少子高齢化が進む日本で、65歳以上のシニア層が総人口の約3割を占めるといわれています。
シニア層は比較的時間とお金に余裕があるため、趣味や健康に投資する人が多くいるのです。
こうした人をアクティブシニアと呼び、消費志向が強いのが特徴です。
企業もビジネス戦略を考える際に、アクティブシニア層をターゲットにした広告が非常に重要になります。
今回はアクティブシニア向け広告戦略・意識傾向について解説します。
目次
アクティブシニア向け広告の戦略を解説
シニアマーケティングは以前から注目されていて、少子高齢化が加速度的に進む日本で最大の市場といわれています。
シニアビジネスで成功したい企業は、アクティブシニアをターゲットにした広告戦略を練ることが重要になります。
一度顧客になれば継続的な関係を構築できるのもアクティブシニアの特徴といえるでしょう。
一般にシニア層はオンラインよりもオフラインを好む人が多いのも特徴です。
そのため広告戦略を考える上でポイントがあります。
シニア世代とりわけアクティブシニアの特徴について見ていきましょう。
アクティブシニアの特徴
アクティブシニアと一言でいってもどういう人たちを指すのか理解しにくいかもしれません。
シニア世代は大きく3つに分類されます。
- アクティブシニア
- 現実派シニア
- ネガティブシニア
シニア世代の中でも、アクティブシニアは活動的です。
アクティブシニアの特徴は習い事やスポーツなど、趣味や健康を意識した活動を楽しみます。
イベントにも積極的に参加し、シニアライフを謳歌しようと強い意識を持っています。
また、シニア世代の中でもインターネットを使える人が多いのもアクティブシニアの特徴です。
人から教えられるより自分で検索して調べたりすることが好きな人です。
情報や人との出会いに刺激を求め、いつまでも気持ちだけは若くありたいと何事にも積極的なスタンスで臨むといえるでしょう。
現実派シニアの人たちは消費にあまり興味がなく、活動的ではない面があります。
しかし、仲間意識は強く親しい友人と楽しく余暇を過ごすのを生きがいにするタイプの人たちです。
仲間からの口コミや情報に関心が高いのが現実派シニアになります。
ネガティブシニアはアクティブシニアとは真逆で人付き合いも少なく、消費活動も現実派シニアより少ないのが特徴です。
こうしたことから、企業がビジネス戦略を描く場合はアクティブシニアと現実派シニアが対象になります。
マーケティング戦略の事例はこちら
アクティブシニアの消費傾向・嗜好は?
高齢者ビジネスを展開する際は、アクティブシニアの消費動向や嗜好を把握することが大切です。
一般にアクティブシニアは、旅行・趣味・健康増進に関心が高く、消費意欲も高いとされています。
アクティブシニアは、自分が納得できる商品は高額であっても購入する傾向があります。
詳しく見ていきましょう。
趣味にお金をかける
高齢者のライフスタイルも変わりつつあります。
特にアクティブシニアは経済的にゆとりがあるため、趣味・旅行・ショッピングを楽しみます。
自分が納得いくものにはお金をかけるのもアクティブシニアの特徴です。
老後の生活の目処は立っているため、自分の価値観に基づく行動をし、イベントをはじめ仲間との交流には積極的に参加します。
例えば、仲間と一緒に楽しめる芸術鑑賞・パソコン教室・旅行などがアクティブシニアの趣味として人気があります。
また、アクティブシニアの中にはボランティア活動に参加して人の役に立ちたいと願う人も多くいるのです。
アクティブシニアは思い立ったら即行動します。
スマホ決済の利用も増加傾向に
新たなトレンドとして、シニア世代でキャッシュレス決済が増えているのです。
シニア世代は現金主義だと思われがちですが、高齢者になるとお金を数えながら出すのも面倒と感じる人がいます。
特に情報に敏感なアクティブシニアは、新しいことにも挑戦する前向きな考え方をする人たちです。
そのためスマホ決済やQR決済を利用する人が増えています。
アクティブシニアの女性は特に外出する機会が多いため、スマホ決済なら大金を待ち歩く必要もないので安心できるのです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
パソコンやスマートフォンの使用時間の増加
ある調査で、国民全体のインターネット利用率は79.8%に対し、60歳から69歳でインターネット利用率を見ると86.5%だそうです。
特にスマートフォンを利用するシニア層が増えているのが特徴で、その多くはSNSを利用しています。
アクティブシニアも孫・家族・友達と連絡を取る手段としてLINEを利用する人が増加しているのです。
また、全体的にモバイル端末の利用時間も伸びていることが確認されています。
コミュニケーションツールとしてスマートフォンを利用するアクティブシニアが増えていますが、写真や動画を楽しむ人もいます。
男性よりも女性の方がメッセージアプリを使う傾向が強いのです。
アクティブシニアの意識傾向
総務省によると2030年にはアクティブシニアが高齢者の約8割を占めるそうです。
今後拡大していくことが見込まれるアクティブシニア市場にビジネスを広げることが成功へのカギになるでしょう。
アクティブシニアの意識調査で約6割の人は健康に関心があるといっています。
シニア世代の不安は老後の「お金」と「健康」がトップです。
具体的にアクティブシニアの意識傾向について解説します。
仕事や趣味に意欲的
アクティブシニアは仕事や趣味にポジティブな考え方をします。
仕事や社会貢献に意欲的に取り組み、生き生きとした生活を送っているのがアクティブシニアです。
アクティブシニアは趣味にお金をかけられる人たちといえるでしょう。
特に仕事を通して社会貢献したいと考える人が多いのも特徴です。
趣味の活動で人との繋がりを大切にする傾向が強いといえます。
自分の価値観を大切にする
アクティブシニアに多く見られるには、自分の価値観を大切にすることです。
自分の価値観で魅力があり有益だと感じれば、価格が高くてもあまり気にせず購入します。
情報は意識的に自分で選び、納得するまで調べる傾向が強く、夢や目標を持ち、自分の信念を持って行動する人が多いといえます。
自己実現のためにお金を使い、もっと人生を豊にしたいと希望する人が多いのです。
例えば、世界一周クルーズはこうしたアクティブシニアに支持されています。
彼らは旅行を楽しむのはもちろんですが、船上で多くの人と出会いコミュニケーションを心から楽しんで時を過ごします。
そういう貴重な時間が人生には必要だと考えているからです。
企業はマーケティング戦略を立てる時は、アクティブシニアがどのような価値観を持っているのか分析することが重要です。
健康に対する意識の高さ
アクティブシニアは、老後は子供に迷惑をかけたくないと考える人が多いため、健康管理には十分気をつけています。
体を動かすことが好きで、健康に関する情報には敏感です。
スポーツクラブや登山などアクティビティな活動に積極的に挑戦します。
アクティブシニアは健康に気を使ってウォーキングなどします。
また、アクティブシニアは、健康は体だけでなく心も健康であるべきだと考えている人が多いようです。
そのために心の負担にならないようにマイペースで穏やかな生活を送ります。
アプローチ方法について
2025年にはシニア市場は100兆円を越えるとまでいわれています。
それでは企業はどのようにアクティブシニア層にアプローチすればいいのでしょうか。
広告媒体を利用して顧客に情報を伝えビジネスチャンスに活かすシニアビジネスについて解説します。
主な広告は2つあります。
- Web広告
- マス広告
Web広告はインターネット広告のことで、マス広告はマスメディアを使った広告です。
それでは広告でのアプローチ方法について見ていきます。
Web広告
シニア世代、特にアクティブシニアはインターネットにも精通している人が多くいます。
ターゲティングして最適な広告を配信することが必要です。
その際に注意したいのはターゲットがシニア層であることを意識したコンテンツにすることです。
例えばモデルを起用するなら同世代の人にするとか、高齢者の立場になってコンテンツを考えることが求められます。
高齢者が読みやすい文字のフォントサイズは12~14といわれます。
書体や行間も考慮して作成しましょう。
また、媒体ごとにコンテンツを考えることも必要です。
そして一番大切なのはアクティブシニアがどのようなサイトを閲覧しているのか分析することです。
Web広告を出稿するなら閲覧率が高いサイトに出稿する方が効果も高くなります。
同じサイトでも年齢によって閲覧するアクティブシニア層は違うので、意識して広告戦略を練ることが重要です。
マスメディア広告
マスメディア広告といえば新聞の折り込みチラシが代表的です。
新聞を毎日購読するのは10代~30代では2割以下、40代~50代で4割強、60代は6割弱、70代以上で8割弱となっています。
このことからも新聞の折り込み広告が、シニアビジネスを考える上で重要なのがお分かりでしょう。
また、コストはかかりますが新聞に直接掲載する方法もあります。
掲載広告は大きさと掲載される位置、掲載頻度によっても料金が変わります。
その他、雑誌広告も効果的だといわれ、シニア世代がよく読む健康やシニアライフを取り扱う雑誌に、広告を掲載すれば認識されるでしょう。
デザインやキャッチコピーを考え、他社との差別化を図ることが重要になります。
アクティブシニアをはじめシニア世代は衝動買いをしたがりません。
そのため広告には説得力のある内容が求められます。
アクティブシニアからの反響が多い媒体の例
アクティブシニアからの反響が多かった媒体の事例を見てみましょう。
Web広告例①ブリヂストンサイクル株式会社
ブリヂストンサイクル株式会社ではアシスト自転車の「乗りやすさ」・「気軽さ」をPRする目的で、シニア層向け雑誌「ハルメク」に掲載しました。
しかし、Webを利用するシニアも多いことから「ハルメクWEB」にも掲載し、サイト内トップページから誘導するようにしたのです。
その結果、資料請求はがき・電話・Webとそれぞれの媒体を利用するシニアからの問い合わせが一気に増加しました。
広告のリーチをWeb広告まで伸ばすことで、これまで取りこぼしていた客層が獲得できた一例です。
Web広告例②株式会社ポケモン
切り口を変えればシニアビジネスでも成功できる例として、株式会社ポケモンを紹介しましょう。
若年層を中心に人気のオンラインゲームですが、高齢者の方でもオンラインゲームをやる方は増えています。
会社は2つのコミュニケーション手法を提案しました。
- 広告訴求効果のポイントを見つける
- コミュニケーション手法の開発
「ポケモンGO」はスマホの位置情報を使用して外で歩き回って遊ぶゲームです。
それをシニアの運動嗜好にヒントを得て、アプリで運動促進効果を狙いどう活かせるか検証しました。
そして実際に「ポケモンGO」未体験者を募り、シニア向けに半日かけて新宿御苑を散策するイベントを企画したのです。
参加者の意見を聞き、利用を促しながら広告のクリエイティブに磨きをかけ掲載を続けることで利用者が増えていったのです。
「ポケモンGO」を利用するにはGoogleアカウントの取得が必須ですが、高齢者にどのようにすすめていくのかが課題でした。
そこでコミュニケーション手法として、「スマホ初心者でもわかる!『ポケモン GO』入門ガイド」を作成しました。
これにより、シニア層の新規利用が拡大していったのです。
自社製品をシニア世代に広げるためには切り口を変え、仮説を立ててリサーチをすることが重要だということが分かりました。
マスメディア広告例①イオン株式会社
イオン株式会社の事例を見ていきましょう。
イオンは、運動好きなシニア向けにイオンモール内にウォーキングコースを設置し歩行距離や消費カロリーが可視化できるようにしました。
プロモーション方法はスマホやアプリが使えない高齢者にチラシを配布し効果的なPR活動を行なったのです。
高齢者にチラシを配るポイントは以下の通りです。
- じっくり見てもらえる
- 安心感を与える
- その場で配布されれば直ぐに質問ができる
- 簡単な表現で読みやすく文字の大きさがちょうど良い
高齢者のニーズを聞いてビジネスに活かしてきたイオンのノウハウと経験が結実した事例といえるでしょう。
マスメディア広告例②株式会社やずや
株式会社やずやを紹介します。
「にんにく卵黄」・「にんにくしじみ」など健康志向が強いシニアに人気のやずやです。
やずやは営業部隊を持っていない事でも有名で、プロモーションはWebと折り込みチラシです。
大きな見出しの文字とキャンペーンで目に留まりやすいチラシが特徴的で顧客を増やしています。
シニアの心を掴むデザインが印象的だと評判です。
インターネットに不慣れな人には専用ダイヤルを設置し対応しています。
また、アナログ広告ではカバーしきれない情報はWebサイトが充実しているのでそちらから注文もできます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
媒体選択のコツは?
以前に比べてアクティブシニアのように、インターネットを利用する世代も高齢者の中に増えてきています。
しかし、ほとんどのシニアはテレビCMや新聞の広告を見る方が多いといえます。
つまりターゲットによって広告媒体を使い分ける必要性があるのです。
ここでは媒体選択のコツについて解説します。
ターゲット年齢を意識する
シニア世代もSNSを使う人口が増えていますが、若年層に比べるとその差はまだ大きいです。
アクティブシニアのように消費に意欲的な人もいれば、そうでない人もいるのがシニア世代です。
テレビCMや通販番組であれば商品を目で確かめられます。
一方、Webサイトであれば口コミや他の商品との比較もできます。
60歳以上の人で、インターネットで買い物をする人の購入商品のトップは旅行グッズ・食料・衣類です。
こうしたデータを考慮してターゲティングすることが欠かせません。
商品やサービスのターゲットを明確化する
例えばWebサイトであればターゲットを絞って広告を出稿すれば効果的なPRができます。
そして、類似している他社商品との差別化を図りながら自社商品の強みを紹介するのです。
試供品を送ったり、イベントに招待したりするのも効果的です。
特にアクティブシニアは経済力があり、リピート率も高いので、広告とともに体験談などの口コミを入れることで購入意識が高まります。
アクティブシニア向け広告の戦略に悩んだら?
少子高齢化が加速する日本では、アクティブシニア向け広告戦略は大きなビジネスチャンスに繋がります。
シニア市場の集客・ターゲティング方法がよく分からなくて不安だという方は、デジマクラスにご相談ください。
自社に最適なマーケティング戦略をご提案します。
デジマクラスは実績とノウハウがあり、集客を総合的にサポートします。
マーケティング戦略の事例はこちら
まとめ
アクティブシニア層は購買欲が強く、アナログの広告を好む人もいますが、インターネットを好んで使う人も多くいます。
ターゲットをどこにするかによって広告戦略は変わるのです。
ニーズをよく分析して親和性のある媒体でアプローチすることをおすすめします。
アクティブシニアマーケットはこれからも拡大基調です。
今までアクティブシニア層をターゲットにしてこなかった企業も、切り口を変えればビジネスチャンスに恵まれるかもしれません。
是非挑戦してみてください。