ディープリンクとはWebページやアプリから直接アプリに遷移できるリンクです。
ユーザビリティやコンバージョン率アップを期待できるため、アプリマーケティングを行う上で欠かせない手法となっています。
活用を検討している企業も少なくありませんが、今ひとつ活用イメージを掴みづらいテクノロジーでもあるのがネックです。
まずは「そもそもディープリンクとは何か」「どのような種類があるのか」を確認してみましょう。
目次
ディープリンクの概要
ディープリンクは遷移先としてアプリ内のページ(コンテンツ)を指定できるリンクのことですが、過去には違う意味の言葉でした。
過去に使われていた意味と現在ではどのような違いがあるのでしょうか?
過去の意味
「ディープリンク」という言葉は元々違う意味を持つ言葉が新しい技術の登場により違う意味に変わった経緯を持っています。
そもそもはWebページからWebページへの遷移を想定したものでした。
特にWebサイトのトップページからさらに下層にあるページへのリンクというイメージが強かった言葉です。
トップページよりも深い層にあるページへのリンク、という意味のディープリンクはイメージしやすいわかりやすさがあります。
現在の意味
現在、ディープリンクはまったく違う意味合いのことばとして使われています。
最近の意味はWebページ・スマホアプリから別のアプリにユーザーを導くためのリンクという意味合いです。
意味が変化した前後の違いとして、モバイル端末で使用するアプリの存在が挙げられます。
特にスマホアプリから別アプリへ遷移する場合を想定していることがが多いイメージです。
ディープリンクの仕組み
ディープリンクの最も大きな特徴はあらかじめ設定されたアプリのコンテンツページへユーザーを誘導できる点です。
アプリ使用中に別アプリを起動させたい時、これまでは一旦ホーム画面に戻ってから目的のアプリを起動させる必要がありました。
しかし、ディープリンクの登場でアプリからアプリへ直接飛べるようになり1アクションで目的のアプリへ移れるようになったのです。
それを可能にするテクノロジーとしてCustom URLとUniversal Linksがよく使われています。
他にもいくつかありますが、特によく登場し定番化しているのがCustom URLとUniversal Linksの2つです。
<Custom URL>
ユーザーのスマホの仕様にあわせた提案ができるテクノロジーです。
例えば、ユーザーのスマホにアプリがすでにインストールされているならポップアップなどでアプリを開くかどうかを提案します。
タップするとすぐに該当アプリが起動する仕組みです。
インストールされてないならアプリストアの該当アプリページに直でアクセスできるリンクがアナウンスされます。
<Universal Links>
Custom URLと同様にアプリへのアクセスをスムーズにする技術です。
アプリとHTTP・HTTPSをつなげることができ、URLでアプリの特定コンテンツへリンクを設定できます。
例えば、https://○○○○/□□□□/index.htmlというURLをクリックしたらアプリが起動するイメージです。
すでにスマホにアプリがインストールされているのであれば、必要なタイミングで自動的にアプリが起動します。
アプリがインストールされていないのであればURLが紐づいているページ(コンテンツ)へ遷移する仕組みです。
またディープリンクはURI(Uniform Resource Identifier)に遷移する点も大きな特徴です。URIはWebページのURLに該当します。
<URLとURIの文字列の違い>
- URL → https://○○○○ ~
- URI → your-app://○○○○ ~
Webページにおいて各ページの「住所」を示すのがURLですが、アプリの場合はURIとなる点が特徴です。
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ディープリンクのタイプ
ディープリンクはデフォルト・コンディショナル・コンテクスチュアルの3種類があります。
それぞれどのような違いがあるのか確認してみましょう。
デフォルト
デフォルトはアプリをすでにインストールしているユーザーをアプリ内に遷移させることができます。
ただし、アプリ内の特定ページ(コンテンツ)を指定することはできません。
また、アプリをまだインストールしていないユーザーにはエラーが表示される点が他の種類と違う特徴です。
ディープリンクの最重要目的である「ユーザーをアプリに誘導する」機能に絞った最もシンプルなタイプといえるでしょう。
コンディショナル
コンディショナルは別名ディファードディープリンクともいいます。
アプリインストール済みのユーザーをあらかじめ指定しておいたアプリ内ページにつなげることができるタイプです。
アプリ未インストールユーザーに対してアプリストアのダウンロードページを案内できる点がデフォルトと大きく違います。
コンテクスチュアル
デフォルト・コンディショナル・コンテクスチュアルの中で最も機能性に優れています。
例えば、ユーザーがどのポイント・ページ・チャネルでリンクをクリックしたかチェックできるのはコンテクスチュアルのみです。
もちろんコンディショナルタイプ同様にユーザーにあわせてアプリ起動、もしくはインストールを促進するアクションもできます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ディープリンクが複数タイプある理由
ディープリンクのタイプがいくつかあることで、活用の目的・ユーザー都合にあわせた使い分けが可能になります。
例えば、デフォルトは一見使い勝手がよくないように感じますが、導入時のリソースを最小限に抑えられる点が魅力です。
また、すでにアプリをインストール済みで積極的な利用に至っていないユーザーの掘り起こしに適している点も見逃せません。
対してコンディショナルはディスプレイ広告などと組み合わせ、新規ユーザーの発掘・獲得が期待できます。
コンテクスチュアルであればマーケティング上の分析材料が得られる点が魅力です。
さらに、コンテクスチュアルはディープリンクをたどってアプリに遷移してきたユーザー向けにウェルカムメッセージを設定できます。
特別なユーザーにしか表示されないアナウンスを行うことで特別感という付加価値の提案にもつながります。
ディープリンクの必要性
ディープリンクが必要な理由はいくつかあります。
特にアプリマーケティング上の競争力向上と休眠ユーザーの掘り起こしでその有効性を実感できるのではないでしょうか。
<競争力向上>
アプリは機能性が類似した競合アプリもたくさんあります。競合との競争を勝ち抜いていくためにディープリンクが必要です。
例えば、Web上で提供されるサブスク型サービスなどの無料体験サービスがあったとします。
そこでアプリによって無料体験を利用できる仕組みを検討してみてください。
ディープリンクの活用とあわせれば直接アプリにアクセスしてもらえるので、競合・類似アプリと比較する間をユーザーに与えません。
<休眠ユーザーの掘り起こし>
ディープリンクの活用でアプリを積極的に利用していないインストール済みユーザーを積極的な利用者に変えられるかもしれません。
例えば、以前アプリをインストールしたものの数回利用しただけで放置しているユーザーがいたとしましょう。
そのユーザーがWeb上で何らかのアクションを行った際、ニーズを察知できればディープリンクで休眠中のアプリ利用提案ができます。
ユーザーにアプリの存在を思い起こしてもらうことで再利用の促進につながる手法です。
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ディープリンク活用のメリット
ディープリンクはユーザーが利用してくれる確率が最も高いタイミングでアプリを提案できる点が魅力です。
その魅力によってアプリを利用するユーザーもアプリを提案する側も様々なメリットを享受できます。
ユーザーはストレスフリーになる
ディープリンクのメリットとしてユーザーがアプリ・スマホ操作にストレスを感じにくくなる点が挙げられます。
なぜなら、ユーザーが「こうしたい」と考えている動作がディープリンクの活用により最小限で済むからです。
例えば、何気なく眺めていたX(旧Twitter)のタイムラインでアプリに関する気になるツイートがあったとします。
これまでは1度ホーム画面に戻りアプリストアを起動、アプリ名で検索…という手間とストレスがかかっていました。
ディープリンクはアプリからアプリへ直接遷移できるため、その手間をショートカットできます。
結果、ユーザビリティが向上しユーザーのストレス軽減につながる点が魅力です。
コンバージョン率の向上が狙える
ディープリンクはユーザーがアプリを今、まさに欲しているタイミングで提案できます。
例えば、ディープリンクを活用すればECサイトへアクセスし買い物をしようとするタイミングで決済アプリの提案が可能です。
欲しいものをカートに入れた時など絶好のタイミングでアプリを提案できるので、高いコンバージョンが期待できます。
機能をシンプルにすることが可能
ディープリンクはアプリの機能性をシンプルでスマートにするのにも役立ちます。
実はアプリ開発でよくある失敗の1つがアプリに機能を詰め込みすぎて逆にユーザビリティを損なってしまうケースです。
あまりにも多機能すぎると「このアプリのこの機能は必要、しかしこれはいらない」とユーザーが悩む時間ができてしまうのです。
そのような場合にディープリンクが役立ちます。
ディープリンクは必要な時に必要な機能を持ったアプリをアナウンスしてくれるので、1つひとつのアプリ自体はシンプルです。
各アプリの用途が明確なのでユーザーも必要性を納得した上でアプリをインストールできます。
必要最小限の機能に絞ったアプリ開発につながり、リリースまでのスケジューリングもスピーディです。
ディープリンクを活用した事例
ディープリンクの活用事例として定番なのが次の5つです。
- Apple
- X(旧Twitter)
- 広告運用
それぞれの詳細を確認してみましょう。
GoogleはApp Indexingというディープリンクの仕組みを提案しています。
App Indexingの特に注目すべき特徴はGoogleの検索結果としてアプリを表示できる点です。
モバイル端末を利用してGoogleの検索エンジンを利用した時、検索結果表示ページでアプリを提案できます。
アプリをインストール済みであればアプリへ自動遷移し、未インストールであればインストールを促す検索結果が表示されるのです。
特にAndroidで検索した時はアプリのインストールボタン+アプリ内コンテンツも同時に表示されます。
アプリをPRしながらインストールに至るまでのスマートな動線づくりに適しているのがApp Indexingの特徴です。
Apple
Appleが提供しているディープリンクがUniversal Linksで、iOS9から登場しました。
Universal Linksが他のディープリンクと違う点はURLの文字列を一部ショートカットできることです。
その特徴によりインストール済みのユーザー向けのリンク先と未インストールユーザー向けのリンク先を分ける必要がなくなりました。
例えば、新規ユーザーの獲得と休眠中ユーザーの掘り起こしがいずれも課題に挙がっていて優先度をつけにくい場合に有効です。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)独自のディープリンクとしてX(旧Twitter)カードが挙げられます。
X(旧Twitter)カードとはURLを記載してツイートするとサムネイルとディスクリプションが表示される機能です。
コンテンツページのタイトルとともにサムネイルで目をひけるのでたまたまインプレッションしたユーザーにも興味喚起ができます。
<X(旧Twitter)カードの種類>
- Summary Card
- Summary Card with Large Image
- App Card
- Player Card
4種類あるX(旧Twitter)カードの内、AppCardにディープリンク機能が搭載されています。
ツイートによってアプリの情報を拡散できるため、認知度が課題のアプリマーケティングに向いている手法です。
Facebookが提供するディープリンクがApp Linksです。
タイムライン上になじむ形でアプリのプロモーションができるのでユーザーのストレスを軽減できます。
高い拡散力に加え、匿名性が低いFacebookの特徴を生かして信頼性を高める目的のアプリ訴求に向いている手法です。
広告運用
ディープリンクは親切でユーザビリティの高い広告運用にも活用できます。
例えば、あるユーザーがアプリを使って気になる商材をチェックしたとしましょう。
ディープリンクを活用すれば関連性の高い別アプリを起動中に商品詳細ページへ遷移するリンクを広告で提案できるようになります。
これまでは商品詳細ページなど深いところにある下層ページへつなげることはできませんでした。
新しい技術の登場でさらにきめ細かい動線の構築が可能になっているのです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ディープリンクの設定方法
ここではGoogleのFirebase App Indexingを設定する場合を例にしてみましょう。
- Firebaseをライブラリに追加
- App Indexingをライブラリに追加
- ユーザーを遷移させるコンテンツを設定
- ユーザーの遷移先として設定したコンテンツへのリンク
- アプリへリンク追加
ディープリンクの設定は各社サービスによって異なります。利用する前に各サービスの設定方法を必ず確認しましょう。
ディープリンク活用に関する悩みの対処法
ディープリンクの活用にお悩みでしたら、デジタルマーケティング分野で強いノウハウを持つデジマクラスへ相談してみませんか?
ディープリンクの活用はアプリマーケティングそのものの悩みに直結します。
- 自社に適しているのはデフォルト・コンディショナル・コンテクスチュアルのうちどれか?
- 自社のマーケティングはディープリンク活用メリットを最大限享受できるか?
- 自社ターゲットはどのようなディープリンクが効果的か? など
特にレッドオーシャンであるアプリ市場を勝ち抜いていくために、より確実性の高いマーケティング戦略が必要です。
デジマクラスはデジタルマーケティング・Webマーケティング分野でのノウハウを豊富に有しています。
アプリマーケティングに関する相談・コンサルティングも多数承っていて、まずはちょっとした相談から始めたいというニーズも大歓迎です。
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まとめ
ディープリンクはうまく活用すればアプリのダウンロード・利用といったコンバージョン成功確率を高めることができます。
競争の激しい状態が続いているアプリ市場で活用したいマーケティング手法の1つです。
ただし、タイプや各社がリリースしているディープリンクは様々なので自社に適したディープリンクを活用しましょう。