企業のブランディングを成功させるために活用したいのがゴールデンサークル理論です。
この理論は、企業のブランディング戦略に非常に優れているフレームワークといえます。
何をやるかではなく、なぜするのかを最初に提言する方法で、多くの成功者がこの考えを方法を取り入れているといわれています。
この記事では、ゴールサークル理論の組み立て方や熱狂的なファンのつくり方を解説しますので是非お役立てください。
目次
ゴールデンサークル理論は「WHY」から
ゴールデンサークル理論は、イングランド出身のマーケティングコンサルタントであるサイモン・シネック氏が提唱しました。
2009年に開催されたTED(世界の著名人による講演会を開催している団体)のプレゼンで提唱し、話題を集めました。
TEDの講演会は過去にマイクロソフト創業者のビル・ゲイツや、Apple設立者のスティーブ・ジョブズがスピーチしています。
それほどに注目を集める講演会で発表されたゴールデンサークル理論は、以下の順に円が構成されています。
- WHY(なぜ)
- HOW(どうやって)
- WHAT(何を)
この順に物事を説明することで、人の心に響かせることが可能だという内容でした。
ゴールデンサークル理論の組み立て方
続いては、ゴールデンサークル理論の組み立て方をご紹介します。
多くの人に信念がない
先ほど、物事の説明は「WHY」から伝えると共感を得られると述べましたが、多くの人は「WHY」を伝えていません。
大半の人は、自分が何を(「WHAT」)しているかは、自分の行動についてであるため理解できています。
そして、どうやって(「HOW」)やるかは能力についてであり、ある程度の人は理解しているのです。
しかし、なぜ(「WHY」)やるのかは理解できている人がほどんどいません。
「WHY」は自分の信念にあたる部分ですので、多くの人には信念がないともいえます。
Appleの例
Appleには、新製品が出るたびに朝から店頭に並び、それを手に入れようとする熱狂的なファンが多くいます。
ファンが多い理由は、製品の情報について「WHY」から消費者に伝えているためだといわれています。
多くの企業との違いは、その情報の伝え方の順番が違うだけです。
しかし、その方法で消費者の心に響かせることができるのです。
ゴールデンサークル理論はブランディングに一役買う
ゴールデンサークル理論がブランディングに一役買う理由があります。この項目ではその理由を詳しくご説明します。
人間の直感
サイモン・シネック氏によると、ゴールデンサークル理論は人間の脳の構造によるものだとしています。
人間の大脳は、大脳新皮質・大脳辺縁系・脳幹で構成されています。
その中の大脳新皮質が分析的思考を司っており、それは「WHAT(何を)」に当てはまるのです。
そして、大脳辺縁系は感情・意欲・記憶を司り「WHY(なぜ)」と「HOW(どうやって)」に当てはめることができます。
人間は信念に基づいて行動を起こすため、「WHY」「HOW」「WHAT」の順に説明されると直感的な部分に触れられるのです。
よって、ゴールデンサークル理論により購買行動を促すことが可能になります。
イノベーター理論
ゴールデンサークル理論では「WHY」が最も大切ですが、その理由は他にもあります。
それは、イノベーター理論です。
イノベーター理論は、新商品や新サービスの市場普及率を表すマーケティング理論です。
スタンフォード大学のエベレット・M・ロジャーズ教授が提唱しました。
このイノベーター理論というのは、商品やサービスが市場に広まっていく段階を以下の5つの層で表したものになります。
- イノベーター(革新者)
- アーリーアダプター(初期採用者)
- アーリーマジョリティ(前期追随者)
- レイトマジョリティ(後期追随者)
- ラガード(遅滞者)
イノベーター(革新者)は、最初期に商品・サービスを使用する層です。
情報感度が高いため「新しい」ことに価値を感じ、積極的に使用する好奇心旺盛な層だといえます。
そのため、市場にはまだまだ普及されていなかったり、費用が高いものであったりしてもニーズに合えば活用してくれるのです。
この層は、市場全体の約2.5%いるとされています。
アーリーアダプター(初期採用者)は、イノベーターほど開拓的ではないものの普及されそうな商品やサービスにいち早く気づきます。
社会のトレンドに非常に敏感で情報収集能力が高いのが特徴で、気に入れば真新しくても実際に購入してくれるユーザー層です。
俗にいうインフルエンサーになりうるこの層は、非常に重要で市場全体の約13.5%いるとされています。
アーリーマジョリティー(前期追随者)は、情報を察知する力は比較的高いけれど、新商品やサービスを購入するには慎重です。
しかし、この層はアーリーアダプター(初期採用者)の意見に大きな影響を受け、市場全体の約34%いるとされています。
アーリーマジョリティーを攻略するためには、1つ上のアーリーアダプターをしっかりと押さえる必要があります。
レイトマジョリティ(後期追随者)は、新商品やサービスを取り入れることに消極的です。
商品やサービスの利用者が大勢いると分かって初めて取り入れるのです。
商品やサービスの普及率を高めることで、レイトマジョリティの攻略が可能になります。
この層は、市場全体でアーリーマジョリティーと同じぐらいいるとされています。
ラガード(遅滞者)は、市場で最も保守的です。
商品やサービスが普及しただけでは取り入れず、文化的レベルに達するまで取り入れません。
ラガードの攻略には世間に完全に普及され、信頼を得る必要があります。
この層は市場全体の約16%いるとされています。
このように、新しいものに価値を見出す「イノベーター」と「アーリーアダプター」の攻略が最も重要だという理論です。
影響の大きいイノベーターとアーリーアダプターは直感的に行動するため「WHY」が重要だと考えられています。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ゴールデンサークルが重要な理由
近年では、製品開発の始まりは全て「WHY」がスタート地点で、目的が重要視されるようになりました。
この考え方は、国内外のプロフェッショナルの間で徐々に広まってきているのです。
まだ世に出回っていない商品を普及させるためには、「WHY」を活用して初めにイノベーターにアピールしなくてはなりません。
そのため「WHY」へのコミットメントが市場を賑わせるキーになるのです。
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ゴールデンサークルの使い方
これまで、ゴールデンサークルについてご説明してきましたが、この項目ではゴールデンサークルの使い方をご紹介します。
何に使えるか
ゴールデンサークル理論は、多種多様なシーンで活用可能な理論です。
例えば、以下のようなものが挙げられるでしょう。
- プレゼン
- 講演
- ライティング
- 営業
- 広告
- 部下への指示
ゴールデンサークル理論は人間の本能によるものであるため、この他にも人間が関係するものすべてにおいて活用可能です。
心が動かされる理由
商品やサービスを購入してもらおうとしても簡単にはいきません。
一番大切なのは、なぜそれを売っているのかを相手に伝えることです。
何を信念としているのか、何が最終的な目的なのかを伝えましょう。
人間の脳は、そのようなストーリーに心が動かされる仕組みであることが、生物学によって分かっています。
WHYから伝えると消費者の感情を揺さぶるため、購入の意思決定に働きかけることができるのです。
ゴールデンサークル理論活用の具体例
先ほど、Appleは製品の情報を消費者に「WHY」から伝えているとお伝えしました。
Apple設立者のスティーブ・ジョブズも、プレゼンでゴールデンサークル理論を使っていたのです。
熱狂的なファンが多いAppleは、以下の順番で製品の紹介をしています。
- 「我々のすることは世界を変えると信じている。そして違う考えに価値があると信じている」(WHY)
- 「すべての製品を美しくシンプルに使いやすい製品にする」(HOW)
- 「素晴らしいスペックの製品が誕生した」(WHAT)
このように順序に注目してみると、違う順番で紹介されるよりも購買意欲を駆り立てられます。
創立以来、長い間ファンに支持され続けている理由は、appleの強い信念が伝わっているからだといえるでしょう。
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ゴールデンサークルの順番
それでは、ゴールデンサイクルの順番の根拠はどのようなものなのでしょうか。
ニューロ・ロジカル・レベルの考え
最新の心理学に、NLP(神経言語プログラミング)というものがあります。
これは別名「脳と心の取扱説明書」とも呼ばれ、さまざまな分野で活用されています。
この心理学の理論の基となっているのが、人の意識を分類した「ニューロ・ロジカル・レベル」です。
ニューロ・ロジカル・レベルは、以下のように分けられています。
- レベル1:環境
- レベル2:行動
- レベル3:能力
- レベル4:価値観・信念
- レベル5:自己認識(セルフイメージ)
- レベル6:スピリチュアル
これらの要素は互いに影響し合っており、上のレベルが下のレベルに大きな影響を与えるとされています。
影響力が高いのはスピリチュアル・自己認識であることが分かるでしょう。
ゴールデンサークルとニューロ・ロジカル・レベル
ゴールデンサークルとニューロ・ロジカル・レベルを照らし合わせてみます。
すると、価値観・信念は「WHY」、能力は「HOW」、行動は「WHAT」とすることができます。
やはり、人は価値観・信念に基づいて行動に移すのです。
価値観・信念は行動に至る動機であり、直感的な感情であるといえるでしょう。
人の脳の自然な流れ
人は直感的な感情で行動することがわかりました。
それはゴールデンサークルの中で「WHY(なぜ)」にあたる部分であり、その次の段階は「HOW(どうやって)」です。
「HOW」では具体的な内容が分かり、あとは行動「WHAT(何を)」するだけだといえます。
このように「WHY(なぜ)」から入ることで行動に移すための準備がすべて整うのです。
ゴールデンサークル理論の活用
ビジネスシーンを想定したゴールデンサークル理論の活用例をご紹介します。
市場が急成長している出前サービスの紹介をするプレゼン例です。
人々は、自宅に居ながらにしてお店の料理が食べれることを喜びますが、出前サービスがある店は限られています。(WHY)
時間が確保できる人に料理を購入・配達してもらえれば、さまざまなお店の料理を自宅で楽しむことができるのです。(HOW)
お店の料理を自宅で楽しみたい人と、配達してお金を稼ぎたい人の目的を同時に叶える配達サービスを提供します。(WHAT)
このように、消費者の課題(WHY)から始めると自然に説明に聞き入ることができます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
熱狂的なファンのつくり方
それでは、どうすれば熱狂的なファンを作ることができるのでしょうか。
この項目では、熱狂的なファンの作り方をご紹介します。
WHY:なぜ?
消費者にどのような世界を見せたいのかなど、なぜそのビジネスをしているのかという価値観・信念を語ります。
そこで注意したい点は、その価値観・信念の内容は、消費者が共感できるものでなくてはならない点です。
これまでの経験や、信念を貫くきっかけになったことを語ると共感を得やすくなるでしょう。
HOW:どうやって?
展開しているビジネスは、どうやって消費者を幸せにするのかを語ります。
WHYの段階では自分が主役でしたが、HOWでは消費者が主役です。
どのようにしてより良い未来を掴むことができるのか、課題と解決策を語りましょう。
ここでのポイントは、ビジネス紹介ではなく消費者の未来について語ることです。
WHAT:何を?
そして扱っているビジネスの内容及び、消費者に行動してもらいたいことを語りましょう。
消費者がどのような行動を起せば、より良い未来を掴めるのかを具体的に語ることが大切です。
このような流れで、熱狂的なファンの醸成が可能となります。
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ゴールデンサイクル理論でマーケティングを成功させるには
ゴールデンサークル理論は、マーケティングやブランディングに活かすことができます。
そのためには、この理論を正確に理解している必要があります。
やみくもに取り入れたとしても、効果が出なければ時間・費用の浪費となってしまうでしょう。
ゴールデンサークル理論導入の悩みは、マーケティングのプロに相談することができます。
プロのコンサルタントに相談することで、効果的に結果を出せるでしょう。
まとめ
この記事では、ゴールデンサークル理論の組み立て方やブランディングに一役買う理由、熱狂的なファンのつくり方などをご紹介しました。
ゴールデンサークル理論は人間の脳の作り、いわゆる本能に訴えかける考え方です。
そのため、消費者の心に響かせることができます。
しかし、間違った方法で取り入れて失敗してしまう可能性も否めません。
そのため、ゴールデンサークル理論の活用については、プロのコンサルタントのデジマクラスに是非ご相談ください。