マーケティング部門をかかえる職場の1つに広告代理店があります。
しかし、広告業界といっても仕事内容は多様なので「イメージができない」「広告代理店について詳しく知りたい」と思う人もいるでしょう。
今回は、広告代理店についてマーケティング部門に焦点を当てて詳しくご紹介します。
広告代理店の職種を知りたい方や、マーケティング部門への転職を目指す方はぜひ参考にしてください。
目次
広告代理店の最近の動向
経済産業省の発表によると、2020年の広告業全体の売上高の前年比は14.1%減となりました。
これは新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛や、緊急事態宣言による様々な政策が影響しているとされています。
このように社会情勢や景気の影響を受けやすい広告代理店ですが、その種類は大きく3つに分けられます。
- 総合広告代理店:ほぼ全ての広告を扱う
- 専門(専業)広告代理店:特定の媒体を専門に扱う
- ハウスエージェンシー型広告代理店:自社グループの広告を扱う
広告代理店は扱う広告の幅によって、これらの種類に分けることができます。
総合広告代理店はほぼ全ての広告を扱うのですが、実際にどのような広告があるのかチェックしておきましょう。
- 4大マスメディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)
- PR広告
- インターネット広告
- 交通広告
総合広告代理店はこれらの広告を網羅する形で取り扱います。
そして、その中で特定の広告に絞っているのが専門広告代理店です。
従来は新聞広告専門や、交通広告専門といった形態が多かったのですが近年「インターネット広告専門」が増えています。
インターネットの普及に伴い、インターネット広告をマーケティング戦略に取り入れる企業は少なくありません。
そのため、広告代理店でもインターネット広告の需要が拡大しているのです。
広告業界の売上高は一時期低迷したものの、インターネット広告やインターネットショッピングの需要拡大により回復が期待されています。
広告代理店の職種
広告代理店の職種は、その内容から営業・マーケティング・制作(クリエイティブ)・メディアの主に4つの部門に分類されます。
ここでは、その4つの部門がそれぞれどのような役割を担っているのか、職種別に解説します。
営業部門
広告代理店の営業は、クライアント企業の要望を伺い広告制作のフロー作成や企画の立案を行います。
その主な業務内容はこちらです。
- クライアントとの企画立案
- SEO上昇のための施策
- クライアントの情報管理
- 予算・スケジュール・進捗状況の管理
クライアントと関わる機会が多いため、コミュニケーション能力や業界知識・企画力などが要求されます。
広告の初段階業務を一手に担うこともあるため、責任ある役割となることも少なくありません。
マーケティング部門
広告代理店のマーケティング部門では、営業部門がクライアントからリサーチした要望を中心に調査・分析を行い広告戦略を考えていきます。
マーケターは広告代理店の頭脳または中核とも呼ばれており、マーケティング部門の戦略はその後に大きく影響するでしょう。
責任が重い分、やりがいや達成感も強いのがマーケティング部門です。
広告代理店のマーケティング部門の仕事内容は、この後詳しくご紹介します。
制作(クリエイティブ)部門
商品やサービスの広告の表現方法に携わるのが、広告代理店の制作(クリエイティブ)部門です。
この制作部門に在籍するクリエィティブ職と呼ばれる職種を確認しておきましょう。
- デザイナー
- コピーライター
- 映像ディレクター
主にこれらの職種の人たちが在籍し、広告を制作していきます。
クリエイティブ職には必須の資格はないものの、画像・映像編集のスキルやその他業務に必要なツールを使うための知識が求められます。
メディア部門
広告代理店のメディア部門は、各媒体との関係作りや広告制作のサポートをする仕事を担います。
- プロジェクトごとに媒体を決める
- 広告企画の立案
- 広告枠の料金交渉・買い付け
- 営業部門との情報共有
メディア部門は広告枠の買い付けという仕事を行うのが特徴です。
いくらいい広告制作しても、予算に合っていなければ広告代理店の利益には繋がりません。
そのため、予算に合った費用で広告枠を買い付けることが求められます。
広告代理店でのマーケティング部門の役割
広告代理店では様々な部門や職種があり、それぞれが役割を担っています。
そんな中で、マーケティング部門にはどのような役割があるのでしょうか。
マーケティング部門は、広告制作のための戦略立案を行います。
また、そのためにはクライアントからヒアリングをして要求を把握しなければなりません。
さらに、営業部門・制作部門・メディア部門との調整も必要となります。
これらのことから、マーケティング部門は広告制作における「まとめ役」「舵取り」という役割を担っているといえるでしょう。
そして、クライアントに対しては課題を解決するという重大な役割があることを忘れてはいけません。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
広告代理店でのマーケティング部門の仕事内容
広告代理店の職種の中でも、マーケティング部門に興味をもつ人も多いのではないでしょうか。
ここでは、マーケティング部門の仕事内容を市場調査・データ収集・分析・ディレクションの3つに分類してご紹介します。
市場調査
市場調査は、マーケティング部門にとって欠かせない仕事です。
より効果のある広告を制作するためには、消費者のニーズを知っておく必要があるでしょう。
どのような商品・サービスが求められているのか、消費者はどのような広告に触れる機会が多いのかを知っておく必要があります。
マーケティング部門は、市場調査によって効果的な広告を制作するための戦略を立てていくのです。
データ収集・分析
マーケティング部門では、広告ビジネスに関するデータの収集や分析などを行います。
先ほどお伝えした市場調査で得た内容は、そのままでは十分に活かすことができません。
そのためデータを分析して戦略に落とし込む必要があるのです。
また、制作した広告によってどのような効果が得られたのかも知っておかなければなりません。
データ分析に使うツールは従来のExcel形式のや独自のシステムなど、その広告代理店によって様々です。
しかし、マーケティング部門で働く限りデータ収集・分析のための知識やスキルが必要だということは押さえておきましょう。
ディレクション
マーケティングの戦略方針やコンセプト立案、他企画への連携と方向性の提示といったディレクションを行います。
広告代理店の中でも、より重要度の高い仕事がこのディレクション業務です。
他にも政治経済の情報収集や分析・マーケティング手法の研究開発やその応用まで、一貫した統括に近い仕事内容となります。
マーケティング部門で求められること
広告代理店のマーケティング部門の仕事内容を見てくと、「仕事がたくさんある」「専門性が高そう」と思う人もいるでしょう。
そんなマーケティング部門で働く人には、どのようなことが求められるのでしょうか。
ここでは、マーケティング部門に求められることを3つに分けてご紹介します。
論理的思考力
マーケティング部門には、論理的思考力が必須といっても過言ではありません。
マーケターの主な役割には、クライアントの課題解決のための戦略立案があります。
そのためには、クライアントの現状を洗い出し課題を見出すことが大切です。
課題解決や戦略立案は、マーケターの「カン」でできるものではありません。
なぜそのような状況になり、どうすればクライアントの課題を解決できるのかを紐づける必要があるのです。
論理的に考えた上で説明ができないと、途中で戦略がずれるリスクがあることを忘れてはいけません。
そのため、マーケティング部門には論理的思考力が求められるのです。
リーダーシップ
マーケティング部門には、リーダーシップのある人材が求められます。
マーケターの役割の1つにクライアントの課題解決があり、そのために様々な意見交換をすることになるでしょう。
そして、戦略を立案し実行していく過程で他部門との調整が必要不可欠となります。
各部門のまとめ役に留まらず、時には方向を明確にするための舵取りを行うこともあるでしょう。
多種多様な部門・職種の話を聞き調整していくためには、リーダーシップが必要となるのです。
好奇心
好奇心もマーケティング部門に求められることの1つです。
マーケターの仕事は、消費者の興味・関心はどこにあるのかを調査するところから始まります。
そしてクライアントやプロジェクトチームへの提案も、好奇心をかき立てるものでなければ熱意が伝わりにくいです。
そのためには、自らが好奇心をもって取り組む姿勢が必要となるでしょう。
好奇心をもってクライアントと向き合い、意見交換を行うことでコミュニケーションが円滑になることも少なくありません。
また、広告業界は市場動向が変わりやすいため常にアンテナを張っておくことが大切です。
そういう意味でも、マーケティング部門には好奇心が求められるでしょう。
マーケティング部門が持っていると有利な資格
マーケティング部門では専門的な仕事を行うものの、必須の資格というものはありません。
しかし、マーケティング部門を目指す人や転職を考える際に資格があれば知識の証明として有利になることがあります。
ここでは、マーケティング部門が持っていると有利な資格を3つ見ていきましょう。
マーケティング・ビジネス実務検定
マーケティング・ビジネス実務検定は、マーケティングの実務能力を客観的に証明できる資格です。
マーケティングに関する基本的な知識から応用まで問われることの資格は3つの階級に分かれています。
- C級:入門
- B級:応用
- A級:管理者レベル
いずれも合格率は公表されていませんが、C級は初心者であっても短期間で合格できるといわれています。
これからマーケティングの勉強をしようという方にもおすすめの資格です。
しかし、就職や転職の際にアピールするのであればB級以上を目指した方がいいでしょう。
ウェブ解析士
ウェブ解析士は、Webマーケティングを行う上で必要なWeb解析の知識を証明できる資格です。
広告代理店は、従来の4大マスメディアだけでなくインターネットを活用したマーケティングが必要となりました。
そこで必要なのがWebマーケティングやWeb解析の知識やスキルです。
ウェブ解析士を受験する方法には、「講座受講+受験」と「受験のみ」の2種類があります。
また、ウェブ解析士には以下のレベルがあるのが特徴です。
- ウェブ解析士:基本的な知識を有する
- 上級ウェブ解析士:応用ができる
- ウェブ解析士マスター:講師として指導できる知識を有する
WebマーケティングやWeb解析を始めたばかりの人は、まず基本的な知識が試されるウエブ解析を取得しましょう。
長期的にマーケティング職に従事し、スキルアップを目指すようになったら上級ウェブ解析士を目指してください。
統計検定
統計検定は、ウェブ解析士の資格と同様に市場のデータ分析の分野で役に立つスキルです。
統計に関する知識や統計の集計結果を活用する能力を客観的に証明できるでしょう。
そんな統計検定の階級は4級・3級・準1級・1級となっています。
さらに、統計調査士・専門統計調査士・データサイエンス基礎といった区分もあり受験の幅が広いのが特徴です。
マーケティング部門で活かせる経験
広告代理店では、これまでの経験を活かせる場面が多くあるでしょう。
ここでは、どのような経験が広告代理店の仕事に活かすことができるのかご紹介します。
- コミュニケーションスキル
- 各種調査やデータ分析
- Web業界での経験(デザイナーやディレクターなど)
- PCスキル
マーケティング部門では、コミュニケーションスキルやマーケティングに関する知識はもちろん必要となります。
そのため、異業界・異業種であってもそこで培ったコミュニケーションスキルはきっと役に立つはずです。
マーケティング部門に活かせる経験は他にもたくさんあるので自己アピールに繋げていきましょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
広告代理店ならではの注意点
広告代理店のマーケティング部門は、やりがいが大きいものの仕事内容や責任の重さから注意すべき点もあります。
ここでは、広告代理店ならではの注意点を見ていきましょう。
- クライアントから求められる成果がシビア
- トレンドに敏感でなければならない
- 多くの部署・職種との連携や調整が必要
- スケジュール管理が求められる
- 納期前は残業が多くなる場合がある
広告代理店のマーケティング部門では、これらのことに注意が必要です。
案件をたくさん抱えるほどスケジュール管理が大変になり、関係者との調整が求められるでしょう。
常にフレキシブルに動けるだけの体力と精神力が必要だということに注意してください。
マーケティング部門での転職はエージェントを活用しよう
マーケティング部門での転職を考える場合は、転職エージェントを活用することをお勧めします。
転職成功のためのノウハウをもった転職エージェントなら、広告代理店への転職を成功させることができるでしょう。
広告代理店のマーケティング部門への転職を目指す方は、ぜひデジマクラスへご相談ください。
まとめ
今回は、広告代理店でのマーケティング部門の仕事について解説してきました。
広告代理店のマーケティング部門は、多様化した広告プラットフォームと、様々なクリエイティブを取り入れて発信するトレンドの最先端です。
その分マーケティング部門には多くのことが求められますが、それがやりがいにも繋がるでしょう。
広告代理店のマーケティング部門への転職を目指すのならデジマクラスにご相談ください。