マッチタイプとはユーザーが検索しそうな語句をあらかじめ登録し、ニーズの高いユーザーに広告配信するシステムです。
配信できる範囲はある程度設定可能なので自社の広告戦略にあわせた広告配信ができます。
マッチタイプごとのメリット・デメリットを把握し、よりコンバージョン可能性の高いユーザーにアプローチできる設定をしましょう。
目次
マッチタイプの使い方を解説
マッチタイプとはこの検索語句で検索したこの範囲のユーザーに自社の広告を配信してくださいと設定できるGoogle広告の機能です。
あらかじめ設定しておいたキーワードが検索エンジンで検索された場合に自社商材のリスティング広告を表示できます。
しかし、広告を出稿する側が設定した検索キーワードとユーザーが入力した検索語句は100%一致することは多くありません。
そこで、検索キーワードと検索語句の一致度に応じて調整可能な機能がついています。
検索キーワードと検索語句が完全に一致していないと配信されないとするか類似度が比較的高い場合にも配信OKか設定できるのです。
マッチタイプとはこの設定のことで、本当に届けたいターゲットに広告を配信できる確率を高めるために重要な機能です。
マッチタイプの種類
マッチタイプは4段階の設定ができます。
- 完全一致
- フレーズ一致
- 絞り込み部分一致
- 部分一致
それぞれの段階に特徴があり、同じ検索キーワードを登録していても設定次第で表示されるユーザーの範囲が変わります。
完全一致
マッチタイプを完全一致に設定している時、広告が配信されるのは検索語句が下記2パターンだった場合です。
- 検索語句が登録した検索キーワードと完全に一致
- 検索語句が登録した検索キーワードと類似
類似している場合とは表記ゆれなどが考えられます。
例えばソファと入力してもソファーと入力してもユーザーが求めているものは同じと考えられます。
そのため、どちらで検索してもインテリアのソファに関する広告が配信されます。
基本的に検索キーワードは1語で設定する場合が多いですが、2語以上で登録している場合に検索語句の語順は問われません。
事前に渋谷 整形外科という検索キーワードで登録していれば整形外科 渋谷で検索したユーザーにも広告が配信されます。
検索キーワードを設定・登録する場合は記号:[ ]を使用して[渋谷 整形外科]と入力します。
フレーズ一致
検索キーワードと一致した検索語句が入力された場合に広告が配信される点は完全一致と同様です。
違いは前後に違うキーワードがあっても配信される点にあります。
<例>
- ターゲット:渋谷近隣で整形外科を探している出産後に腰痛で悩んでいる女性
- 登録した検索キーワード:整形外科 腰痛
- 広告が配信される検索語句:渋谷 整形外科 腰痛、整形外科 腰痛 産後
登録する時の記号は“”(ダブルクォーテーション)です。
渋谷 整形外科で登録する場合は“渋谷 整形外科”と入力します。
絞り込み部分一致
検索キーワードとして登録したキーワードが含まれていれば広告が配信され、語順は問われません。
最も広く配信される部分一致と完全一致・フレーズ一致の中間程度の範囲に広告が配信されます。
部分一致
部分一致は登録したキーワードと関連性の高い類似キーワードを検索した場合にも広告配信される設定です。
<例>
- ターゲット:腰痛で整形外科を探しているユーザー
- 登録した検索キーワード:整形外科 腰痛
- 広告が配信される可能性がある検索語句:整形外科 ヘルニア、整形外科 ぎっくり腰
部分一致で検索キーワードを設定・登録する時に記号を付ける必要はありません。
マッチタイプは初期設定の段階ですべて部分一致の状態になっていますので、ターゲットにあわせて変更が必要です。
・フレーズ一致に絞り込み部分一致の機能が統合される流れが段階的に進行
・完全一致と部分一致の中間程度の配信範囲を持つマッチタイプはフレーズ一致のみに
・フレーズ一致も語順を問わず広告が配信されるマッチタイプに変更
・2021年7月以降は絞り込み部分一致の新規登録NG
マッチタイプ「完全一致」のメリット・デメリット
完全一致はアピールしたい商材の認知度が高く、広告戦略的に十分成熟した段階で使いたいマッチタイプです。
ユーザーが商材名で検索する可能性が高くリピーターを増やしたい段階で活用しましょう。
メリット
マッチタイプ完全一致は自社商材の固有名詞について一般的な認知度が高い段階で使いたいマッチタイプです。
商標登録など知財対策も十分でサジェストに商品・サービス・店舗名の固有名詞が出てくる、といった場合に有効でしょう。
商材認知度を十分に高めた次の段階でリピーターを増やしたい時に使いたいマッチタイプです。
また、完全一致はユーザーを最もピンポイントに絞った状態で広告を配信できるメリットもあります。
そのため広告費用を最小限に抑えることが可能で、予算重視の広告戦略におすすめです。
デメリット
ピンポイントでターゲット設定できるメリットは限られた人にしか表示されないというデメリットでもあります。
表記ゆれも拾ってしまうため、類似ワードが多く含まれる競合が存在すると競合他社商材の紹介になってしまう可能性もあります。
企業名や商材名など固有名詞を検索キーワードとして登録する場合に注意が必要です。
また、ユーザーが類似語で検索しやすい商材・業界の場合も要検討をおすすめします。
例えば渋谷 ウエディングでキーワード登録した場合、渋谷 お見合いで検索したユーザーには広告が配信されません。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
マッチタイプ「フレーズ一致」のメリット・デメリット
フレーズ一致は完全一致と部分一致のバランスを取りたい時に設定されることの多いマッチタイプです。
メリット
マッチタイプフレーズ一致の1番のメリットは前後に違う語句があっても広告が配信されることです。
ターゲットを広く設定した検索キーワードの登録でもピンポイントに検索するユーザーにアプローチできます。
<例>
- 登録した検索キーワード:整形外科 腰痛
- 広告配信される検索語句:渋谷 整形外科 腰痛、神宮前 整形外科 腰痛、桜丘町 整形外科 腰痛 産後
部分一致でターゲット・候補となるキーワードを絞りこんだ後、他地域からの潜在ユーザーを確認したい時におすすめです。
デメリット
フレーズ一致のデメリットは想定していない検索語句に対応できない点です。
例えば渋谷 整形外科で登録している場合、神宮前 整形外科で検索しているユーザーには広告配信できません。
また渋谷 腰痛、渋谷 ヘルニアといったニーズの重複が考えられる検索語句にも対応できない点がデメリットです。
マッチタイプ「絞り込み部分一致」のメリット・デメリット
絞り込み部分一致はフレーズ一致と同様に完全一致と部分一致の中間程度の範囲に広告配信されるマッチタイプです。
2021年7月以降はフレーズ一致に統合されます。
メリット
絞り込み部分一致はマッチタイプの中でもちょうど中間程度の範囲に広告配信されます。
部分一致でアクセスしたユーザーを分析し、ターゲットを絞りこむ段階で検証するのに便利です。
例えば部分一致でいくつかの候補を検証して絞り込んだ後、同じ方向性の検索キーワードをいくつか試してみたい時など。
部分一致より広告費用を少し抑えたい時にもよく使われます。
デメリット
複数登録しているキーワードの内、一部のみ絞り込み部分一致に適用することはできません。
また、2021年7月以降Googleの仕様変更により絞り込み部分一致の新規キーワード登録ができなくなります。
絞り込み部分一致で登録しているキーワードがあるのであれば、他のマッチタイプに変更しておきましょう。
マッチタイプ「部分一致」のメリット・デメリット
部分一致は最も広告配信範囲が広いマッチタイプです。
広告配信を始めたばかりで潜在ニーズ・潜在ターゲットを把握したい場合に向いています。
メリット
関連用語を検索した場合にも広告配信されるのが部分一致最大のメリットです。
例えば腰痛で検索する人はヘルニア、ぎっくり腰、骨盤といったキーワードで検索する可能性もあります。
検索キーワードを腰痛で登録しておけば類似キーワードであるヘルニア、ぎっくり腰、骨盤で検索する人にもアプローチできるかもしれません。
キーワードの方向性にいくつか候補があり、クリック率やコンバージョン率を検証したい時におすすめです。
また、商材認知度をこれから広めていきたい場合にも部分一致が有効です。
ユーザーを分析する中で、事前に想定していたターゲット以外にも潜在的なニーズを持つターゲットが見つかる場合があります。
新しくリリースする商材や新規事業のスタートアップに関する広告であれば、まずは部分一致から始めてみましょう。
デメリット
部分一致はターゲットを幅広く設定できる分、商材の利用ニーズがそこまで高くないユーザーにも広告配信されてしまいます。
<例>
- 登録した検索キーワード:渋谷 整形外科
- 広告配信される可能性がある検索語句:代々木 腰痛、恵比寿 整形外科
渋谷・代々木・恵比寿は同じ渋谷区内で類似度の高いものの、ユーザーの活動範囲によっては不便に感じられることもあります。
つまり、コンバージョンにつながる可能性が低いユーザーに広告が配信される可能性も否めません。
結果、広告費用が余分にかかってしまうケースが少なくないのです。
ユーザーを絞り込み切れていない段階で実験的に検証したい場合に向いているマッチタイプです。
マッチタイプの効果的な設定例
マッチタイプをより効果的に活用するために動的検索広告の機能と除外キーワード機能もあわせて活用しましょう。
動的検索広告と組み合わせる事例
動的検索広告とは検索語句に連動して自動的におすすめのリスティング広告が配信される機能です。
検索キーワードの選定・登録・キーワードに基づいた広告文の作成を自動で行ってくれます。
例えば、コーヒー豆の通販サイトでは産地やブレンドの仕方ごとに様々な種類のコーヒーを扱っています。
取り扱い商材の種類が多い場合、1つずつマッチタイプを設定するのは効率的ではありません。
そこで動的検索広告を取り入れることで様々な検索語句に対応することが可能です。
除外キーワードを設定した事例
企業の取り扱い商材によっては自社取り扱いがないにもかかわらず検索されることが多い語句があります。
例えば、不動産会社であれば土地・マンション・戸建てが主な取扱商材です。
しかし、企業によっては土地専門・マンション専門など特定商材に特化している場合も少なくありません。
そこでマッチタイプとあわせて除外キーワードを設定しておくと、コンバージョン可能性の低いユーザーをピンポイントに除外できます。
もし、渋谷で土地の売買・仲介を専門にしている企業であればマンション、一戸建て、中古住宅など除外しておくと良いでしょう。
またネガティブなイメージのキーワードや類似ワードも除外しておくと、よりニーズの高いユーザーにアプローチしやすくなります。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
マッチタイプの活用方法
マッチタイプを上手に活用することでニーズの高いユーザーとのマッチング精度向上や潜在ニーズの発掘につながります。
ニーズの高い商材を絞り込む事例
マッチタイプは初期設定時点で部分一致の状態になっています。
そこから自社のターゲットにあわせたキーワードを徐々に絞っていくのが一般的な流れです。
例えば、取り扱い商材の中でどの商材のターゲットが多いのかをあぶりだす活用方法も可能です。
<例>渋谷近隣で賃貸物件を多く取り扱う不動産会社がフレーズ一致で下記キーワードを登録
- 渋谷 マンション 1人暮らし
- 渋谷 マンション ファミリー
- 渋谷 マンション 駅近
- 渋谷 マンション ペット可
- 渋谷 マンション 女性
- 渋谷 マンション オートロック
※取り扱いのある商材であることが前提
この中で特にクリック率やコンバージョンの多いキーワードが自社商圏の中で潜在ニーズの高い物件ということになります。
新しい潜在ニーズを発見できた事例
部分一致で当初は想定していなかった潜在ニーズを発見する活用法もあります。
<例>渋谷近隣で腰痛の治療例を多く持つ整形外科、部分一致で渋谷 整形外科 腰痛を検索キーワードとして登録
効果を検証する過程でユーザーが下記キーワードもあわせて検索していることが判明しました。
- 検索キーワード+ストレッチ
- 検索キーワード+体操
- 検索キーワード+ストレッチポール
- 検索キーワード+ベルト
- 検索キーワード+椅子
- 検索キーワード+コルセット
- 検索キーワード+クッション
キーワードの傾向から医療機関での治療以外にも自宅でできるケアに対するニーズが高いことがわかります。
そこで実際に使ってみて良かった腰痛対策グッズの紹介やストレッチ指導などをオプションサービスとして導入してみました。
マッチタイプの使い方に困った時は
検索キーワードの想定・絞り込みは想定とまったく違う結果が出ることも少なくありません。
そこで検索キーワード決定戦略にWebマーケティングコンサルタントを活用してみてください。
Webマーケティングコンサルタントの魅力は広告戦略上有効なキーワード提案ノウハウを持っていること。
例えば、部分一致からフレーズ一致に移行するタイミングや絞り込み方について適切にアドバイスできます。
また、あくまでも第三者のパートナーとして客観的な目線で関われる点もポイントです。
社内からの目線だけでは気づきにくい新しいニーズ・方向性からのキーワード提案ができるかもしれません。
マーケティング戦略の事例はこちら
まとめ
マッチタイプには種類があり、それぞれの特徴ごとに広告配信される範囲・必要な予算が異なります。
アピールしたい商材の現状や広告戦略に沿ったマッチタイプを設定するのがポイントです。
まずは部分一致で検索キーワードを登録し、ターゲット設定の確認や想定外のニーズの掘り起こしから始めてみましょう。