インターネットアーカイブの存在を知ってはいても活用できてはいない、という方は多いのではないでしょうか。
「デジタルデータの公文書館」と呼ばれるインターネットアーカイブは企業のマーケティング戦略を変える可能性を持っています。
今回の記事ではそんなインターネットアーカイブの使い方を徹底解説します。
自分でサイトを登録する方法や様々な活用方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
「インターネットアーカイブ」の位置付け
「インターネットアーカイブ」は人々から多義的な受け取られ方をしています。
非営利団体の名称と捉えられることもあれば、その団体が提供するサービスと同一視されることもあるという具合です。
では「インターネットアーカイブ」とは正しくは何なのでしょうか。
この項目では「インターネットアーカイブ」の位置付けを再確認してみましょう。
「インターネットアーカイブ」という団体
インターネットアーカイブとは、第一にウェブ・マルチメディア資料のアーカイブを収集・管理・運営する非営利団体の名称です。
1996年にインターネット起業家ブリュースター・ケールによって設立されました。
インターネットアーカイブが提供するサービスを利用すれば、誰でも団体が保有するデジタルデータを閲覧することができます。
団体の本部はアメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコに置かれています。
Webアーカイブという「Webの図書館」
インターネットアーカイブはまさに「Webの図書館」です。利用者は閉鎖されたサイトを過去に遡って閲覧することもできます。
保有するデジタルデータはウェブサイトだけに留まりません。
動画コレクションのカテゴリはニュース・アニメ・戦争・社会など多岐にわたり、映画のコレクションも1,500本を越えます。
保有するデータの量は世界最大規模の図書館のそれを大きく上回るといわれています。
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インターネットアーカイブが提供している主なサービス
インターネットアーカイブが提供している主なサービスについて確認しておきましょう。
インターネットアーカイブにはプログラムによって自動的に収集された膨大な数のウェブページのコピーが日々蓄積されています。
ウェブページのコピーはアーカイブと呼ばれており、蓄積されるアーカイブの中には利用者が手動で収集したものも含まれます。
以下、インターネットアーカイブが提供しているサービスについて詳しくご紹介しましょう。
Wayback Machine
インターネットアーカイブが提供している主なサービス、1つ目はWayback Machineです。
Wayback Machineはマルチメディア資料・デジタルデータのアーカイブ閲覧サービスです。
このサービスをインターネットアーカイブという名称で呼んでいる利用者も少なくありません。
サービスは無償で提供されており、すでに閉鎖されたウェブサイトであっても過去に遡って閲覧することができます。
Archive-It
インターネットアーカイブが提供している主なサービス、2つ目はArchive-Itです。
Archive-Itの操作画面を使うとウェブアーカイブの専門的な知識を持たない方でも簡単にウェブサイトを保存できます。
保存されたウェブサイトはインターネットアーカイブに保管されて全文検索の対象となります。有料サービスなので注意しましょう。
Open Library
インターネットアーカイブが提供している主なサービス、3つ目はOpen Libraryです。
Open Libraryはインターネットアーカイブが運営するプロジェクトとしての側面も持っています。
プロジェクトの趣旨は「過去に出版されたすべての書籍に関する情報を集める」というものなので多くの人は驚くでしょう。
Open Libraryを使うとインターネットアーカイブ内の電子書籍なら児童書から学術書まですべてを利用できます。
インターネットアーカイブでは様々な書籍のデジタル化を進めており、2011年9月には総数200万冊にまで達しました。
Wayback Machineの使い方
インターネットアーカイブの代名詞と呼ぶべきサービスWayback Machineの使い方を確認しましょう。
このユニークな名称はアニメーション作品「ロッキーとブルウィンクルの大冒険」に登場するマシンから取られました。
アニメーションで活躍したように、Wayback Machineは利用者にタイムトラベルにも似た経験をさせてくれます。
検索方法
まずはインターネットアーカイブのWayback Machineにアクセスします。
トップページ上部には特徴的なフォントで記されたWayback Machineの表記と共に検索窓が表示されています。
閲覧したいウェブサイトのURLをこの検索窓に入力し、側にある「BROWSE HISTORY」をクリックしましょう。
するとまずは年単位での閲覧を可能とするカレンダーが表示されます。ここから閲覧したい年月日を選択するのです。
データの見方
インターネットアーカイブが保有するデジタルデータは団体が設立された1996年以降のものです。
利用者は検索窓への入力後に表示された年表から閲覧したいデータがある年を選びます。
するとカレンダーにデータが保存されている日がマークされますので、確認したい日付をクリックしましょう。
データは必ずしも完全なものではありません。破損している場合もあるので注意しなければなりません。
データの保存方法
Wayback Machineには自動保存と手動保存という2種類の保存方法があります。
自動保存ではWayback Machineが自動的にデータを取得して保存します。
特殊な設定は不要です。Wayback Machine側でまったく自動的にデータを保存してくれるので何の手間もかかりません。
ただし、いつデータが保存されるのかタイミングが不明な上、データが必ず保存される保障もありません。
手動保存はWayback Machineのトップページから行います。
「Save Page Now」の窓にURLを入力して側にある「SAVE PAGE」を押すと1分もかからずに保存処理が終了します。
保存数の確認
Wayback Machineに保存されているデータの数を確認することができます。
検索窓にURLを入力した後、表示される年表の上にある「Saved ~ time」という表記が保存されたデータ数です。
個人が運営するホームページから大手ECサイトまで、保存されたデータの膨大さは世界最大の図書館でも敵いません。
大きなウェブサイトになると数十万回以上ものデータが保存されています。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
Webアーカイブで見られない内容
膨大な量のデータを保存し続けているインターネットアーカイブですが、残念なことに閲覧できないページもあります。
この項目ではWebアーカイブで内容を見られない3つのパターンについて確認しましょう。
登録が間に合っていないサイト
Webアーカイブで見られない内容、1つ目は登録が間に合っていないサイトのページです。
インターネットアーカイブに自社サイトの情報を残したい時、自動保存と手動保存の2つの手段があることは説明しました。
Wayback Machineによる自動保存を待っていても、いつ保存されるか不明な上に保存されるかどうかの確実性さえありません。
そのため間違いなく保存したい場合は手動保存を行うことになります。
登録には時間が必要なため、作業が間に合っていない場合は検索してもまだ閲覧できません。
削除依頼されたページ
Webアーカイブで見られない内容、2つ目は削除依頼されたページです。
インターネットアーカイブにはWayback Machineが収集したWebページのデータが自動で保存されます。
ウェブサイトの運営者の中には様々な理由から自動保存を好まない方もいることでしょう。
そんな方々のためにWayback Machineは削除依頼を受け付けています。
削除依頼を受けて削除されたページは検索しても閲覧することができません。
IDなどで制限があるページ
Webアーカイブで見られない内容、3つ目はIDなどで制限されたページです。
インターネットアーカイブの中のデータは誰でも無償で利用できることが基本です。
しかしそれぞれのウェブサイトのページの中には、IDなどで閲覧を制限している場合も少なくありません。
それらのサイトのページを閲覧しようとしても、IDなどによるセキュリティをクリアしなければ見ることはできません。
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自分でサイトを登録する方法
インターネットアーカイブに自社サイトを自分で登録する方法をもう一度確認しておきましょう。
登録はWayback Machineのトップページから行います。
ページ右隅の「Save Page Now」が登録の窓です。URLを入れて「SAVE PAGE」を押しましょう。
手動による登録はWayback Machineの自動登録を待つよりもはるかに確実な登録手段です。
過去ページの削除方法は?
Wayback Machineに保存されたウェブサイトのデータを削除したい場合の具体的な方法について説明します。
削除を希望する場合、まずはWayback Machineを運営するインターネットアーカイブにメールを送りましょう。
その際、メールには削除したいURLと運営者であることの証明を添付しなければなりません。
申請が受理されるとインターネットアーカイブの本部が過去データを削除してくれます。
インターネットアーカイブの様々な活用方法
インターネットアーカイブが運営するWayback Machineは過去のウェブサイトのデータを自由に閲覧できます。
このサービスにはどのような活用方法があり、具体的にはどんなメリットがあるのかを確認しておきましょう。
Googleが評価するコンテンツを把握しSEOに活用
インターネットアーカイブの様々な活用方法、1つ目はGoogleが評価するコンテンツを把握してSEOに活用することです。
インターネットアーカイブが可能にするのは過去と現実の比較です。
たとえば自社サイトの検索順位が下がった原因が分からない時、下がる前のページと比較して理由を探ることができるでしょう。
自社サイトに比較と分析を施すことはSEO対策を行う上で非常に重要です。
競合サイトの動向を確認
インターネットアーカイブの様々な活用方法、2つ目は競合サイトの動向を確認することです。
過去の自社サイトを閲覧できたように、Wayback Machineを用いて過去の競合サイトも見ることができます。
もしも競合サイトの検索順位が上昇した理由が分からなかったら、上昇前のサイトと比較して何が変わったか確かめましょう。
コンテンツの増減などのリニューアルの内容からGoogleが何を評価しているのかが見えてきます。
中古ドメインの質の確認
インターネットアーカイブの様々な活用方法、3つ目は中古ドメインの質の確認です。
ウェブサイトのSEO対策の1つとして中古ドメインの利用という方法があることをご存知でしょうか。
これは利用履歴のあるドメインを再利用してサイト運営をすることで、以前のサイト評価を引き継いで運営できるという手法です。
良い中古ドメインには以下のような特徴があります。
- ペナルティ履歴がない
- ドメインオーソリティが高い
- 被リンクドメイン数と被リンク数が多い
このような中古ドメインの質を確かめたい時に便利なのがWayback Machineです。
Wayback Machineを用いるとドメインが過去にどのような状況だったか詳しく検証することができます。
その他
インターネットアーカイブにはウェブサイトの他にも多種多様なデータが保存されています。
動画コレクションにはニュース・アニメ・戦争など様々なカテゴリがあり、電子書籍も豊富です。
インターネットアーカイブの情報は基本的には学術的な分野での活用を期待され、保存されてきました。
SEO対策に利用することも可能ですが、本来の利用目的を逸脱した利用の仕方には注意が必要です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
インターネットアーカイブに関する留意点
上述の通りインターネットアーカイブに保存されたデジタルデータは本来「研究目的での利用」を期待されています。
商業利用を前提としているわけではないので、SEO対策などの目的で利用する場合は注意が必要でしょう。
無償で提供されているデータをどのような理由でどう用いるか、最終的な判断は個々の利用者に求められているといえます。
様々なツールを有効活用したWeb戦略で成功するなら
紹介してきた通り、インターネットアーカイブが提供する「Wayback Machine」は非常に有用なサービスです。
過去のウェブサイトを当時のGoogleからの評価まで確認し、現在と比較することができます。
しかし情報は得るよりも用いる方が難しいものです。アーカイブの情報をどう使うべきか分からないという方も多いことでしょう。
そんな時はぜひデジマクラスのコンサルタントに相談してみてください。
貴社の抱える問題について共に考えながら、様々なツールを活用してWeb戦略で成功する方法をアドバイスさせていただきます。
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まとめ
いかがだったでしょうか。今回の記事ではインターネットアーカイブの使い方について解説しました。
インターネットアーカイブが提供するWayback MachineはSEO対策にとても有効なツールの1つです。
今回の記事を参考にしてインターネットアーカイブが蓄積したデータを活用し、自社サイトのSEO対策に役立ててください。
本稿がそのための一助となれば幸いです。