アンビエント広告のメリットをご存知でしょうか?「ambient(アンビエント)」とは「周辺の」や「環境の」と訳される言葉です。

つまりアンビエント広告とは、街並みや建物などの周辺環境に馴染んだ広告のことを指します。

普段見慣れた風景に広告が溶け込むことで、ユーザーにさりげなくアピールできる手法として注目されているのがアンビエント広告です。

この記事ではアンビエント広告の事例に加え、活用のメリットや効果的な活用方法・利用する際の注意点などを解説します。

アンビエント広告の概要

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アンビエント広告とは、周辺の環境に溶け込んだ広告のことであり、ユーザーに自然とアピールできることで注目されています。

具体的には街並みにあるベンチ・公園の遊具・建造物の外壁・エスカレーター・横断歩道などに広告を仕掛ける手法です。

もともと街並みや特定の場所にあるものを活用し、それらの機能を残しておきながら広告に置き換えることが特徴だといえます。

ユーザーからすれば「いつもの風景」が突然「異なる風景」に変化することから、より興味を抱く対象となるでしょう。

したがって、いかに「いつもの風景」にインパクトを与えるかがアンビエント広告の成否のポイントです。

アンビエント広告を活用するメリット

メリット

アンビエント広告はユーザーに与えるインパクトが大きく、活用を検討している企業も少なくありません。

しかし、具体的な活用方法を理解しておかないと、的外れなアンビエント広告となってしまうでしょう。

ここではアンビエント広告を活用する上で理解しておきたい、そのメリットについて具体的に解説します。

消費者に受け入れられやすい

アンビエント広告はその場所にあった建造物などに工夫を施す手法であり、他の広告にありがちな「押しつけがましさ」がありません。

ファーストコンタクトにおいて、消費者は広告だと思わず「面白そう」「何これ?」といった好奇心が刺激されます。

広告を導入する際、消費者の警戒心を取り除くことは大きなテーマであり、期待する成果に結び付けるための課題です。

その点アンビエント広告は、消費者には抵抗感なく「面白いもの」として受け入れてもらえることは大きなメリットだといえます。

インパクトを与えられる

インパクト

消費者に大きなインパクトが与えられることもアンビエント広告の大きなメリットの1つです。

アンビエント広告には建物の外壁が巨大なオブジェに覆われたり、公園のベンチが商品の形に変わったりするなど様々な手法があります。

広告を成功させるには、まずは消費者の興味を惹くことが重要であり、そのためにはインパクトを残すことが重要です。

その点、アンビエント広告はいつもの風景が全く異なる風景に変わるため、消費者に強烈なインパクトを残すことができます。

SNSなどで拡散されやすい

アンビエント広告は視覚的に訴求する広告の手法であり、見た目のインパクト・面白さを追求する広告です。

「インスタ映え」と呼ばれるように、「面白いもの」「インパクトのあるもの」はInstagramをはじめとするSNSに投稿されます。

さらに、特に「面白いもの」「インパクトのあるもの」は多くの人々に拡散され、ブームになることも少なくありません。

つまり、アンビエント広告はSNSに投稿されることで拡散され、爆発的な広告効果が得られることも大きなメリットだといえます。

 

ワンポイント
アンビエント広告はSNSとの相性が良く、拡散されるメリットがあることを理解しておきましょう。

アンビエント広告の事例①:環境に溶け込んだ広告

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アンビエント広告を適切に運用・活用するには、いくつかの事例を確認することが不可欠です。

全くのコピーでは好ましくありませんが「真似る」ことは、成功への近道だといえます。

ここではアンビエント広告の中でも、環境に溶け込んだ広告の事例をチェックしてみましょう。

Nestle

Nestleのヒット商品といえば「キットカット」ですが、受験シーズンには「きっと勝つ」など様々なプロモーションを行っています。

アンビエント広告にも積極的で、街角にキットカットを模したベンチを設置して話題となりました。

背もたれの半分がキットカットの外装を破った状態、残り半分がチョコ本体といったユニークなデザインが秀逸です。

思わずSNSに投稿したくなるデザインは、広告文がなくともインパクト絶大で商品のイメージアップに貢献しています。

NIKE

スポーツメーカーのNIKEも公園のベンチを利用したアンビエント広告を導入していますが、少し捻りが加えられています。

ベンチの背もたれにはNIKEのロゴが施されていますが、なんと座る部分が取り外されており座ることができません。

これは「座っていないで走ろうよ!」といったNIKEからのメッセージが込められているためです。

捻りが効きすぎていて炎上の心配もありますが、大きなインパクトを残すアンビエント広告としては秀逸だといえます。

IWC(International Watch Company)

スイスの時計メーカーIWC(International Watch Company)は、電車のつり革を利用したアンビエント広告を制作しました。

電車のつり革に自社腕時計の写真を施し、つり革につかまった人が期せずして腕時計を装着した感覚になります。

ちょっとしたアイデアですが、不特定多数の人々に与えるインパクト・効果は絶大です。

アンビエント広告を導入する上で、いかにアイデアが重要であるかを示す好例だといえます。

アンビエント広告の事例②:動画を活用した広告

動画

アンビエント広告の種類は、建物などに一部に工夫を施し環境に溶け込ませるだけではありません。

動画を使用したアンビエント広告も多くあり、そこに居合わせた人をドッキリさせる要素が大きいのが特徴です。

ここではアンビエント広告の中でも、環境に溶け込んだ広告の事例をチェックしてみましょう。

Volkswagen

世界的に有名なVolkswagenは、運転中のスマホ利用の抑制を目的としたアンビエント広告を制作しました。

香港の映画館で上映されたものですが、スクリーン一面に運転席から見える景色が映し出され、おもむろにメールの着信音が鳴り出します。

観客が自身のスマホに目を向けた瞬間に交通事故が発生し、観客がビックリするといった仕組みです。

心臓に悪いアンビエント広告ですが、運転中のスマホ利用を抑制するにはこれくらいのインパクトが必要なのかもしれません。

Apolosophy

スウェーデンの化粧品ブランドApolosophyは、地下鉄のホームにデジタルサイネージを利用したアンビエント広告を設置しました。

地下鉄が行きかうたびに、デジタルサイネージに映し出された女性の髪がなびきますが、最終的には上手くまとまります。

これは、Apolosophyの製品を使えば強風に遭っても上手く髪がまとまることをアピールするアンビエント広告です。

動画を活用することで髪がまとまる様子を視覚的にとらえることとなり、消費者の印象に残りやすくさせることが目的だといえます。

LG

家電メーカーのLGは自社液晶の品質をアピールするため、エレベータの床に液晶を敷き詰めるアンビエント広告を導入しました。

最初は床の画像が映し出されていますが、エレベータが動き出すと床が崩れ落ちる動画が映し出されます。

エレベータに乗っている人は底が抜け落ちる感覚に陥り、思わず驚いてしまう仕掛けはインパクト絶大です。

少し心臓に悪いアンビエント広告ですが、液晶の品質を示すには最適なアイデアだといえます。

日本コカ・コーラ株式会社

時代や日常生活のトレンドを取り入れた広告戦略で有名な日本コカ・コーラ株式会社においてもアンビエント広告は採用されています。

ベンチにロゴなどを施すアンビエント広告は定番ですが、日本コカ・コーラではベンチの影にロゴが映し出される仕掛けを施しました。

このアンビエント広告は地震の影響により、電力不足が課題となってた時期に発表されたものですが電気を使っていません。

こういった配慮を行うことでブランドイメージをアップさせるのも、日本コカ・コーラならではの取組みです。

 

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アンビエント広告を効果的に活用する方法

活用方法

アンビエント広告はユニークな仕掛けにばかり重点を置きがちですが、目的を見失わないことが大切です。

言い換えれば、本来のアンビエント広告の成果を得るには効果的に活用する方法を把握しておくことが重要になります。

ここでは、アンビエント広告の効果を発揮するために知っておきたい、効果的な活用方法について考えてみましょう。

Webサイトへの誘導を意識する

アンビエント広告はユーザーに大きなインパクトを与えることができますが、それだけで終わることは本位ではありません。

アイデアやアートに傾注し過ぎず、商品やサービスの購入もしくは企業のブランディングにつなげるかを心得ておきましょう。

そのためには、アンビエント広告を制作する段階で、ビジネスにつながるストーリーを考えておくことが不可欠だといえます。

つまり、アンビエント広告の成否は、効率的にWebサイトへの誘導を図れるか否かがポイントです。

拡散されることを前提に作る

拡散

アンビエント広告はSNSと非常に相性の良い広告の手法であり、拡散が期待できる点が大きな特徴です。

しかし、拡散されるのを待つのではなく、拡散されることを前提にアンビエント広告を制作しましょう。

拡散されるアンビエント広告を制作するには、実際に拡散された事例を参考にすると得策です。

ただし、コピーを制作するのではなくオリジナリティを追求するとともに、ビジネスにつながる仕掛けを施すことを意識しましょう。

 

ワンポイント
アンビエント広告を効率的に活用するには、ビジネスにつながる仕掛けを施すことを前提に制作しましょう。

アンビエント広告で動画を活用するメリットは?

動画,メリット

アンビエント広告には周辺環境に溶け込ませるものと動画を利用したものがあり、それぞれに特徴があります。

しかし、ユーザーにインパクトを与え、ビジネスに結び付けるには動画を有効に活用することが不可欠です。

なお、動画によるアンビエント広告のメリットは以下のとおりになります。

  • 視覚的に訴求できる
  • 現実では考えられない仕掛けができる
  • 短時間で多くの情報を発信できる

つまり、より多くのユーザーの興味を惹きつけやすく、短時間に様々な情報を組み込むことが可能です。

また、動画であればQRコードを映し出すことも可能であり、Webサイトに導入しやすいといったメリットもあります。

動画を上手く取り入れて、効率的に成果の出るアンビエント広告を制作しましょう。

 

ワンポイント
アンビエント広告に動画を利用することで、短時間に様々な情報が伝えられることを把握しておきましょう。

アンビエント広告を利用する際の注意点

注意点

アンビエント広告は非常に有効な広告の手法ですが、誤った使い方をすると十分な効果を得ることはできません。

したがって、事前にアンビエント広告を利用する際の注意点を把握しておくことが不可欠です。

ここでは、アンビエント広告で失敗しないために把握しておきたい注意点について考えてみましょう。

炎上するリスクがある

炎上リスク

アンビエント広告はSNSと非常に相性が良い反面、炎上リスクがあることも心得ておきましょう。

ユーザーや消費者に共感が得られるもしくは「面白い」と思ってもらえるアンビエント広告であれば拡散が期待できます。

しかし、ユーザーや消費者に不快感を与えるもしくは反感を買う内容だと、瞬く間に炎上してしまうので注意が必要です。

大切なのはインパクトも求めることばかりに重点を置いてしまい、見る側の気持ち・視点を無視してしまわないことだといえます。

また、あまりにも押しつけがましい内容のアンビエント広告も相手に不快感を与えかねないので注意しましょう。

直接的な購買につながらない可能性がある

アンビエント広告は購買につながる導線を明確にして制作しておかないと、直接的な購買につながらない可能性があります。

見た目の面白さやアート感も大切ですが、何をアピールする広告なのかを明らかにすることも忘れてはなりません。

環境に溶け込ませるタイプであれば、ロゴや商品名がわかるシンボルは必ずわかりやすい位置に組み込むことが大切です。

動画を活用するなら、商品・サービス名をどこかのシーンに取り入れると良いでしょう。

いずれにしてもアンビエント広告の目的はビジネスに結び付けることであることを強く意識することが重要です。

 

ワンポイント
アンビエント広告には炎上リスクや購買につながらない可能性があることを理解しておきましょう。

アンビエント広告の費用対効果は?

費用対効果

アンビエント広告は1から作り上げるのではなく、既にあるものに手を加えて広告として活用します。

そのため費用対効果の高い広告手法だとされていますが、どういった内容とするか・どういった効果を期待するかがポイントです。

例えば、公園のベンチを買い取るのであれば数十万円程度の費用ですが、ビルの壁面にオブジェを作るなら数百万円かかります。

数百万円かけてもそれを上回る効果があれば費用対効果は高いといえますが、効果測定が難しいのも事実です。

したがって、アンビエント広告を導入する際には規模の小さなものから始め、その効果測定を行いながら徐々に規模を大きくしましょう。

 

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アンビエント広告の活用方法で困ったら

コンサルティング

アンビエント広告には様々な手法があり、効率的に利用するなら成功事例を確認することが不可欠です。

しかし経験が浅い場合、どういった点を参考とすれば良いのか困ってしまうことも少なくありません。

さらに、費用対効果を図るには経験と高い分析力が不可欠であり、経験が浅い人にはハードルが高いのが実態です。

デジマクラスでは豊富な経験とこれまで培ってきたノウハウを基に、適切なコンサルティングを実施しています。

アンビエント広告の手法に迷ったら、デジマクラスへの相談を検討してみましょう。

 

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まとめ

アンビエント広告,メリット

アンビエント広告は街並みや特定の場所に自然と溶け込ませる広告手法のことであり、動画を活用するとより効果的です。

視覚的なインパクトを求めることから、SNSなどで拡散されやすい特徴を持っており費用対効果の面でもメリットがあります。

しかし、利用方法を誤ると炎上や直接購買に結び付かないといったデメリットもあるので注意が必要です。

なお、アンビエント広告を成功させるには様々な事例をチェックすることが不可欠ですが、初心者だとハードルが高くなるでしょう。

デジマクラスでは数々のアンビエント広告を成功させており、丁寧なコンサルティングには定評があります。

アンビエント広告の導入・運用に困ったらデジマクラスのコンサルタントに相談してみましょう。