シニアマーケティングの事例を解説!シニアマーケティングが難しい理由は?シニアマーケティングのペルソナ設定のコツもご紹介

少子高齢化が進む日本では、シニアをターゲットとした市場の拡大が注目されています。

そこで、シニアマーケティングを行いたいけれど何をすべきか分からない、すでに始めているけれど成果が出ないという人もいるでしょう。

シニアマーケティングは難しいといわれており、成功のためにはその理由や注意点を押さえておかなければなりません。

今回は、そんなシニアマーケティングについて事例を含めて詳しくご紹介します。

シニアマーケティングの概要

シニアマーケティングが注目されている中、その言葉だけを拾って戦略を立てるのは避けた方がいいでしょう。

ここでは、シニアマーケティングの概要をご紹介します。

まずはシニアマーケティングの定義や市場について理解し、マーケティング活動の基盤を作りましょう。

シニアの定義

シニアマーケティングはシニア層をターゲットとするマーケティング活動のことです。

そして、ターゲットとなるシニアは「高齢者」を意味します。

「何歳から高齢者になるのか?」という疑問が生まれるという人もいるでしょう。

一般的に高齢者は65歳以上の男女のことをさします。

さまざまな統計でも65歳以上を高齢者と扱うことがほとんどです。

シニアマーケティングでも、65歳以上のユーザーをターゲットとしてアプローチしましょう。

市場規模と動向

シニア向けのビジネスは拡大傾向にあり、シニア層へのアプローチによってビジネスを成功に導くことも少なくありません。

その背景には日本の少子高齢化があり、新たにシニア市場を開拓していく企業も増えるでしょう。

拡大傾向にあるシニア市場ですが、その市場規模は毎年1兆円ずつ増えているのです。

シニア市場が拡大傾向にある理由は、人口に占める高齢者の割合から読み解くことができます。

2018年の全人口に占める65歳以上の割合は約28%でした。それが、2055年には38%に上るといわれているのです。

シニア層が占める割合が増加していくことから、今後もますますシニア市場の拡大が期待されています。

 

ワンポイント
・マーケティングにおけるシニアは65歳以上
・高齢者の割合が増えるためシニア市場は今後も拡大の可能性がある

シニアマーケティングが難しい理由

シニアマーケティングに注目する企業は多いですが、実は「難しい」といわれている分野です。

なぜシニア市場は拡大しているのに、マーケティング活動は難しいのでしょうか。

ここでは、シニアマーケティングが難しい理由を3つご紹介します。

「シニア」とラベリングしてしまう

シニアマーケティングを難しくする理由の1つに、「シニア」とラベリングしてしまうことがあります。

一般的にシニアは65歳以上ですが、80歳や100歳も同様にシニアです。

65歳から100歳まで35歳の幅があることを考慮しなければなりません。

成人しているからといって、20歳から55歳までをひとくくりにするかといったら、それはしないはずです。

「シニア層をターゲットにする」というのは実は曖昧なもので、ターゲットを見極めなければなりません。

それを「シニア」とラベリングすることで、ペルソナ設定やアプローチが上手くいかなくなってしまうのです。

シニア世代の感覚をマーケターが把握できない

シニア世代の感覚をマーケターが把握できないことも、シニアマーケティングを難しくしているといえます。

ターゲットが同世代であれば、価値観・思考・ライフスタイルなどさまざまな感覚をマーケティングに活かすことができるでしょう。

しかし、多くのマーケターはシニア世代よりも下の世代です。

自分自身が経験していない世代の感覚は、実感として把握することが難しいでしょう。

ターゲティングに必要な情報が得にくい

マーケティング活動を行ううえで、ターゲティングのための情報収集は必要不可欠です。

しかし、シニアマーケティングではターゲティングに必要な情報が得にくいことも少なくありません。

定年退職をすると、年収や職業といったデータはこれまでとは違ったものになります。

仕事をしていた頃と定年退職後では、興味・関心・趣味が変わる可能性もあるでしょう。

また、高齢化の中で毎年シニア層が増加しますし、1年間で健康面・生活面が大きく変化することも珍しくありません。

変化するターゲット層を追うことも難しいため、情報を得にくい状況になってしまうのです。

 

ワンポイント
シニアマーケティングが難しい理由を理解したうえで戦略を立てることが大切です。

シニア市場を理解するためのポイント

シニア市場の拡大が期待される中、シニアマーケティングを行いたいと考えている人も多いのではないでしょうか。

シニアマーケティングで成果を出すために、ここでは市場を理解するポイントをご紹介します。

一般的に65歳以上の人を「シニア」と位置づけますが、すべてひとくくりにして考えてはいけません。

マーケティングにおいて、シニアは以下の4つのタイプに分けて考えるのがポイントです。

  • 現役シニア:働いているシニア
  • アクティブシニア:意欲的に活動するシニア
  • ノンアクティブシニア:自立して暮らすが活動的ではないシニア
  • パッシブシニア:日常的に介護が必要なシニア

それぞれのシニアによって、生活環境やニーズが異なります。

これらを理解したうえで、シニアマーケティングを考えていきましょう。

タイプ以外にもシニア市場を理解するために押さえておきたいことがあります。

  • インターネットを活用するシニアは多い
  • スマートフォンを利用するシニアは増えている

シニア層へのアプローチはアナログというイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。

しかし、シニア層にもスマートフォンは普及しており、日常的に活用している人は多いのです。

特に現役シニア・アクティブシニアでスマートフォンを活用する人が多いことを知っておきましょう。

つまりシニアマーケティングを行ううえで、アナログだけでなくデジタルも考えなければならないということです。

シニアマーケティングの成功事例

市場が拡大しているシニアマーケティングですが、どのような事例があるのか気になる人も多いでしょう。

ここでは、シニアマーケティングの成功事例を4つご紹介します。

イオンリテール株式会社

イオンリテール株式会社は、ターゲットに合ったシニアマーケティングを行いました。

活発に活動するアクティブシニアに対して、ウォーキングイベントやラジオ体操を行ったのです。

健康への取り組みができること、仲間と一緒に取り組めることがシニアにとって魅力といえます。

そして、イベントに参加したシニアはイオンで買い物をすることが多く、売上につなげることができるのです。

さらに、介護が必要なパッシブシニア向けに、「やわらかシリーズ」という食品を販売しました。

おいしく安全に食べることができる「やわらかシリーズ」は、パッシブシニアにとっても介護者にとっても高いニーズがあるのです。

象印マホービン株式会社 | みまもりほっとライン

「みまもりほっとライン」は、電気ポットを活用した高齢者見守りサービスです。

2001年に象印マホービン株式会社がサービスを開始し、累計1万人以上のシニアが利用しています。

対象の電気ポットを使うと、離れて暮らす家族に通知が届くというのが「みまもりほっとライン」のサービスです。

「自分がもし倒れたら誰か気づいてくれるだろうか」いう不安を抱えて暮らすシニアは少なくありません。

そして、「頻繁に訪問できないから安否確認をしたい」と思っている家族も大勢います。

双方のニーズを満たすサービスが、この「みまもりほっとライン」なのです。

株式会社やずや

健康食品を扱う株式会社やずやでは、デジタルとアナログという両方の媒体を上手く活用しシニア層から人気を得ています。

インターネットを活用するシニアは増えていますが、もちろん従来のアナログ媒体の存在も大きいです。

双方を活用し魅力的なキャンペーンを行ったり、シニアの心を掴むデザインにしたりしてアプローチしてきました。

株式会社資生堂 | PRIOR

PRIOR(プリオール)は、株式会社資生堂の化粧品ブランドの1つです。

中高年をターゲットにしたPRIORには、「大人の七難すんなり解決」という印象的なキャッチコピーがあります。

年齢という数字に関係なく、自分らしい美しさを追求することがこの化粧品の目指すところです。

印象的なキャッチコピーや化粧品に込められた想いが、多くのシニアの心を掴んだ事例といえます。

株式会社ハルメクホールディングス

株式会社ハルメクホールディングスは、定期購読誌「ハルメク」の出版と通信販売をメイン事業とする企業です。

「ハルメク」のメイン読者は60代から70代で、特にアクティブシニアをターゲットとしています。

おしゃれや趣味を楽しみたいシニア向けに、定期購読誌と一緒に通販冊子も送付しているのがポイントです。

そして、「ハルメクWEB」というWebサイトを立ち上げ、さらに多くのユーザーに親しまれるようになりました。

イベントも活発に行っており、ワークショップや講演会などそこでしか得られない体験をすることができます。

 

プロモーション戦略の事例はこちら

 

シニアマーケティングで注目すべき分野

シニア層はどのようなことに興味・関心をもち、市場に影響を与えるのでしょうか。

そのことを理解したうえで、マーケティング戦略を立てることが大切です。

ここでは、シニアマーケティングで注目すべき3つの分野をご紹介します。

ヘルスケア

「人生100年時代」といわれる中、やはり気になるのは健康ではないでしょうか。

健康を考えるときに忘れてはいけないのが「健康寿命」です。

健康寿命とは、「寝たきりや認知症などの介護状態の期間」を「平均寿命から差し引いた期間」のことをさします。

残りの人生を楽しむために、この健康寿命を延ばしたいと考えるシニアは多いでしょう。

そのため健康やヘルスケアに気を遣い、購買行動やサービス契約につながることもあるのです。

仲間との体験

仲間との体験も、シニアマーケティングを行ううえで注目したい分野です。

シニア層は、これまで仕事・家事・育児など、多くのことを忙しくこなしてきました。

子どもが自立したり、定年退職をしたりしたら残りの人生はさまざまな体験をして楽しみたいと思っているのです。

時間をかけて旅行をする、仲間と趣味を楽しむなど、これからできることはたくさんあります。

モノを消費するのではなく「仲間との時間」や「心を満たす体験」を求めるシニアは少なくありません。

家族

シニア市場を考えるとき、家族という分野も忘れてはいけません。

家族はシニア世代にとってこれまで生きてきた証ともいえる存在です。

「目に入れても痛くない」といわれるように、孫の存在は可愛くてかけがえのないものでしょう。

そのため、シニアは自分だけでなく家族に対してお金を使う可能性が高いのです。

例えば孫に対してお金を使うことに、誕生日プレゼント・クリスマスプレゼント・ランドセルなどがあります。

そして、家族旅行・お祝い事・外食などにシニア層がお金を使うこともあるでしょう。

自分のためではなく家族のために消費することが、シニア市場の重要なポイントです。

 

消費動向・購買モデルの事例はこちら

 

シニアマーケティングにおけるペルソナ設定のコツ

ペルソナとは明確な顧客像のことで、マーケティング戦略を考えるうえで重要な項目です。

もちろんシニアマーケティングにおいてもペルソナ設定が必要ですが、どのように設定すべきか悩む人もいるでしょう。

ここでは、シニアマーケティングにおけるペルソナ設定のポイントを2つご紹介します。

健康状態や生活様式の違いを考慮する

シニア世代といっても、幅広い年代が該当し健康状態や生活様式も異なります。

60代と90代では親子ほどの年齢差があり、価値観・育った環境・生活様式などが違うのは当然のことです。

また同じ80代であっても、健康状態によってアクティブシニアの人もいればパッシブシニアの人もいるでしょう。

ペルソナ設定をするときは、このような健康状態や生活様式を考慮するのがポイントです。

客観的データを基にペルソナ像を描く

シニアマーケティングの難しさの理由として、シニア世代の感覚が把握できないということをご紹介しました。

シニア世代の感覚が把握できないからこそ、客観的データをしっかりと見極めることが大切です。

その年代の人が何にお金をつかっているのか、どれくらいお金をかけているのかなど客観的データを収集・分析しましょう。

シニアマーケティングにおけるターゲティングの重要性

シニアマーケティングを成功させるためには、ターゲティングが重要とされています。

その理由は、やはり「シニア」とひとくくりにすることにリスクがあるからです。

シニア向けの宅配弁当を例にターゲティングの重要性をみていきましょう。

例えば、シニア世代が宅配弁当を注文するときに以下のようなことを参考にします。

  • 食材のやわらかさ
  • 減塩
  • 弁当の量(食べきることができるか)
  • 配達の頻度
  • 日持ちするか

これらのことを考慮せず「おいしい弁当」「シニア世代好みの和食弁当」にしたら、本当にニーズを満たすものとはいえません。

もしターゲットを「1人暮らしで健康に気を遣っている高齢者」としたら、どのような弁当が求められているか判断することができるでしょう。

顧客が何を求めているのか、そのニーズを把握するためにもターゲティングは重要なのです。

特にシニアは年代の幅が広く、健康状態や生活様式も異なる可能性があります。

ターゲットに合った商品やサービスを、そのターゲットに届くように訴求することが大切です。

そのため、明確なターゲティングがシニアマーケティングを成功に導くカギとなるでしょう。

 

ワンポイント
明確なターゲティングはニーズの把握や効果的な訴求につなげることができます。

効果的なシニアマーケティングを行うためのポイント

難しいといわれるシニアマーケティングですが、どうすれば効果的なマーケティング活動ができるのでしょうか。

効果的なシニアマーケティングを行うために必要なポイントはこちらです。

  • ペルソナ設定を行う
  • ニーズを把握する
  • デジタルとアナログを活用する

シニアといっても幅広い年代を含むため、まずはしっかりとペルソナ設定をしなければなりません。

年代で絞るのもいいですし、アクティブシニアやパッシブシニアのように分けるのも効果的です。

自社が何を扱うかによって、ターゲティングしましょう。

またターゲットのニーズの把握や、どのような媒体との接点が多いかという見極めも必要です。

必要に応じてデジタルとアナログを上手く活用するようにしてください。

 

ワンポイント
効果的なシニアマーケティングにはデジタルとアナログの活用が必要です。

シニアマーケティングで悩んだら

シニアマーケティングは、「シニア」という幅広い層の中でペルソナを設定しなければなりません。

成果を出すためには必要不可欠ですが、このペルソナ設定に悩む人は多いのではないでしょうか。

また、どのようなアプローチが効果的なのか迷うこともあるでしょう。

もしシニアマーケティングで悩んだら、デジマクラスにご相談ください。

結果を重視するコンサルタントが、最適なマーケティング活動ができるようサポートさせていただきます。

 

マーケティング戦略の事例はこちら

 

まとめ

今回は、シニアマーケティングについて事例をあげてご紹介しました。

シニアマーケティングは一般的に65歳以上を対象にしますが、そももそも「シニア」自体が幅広い層です。

また、アクティブシニアやパッシブシニアなど、同じシニアでもターゲットによってニーズが異なります。

そのため、シニアマーケティングを行う際はペルソナ設定をしっかり行うことが重要です。

シニアのデジタル媒体の利用も増えているため、デジタルとアナログの両方を上手く使い分けてアプローチしましょう。

シニアマーケティングで成果を出したいのであれば、デジマクラスまでご相談ください。

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