オンライン広告を使ってユーザーの実店舗への来店を促す場合、来店コンバージョンを測定することは非常に重要です。
計測結果から投資収益率が分かる他、より効果的な広告クリエイティブの判断材料になるなどメリットは計り知れません。
今回の記事ではそんなマーケティングで必須の来店コンバージョンの計測方法について詳しく解説します。
計測の条件や利用可能な広告配信手法、来店コンバージョンのより高度な操作も紹介しますのでぜひ参考にしてください。
目次
来店コンバージョンの概要
近年、オンライン広告の利用はどのような業界でも非常に盛んです。多くの企業が様々なタイプのオンライン広告を出しています。
来店コンバージョンはそんなオンライン広告のクリック数や来店したユーザーの数などに着目して広告の効果を把握するものです。
この項目では来店コンバージョンについてより詳しくご紹介しましょう。
来店コンバージョンの示すこと
来店コンバージョンはオンライン広告がユーザーの来店を促進することにどれだけ貢献しているかを指し示すものです。
これによってユーザーに最も影響を与えたキャンペーン・デバイス・キーワードなどを把握することができます。
それら獲得したデータを詳細に分析することでキャンペーンのパフォーマンスを最適化することが可能となるでしょう。
また広告の費用や入札価格などについてもより確かな根拠に基づいて判断することができるようになります。
設定方法
後の項目で紹介するいくつかの条件を満たすと、来店コンバージョンが表示されるようGoogle広告のレポートを設定できます。
来店コンバージョンを表示するために、レポートに以下の項目を示す列を追加することが可能となります。
- 来店値
- 費用/来店
- 来店値/費用
- 来店値/来店
- 実店舗への来店
- ビュースルーの来店
- 来店値/インタラクション数
- 来店率(来店/インタラクション)
これらのデータから、広告が店舗への来店に及ぼす影響について詳しいことが分かるようになるでしょう。
活用
来店コンバージョンを活用することで消費者インサイトを見出し、そこから次のアクションへと繋げていくことが可能となります。
消費者インサイトとは消費者自身が気付いていない動機や本音のことで、購買行動の根拠を掘り下げることを意味します。
たとえば商品のカテゴリごとにECでの購入率と来店率を比較し、インサイトを抽出して次のアクションに繋げられるでしょう。
また検索キーワードと来店率との関係を分析することも消費者インサイトを見出す有効な手段となります。
アクセス解析の事例はこちら
来店コンバージョンを計測する仕組み
計測はGoogleアカウントにログインしてロケーション履歴を有効にしている消費者が広告を閲覧・操作する所から始まります。
広告を確認した消費者が実店舗を訪れると、その来店と広告のエンゲージメントがプライバシーを保護しながら結びつけられます。
来店コンバージョンではプライバシーへの配慮から匿名で集計された統計情報しか使用されません。
来店のデータを捉えたシステムは一部の消費者にアンケートなどを実施して来店コンバージョンの予測精度を確認します。
その後、広告をクリックしたり表示したりした後に来店した消費者の人数に関するデータを用いて推定値が生成されます。
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来店コンバージョンの測定範囲
来店コンバージョンは日本を含む世界24の国で測定が可能となっています。
またリスティング広告・ディスプレイ広告・動画広告などGoogle広告が提供するほとんどの広告において計測が可能です。
多くは広告をクリックした消費者が測定対象となりますが、動画広告では以下のいずれかの条件を満たさなければ対象になりません。
- 動画をクリック
- 動画の再生を完了
- 動画を30秒以上再生
上記は動画広告を「視聴」したとみなされる条件です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
来店コンバージョンの確認方法
来店コンバージョンに関するレポートを確認するためにはまずGoogle広告アカウントにログインします。
デフォルトでは、来店コンバージョンは「すべてのコンバージョン」の列に含まれています。
来店コンバージョンを「コンバージョン」列の集計対象にするには「コンバージョン列に含める」をオンにしなければなりません。
その際、データ分割の「コンバージョン」から「コンバージョンの発生元」をクリックすると「来店」セグメントに表示されます。
来店コンバージョン計測の条件
来店コンバージョンは実店舗を持つすべての企業が利用できるものではありません。
たとえGoogle広告を利用していても、複数の条件を満たしていなければ測定はできないので注意しましょう。
この項目ではそんな来店コンバージョンを計測するための条件を3つピックアップしてそれぞれ詳しくご紹介します。
これらは計測のための十分なデータを確保しながらユーザーのプライバシーを維持するために設けられた基準です。
GoogleマイビジネスとGoogle広告アカウントを連携している
来店コンバージョン計測の条件、1つ目はGoogleマイビジネスとGoogle広告アカウントを連携していることです。
Googleマイビジネスは検索やマップなどGoogleが提供する様々なサービス上にビジネス情報を表示できるサービスです。
しかも、Googleマイビジネスの登録状況も以下の条件を満たしていなければなりません。
- 対象国に複数店舗を展開・保有している
- Googleビジネスアカウントに店舗のビジネス情報を登録している
- リンクとなっているビジネス情報の90%以上がオーナー確認済みになっている
条件未達の場合、GoogleマイビジネスとGoogle広告アカウントを連携していても来店コンバージョンは計測できません。
クリックやインプレッションが発生
来店コンバージョン計測の条件、2つ目はクリックやインプレッション、実店舗への来店が十分にあることです。
来店コンバージョンのレポートには機械学習モデルが用いられているため、十分な量のデータがなければ計測そのものができません。
ただし、状況は広告主ごとに異なるため、必要なデータ量も広告主ごとに異なります。
住所表示オプションをオン
来店コンバージョン計測の条件、3つ目は住所表示オプションをオンにしていることです。
住所表示オプションは広告表示オプションの1つです。実店舗の住所・地図・電話番号などを広告に記載することができます。
また、キャンペーンや広告グループ単位で住所表示オプションが無効になっていないことも確認しなければなりません。
キャンペーンで設定を有効にしていないと来店数が報告されず、来店コンバージョン計測のための十分なデータが取れないからです。
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来店コンバージョンを利用できる配信手法
Google広告には様々な配信手法があり、その多くで来店コンバージョンの計測をすることができます。
この項目ではそれらの配信手法の中から5つをピックアップしてそれぞれ詳しくご紹介します。
ローカル検索広告
来店コンバージョンを利用できる配信手法、1つ目はローカル検索広告です。
ローカル検索広告では、ユーザーが検索やマップで近隣の店舗を検索した際、広告主のビジネス拠点も一緒に表示してくれます。
店舗の近くにいるユーザーにアプローチできるので来店数の増加が見込める他、問い合わせ電話の増加も期待できるでしょう。
ローカル検索広告を表示するためには住所表示オプションを設定しなければなりません。
ディスプレイロケーション広告
来店コンバージョンを利用できる配信手法、2つ目はディスプレイロケーション広告です。
ディスプレイロケーション広告はローカル検索広告のディスプレイ広告バージョンといえます。
まだ課題に気づいていない潜在ユーザーに広くアプローチできるので、認知拡大が期待できるでしょう。
ただし、ディスプレイロケーション広告は目標なしのキャンペーンでしか作成できないという点には注意が必要です。
ローカルキャンペーン
来店コンバージョンを利用できる配信手法、3つ目はローカルキャンペーンです。
ローカルキャンペーンでは検索・マップ・YouTubeといった最大規模のGoogleサービスで広告を表示させられます。
数行の広告文・予算・いくつかのアセットを設定し、宣伝する店舗の場所を入力すれば他に設定の必要はありません。
ローカルキャンペーンの目的は実店舗の価値を最大化し、手間をかけずにオフラインでビジネスを拡大することです。
広告主が入力した情報に基づいて、Googleの機械学習技術が入札価格や広告プレースメントなどを自動的に最適化します。
ローカル在庫広告
来店コンバージョンを利用できる配信手法、4つ目はローカル在庫広告です。
ローカル在庫広告はGoogleショッピング広告枠に掲載され、ユーザーに実店舗の在庫状況を知らせることができます。
すでに商品に関する検索を行っているユーザーに在庫状況を伝えられることのメリットは大きいといえるでしょう。
ただし、ローカル在庫広告を掲載するためには実店舗の在庫とGoogleマーチャントセンターの連携が必要です。
ローカルカタログ広告
来店コンバージョンを利用できる配信手法、5つ目はローカルカタログ広告です。
ローカルカタログ広告はローカル在庫広告のデータフィードを用いるもので、在庫のカタログをディスプレイ広告面で配信できます。
ローカル在庫広告を実施しているならこちらも合わせて実施しておくと良いでしょう。
ユーザーに対して実店舗のリアルタイムの在庫状況を商品カタログのような形式で知らせることができます。
来店コンバージョンの高度な操作
Google広告のレポートにおいて、来店コンバージョンを確認できる列はデフォルトでは表示されていません。
そのため、コンバージョン数を確認できるよう広告主自身の手で表示の設定を変える必要があります。
来店コンバージョンのレポートをカスタマイズすることによって、データの分割や列の追加が可能となります。
この項目ではそれら高度なカスタマイズについて詳しくご紹介しましょう。
すべてのコンバージョンの一部として来店コンバージョン数を表示
来店コンバージョンの高度な操作、1つ目はすべてのコンバージョンの一部として来店コンバージョン数を表示する機能です。
これによって他のコンバージョンアクションと合わせて来店コンバージョン数を表示することができるようになります。
ページメニューで表示したいデータを選んだらデータ表の上にある表示項目アイコンを選んでください。
プルダウンメニューが出るので「表示項目を変更」を選び、「コンバージョン」をクリックします。
「すべてのコンバージョン」の横のチェックボックスをオンにして「適用」をクリックすれば設定完了です。
コンバージョンデータを分割
来店コンバージョンの高度な操作、2つ目はコンバージョンデータを分割して来店データを表示する機能です。
これによって来店コンバージョン数をキャンペーン・広告グループ・キーワード単位で表示できるようになります。
ただし、事前に「すべてのコンバージョン」列をレポートに追加する操作を済ませておかなければなりません。
表示したいデータに応じてキャンペーン・広告グループ・キーワードのいずれかをクリックします。
その後、分割アイコンをクリックし、「コンバージョン」の「コンバージョンの発生元」を選択すれば設定完了です。
来店コンバージョンのレポートを作成
来店コンバージョンの高度な操作、3つ目は来店コンバージョンのレポートを作成する機能です。
管理画面のレポートアイコンをクリックし、事前定義レポート(詳細分析)から「コンバージョン」の「来店」をクリックします。
収集データが更新される関係上、コンバージョン計測期間内の直近のデータは時間経過による変化を避けられません。
そのため来店コンバージョンのレポートを確認するのは計測期間が過ぎた後が良いでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
来店コンバージョンの計測を活用しよう
来店コンバージョンを活用することで、オンライン広告の効果測定や総合的な広告費用対効果の向上が期待できます。
オフラインで発生したコンバージョンに基づいてオンライン広告の効果の全容を分析することも可能となるでしょう。
オンライン広告を利用して実店舗へのユーザーの来店を促すスタイルを取っているのであれば、挑戦してみない手はありません。
来店コンバージョンの計測方法で悩んだら
オンライン広告を運用する広告主にとって、来店コンバージョンの計測は費用対効果の計測などを行うのにとても有効です。
ただ、いくつか必須条件があるなど設定の面で少々ややこしい印象があります。
また無事に設定ができても得られたデータをどう扱うか判断に苦しむこともあるでしょう。
もしも来店コンバージョンの計測方法で悩んだら、デジマクラスのコンサルタントに相談してみてください。
マーケティングのプロフェッショナルが親身になってお話をうかがい、適切なアドバイスをさせていただきます。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回の記事では来店コンバージョンの計測方法について解説しました。
来店コンバージョンは条件や設定にややこしい部分がありますが、適切に扱えばとても役立つデータが得られます。
もしも実店舗を複数お持ちであれば、Google広告の運用と合わせて計測に挑戦してみてはいかがでしょうか。
本稿がそのための一助となれば幸いです。