企業と消費者が双方向性のあるコミュニケーションを取るマーケティングをインタラクティブマーケティングといいます。
サービスを向上させ顧客の満足度を高めるために相互作用で生まれるインタラクティブマーケティングは欠かせません。
満足した顧客は口コミを拡散して、リピーターになり企業のファンになってくれます。
今回はインタラクティブマーケティングの事例を紹介しながら、その魅力や手法について解説します。
目次
インタラクティブマーケティングの意味
インタラクティブマーケティングは企業と消費者が双方向の情報交換や体験を通じて行うマーケティングです。
商品やサービスの差別化が難しくなっている時代で体験を通じた情報発信は重要になっています。
具体的に見ていきましょう。
企業と顧客の双方向のやり取り
従来のマーケティングでは情報は一方向性であり、発信する側と受け取る側に分かれていました。
インタラクティブマーケティングでは双方向性を重視し、企業は顧客満足度を向上することを目指します。
企業は情報を発信して消費者の反応を見ながら次の一手を考えます。
双方向あるいは対話形式といわれるのはそのためです。
双方向・対話形式というとSNSを連想しますが、SNSもインタラクティブマーケティングの1つです。
顧客が理解しているものを企業が察知し、それを顧客に応えることが永続的なエンゲージメントにとって重要になります。
従業員と顧客という意味で使われる場合もある
インタラクティブマーケティングは企業と顧客だけでなく、従業員と顧客の間でも成立します。
顧客からの電話やメールの問い合わせ・郵便物のやりとり・窓口・訪問などが接点です。
従業員と顧客の接点は幅広く、顧客の企業に対するイメージはここで決まるといえます。
相互作用であるインタラクティブマーケティングは状況に応じて臨機応変の対応が必要です。
また、従業員は企業の目標を正しく理解して、商品やサービスを顧客に提供することが求められます。
企業側は従業員に対してそうした教育や動機付けを施す必要があります。
主体別のマーケティング活動
サービス業に代表されるマーケティングには3つ種類があります。
- 企業から従業員に向けて行うインターナルマーケティング
- 企業から顧客に向けて行うエクスターナルマーケティング
- 企業と顧客間のインタラクティブマーケティング
ここではエクスターナルマーケティングとインターナルマーケティングについて解説します。
エクスターナルマーケティング:企業対顧客
企業対顧客のマーケティングであるエクスターナルマーケティングは主に4つの要素(4P)に対応します。
これらは一方向性のサービスになります。
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(チャネル)
- Promotion(プロモーション)
特にエクスターナルマーケティングには需給調整という働きもあります。
リソースの関係で一度に多くの顧客に対応ができないサービス業の場合、顧客の来店を調整することがあります。
例えば曜日によって割引するなど特典を付けることで顧客の来店を分散させるのです。
こうした需給調整は非常に効率的で顧客からも歓迎されるサービスでもあります。
従来はエクスターナルマーケティングさえしっかり実践していれば問題はありませんでした。
しかし、顧客が求めるサービスの多様化や市場の変化に追いつかなくなってきたのです。
そこでインターナルマーケティングが登場しました。
インターナルマーケティング:企業対従業員
インターナルマーケティングとは従業員の満足度を高める施策です。
顧客満足度や企業業績を向上させるためには何よりも企業で働く従業員の満足度を高める必要があります。
彼らは企業の窓口となり直接商品やサービスを顧客に提供しているからです。
インターナルマーケティングのポイントは次のようなものがあります。
- 優秀なスタッフを配属する
- スタッフに顧客にサービスを提供する目的と意味を享受する
- 技術や知識を習得させる
- チームプレーを重視させる
- 成績に見合った報酬を提供する
企業対従業員の構図には信頼関係が大きな影響を与えます。
そのためには企業は従業員のやる気を鼓舞するために、事あるごとに顧客からの喜びの声を共有します。
また、従業員を正当に評価することも忘れてはいけません。
従業員のモチベーションを高め、能力向上を支援することも企業としては大切です。
従業員の満足度が高まれば顧客満足度も企業業績も高まるので疎かにはできないのです。
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インタラクティブマーケティングが普及した背景
インタラクティブマーケティングが普及した背景について考えてみましょう。
最も大きな理由はインターネットの普及です。
詳しく見ていきます。
インターネットの普及
インタラクティブマーケティングがここまで活用される理由は社会の構造変化があります。
その最たるものがインターネットの普及です。
マスメディア中心だった情報発信がインターネットを利用すれば一瞬のうちの世界を駆け巡るのです。
大量の情報が溢れる中で企業の一方的な情報の価値は低下して行きました。
企業はただ情報を発信するだけではなく、顧客の体験を通した宣伝が求められるようになったのです。
そして、顧客をターゲティングして関心度に応じたアプローチがより重要になりました。
SNS利用の一般化
SNSが普及するまではインターネットにおいて、商品やサービスに関する情報は企業が発信するのが一般的でした。
しかし、SNSが普及すると様子が一変しました。
ユーザーが自分たちの意見をどんどん拡散するようになったのです。
商品やサービスの善し悪しを消費者目線で発信するため、多くの消費者が注目したのです。
企業の広告には興味をあまり示さず、SNSの情報に消費者の関心は向かいました。
こうして企業の立ち位置が大きく変わっていったのです。
企業もSNSの情報を無視できなくなっていきました。
口コミやアンケートなどの消費者の声を収集し分析して、商品開発や改善に活かすことが企業の成長と収益向上に欠かせなくなったのです。
投資対効果追求の浸透
インタラクティブマーケティングの発展には費用対効果を追求する考え方が浸透したことも重要なポイントです。
費用対効果はマスメディアでは把握しにくかったのです。
しかし、インターネットを使ったインタラクティブマーケティングでは確度の高い予想ができるようになりました。
どのような施策をすれば、どれくらいの効果が出るか把握ができるようになり無駄の少ないマーケティングが可能になったのです。
消費者の声を理解し、ターゲットを決めたマーケティングをすれば費用対効果が高いビジネス戦略が描けるようになります。
インタラクティブマーケティングは企業に大きな発展を促したといえるでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
インタラクティブマーケティングの事例
企業が一方的に情報を発信する時代は終わりました。
顧客側からの反応を引き出し、双方向にコミュニケーションを図るインタラクティブマーケティングが広く企業でも採用されています。
ここでは実際にインタラクティブマーケティングを活用して成功した企業を見ていきます。
検索サービスを中核とする「Google」はGoogleアナリティクスなど無料ツールを提供する企業としても有名です。
Googleには他のサイトにあるようなニュースやサービスがトップページにありません。
それはユーザーの知りたい必要な情報を提供するというコンセプトからなのです。
ユーザーの行動やサイトの内容でランク付けするシステムを導入し、さまざまな機能を持たせました。
これにより企業とユーザーの接点を生み出し、ユーザーが求める情報をピンポイントで提供することに成功したのです。
ロレアル
世界で有名な化粧品メーカー「ロレアル」は消費者の疑問に答えるインタラクティブマーケティングを実施しています。
美しいモデルを起用している化粧品広告を見て、どうやればあのように綺麗にメイクできるのか、そんな素朴な疑問に答えたのです。
ロレアルが提供する「Makeup.com」というサイトでは美容に役立つ情報が満載です。
具体的にはメイクに関するアドバイスやハウツービデオ、さらには最新美容ニュースなど消費者の関心が高い情報が入手できます。
面白いのは自社の商品だけでなく、競合他社でも客観的にいいと判断される商品も推奨している点です。
このことに顧客の評価は高くなりブランド価値もアップし成功した企業となったのです。
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インタラクティブマーケティングの目的
顧客が望むものや必要とするものを理解し、企業がそれに応えるのがインタラクティブマーケティングの概念です。
商品に最も関心を持つターゲットオーディエンスとのオープンで完全なコミュニケーションを促進する戦略です。
インタラクティブマーケティングを活用すれば顧客ロイヤリティが高まり、企業のビジネスに安定的な収益をもたらします。
インタラクティブマーケティングが採用される目的はそこにあるといえるでしょう。
インタラクティブマーケティングの手法
インタラクティブマーケティングの手法ですが、例えばWebを活用して顧客の反応を見る方法があります。
また、オーソドックスですが直接訪問して改善点を見つけ出す双方向のコミュニケーションを図る方法もあるのです。
何気ない会話に顧客が漏らす一言、例えば「おたくの商品、ここを改善すれば便利なんだけど」といった声が重要になります。
こうした声を1つ1つ拾い集めて自社の改善に活かすことがインタラクティブマーケティングには必要なのです。
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インタラクティブマーケティング成功のポイント
インタラクティブマーケティングを成功させるためのポイントについて解説します。
人同士の相互作用をトータル的に評価
インタラクティブマーケティングでは顧客との対話を重視して戦略を立てます。
お互いの意見や主張を相手にきちんと伝え、受け止めることで相互作用が生まれます。
インターネットの普及で双方向のコミュニケーションが活発になったことが要因です。
顧客は商品やサービスだけではなく、サービスに関わる従業員や雰囲気などさまざまなものをトータル的に評価します。
まさにサービスは人と人との相互作用で生まれるのです。
サービス前後の対応も意識する
インタラクティブマーケティングには顧客によるトータル的な評価を高めることが目標です。
しかし、サービスそのものだけでなくそのサービス前後も大切といえます。
例えば、問い合わせやメールなどのやりとり、来店前後のフォローなどです。
サービスだけにフォーカスするのではなく、こうした対応にも気を配ることが欠かせません。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
インタラクティブコンテンツの登場
インタラクティブコンテンツとは企業が顧客と双方向にやり取りするコンテンツを指します。
顧客が質問に答えるコンテンツや、クリックによって展開する動画や広告がまさにインタラクティブコンテンツです。
具体的に見ていきましょう。
インタラクティブコンテンツの特徴
インタラクティブコンテンツを制作する際のポイントは、いかに顧客の滞在時間を長くするかです。
そのため、コンテンツには多くの楽しい要素を入れる必要があります。
クイズ形式やアンケート形式でサイトを訪れたユーザーを楽しませる内容にするのが一般的です。
活用事例
インタラクティブコンテンツの活用事例に雑誌「ナショナルジオグラフィック」があげられます。
雑誌としての完成度だけでなく、Webサイトでも質の高さが評判です。
コンテンツはインタラクティブ性があり、ユーザーが見たい部分を自由に選択できる仕組みです。
解説も分かりやすく、特に自由にスクロールやクリックができてレリーフを閲覧できる点は魅力的といえるでしょう。
インタラクティブコンテンツではユーザーが自由に楽しくコンテンツを利用できることが重要になります。
インタラクティブマーケティングで悩んだら
企業と顧客の双方向のコミュニケーションによるインタラクティブマーケティングについて解説しました。
インタラクティブマーケティングは単独で行われるものではありません。
エクスターナルマーケティングやインターナルマーケティングと作用しながら行われています。
一方向ではもう消費者の心には響かない時代になってきています。
また、商品やサービスの差別化が従来に比べて難しくなっているのです。
そのためにインタラクティブマーケティングはますます重要になるでしょう。
インタラクティブマーケティングを始めるに何から手をつけたらいいのか悩んでいる方は是非デジマクラスにご相談ください。
マーケティング戦略を知り尽くしたコンサルタントが戦略の構築や施策実行、そして経過検証を行います。
まとめ
顧客満足度を高めるのが企業の目標であり、その接点をコミュニケーションに求めるのがインタラクティブマーケティングです。
しかし、インタラクティブマーケティングは顧客・企業・従業員それぞれが絡み合って相互作用しながら成功する手法でもあります。
効果的なマーケティングは今や一方的な情報提供ではなく相互に、さらにSNSを通じて消費者間同士へと広がりを見せています。
今回紹介したインタラクティブマーケティングに興味があれば是非導入を検討してみてください。