リファラルとは紹介や推薦を意味する「referral」から来ている言葉です。
デジタル広告の世界ではコミュニケーションを踏まえたマーケティング手法として注目されています。
インターネットやSNSの普及が大きな影響を与えていることに起因しています。
ネットでユーザー同士が商品を紹介するケースが増えているのです。
今回はリファラルマーケティングがなぜ注目されているのか成功事例を紹介しながら解説します。
目次
リファラルマーケティングって何
リファラルマーケティングとは、口コミや知人の紹介で商品を購入したり、会員登録したり資料請求したりすることをいいます。
企業もこうした動きを非常に注視しており、マーケティング手法としても確立された手法になっているのです。
リファラルマーケティングを詳しく見ていきます。
紹介
リファラルマーケティングといえば友達紹介が典型的なモデルです。
既存顧客から友達・家族などに商品やサービスを紹介してもらい、その後購入に至れば紹介者に特典が付与される仕組みです。
企業にとってコストがかからず成功報酬型なのでリスクがなく、費用対効果が高いといえるでしょう。
ポイントとなるのは以下の点です。
- 目標設定
- インセンティブ設定
- 運営方法
友達紹介の主な目的は新規顧客や潜在顧客の獲得がほとんどです。
その他に、顧客獲得単価をどうするのかも決めておきましょう。
次に紹介してくれる顧客と紹介されたユーザー双方にインセンティブを付与しなければなりません。
主にはポイント・割引・商品券・無料商品の贈呈などがあげられます。
運営方法ですが基本は自社で実施する一般的ですが、紹介キャンペーンを支援する会社も増えています。
運営方法が分からない時はコンサルティング会社にアドバイスをもらいながら進めていく方法もおすすめです。
口コミ
リファラルマーケティングでは口コミが最大のポイントになります。
リファラルが広がったのもユーザーの口コミがきっかけだったからです。
企業は商品やサービスのプロモーションでメリットは強調しますが、デメリットについては語りません。
しかし、ユーザーの口コミは企業のバイアスがかからない分、利用した正直な感想です。
使い心地で気に入らなければ口コミに書くことで他のユーザーにも商品の特徴や使用感が伝わります。
メリットだけでなくデメリットを発信する口コミは信頼性が高いといえるでしょう。
今や消費者は企業の言葉より商品を実際に試したユーザーの言葉を信頼しているのです。
実際に商品を購入する際に口コミを参考にする人は7割にのぼるデータもあります。
デメリットを強調し過ぎるのも敬遠されますが、メリットづくしも不信感が湧くだけです。
そして、企業にとって口コミは今後のビジネス戦略で「気づき」にもなります。
理由はユーザーからさまざまな情報をもらい商品開発やサービスに活かすことができるからです。
海外
リファラルマーケティングは海外で始まったものです。
特にアメリカは「個」を尊重する国民性のため、個人の主張がたとえ批判的なものであっても尊重されるのです。
アメリカでは口コミがX(旧Twitter)・FacebookなどSNSを通じて積極的に配信されています。
そのため早くからリファラルマーケティングが活発に行われてきたのです。
一方、日本は多数派の意見が尊重される傾向があります。
しかし、ようやく日本でも個人が情報発信しやすい環境ができて、リファラルマーケティングが注目されています。
なぜ今リファラルマーケティング?
口コミは以前からありましたが、SNSが普及し口コミの拡散は非常に早く、一瞬で大勢の人の目に触れます。
ユーザーはそれを見て商品やサービスの善し悪しを判断して購入に至るのです。
企業が多額の広告費をかけてマスメディアに配信するよりもはるかに効果が高いといえます。
このようにリファラルマーケティングなしではビジネスは成り立たないといっても過言ではありません。
従来の広告費はどんどん高騰していて、インターネットが普及する中で、企業にとって広告費はかなり大きな負担です。
リファラルマーケティングならリスクもコストも最小限に抑えられるため多くの企業が採用しています。
マーケティング戦略の事例はこちら
リファラルマーケティングの指標
リファラルマーケティングを行う上で必要な指標をいくつか紹介します。
- LTV(顧客生涯価値)
- CAC(顧客獲得コスト)
- CRR(顧客定着率)
- NPS(ネットプロモータースコア)
- Churn Rate(解約率)
「LTV」は顧客生涯価値といい、「Customer Life Time Vale」の略です。
リファラルを通じて獲得した1人のユーザーがもたらす収益を算出した指標です。
契約期間中どれくらいの頻度でコンバージョン(成約率)したか把握できます。
「CAC」は「Customer Acquisition Cost」の略で、日本語では「顧客獲得コスト」といいます。
リファラルキャンペーンの最重要指標であり、この値からユーザー1人の獲得に必要な金額が算出できるのです。
このコストにはリード(見込み客)やロイヤルユーザーになってもらうためのコストが含まれています。
「CRR」は「Customer Retention Rate」の略で、日本語では「顧客定着率」になります。
リファラルで紹介されたユーザーがどれくらいの期間利用してくれているかを示す指標です。
「NPS」は「Net Promoter Score」の略で、顧客ロイヤリティや継続利用の意志の強さを表します。
リファラルではキャンペーンの効果を検証したい時に利用されます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
メリット
リファラルマーケティングは多くに企業で採用されている手法です。
リファラルマーケティングのメリットについて見ていきましょう。
信頼性が高い
なんといってもリファラルマーケティング最大のメリットは信頼性が高いことでしょう。
消費者の紹介者に対する信頼度は高いといえます。
しかし、残念ながら企業が発信する情報や広告はあまり信頼性が高いとはいえません。
消費者が企業広告に関心を示さないのはデメリットを教えてくれないからです。
消費者が求めるのは情報量の多さではなく、信頼度の高い情報です。
商品購入後にこの商品を本当に買って良かったのか不安になることはないでしょうか。
こうした心理状態を認知的不協和といいます。
リファラルマーケティングには認知的不協和を解消することができるのです。
それがSNSの口コミです。
実際に使用したユーザーのリアルな声は認知的不協和を打ち消してくれます。
こうしたユーザーたちの声に消費者は勇気付けられ信頼度が増すのです。
複数人紹介される可能性
友達や家族などを紹介した人は、複数の人を紹介する傾向があります。
ある調査によると既存顧客の約30%の人は紹介を常時行っていて、さらに70%は2人以上紹介するそうです。
このように1人紹介した人は続いて複数の人を紹介します。
つまり1人の顧客から複数の購買機会が生まれることになるのです。
リファラルマーケティングの信頼度の高さがここに伺えるのです。
こうしたことからも企業はリファラルマーケティングを無視できません。
その後の購入率
次に紹介された人の行動について見ていきます。
紹介された人はその後約60%の人が紹介された商品やサービスを購入します。
これはかなり高い確率といえるでしょう。
それだけ紹介してくれた商品やサービスを信頼していることになります。
コストが低い
リファラルマーケティングはそのほとんどが成功報酬型になります。
従来の広告はユーザーが商品を購入しなくても広告費は発生していました。
しかし、リファラルマーケティングは顧客の獲得時点でインセンティブコストが発生するだけでリスクもコストも限定されます。
デメリット
ここではリファラルマーケティングのデメリットについて解説します。
- 既存顧客への情報不足で機会損失
- 特典が分かりにくい
- 口コミはコントロールできない
既存顧客に友達紹介をすれば特典が付くメリットがしっかり伝わっていないと、新規顧客の獲得の機会を逃す恐れがあります。
また、せっかく特典情報を提供しても、仕組みが分かりにくければ紹介するのが面倒だと思われる可能性があります。
特典は魅力があるものを選び、獲得方法も簡潔で分かりやすくしましょう。
瞬時に広がる口コミですが、企業側が発信した情報が本来の意味と異なる捉えられ方をしてマイナスイメージが広がるリスクがあります。
例えば、2012年に日本マクドナルド株式会社がX(旧Twitter)で行った「#McDStories」キャンペーンがありました。
顧客とのコミュニケーションを取るために、「マクドナルドにまつわるストーリー」という触れ込みで始まったものです。
しかし、集まったものはクレームばかりで意図したものと全く違っていました。
原因はテーマが漠然としていて説明不足だったからです。
しかし、集まった口コミを削除すれば企業にとってネガティブな情報を隠ぺいしたと叩かれかねません。
このように企業は集められた口コミをコントロールできないのです。
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手法・順序
リファラルマーケティングを始めるに当たり手順について解説します。
商品の選定と魅力のポイント
まず対象商品を利用している顧客に使ってみた感想や商品の魅力についてリサーチしましょう。
特に友達紹介したいと思うかという点がポイントになります。
おすすめとしてアンケート形式がいいでしょう。
既存顧客が商品に対してどのようなイメージを持っているか知るチャンスでもあります。
またアンケートを通して課題を見つけることもあるでしょう。
課題を解決して商品やサービスの魅力をアピールして訴求効果が高い広告を発信しましょう。
そうすればユーザーによる拡散が期待できます。
ファンが喜ぶグッズ
街中でパソコンを使っている人を見ると、たまにステッカーを貼っているのを知りませんか。
それらはファングッズの一部で持っていることを誇示したい人には堪らないものなのです。
リファラルマーケティングでは、このようなファンを高揚させるキャンペーンやグッズが魅力になります。
企業は常にファンを喜ばせるイベントを企画することで継続的な収益が期待できるのです。
紹介しやすいキャンペーン
既存ユーザーは貴重な広告塔的な役割を果たしてくれます。
キャンペーンに招待する時は煩雑な仕組みではなく、ハッシュタグやリツイートするだけで参加できるようにします。
キャンペーン開催告知はできるだけ分かりやすい所に表示しましょう。
そうすれば多くの新規ユーザーを呼び込んでくれます。
紹介者への報酬
リファラルマーケティングでは紹介者と紹介された人に対して報酬を付与するのが一般的です。
サイト内の商品が購入できるクーポン券や商品を無料で贈呈するのが多いでしょう。
変ったところでは、Dropboxの友達紹介キャンペーンで紹介された新規ユーザーに対して250MBを贈呈するものがあります。
容量が足りないで困っている人にはお得な情報だったといえるでしょう。
報酬について事前にユーザーのニーズをリサーチし、もらって嬉しい報酬を設定することが重要になります。
口コミを呼びかける
リファラルマーケティングで友達を紹介してくれた顧客には、時間をおいて再度キャンペーン情報を配信するのも効果的です。
一度リファラルマーケティングを経験しているので誘導しやすいでしょう。
さらに追加で友達を紹介してくれた顧客には、1回目より魅力的な特典を用意してください。
そうすることで企業は既存顧客との継続的な信頼関係を構築できるのです。
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注意点
リファラルマーケティングでは、プロモーションが的外れの場合情報拡散はおろか、批判が殺到することもあり得ます。
企業はリファラルマーケティングを始める前に徹底的にユーザーにリサーチをしてください。
そして、友達に紹介したいと思えるポイントは何か検証しましょう。
既存顧客が友達に紹介して喜ばれたと思えるようなプロモーションを用意することが欠かせません。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
事例
リファラルマーケティングを成功させて売上を伸ばし、顧客満足度も向上した企業はいくつもあります。
ここではリファラルマーケティングの成功例について紹介していきます。
スターバックスコーヒー
リファラルマーケティングの成功例としてまずスターバックスコーヒーを紹介します。
「Send Your Thanksキャンペーン」で、抽選でドリンク引換券が当たるキャンペーンです。
コンビニで販売しているスターバックス商品の写真をSNSにアップするだけの実に簡単なキャンペーンです。
Instagramにアップするとおしゃれでかなり人気があります。
スターバックスコーヒーのドリンクを日頃から飲んでいる人にはまたとないチャンスです。
このように顧客のニーズを把握し、多くの人に伝えることがどれだけ喜びになるか理解することが成功のカギです。
Uber
街中で見かけるUberはまたたくまに日本でも利用者が増えたサービスです。
Uberとは、自動車を所有している人が空いた時間や都合のいい時間を利用し、他人を乗車させるサービスになります。
Uberの初対面の人の車に載せるシステムは画期的な発想です。
多少の不安と緊張感はありますが、Uberではドライバーと乗車した人双方で評価し合うサービスを導入しました。
また、お互いを友達に紹介することも可能です。
実際に紹介された人が利用すれば報酬がもらえる仕組みも導入しました。
こうして日本市場で瞬く間に利用されるようになったのです。
リファラルマーケティングで悩んだら
リファラルマーケティングは低コストで利用できる画期的なマーケティングです。
これまでのマーケティングでは企業が対価を払い宣伝をしていました。
リファラルマーケティングはユーザー間のコミュニケーションを活用するため、コストがかかりません。
影響力のあるインフルエンサーを起用すればコストがかかりますが、従来のコストに比べれば低いです。
リファラルマーケティングは既存顧客が新規ユーザーを見つけて紹介してくれるため、信頼関係で繋がっています。
そのため紹介されたユーザーは高い確率でコンバージョンします。
ただ、リファラルマーケティングの運用を始めようとすると負担を感じることもあるかもしれません。
魅力的な特典が思いつかないとか悩みを抱えている人もいるでしょう。
リファラルマーケティングで悩んだらデジマクラスにご相談ください。
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まとめ
リファラルマーケティングは今後大きな効果が期待できる魅力的なマーケティング手法です。
リファラルマーケティングと従来の広告との違いを理解し、この機会に是非始めてみませんか。
何か不明や不安なところはデジマクラスがしっかりサポートします。