海外進出を目指し、グローバルサイトの運営を視野に入れている企業は年々増えてきています。
グローバルサイトをうまく活用すると、全世界を対象に正しくコンテンツが伝えられるようになります。
他にも海外事業やローカルサイトの窓口となるなど企業にとってのメリットの大きさは計り知れません。
今回の記事ではそんなグローバルサイトに関する日本大手企業の事例をご紹介します。
グローバルサイトの役割やよくある課題・運営のポイントなども詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
グローバルサイトの定義
グローバルサイトとは「全世界に向けた情報発信用のサイト」のことを指します。
「全世界に向けた情報発信サイト」ならそれぞれの言語に翻訳するだけで良いだろうと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかしそれは大きな落とし穴です。なぜなら、ただ翻訳しただけではグローバルサイトと呼ぶことはできないからです。
グローバルサイトを運営する時は世界を1つのマーケットとして考えます。
国によって言語も生活習慣も国民性も大きく異なりますが、それらについてもよく調査してしかるべき対応をしなければなりません。
グローバルサイトの担当者は、複数の国を扱うことで生じるSEO対策やアクセス解析についての知識も兼ね備える必要があります。
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多言語サイトとの関係性
グローバルサイトと混同されがちなものに多言語サイトがあります。多言語サイトとは「特定の地域に向けて発信するサイト」です。
グローバルサイトが世界に向けて情報発信することを目的としているのに対して多言語サイトはローカル色が強めといえるでしょう。
多言語サイトと一口にいっても、その形式は様々です。日本語を各国の言語に翻訳したものだけではありません。
国や地域ごとに対象を絞り、生活習慣などから生まれる需要を理解した上で翻訳しているものもあります。
海外進出を目指しているからといって必ずしもグローバルサイトが必要かというと、実はそうではありません。
企業がどの程度の規模で海外進出を目指しているのかによっては、多言語サイトを作り情報発信した方が良いケースもあります。
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グローバルサイトの役割
グローバルサイトは世界を1つのマーケットとして捉え、運営していくWebサイトのことです。
グローバルサイトを立ち上げて運営していくことで企業のグローバル化は1歩前進し、知名度が上がることになるでしょう。
しかしグローバルサイトが果たす役割はそれだけではありません。
この項目ではグローバルサイトが果たす主な役割を3つピックアップしてそれぞれ詳しくご紹介します。
世界に向けたブランディング
グローバルサイトの役割、1つ目は世界に向けたブランディングをすることです。
日本国内だけに留まらず、全世界に向けて製品・企業理念・今後描くヴィジョンなどを伝えることが可能となります。
日本人だからこそ生まれた発想や気付きを、言語が異なってもブランド価値を保ったまま表現することができるでしょう。
世界は非常に広く、日本のことをよく知らないという外国人も少なくありません。
グローバルサイトを運営していくことが新たな事業の可能性や思いがけないビジネスチャンスの発見に繋がることもありえます。
海外事業のサポート
グローバルサイトの役割、2つ目は海外事業のサポートです。
すでに海外事業を展開している場合、現地の職員はグローバルサイトを通して自社の特色に関する共通認識を持つことができます。
海外拠点ではスタッフとして働く現地住民と赴任した日本人職員との間で意思疎通が進まないことも少なくありません。
グローバルサイトはそのような言葉の壁や文化の壁に起因する軋轢を緩和し、事業展開をスムーズにするという役割も担っています。
ローカルサイトへの窓口
グローバルサイトの役割、3つ目はローカルサイトへの窓口としての役割です。
これはアジアや欧州といったより大きな区分から特定の地域を対象とした多言語サイトへ誘導するということを意味しています。
こうしたグローバルサイトの立ち上げにあたっては、CMSを導入すると大きなメリットがあるでしょう。
WEBサイトの運営が簡潔になり、デザインを一貫することができるからです。
グローバルサイトから多言語サイトへ移動した時の、言語が変わることで生じる違和感やブランド価値の低下を低減できます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
グローバルサイトの事例
実際に海外進出を果たした日本の大手企業が展開しているグローバルサイトの事例を見てみましょう。
日本人以外への訴求にあたって、大手はブランド価値を変えないためにどのようなサイトを展開しているのでしょうか。
またどのような点に注意し、またどのような部分を積極的に変えているのでしょうか。
この項目では日本の大手企業6社のグローバルサイトに着目してそれぞれの特徴をご紹介します。
日産自動車
日産自動車株式会社はヨーロッパをはじめインドネシアやオセアニアなど世界各国で様々な事業を展開しています。
ある地域では高級車ブランドを展開し、別の地域では低価格ブランドに注力するなど、地域の特性に見合った事業展開をしています。
そんな日産自動車のグローバルサイトは事業の進捗やニュースの紹介に重きを置いたメディア型だといえるでしょう。
ページ上部のメニューバーにある「Regions」からは地域別に分けられた各国用のWebサイトを訪ねることが可能です。
当然ながら各ページはそれぞれの言語に対応しています。
三菱電機
三菱電機株式会社は技術移転を積極的に行い、ミラノやロンドンをはじめ20ほどの国や地域で鉄道プロジェクトを進めています。
三菱電機の高い技術力から生まれる製品は世界中で求められており、まさに日本を代表するグローバル企業といえるでしょう。
そんな三菱電機のグローバルサイトは、グローバルウェブサイト統合基盤を構築して管理レベルの均質化を図っています。
従来、グループ会社が各自でサーバーを用意して個別管理していたものを、集中管理に切り替えた形です。
これによってセキュリティー対策の質の向上やサイト運用の効率化を実現することができました。
スバル
株式会社スバルは車の販売の8割が海外市場で行われていますが、それらの車のほとんどは国内で製造されています。
北米をはじめ世界各国で技術力を高く評価されている、まさに日本を代表する自動車メーカーの1社です。
そんなスバルのグローバルサイトのトップページは極めてシンプルだといわなければなりません。
「SUBARU GLOBAL MEDIA SITE」の表記の下、日本向けと海外向けの選択肢が示されるだけです。
海外向けのページではスバルに関する様々な情報をニュースとして閲覧できます。
武田薬品
武田薬品工業はアイルランドの大手製薬会社を買収したことで従業員の約9割が外国人となりました。
「脱・日本」を掲げる武田薬品では仕事の進め方や社内の判断基準も外資系企業に近いものがあるといわれます。
そんな武田薬品のグローバルサイトはアルファベット順に並んだ各国の拠点のWebサイトへと飛ぶ仕組みになっています。
各サイトを尋ねてみると、統一されたデザインの下、拠点それぞれの情報を現地の言語で確認できるようになっていました。
このグローバルサイトを1つのデザインで統一するという手法は消費者に安心感を与えることに繋がるので非常に重要です。
キヤノン
キヤノン株式会社は日本の大手精密機器メーカーです。カメラのイメージが強い企業ですが、光学技術でも世界を牽引しています。
現在その売上げの70%以上は海外市場で、ヨーロッパ・アメリカ・アジアでの売上げバランスが整っていることが知られています。
そんなキヤノンのグローバルサイトを訪ねてみると、日本を含む8つの地域から選択して各国のサイトを選ぶ形式になっていました。
各国のホームページではそれぞれの言語で様々な製品の説明やニュースの閲覧をすることができます。
富士通
富士通株式会社はITサービス提供企業として売上高国内1位を誇る総合ITベンダー・総合エレクトロニクスメーカーです。
世界100カ国以上にビジネスを展開するグローバル企業として知られており、世界的に見ても認知度の高い企業といえるでしょう。
富士通のグローバルサイトを訪ねると、まずヨーロッパを中央に据えた大きな世界地図が表示されます。
日本を含む8つの地域のうち1つを選択すると、そこから更に国や地域を選択できるという仕様です。
各国のWebサイトにはデザイン的な統一感があり、国の違いによるサービスや商品力の低下といった悪いイメージを抱かせません。
グローバルサイトが重要視される理由
グローバルサイトが重要視されるのは、インターネットの普及によって市場が世界へと広がっていることが大きな要因の1つです。
日本国内では頭打ちでも、世界にはまだまだ未開拓の市場が存在する、挑戦する価値があると考えている企業は少なくありません。
事業を世界規模で展開する時、どうしても必要になるのが国民性や文化が異なる中でもブランド価値を保つ努力です。
グループのウェブサイトが細分化されていっても一貫した企業イメージを保つことが求められます。
そのための潤滑材の役割を果たすグローバルサイトの役割は今後もいっそう重要になることでしょう。
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グローバルサイトのよくある課題
いざグローバルサイトを作ってみても、運営が困難でなかなか上手くいかないという場合も多くあります。
その存在意義や重要視すべきポイントを踏まえて作ったはずなのに、問題が山積していて運用に支障をきたしてしまうのです。
実際に企業が抱える問題や悩みにはどのようなものがあるのでしょうか。
この項目ではグローバルサイトのよくある課題を2つピックアップしてご紹介します。
アクセス数が伸びない
グローバルサイトのよくある課題、1つ目はアクセス数が伸びないことです。
国内では大手として十分に認知されている企業も、世界ではまた新たに認知度を上げることから始めなければなりません。
そのためにはたとえば以下のような方法があります。
- 検索キーワードを選定し直す
- 国ごとの違いに柔軟に対応する
- ユーザーのアクセス状況を分析する
グローバルサイトの構築に特化した人材とともに、SEO対策を施しながら緻密にサイトを作り上げていきましょう。
現地法人との意思疎通が難しい
グローバルサイトのよくある課題、2つ目は現地法人との意思疎通が難しいことです。
将来的なヴィジョンやブランド価値などを正しく伝えるには現地法人との繋がりが非常に重要です。
グローバルサイトはネイティブが読んでも違和感がなく、それでいて企業についての情報が正しく伝わるものでなければなりません。
グローバルサイトを構築する前に必要なのは、国境を越えて活躍する力を持った人材の確保だといえます。
グローバルサイト運営のポイント
やっとの思いでグローバルサイトを作ってもそこで終わりではありません。そこはまだグローバル化のスタート地点です。
成功したグローバルサイトには運営側のどのような努力が隠されているのでしょうか。
今後どのように運営を進めていけばグローバル化の波に乗ることができるかを確認しましょう。
この項目ではグローバルサイト運営のポイントを2つ取り上げてご紹介します。
アンケートを実施する
グローバルサイト運営のポイント、1つ目はアンケートを実施することです。
たとえば販売台数が伸びないことに悩んでいたスバルは2007年にアンケートを実施しました。
そして海外での知名度のなさを受け止め、企業の色が変わらない範囲でどのようなアプローチができるか試行錯誤を繰り返しました。
認知度・ブランドイメージ・ニーズについての地道な情報収集と、それをサイトに反映させるPDCAが重要だといえるでしょう。
ガイドラインを作成する
グローバルサイト運営のポイント、2つ目はガイドラインを作成することです。
ガイドラインを作成することでガバナンスが強化され、現地法人との意思疎通もスムーズになって情報の誤発信なども防止できます。
また法人単位のローカルサイトがない場合もガイドラインがあれば効率よくサイトを作ることができるでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
グローバルサイトで世界に向けた情報発信を
グローバルサイトの有無は企業の海外進出の明暗を分けるといって良いくらい重要です。
ブランディングと海外事業のサポートが期待できるだけでなく、ローカルサイトへの窓口ともなってくれるからです。
ただしグローバルサイトの運営は国内向けの自社サイト運営よりもハードルが高く、なかなかすぐには上手くいきません。
可能であれば日本語と他言語をマルチに扱うことのできるネイティブスピーカーを味方に付けてWebサイトを構築しましょう。
グローバルサイトで成果を出したいなら
インターネットの普及によって国と国の距離は縮まり、世界を舞台にビジネスを展開する企業が年々増えつつあります。
今後デジタル化が進むにつれていっそうWebサイトの重要性は高まり、それに伴ってグローバルサイトの必要性も高まるでしょう。
しかしグローバルサイトには言語や文化の違いに起因する多くの問題がついて回るため、運営は一筋縄ではいきません。
上手く運営して事業の拡大に繋げていくためには専門的な知識と技術を持った人員の協力が不可欠となるでしょう。
もしもグローバルサイトで成果を出したい時は、ぜひデジマクラスのコンサルタントに相談してみてください。
インターネット関連の知識に精通したスタッフが親身になってお話をうかがい、適切なアドバイスをさせていただきます。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回の記事では日本の大手企業が展開するグローバルサイトの事例や運営のポイントなどを紹介しました。
グローバルサイトの運営には難しいものがありますが、上手く活用できれば新たなビジネスチャンスの基盤ともなりえます。
グローバル化の波に乗り遅れることなく、ぜひ素晴らしいグローバルサイトを構築・運営してください。
本稿がそのための一助となれば幸いです。