チャットボット広告はWebサイトやSNS上に表示されるチャット形式で宣伝を行う広告です。
AIとのやり取りを通じてユーザーから情報を引き出せる、とても効果的な広告として知られています。
そんなチャットボット広告の知名度はまだ高くありません。詳しく知って使いこなせば他社との差別化を図れるでしょう。
今回の記事ではチャットボット広告の仕組みと出稿するメリットを解説します。
配信媒体の種類や特徴のほか、活用事例や導入方法についても触れますのでぜひ参考にしてください。
目次
チャットボット広告の概要
チャットボット広告とはユーザーと広告主側がチャット形式のやり取りを行う広告のことです。
対話の過程でユーザーが何を求めているか詳しく聞き出し、条件に見合った商品・サービスを提示します。
ユーザーとやり取りを行うのはプログラムされたAIであって人間ではありません。
チャットボット広告の最大の特徴は双方向性にあるといえるでしょう。
一方的に宣伝を行うだけだった従来の広告に対して、チャットボット広告はユーザー側からの積極的な情報発信が期待できます。
双方向性があることによって、よりユーザー個人に寄り添った宣伝が可能となるのです。
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チャットボット広告の応答タイプ
ユーザーとAIのやり取りによって成立するチャットボット広告は、その応答の形式によって3タイプに分けることができます。
それぞれの応答の仕方や特徴について詳しく確認してみましょう。
選択型
チャットボット広告の応答タイプ、1つ目は選択型です。
広告に表示された問いかけに対して、ユーザーはあらかじめ用意された複数の選択肢の中から最もふさわしい回答を選びます。
文章を入力する必要はなく、ボタンなどをタップ・クリックするだけなのでユーザーに面倒な印象を与えません。
やり取りがテンポ良く進むためユーザーから多くの情報を引き出したい時に用いると良いでしょう。
ただし場合によっては選択肢の中にユーザーの選びたいものがないこともあります。
また決められた回答から選ぶだけなので会話をしていると感じないユーザーも少なくありません。
キーワード型
チャットボット広告の応答タイプ、2つ目はキーワード型です。
キーワード型にはあらかじめ用意された答えがありません。ユーザーが文章を入力して問いかけに回答します。
ユーザーに対していかにも会話をしているという感覚を与えられるタイプだといえるでしょう。
キーワード型はユーザーが入力した文章の中に現れるキーワードを検出し、それに対応した回答を表示するという仕組みです。
ユーザーがキーワードを入力しないことには返答できないため、広告主側は様々なキーワードを予測・設定する必要があります。
会話型
チャットボット広告の応答タイプ、3つ目は会話型です。
会話型の場合もユーザーは文章を入力します。キーワード型よりも自然なやり取りを実現できることが特徴といえるでしょう。
会話型ではAIがユーザーの回答に対応しながらデータを収集し、そこからさらに応答の幅を広げていきます。
ユーザーに対していかにも会話をしているという印象を与えることができます。広告の制作費用が高いことがデメリットです。
チャットボット広告の仕組み
アパレル関係の例を挙げてチャットボットの仕組みを解説します。まずは広告が起動してユーザーに衣服の好みを問いかけます。
ユーザーは「寒色の服がいい」「襟はあった方がいい」「硬めの生地がいい」などの条件を選択・記入することになるでしょう。
するとAIがそれらの条件を満たす商品を表示し、販売サイトへと誘導します。ユーザーがそこで実際に購入すれば広告成功です。
「好みのものがない」などの理由でユーザーが離脱しても、後からふさわしい商品の情報を通知することで会話の再開も可能です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
チャットボット広告を出稿するメリット
数ある広告の種類の中でもチャットボット広告のように双方向性を備えたものはなかなかありません。
そんなチャットボット広告の出稿をするメリットはどのような点にあるのでしょうか。
この項目では特に大きなメリットを3つピックアップして詳しくご紹介します。
ユーザーの反応に合わせた訴求が可能
チャットボット広告を出稿するメリット、1つ目はユーザーの反応に合わせた訴求が可能なことです。
一方通行な他の広告とは違って、チャットボット広告にはユーザーの反応をすぐに反映させることができます。
自分のニーズにその場で応えてもらえることはユーザーに特別感や満足感を与え、コンバージョンに至る確立を高めるでしょう。
ユーザー1人1人に最適な広告として働くことで、チャットボット広告は通常の広告よりも高い効果を発揮します。
リターゲティングが可能
チャットボット広告を出稿するメリット、2つ目はリターゲティングが可能なことです。
リターゲティングとはコンバージョンに至らず離脱してしまったユーザーに対して再びアプローチすることを意味しています。
チャットボット広告の場合、同じ広告ばかり表示させてユーザーをウンザリさせることがありません。
前回の学習結果を反映させて、よりユーザーのニーズに合わせた提案をすることが可能です。
1回きりではなく複数回にわたる長期的なアプローチができる点は大きなメリットです。
モバイルの使用感が良い
チャットボット広告を出稿するメリット、3つ目はモバイルの使用感が良いことです。
ユーザーの多くはLINE・X(旧Twitter)・FacebookといったSNSのサービスを利用しています。
各種コミュニケーションツールで用いられることが多いので、ユーザーはチャット形式のやり取りに慣れているといえるでしょう。
チャットボット広告はまさにそのチャット形式の広告なのでユーザーに違和感なく受け入れてもらうことができます。
インタラクティブな広告体験
チャットボット広告を出稿するメリット、4つ目はインタラクティブな広告体験です。
ユーザーが進んで広告の内容に働きかけられるという双方向性は非常に大きなメリットだといえるでしょう。
人が物事を覚える時に大事なのはインプットとアウトプットの両方をこなすことだといわれます。
従来の広告は表示された内容を見るというインプット行為だけでしたが、チャットボットにはアウトプットの行為が加わります。
条件の入力という能動的な行為がユーザーの印象に強く残り、広告の効果を高めることでしょう。
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チャットボット広告の媒体と各特徴
一口にチャットボット広告といっても用いられる媒体は様々です。
それぞれに特徴がありますので、チャットボット広告を導入する際は最適な媒体を見極めましょう。
この項目では4種類の媒体を紹介します。
LINE広告
SNSプラットフォームの代表の1つと呼べるLINEはそれ自体がチャット形式の代表的アプリでもあります。
LINEにチャットボット広告を表示させるにはLINE Ads Platformにアカウントを登録しなければなりません。
LINEは10~30代の利用率が9割、国内全体で見ても8割以上と、若い世代だけでなく30歳以上にも普及しています。
そのためX(旧Twitter)などのその他の媒体に比べても幅広い年齢層のユーザーに宣伝することができます。
Facebook広告
Facebookが他のSNSアプリと異なる点は何といってもユーザーの個人情報を正確に登録する必要があることでしょう。
チャットボット広告でもそれを生かし、個人情報に基づいてよりそのユーザーにあった商品を見極めて宣伝できます。
またFacebookはアカウント別に情報管理を行うため、連帯した他のアプリの情報も取得することができます。
Facebook以外からの情報も活用することで、より正確なマーケティングを展開できるでしょう。
X(旧Twitter)広告
X(旧Twitter)ではDMの機能を通してチャットボット広告を掲載することができます。
X(旧Twitter)もFacebook同様ユーザー個人に合った商品の宣伝を行えますが、ターゲティングの精密さでは劣ります。
しかしチャットの結果をツイートとしてフォロワーにシェアできることは大きなメリットだといえるでしょう。
仮にフォロワー500人のユーザーが広告をリツイートした場合、1度に500人のユーザーに宣伝できることになります。
こうした拡散力こそがX(旧Twitter)を媒体にしたときの最大のメリットです。
ディスプレイ広告(バナー広告)
チャットボット広告にはディスプレイ広告として表示するという手段もあります。
この場合、ユーザーにはコンテンツの内容を読むという目的があるためページが閉じられにくいという特徴があります。
また、広告に画像や動画を使えるといったアレンジ性の高さもメリットの1つといえるでしょう。
しかし1度広告を離れてしまうと後から別の宣伝を通知することはできないので注意が必要です。
チャットボット広告の活用事例
チャットボット広告の活用事例としてメンズスキンケアブランドの「BULK HOMME」の場合を取り上げます。
「BULK HOMME」にはデジタル広告を増やすことによってエンゲージメントとCV率を高めたいという目的がありました。
そこで導入したのがLINEを媒体としたチャットボット広告です。
チャットボットの内容は、友達追加してくれたユーザーに対してチャットで肌診断を行うというものでした。
チャットの診断結果に応じてスキンケア方法や「BULK HOMME」の製品を紹介するのです。
肌診断というアプローチはスキンケアを求めていたユーザーだけでなくそれ以外のユーザーの需要の掘り起こしにも寄与しました。
この取り組みにより「BULK HOMME」のCPAは過去と比べて257%も改善したといいます。
チャットボットの導入方法
チャットボット広告を導入するには自社で開発する方法とサービスを利用する方法の2つがあります。
どちらにもメリットとデメリットがありますので、以下で詳しく解説しましょう。
自社開発
自社開発のメリットはコストを抑えられることです
また内部の人間が直接作成するため会社の個性を反映しやすくなっています。
最大のデメリットは人材とツールと時間が必要な点でしょう。
開発する以上、そのためのスキルを備えた社員や時間の確保が必要となります。
また広告作成の専門会社と比べるとクオリティは落ちる可能性が高くなります。
サービス利用
チャットボットの導入方法、2つ目はサービスの利用です。
外部委託という形で他企業に制作を依頼したり、広告作成用のソフトを購入したりする方法があります。
自社開発に比べて高品質な広告ができる点と、人材・ツール・時間のコストを削減できる点がメリットだといえるでしょう。
デメリットはどうしても金銭的なコストが高くなりがちな点です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
チャットボット広告の活用ポイント
他の広告と同じように、チャットボット広告も導入後にどう活かしていくかが大切です。
チャットボット広告を活用する際のポイントは以下の通りです。
- 精度の高さ
- 一方的ではなく提案型
- 管理が行える人材の確保
重要なのはまず回答精度を高めることです。
チャットボット広告は、よりユーザーの求める回答に近いものを提示できなければいけません。
特にキーワード型では想定される多くのキーワードに対し回答を用意しておく必要があります。
いかにユーザーの気持ちを乗せるかが勝負なので、この点は重要なポイントとなるでしょう。
またチャットボット広告では一方的に宣伝せず話しかけて提案することです。
先に述べたように、チャットボット広告のメリットはユーザーが広告に作用できる点です。
つまり、ユーザー自身に動いてもらわなければいけません。
そのためには話しかけて提案し、それに対してアクションをおこしてもらうよう誘導するのが大切です。
最後に、チャットボットの管理ができる人を用意しておくことも大きなポイントです。
いくらAIを搭載しているといっても作成したら放っておいていいわけではありません。
定期的なメンテナンスでユーザーの返答データを反映させたり、システムを修正したりして効果的な広告を追求し続けましょう。
またシステムに不具合が起きた時も迅速に対応できなければなりません。そのための人材の確保も大切な問題です。
チャットボット広告の導入・運用はプロに相談できる
チャットボット広告はユーザーとのコミュニケーションを通してコンバージョンを実現する特殊な広告です。
SNSで日常的にチャット形式のやり取りを行うユーザーには大いに受け入れられることでしょう。
ただ、チャットボット広告を導入したくても何を準備してどう始めればいいのか分からない方もいらっしゃるかもしれません。
そんな時はデジマクラスのコンサルタントに相談してみてください。
マーケティングのプロが親身になってお話をうかがい、チャットボット広告の導入・運用に関するアドバイスをさせてただきます。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回はチャットボット広告の仕組みや利点、実際に導入する際の方法やポイントなどを解説しました。
インタラクティブなやりとりはユーザーの記憶に残りやすい上、1人1人のニーズにあった宣伝ができるため非常に効果的です。
まだ広く一般的に知られていない分、今のうちから導入しておくと他社との差別化が図れるでしょう。
この記事を機に、チャットボット広告のことを選択肢の1つとして持っておいていただければ幸いです。