「SaaSについてあまりわからないから、SaaSについて詳しく知りたい」という方もいるのではないでしょうか。
簡単にまとめると、ソフトウェアを提供して利益を得るというのがSaaSのビジネスモデルです。
ただ、IaaSやPaaSなど似たような名前があるので、違いがよくわからないという方もいると思います。
そこでここでは、SaaSの意味やビジネスモデルについて詳しく解説していきます。
PaaSやIaaSなどの違いも紹介しているので、そちらも参考にしてください。
目次
SaaSというサービス
SaaSは、簡単にいうとソフトウェアを提供するサービスです。
提供する人がソフトウェアを開発し、クラウド上に作られたサービスを、インターネットを通じて利用するというものです。
性質は少し違いますが、同じくクラウド上で利用できるものとして、PaaSやIaaSなどが挙げられます。
SaaSの意味
SaaSは「Softwear as a Service」の略です。
日本語に訳すと、サービスとしてのソフトウェアという意味になります。
PaaS、IaaSとの関係性
IaaSは「Infrastructure as a Service」の略です。
具体的にいうと、ネットワークやサーバーといったインフラを提供するサービスです。
例えば、Google Compute Engine(GCE)などが挙げられます。
一方PaaSは「Platform as a Service」の略です。
アプリケーションを実行するためのプラットフォームを提供するサービスとイメージしてもらうといいでしょう。
例えば、Google App Engine(GAE)などがPaaSの一例になります。
SaaSは、データを利用できるという面ではIaaSとPaaSと同じですが、アプリケーションやコンテナの管理をすることはできません。
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SaaSのビジネスモデルは?
簡単にいうと、SaaSは「ソフトウェアを提供し、顧客と継続的な関係を築く」というモデルです。
無料のものもあれば、一定の月額料が必要なサービスなど、プライシングモデル(料金設定)がサービスによって異なります。
大まかには次の3つに分けることができます。
- フリーミアム
- 定額プライシングモデル
- 使用量プライシング
無料で使うことができるフリーミアルのタイプは、例えばGoogleが提供しているGメールやGoogle Drive などです。
一方AdobeのPhotoshopやIllustratorであれば、月額使用料さえ払えば無制限で利用できます。
いわゆるサブスクリプション型のビジネスモデルでもあります。
ちなみにサブスクリプションとは、「〇〇円/1月」などの月額課金制のシステムのことです。
- SaaSは「ソフトウェアを提供し、顧客と継続的な関係を築く」というモデル
- プライシングモデルがサービスによって異なる
SaaSビジネスの特徴
ここではSaaSのビジネスモデルの特徴について解説していきます。
SaaSのビジネスモデルの特徴としては、大きく以下の3つが挙げられます。
- 顧客との継続的な関係
- モノ消費ではなくコト消費
- ユニットエコノミクス
顧客との継続的な関係
SaaSビジネスは、いかに顧客と継続的な関係を築くかが重要です。
裏を返すと、顧客はいつでもサービスを解約することができるからです。
収益の観点からしても、短期間でサービスを解約されるとあまり利益につながりません。
そのため、顧客に使い続けてもらうためにも以下のことを考える必要があります。
- 新規ユーザーが使いやすい金額か
- UIやUXは優れているか
以上のことから、いかに顧客に続けて使ってもらうかが大事になってくるのです。
モノ消費ではなくコト消費
SaaSビジネスは、モノ消費でなくコト消費なのも特徴です。
例えば自動販売機で売っているペットボトルのお茶は、いわゆるモノ消費です。
モノ消費の場合、使い切ってしまうともう使い道がありません。
それに対して、GメールやPhotoshopなどは使ってもなくなることがないです。
このように、一度作ったら永久的に使い続けることができるのがコト消費です。
加えてソフトウェアなので、いろんな方に共有して使ってもらうことができるのも1つの特徴といえます。
ユニットエコノミクス
ユニットエコノミクスとは、最小単位1個当たりの収益性のことです。
例えば、お茶を1本販売するのに、どのくらい金額がかかってどのくらい利益が出たかということです。
SaaSを基盤として事業をする上で、ユニットエコノミクスという概念は非常に重要になってきます。
理由は以下の2つです。
- サブスクビジネスであるから
- 投資とコストに対する収益性を把握することができるから
顧客に継続して利用してもらうことで、ソフトウェアにかけたコストを回収することができます。
そのため、どのくらいの単価で、どれくらいの期間使ってもらえたかが重要になってくるのです。
ちなみに以下の計算式でユニットエコノミクスを計算することができます。
- ユニットエコノミクス=LTV÷CAC
LTVやCACについては、「SaaSビジネスの重要指標とKPI」で解説しているので、そちらを参考にしてください。
- SaaSでは顧客との関係を維持するのが重要
- SaaSはコト消費
- ユニットエコノミクスという概念は重要
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
SaaSビジネスのベンダー側のメリット
ベンダー側のメリットを3つ紹介します。
- 継続して利益を得ることができる
- 無理に新規開拓や営業をする必要がない
- フリーミアムが採用できるので、顧客に関心を持ってもらいやすい
サブスクリプション式・都度課金など様々な方法がありますが、継続して安定した利益を得ることができます。
もちろん単価と利用者数次第で、利益をどんどん上げることもできますよ。
また、顧客に継続して利用してもらうことが重要なので、過度に営業をかける必要もありません。
ただし、最初は知って使ってもらうためにも営業をかける必要はあります。
お試しで使ってもらうという点で、フリーミアムで利用してもらうのも1つの手です。
SaaSビジネスのユーザー側のメリット
SaaSビジネスのユーザー側のメリットは大きく3つあります。
- 導入するのが簡単
- システムの運用負担が少ない
- どこからでもアクセスして使うことができる
ソフトウェアという特性上、アカウントさえ作ってしまえばすぐに利用することができます。
加えてシステムの不備などはベンダーが修正してくれるので、負担を少なく運営することができます。
さらにインターネットに繋がってさえいれば、どこにいてもアクセスすることができるのです。
総じて、ユーザー側からすると便利で使いやすいのが大きなメリットでしょう。
- ベンダー側からすると安定した利益が得られやすい
- ユーザー側からするとアクセスしやすく、導入も簡単で便利
SaaSビジネスの重要指標とKPI
ここでは、SaaSビジネスにおいて重要な指標とKPIについて解説していきます。
特に以下の4つの指標は、SaaSビジネスにおいては重要なので、必ず押さえておくようにしましょう。
- ARR/MRR
- LTV
- CAC
- チャーンレート(解約率)
どれも事業計画や、売り上げ予測に必要な指標ですので、1個ずつ確認するようにしてください。
ARR/MRR
MRRは、Monthly Recurring Revenueの略です。
日本語だと、月次経常収益といったり、月間経常収益といったりします。
基本的にはMRRは以下の計算式で求めることができます。
- MRR=月額利用料×利用したユーザー数
他方ARRとは、Annual Recurring Revenueの略です。
日本語だと、年間定額収益といったり、年間経常収益といったりもします。
ARRは次の計算式で求めることが可能です。
- ARR=MRR×12
SaaSにおいては、この2つの指標は非常に重要になってきます。
LTV
LTVとは「Life Time Value」の略で、顧客生涯価値とも呼ばれます。
簡単にいうと、顧客がその企業に対して生涯を通してもたらす利益のことです。
例えば、その企業の消費に対してリピーターが多い企業ほど、LTVは高くなりやすい傾向にあります。
ちなみにLTVの計算式はひとつに絞ることは難しく、いくつか代表的な計算式があるのでこちらを参考にするといいです。
- LTV = 顧客の年間取引額 × 収益率 × 顧客の継続年数
- LTV = 顧客の平均購入単価 × 平均購入回数
- LTV = (売上高 – 売上原価) ÷ 購入者数
CAC
CACとは、「Customer acquisition cost」の略で、1顧客あたりの獲得コストのことです。
つまり、一人に対してどのくらいコストがかかったかを知れる指標になります。
CACの計算式は以下の通りです。
- CAC=顧客獲得における総コスト÷顧客数
例えば新規の顧客獲得のために、広告費を100万円使ったとします。
その結果50名の顧客を得ることができた場合、その月のCACは2万円となります。
もちろん何にどれだけ使ったかによって数値は変わってくるので、その都度計算式に組み込んでください。
チャーンレート(解約率)
当然、利用する人の中にも、不要になって契約を解約する人がいるのも事実です。
そのため、チャーンレート(解約率)を割り出すことも必要になってきます。
チャーンレートは、以下の計算式で求めることができます。
- チャーンレート=一定期間で失った顧客数÷期間前の総顧客数
例えば、9月時点で顧客数が1000人だったとしましょう。
それが月末時点で800人だった場合、以下のような結果になります。
- (1000-800)÷1000=20%
- MRRは月刊経常利益でARRは年間経常利益
- LTVは顧客生涯価値でCACは1顧客あたりの獲得コスト
- チャーンレートは解約率
SaaSの代表的なビジネスモデルの例
ここではSaaSの代表的なビジネスモデルの例について解説しています。
代表的なのは以下の4社です。
- Microsoft Office 365
- Dropbox
- Salesforce
- Adobe
Microsoft Office 365
Microsoft Office 365はwordやExcel、Power Pointなどが有名です。
家庭向け・一般法人向けの2パターンがあり、どちらも1ヶ月無料で試すことができます。
家庭用の場合は、1ヶ月あたり1,284円から、一般法人向けであれば1ユーザーあたり540円から利用することができます。
ただし法人の場合、企業の規模によって値段が変わってきますので、注意してください。
Dropbox
Dropboxは、画像やPDFファイルなどをまとめて管理することができるサービスです。
SlackやZoomなどの他のツールとも連携することができるので、便利に使うことができるのもグッドポイントです。
個人向けは1月あたり$11.99で、法人向けは1ユーザー当たり1,500円から利用することができます。
Salesforce
Salesforceは、営業支援や顧客管理を中心に、目的に合わせて製品を組み合わせて利用できるプラットフォームです。
売り上げ予測や、見積もり管理・昇段・案件管理などが人目で把握できるので、営業やマーケティングの強い味方です。
ちなみに製品の値段がそれぞれ違います。
金額体系を知りたい方は公式サイトで確認できますので、チェックしてみてください。
Adobe
AdobeはPhotoshopやillustratorなどクリエイターのために開発されたサービスです。
写真の加工や、動画編集、イラストの作成などクリエイターに必要な製品を網羅しています。
個人の方(コンプリートプラン)は4,378円、法人は1月8,778円となっています。
ちなみに学生・教職員の方であれば2,178円で利用できるので、非常にお得です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
SaaSの優れたビジネスモデルの特徴
SaaSの優れたビジネスモデルの特徴としては、やはり以下の2点につきます。
- 料金プランの戦略がしっかり練られている
- 継続して使いやすいサービスを提供している
複数のプランを作り、それぞれ料金プランを練っています。
例えば個人には500円、50人規模であれば1ユーザー当たり400円、100人規模であれば1ユーザー300円などです。
なので、それぞれのニーズをしっかり把握した上で、価格設定をしている印象です。
また、継続して使いやすいサービスを提供しているというのもあります。
UIやUX、機能性も細かいところまで対応できている印象です。
SaaSに関心があったら
SaaSに関心があったら、以下の2つの選択肢があります。
- 自分で起業してSaaSの事業を立ち上げる
- SaaSの導入をしてみる
SaaSで起業をしたい人が積みたい経験
SaaSで起業したい人が積みたいおすすめの経験としては、オウンドメディアをもつことです。
オウンドメディアは、SaaSのビジネスモデルと非常に近しいところがあります。
例えばいかにユーザーにきてもらうか、どういう風に利益を得るかといったことを考える必要があります。
なので、自分のメディアを持ち、収益を生む経験をすることはおすすめです。
SaaSの導入で悩んでいる人の相談先
SaaSといっても、何をしていくか・どういう風に進めて行くべきか迷う方もいるかと思います。
加えて何から始めたらいいかわからないという方もいると思います。
もしそういった場合であればプロのコンサルタントに相談することがおすすめです。
SaaSを導入するかどうか迷っている場合は、デジマクラスにご相談ください。
マーケティング戦略の事例はこちら
まとめ
ここまでSaaSについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
SaaSについて理解を深めるためにも、何かサービスを使ってみることをおすすめします。
例えばMicrosoft Office 365であれば1ヶ月無料で利用できるので、試しに使ってみるといいでしょう。
もし起業したいが何から始めたらいいかわからないという方は、デジマクラスにご相談ください。
この記事があなたの参考になれば幸いです。