
製品やサービスによっては、自社でまかないきれなくなるかもしれません。
そのような事態になったら、自社で解決しようとせず外部の力を借りるようにしましょう。
しっかりと専門的な外部に頼んだ方が顧客満足度の向上にもつながり、売上アップも期待できます。
コスト構造
コスト構造では、価値を提供するために必要なコストを考えます。
価値を提供する上でかかるのは、仕入原価だけではありません。
広告費・人件費・委託費など、想像以上にコストはかかってしまいます。
コスト構造が甘いと、収益が思うように伸びなくなってしまうかもしれません。
・顧客セグメント
・提供価値
・チャネル
・顧客との関係
・収益の流れ
・主な資源
・主な活動
・主なパートナー
・コスト構造
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ビジネスモデルキャンバスの作り方
ビジネスモデルキャンバスのを作ろうと思っても、何から書けば良いかわからない人も多いと思います。
そこで、ビジネスモデルキャンバスの作り方についても解説していきましょう。
まず考えるべきなのは、顧客セグメント・提供価値・主な活動の3つです。
この3つが決まらないと、他の項目を埋めることができません。
また、3つの項目以外にも既に決定事項があるのであれば、そこも埋めていきましょう。
埋められるところからどんどん埋めていくことで、空いているスペースも自然と埋まります。
そして全ての項目が埋まってきたら、お金の流れを可視化してください。
お金の可視化をする際に見るべき項目は、コスト構造と収益の流れです。
顧客サイドと主なパートナーを見れば、自ずとお金の流れが見えてくるでしょう。
リーンキャンバスとビジネスモデルキャンバスの違い
ビジネスモデルキャンバスと混同されやすいのが、リーンキャンバスと呼ばれるものです。
リーンキャンバスは、ビジネスモデルキャンバスの中で顧客の項目に特化したフレームワークとなっています。
ビジネスモデルキャンバスよりも顧客視点の分析ができることが特徴です。
リーンキャンバスも、ビジネスモデルキャンバスと同じ要領で作成することができます。
アイディアとビジネスを1つの資料として見たい場合は、リーンキャンバスを使用すると良いでしょう。
マーケティングフレームワークの事例はこちら
ビジネスモデルキャンバスの事例
ビジネスモデルキャンバスがどのようなものかわかりましたか?
続いては、ビジネスモデルキャンバスの事例をご紹介していきたいと思います。
ジレット
ジレットがビジネスモデルキャンバスで工夫をしたのが、収益の流れです。
男性用カミソリの刃が使えなくなったときに、本体ごと買い替えているという状況にジレットは目をつけました。
そこで販売されたのが、刃だけを交換すれば良いカミソリです。
顧客は本体が長く使えるようになったことで、消耗品の刃も同じメーカーのものを買うようになります。
ジレットの消耗品を継続的に買ってもらうというビジネスモデルは、他の業界でも応用されました。
本体を安価で提供し、消耗品で収益を獲得するモデルは、ジレットモデルと呼ばれています。
西松屋
西松屋でお手本にしたいのが、コスト構造です。西松屋はコスト削減を徹底的に行い、収益のアップにつなげました。
中でも驚きの声が上がったのが、接客の廃止です。小売業で接客を行わないというのは、あまりに邪道でした。
しかし、顧客の中には自分のペースでゆっくりと選びたいという人もいます。
そのような人にとって、接客は邪魔でしかないでしょう。
他社との差別化を図ろうとすると、接客に力を入れたいと思う企業の方が多いのではないでしょうか?
そこを西松屋はあえて減らすことで、マイナスの差別化に成功しました。
ビジネスモデルキャンバスの効果を高める3ステップ
ビジネスモデルキャンバスの作り方がわかったところで、効果を高める方法をご紹介します。
ビジネスモデルキャンバスの効果を高めるには、これから紹介する3つのステップが重要です。
ぜひビジネスモデルキャンバスを作る際は、下記のステップを実行してみてください。
バリュープロポジションキャンバス
バリュープロポジションキャンバスは、顧客セグメントと価値提案に特化しています。
顧客セグメントと価値提案は、バリュープロポジションキャンバスでは3つずつの項目に分けられます。
まずは、顧客セグメントの項目を見てみましょう。
- 顧客の仕事:ターゲットが成し遂げたいこと
- ゲイン:ターゲットのメリット
- ペイン:仕事の障害・リスク
続いて、価値提案の項目です。
- 製品・サービス:提供する製品やサービスの内容
- ゲインクリエイター:製品・サービスでゲインを増やす方法
- ペインリリーバー:製品・サービスでペインを減らす方法
バリュープロポジションキャンバスでは、自社の製品やサービスと顧客とのギャップを埋めることができます。
ビジネスモデルがいまいちハマっていないと感じたら、バリュープロポジションキャンバスを試してみると良いでしょう。
アンゾフの成長マトリクス
アンゾフの成長マトリクスは、市場と製品をそれぞれ既存と新規に分けて分析をします。
アンゾフの成長マトリクスでの分析項目がこちらです。
- 市場浸透:既存の市場×既存の製品
- 市場開拓:新規の市場×既存の製品
- 製品開発:既存の市場×新規の製品
- 多角化:新規の市場×新規の製品
売上が低迷しているときは、アンゾフの成長マトリクスの出番です。
現状の事業を4つの項目に当てはめることで、注力すべき事業がわかるでしょう。
事業環境マップ
事業環境マップでは、自社に影響を及ぼす恐れがある外部環境を分析します。
外部環境について理解することで、どのようにビジネスモデルを変化させていくべきかわかるでしょう。
事業環境マップを作る上での項目がこちらです。
- 業界の圧力
- 重要なトレンド
- マクロ経済
- 市場の圧力
事業環境マップでは現状の外部環境を把握するだけではなく、未来の予測にも使うことができます。
外部環境をうまく活用しながら、売上アップにつなげましょう。
・バリュープロポジションキャンバス
・アンゾフの成長マトリクス
・事業環境マップ
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
新規や既存事業の成功のために使おう
ビジネスモデルキャンバスは、新規事業の立ち上げの際に使われることが多いです。
それぞれの項目を深く掘り下げていくことで、質の良いビジネスモデルが完成することでしょう。
既存事業でも、ビジネスモデルの見直しや再認識をする際にビジネスモデルキャンバスは役立ちます。
新規事業、既存事業に関わらず、ビジネスモデルを明確にしたい人にはぜひ使ってみてください。
ビジネスモデルキャンバスの活用方法に悩んだら?
ビジネスモデルキャンバスを作成した人の中には、活用方法に悩んでいる人もいるかもしれません。
せっかくビジネスモデルキャンバスを作ったとしても、活用できなければ作った時間がムダになってしまいます。
もし、ビジネスモデルキャンバスの活用に悩んだら、コンサルタントに相談すると良いでしょう。
第三者の視点からの意見をもらうことで、ビジネスモデルキャンバスのブラッシュアップにもなります。
コンサルタントはマーケティングのプロでもあるので、プロの目線からアドバイスをもらうことも可能です。
ビジネスモデルキャンバスだけに限らず、マーケティングで悩んだらコンサルタントに頼ることも検討してください。
マーケティングフレームワークの事例はこちら
まとめ
今回は、ビジネスモデルキャンバスの作り方についてご紹介しました。
ひとつひとつの項目を埋めていくことで、目指すべきビジネスモデルが見えてくるでしょう。
紙とペンがあれば、誰でも簡単にビジネスモデルキャンパスを作ることができます。
新規事業を立ち上げる際や既存事業のビジネスモデルを見直したいときは、ぜひビジネスモデルキャンパスを使用してください。