大量生産で多くの顧客に向けて大量販売が行われていた時代では、生産者主導のマーケティングが主流でした。
マスメディアの発達もあり、マス(大衆)へ向けてのマーケティングが一般的だったのです。
顧客・価値主導のマーケティングへと移り変わる今、マーケティングの基礎であるマスマーケティングについてもう一度考えてみませんか。
目次
マスマーケティングの概要
マスマーケティングのマス(mass)は一般大衆という意味で使われ、マスメディア・マスコミも大衆に向けるという意味を持ちます。
広く不特定多数へのマスマーケティングが盛んに行われていたのは、オイルショックに世界が直撃を受けた1970年代までといわれます。
マスマーケティングの主な媒体は次の4つです。
- テレビ
- ラジオ
- 新聞
- 雑誌
マスマーケティングはマスコミ4大媒体と呼ばれるこれら媒体を使い、すべての消費者に向けて行うマーケティング手法をいいます。
マスマーケティングのメリット
マスマーケティングは大量生産や大量販売に向く商品なら大幅なコストダウンが見込め、大きな利益が期待できるマーケティングなのです。
マスマーケティングのメリットは不特定多数の消費者に同じ消費をアピールできることにあります。もう少し詳しくお話しましょう。
大きな利益とシェアの確保を見込める
多くの消費者に商品をシェアすることで大きな利益が見込めるのがマスマーケティングのメリットです。
商品を大量に生産して、不特定多数の消費者に向けてマスメディアで発信し、それが大量販売に結び付けばコストダウンに繋がります。
様々な人々を対象とする場合には相性がいい
多種多様な人が目にするテレビや新聞などのマスメディアを媒体とする場合、誰にでも受け入れられやすいのもメリットです。
誰もが購入すると見込める商品なら、メディアを使って多くの人に商品のイメージを植え付け幅広い販売も可能となるでしょう。
潜在顧客へ広くアピールができる
もともとその商品を購入するつもりではなかった顧客にも、マスメディアを利用して広くアピールすることができるのです。
商品を幅広くさまざまな人にアピールできることがマスマーケティングの大きなメリットとなります。
マスマーケティングのデメリット
メリットは確かに多いマスマーケティングですが、現在のマーケティング手法としてはあまり有効的ではないなどデメリットもあるのです。
続いてマスマーケティングのデメリットについてお話ししていきましょう。
広告費用がかさむ
マスマーケティングのデメリットの1つに広告費用が挙げられます。
華やかなマスメディアでの広告は出演タレントをはじめ、演出家やデザイナーなど携わる人々にかかる費用は莫大です。
多くの人を魅了する広告を作るためには、尚更費用がかかると考えられます。
それだけ多額の費用のかかるマスマーケティング手法は、企業によっては大きな負担となるでしょう。
幅広い対象層を取れる商品に限られる
ターゲットを絞らず不特定多数の消費者を対象とするために、誰にでも取り入れられやすい商品でなければ向いていません。
比較的安価な、誰にでも試してみようと思ってもらえるものに限るということになります。
セグメントされた顧客には有効でない
幅広い対象層に向けて発信するため、特別な嗜好を持った人たちには受け入れられないことが多いです。
セグメント(特別な区分に分ける)された顧客ではなく、広く一般的に受け入れられる商品やサービスに限る点などがデメリットといえます。
効果検証ができない
マスマーケティングの場合、多くは一方的な発信となりがちです。
どのくらいの人がその広告を観て商品を購入したのかが明確に検証できないのは、やはりデメリットといわざるを得ません。
数か月経って売上がかなり上がると効果があったとする形のマーケティングです。結果が出るまで長い目で見る必要があるでしょう。
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マスマーケティングの事例
マスマーケティングで成功した事例について解説しましょう。
コーラといったらコカコーラというイメージを植え付けたコカ・コーラ社とファーストフードのマクドナルドを取り上げます。
コカ・コーラ
1923年にコカ・コーラ社に社長として就任したロバート・ウットラフ氏がコカ・コーラ1つでマスマーケティングを行ったことが原点です。
1960年代になると日本でもマスメディアを媒体として、コカ・コーラは消費者にインパクトを与え認知度を上げて今に至っています。
「いつでも・どこでも・だれにでも」のキャッチフレーズと赤い缶やラベルで、コーラといえばコカ・コーラという図式を確立したのです。
現在もマスマーケティングでのコカ・コーラはCM界になくてはならない存在となっています。
またコカ・コーラ社はセグメントマーケティングも導入しており、「コカ・コーラゼロ」などニーズに合わせた商品も発売しています。
大きなインパクトを与えたマスマーケティング手法はそのまま取り入れながら、時代に合わせたマーケティングも行っているのです。
マクドナルド
ファーストフードの代表として親しまれているマクドナルドも、ひと時マスマーケティングで大きく躍進した会社です。
マスメディアでのコマーシャルに巨額な費用をかけ、ハンバーガーはマクドナルドといわれるほど多くの人々に定着しました。
TVでマクドナルドのコマーシャルを観ない日は無く、手軽なマクドナルドのハンバーガーは瞬く間に消費者の心を掴んだのです。
広く知られるという意味では、マクドナルドもマスマーケティングで成功したといえるでしょう。
ただ、2011年のピーク以来下降をたどった経営は2015年には巨額な赤字を出すなど低迷に陥ります。
その低迷期を乗り切るために、マス広告のみに依存しない戦略の変換に打ち出しました。
マス広告とともに、顧客の声を重視するためにSNSなどを活用するというデジタルの力を大幅に増やしていったのです。
マクドナルドもまた時代に合わせたマーケティングを取り入れた経営戦略とサービスを展開しているのです。
マスマーケティングはもう古い?
マスマーケティング事例であるコカ・コーラ社やマクドナルド社が、マスマーケティングからの変換を行っているとお話ししました。
マスマーケティングはもう古いの?と思われる方も多いでしょう。
その背景にはマスメディアの代表であったTVや新聞の若者離れがありました。
インターネット時代になりパソコンやスマートフォンが主流となった現代、それは若者に限らないものへと変わってきたのです。
確かにマスマーケティングが媒体としてきたマスメディアの存在は、薄れてきているという感は否めません。
マーケティングに於いては、マスマーケティングに変わるさまざまなマーケティング手法が試されて成果を上げているのです。
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マスマーケティングの対義語として挙げられる概念
マスマーケティングに変わるマーケティング手法にはどのようなものがあるのか解説していきましょう。
マスマーケティングの対義語として挙げられるのは主に次のマーケティング手法となります。
- セグメントマーケティング
- ニッチマーケティング
- スモールマス市場
- ダイレクトマーケティング
それぞれの手法を詳しく解説していきましょう。
セグメントマーケティング
セグメントマーケティングとはマーケット全体をいくつかのグループに分けて、グループごとにマーケティングを行うことです。
市場を細分化してマーケティングを行うことは効果的で、時代にマッチしたマーケティングといえるのでしょう。
セグメントマーケティングで成功した事例にアサヒ飲料の缶コーヒー「ワンダモーニングショット」があります。
朝仕事の前に缶コーヒーを飲むという特定の人をセグメント化した結果、当時缶コーヒーのシェアに分け入ることに成功しました。
朝の時間帯に飲む缶コーヒーに焦点をあてて、そこに向けての商品開発・マーケティング施策を行うことで着実にシェアを伸ばしました。
ニッチマーケティング
ニッチとは隙間のことをいいます。ニッチマーケティングは隙間マーケティング…未介入の小さな市場へ向けてのマーケティングです。
セグメントの中でもより少数のニーズを狙ったのがニッチマーケティングといえるでしょう。
スモールマス市場
スモールマス市場とはマスマーケティングを一歩踏み込む、ニーズに合わせた小さな規模のマーケティングということです。
セグメントマーケティングやニッチマーケティングと同様のマーケティング手法です。
事例としては、大手日用品メーカーである花王のヘアケア商品が挙げられます。
スモールマスの考え方は、花王のマスに於ける顧客の平均購入単価が「800円」だったヘアケア商品の比率が下がったことに始まります。
反対に「1,000円」以上の比率が伸びたことで、多少価格が高くても自分らしい商品を使いたいと考える少数の顧客をターゲットにしたのです。
マスではないけれど、商品のファンを増やし市場での一定需要が期待できるというのがスモールマス市場の考え方です。
ダイレクトマーケティング
ダイレクトマーケティングとは直接顧客とのコミュニケーションを取り、商品を販売する手法です。代表的な方法を挙げましょう。
- ダイレクトメール
- ソーシャルメディア
- Webサイトのチャットツール
目的や商品により上記のような施策・方法で最適なものが選ばれています。
効果検証がし易いという点でも、ダイレクトマーケティングもまたマスマーケティングと反対の概念を持つマーケティングといえるのです。
マスマーケティングの対義語である概念を持つ、マーケティング手法についてお話ししました。
マーケティングもマスマーケティングに依存しない、さまざまな形に進化していることがお分かりいただけたことでしょう。
それではマスマーケティングはもう必要ないかというと、決してそうとはいいきれないのです。
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マスマーケティングも時には必要
インターネット社会に於いては、マスマーケティングは不要ではないかと考えがちですが、そうではありません。
マスメディアは確かに以前ほどではないとしても、まだまだTVを楽しんでいる人は多く、新聞や雑誌も同様です。
消費者の心に響くキャッチフレーズや、インパクトのある商品の広告を打ち出す大手企業もたくさんあります。
特に大量に商品を生産し多くの消費者に利用してもらいたい企業にとっては、マスマーケティングはなくてはならない戦略です。
さまざまなマーケティングの特徴を知り、自社の商品やサービスに最も合ったマーケティングを選ぶことが大切なのです。
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マスマーケティングの注意点
マスマーケティングのデメリットについてはすでに解説していますが、マスマーケティングに於ける注意点について解説します。
注意点はデメリットをデメリットとしないために、どのようなことに注意すべきかということでお話ししていきたいと思います。
取り上げたいのはデメリットの中のセグメントされた顧客には有効でないことと、効果検証ができないという点についてです。
セグメントされた顧客にも有効になるように、商品に合わせるマーケティングを行うように分けた戦略を立てることも必要です。
1つの戦略だけで満足するのではなく、目的に合わせて注意深くマーケティング戦略を立てることが大切なのです。
効果検証ができないというのはマスマーケティングが不特定多数の消費者に向けられていることが原因です。
マスマーケティングの良さは残して、その効果を検証できるようにデジタルマーケティングを取り入れるなどが必要となるでしょう。
マスマーケティングは長くマーケティングを牽引してきた施策で、マーケティングの基礎ともいえるものです。
だからといって、マスマーケティングに依存するだけでは時代にマッチした戦略を立てることはできません。
注意すべき点はあらゆるマーケティングの特性を知った上で、自社の商品に合ったマーケティングを選ぶことではないでしょうか。
目的にあったマーケティング戦略で成功するなら
マスマーケティングをはじめとする、マーケティング戦略についてお話ししました。
目的や商品に合わせて最適なマーケティングを行うことが、マーケティング戦略を成功させる上では最も大切なのです。
マーケティング戦略で困ったことや迷うことがあれば、デジマクラスに相談してください。
マーケティング戦略に強いデジマクラスが、問題解決の糸口を見つけてくれることでしょう。
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まとめ
マスマーケティングとは大量生産・大量販売を目的とした企業主体のマーケティングです。
マスメディアを媒体とし、特定の消費者ではなく幅広い消費者に向けて発信し、商品を知ってもらう戦略です。
マスメディアが少しずつ衰退していき、今ではマスマーケティングに対してセグメントマーケティングが主流になりつつあります。
目的や商品によって最適なマーケティング戦略を行うことが大切になっているのです。
マスマーケティングの良い点は残しながら、マーケティング戦略を立てることも必要です。
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