顧客の満足度を向上させたいと思っている企業は多いことでしょう。
そう感じている企業には、オムニチャネルというマーケティング戦略をおすすめします。
オムニチャネルとは、顧客と接点がある全てのチャネルを連携して、顧客満足度を向上させることです。
今回は、オムニチャネルの成功事例を解説していくので、企業の戦略の参考にしてください。
目次
オムニチャネルの成功事例を解説
顧客との接点として挙げられるのは、店舗での接客だけではありません。
SNS・カタログ・広告など、顧客と接点を保つことができるチャネルは年々増えています。
そこで重要となるのが、オムニチャネルを使った販売戦略です。
これからご紹介する成功事例を見て、企業にぴったりの戦略を選んでみてください。
オムニチャネルの成功事例①:無印良品
オムニチャネルの成功事例1つ目は、無印良品です。
無印良品は生活雑貨・衣服・食品など、幅広い品揃えがあることで人気があります。
株式会社良品計画が運営している店舗で、シンプルで素朴なデザインが特徴です。
無印良品は独自のアプリを制作し、オムニチャネルを成功させました。
スマホ向けアプリ「MUJI passport」を導入
無印良品は、スマホ向けアプリサービス「MUJI passport」を導入したことで、オムニチャネルを成功させました。
このアプリを利用すれば、店舗と在庫を検索することができます。
店舗に行かなくても在庫を確認できるため、ユーザーは無駄に足を運ぶ必要がなくなりました。
せっかく店舗に訪れてもらったとしても、欲しい商品の在庫がなければ顧客にとってはストレスになります。
在庫に関するストレスを減らすことで、顧客満足度の向上につながることでしょう。
ポイントプログラムの導入
MUJI passportでは、マイルというポイントプログラムを導入しています。マイルの貯め方も手軽です。
会計をする際に、アプリに表示されるバーコードを読み込むだけでした。
ポイントカード等を持参する必要はなく、スマホを持っているだけでマイルを貯めることができます。
誕生日月にはボーナスが付与されるなど、会員になることでのメリットもありました。
オムニチャネルの成功事例②:イオン
オムニチャネルの成功事例2つ目は、イオンです。
イオンは世界にも展開している小売業で、日本では業界1位の売上を誇っています。
千葉県千葉市に本社を置き、環境活動や非正規の従業員を多く起用していることでも有名な企業です。
イオンは2018年から、オムニチャネルを使ったマーケティングに力を入れました。
「イオンドットコム」の導入
オムニチャネルとして導入したのが、ECサイト「イオンドットコム」です。
イオンドットコムを利用すれば、店舗に行かなくても商品を買うことができます。
イオンドットコムを利用するためには、イオンスクエアメンバーに登録しなければなりません。
これまでは店舗を利用する人しか、メンバーに登録をしていませんでした。
しかし、ネット上でも買い物をすることが可能になったことで、商圏外のユーザーも取り込むことに成功しました。
リアルとネットのポイント一元化
イオンのポイントといえば、WAONポイントが思い浮かぶのではないでしょうか?
実はイオンドットコムを利用すれば、ネット上でもWAONポイントが貯められるようになります。
ネット上で貯められるのはネット用のポイントのため、リアルで利用するためには交換が必要です。
そのままポイントを利用できないというのは不便に感じる人もいるかもしれません。
ただ、ポイントが一元化できるということで、リアルでもネットでもイオンを利用したくなる人も多いでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
オムニチャネルの成功事例③:資生堂
オムニチャネルの成功事例3つ目は、資生堂です。国内シェアは第1位、世界シェアでも第5位を誇っています。
常に美を追求している企業で、世界でも勝てる日本発のブランドを目指している企業です。
化粧品の販売会社として有名な資生堂は、時間や場所を問わずに肌をチェックできる環境を作りました。
ネット上でのセルフチェック
資生堂がオムニチャネルとして導入したのは「watashi+」というサービスです。
こちらを使用すれば、ネット上で自分の肌をセルフチェックすることができます。
肌の状態を知ることができるだけではなく、一人ひとりに合わせた化粧のアドバイスや商品購入が可能となりました。
店舗に行くことはハードルが高く感じてしまいますが、ネット上でのチェックであれば簡単に行うことができます。
watashi+を導入したことで、会員登録者数を大幅に増やすことに成功しました。
実店舗でのコンサルティングに繋げる
ネット上で肌の状態がわかったとしても、さらに詳細に相談したいと思う人もいるでしょう。
資生堂はそのような顧客のニーズも見越して、ビューティーコンサルタントに相談できる環境を整えました。
ネット上で完結したいというニーズと店舗で相談したいというニーズの両方を叶えています。
オムニチャネルの成功事例④:ABC-MART
オムニチャネルの成功事例4つ目は、ABC-MARTです。
「世界共通の品質を世界共通の価格で」を創業以来、企業理念として掲げています。
ABC-MARTは年々店舗数も拡大しており、世界中で認知度が高いシューズショップです。
ABC-MARTは、靴のサイズが合わないという問題を解決するため、オムニチャネルを活用しました。
店舗受け取りサービスの導入
ABC-MARTがオムニチャネルとして導入したのは、店舗受け取りサービスです。
このサービスが導入されるまでは、店舗購入かネット通販の二択でした。
しかし、店舗購入だと自分のサイズが在庫不足の可能性があります。
ネット通販では試着ができないため、サイズが合わないかもしれません。
そこでECサイトでチェックした商品を店舗で試着してから購入できるというサービスを展開しました。
これにより、店舗購入とネット通販のデメリットを解消することができます。
自分が欲しい商品を失敗なく購入することができるので、店舗受け取りサービスを利用する人は大勢いました。
「iChock」サービスで機会損失を減らす
iChockとは、iPadを使ったサービスです。通販の仕組みを利用し、2012年より導入されました。
iChockサービスでは、店舗に訪れた人の機会損失を減らすことができます。
店舗に靴を買いに行ったとき、自分に合うサイズがなければ購入を諦めてしまうでしょう。
そこで、ABC-MARTでは、顧客に合うサイズの在庫を確認し、送料無料で自宅に配送するサービスを作りました。
これがiChockです。倉庫から直接配送するため、在庫管理の面でもメリットがあります。
オムニチャネルの成功事例⑤:セブン&アイ・ホールディングス
オムニチャネルの成功事例5つ目は、セブン&アイ・ホールディングスです。
セブン&アイホールディングスはセブンイレブンをはじめ、スーパーや百貨店を運営しています。
セブン&アイホールディングスでは、欲しい商品を全国のセブンイレブンで受け取れるサービスを確立しました。
「Omni7」の導入
セブン&アイ・ホールディングスが導入したのは「Omni7」です。
ネットと店舗を連携させ、時間や場所に囚われず、買い物ができるような環境を作り出しました。
店舗受け取りであれば、送料や手数料は一切かかりません。
セブンイレブンの店舗は日本全国にあるので、受け取りに行くのにも手間はかからないでしょう。
そして、ネット通販は日中仕事がある人やひとり暮らしの人は荷物の受け取りがしづらいというデメリットがありました。
しかし、セブンイレブンは24時間営業のため、自分が好きな時間に受け取ることができます。
土日や深夜にしか受け取れないという人でも、安心して利用することができるサービスでもありました。
在庫と配送の最適化を実現
Omni7で購入することができるのは、セブン&アイ・ホールディングスの商品です。
セブンイレブンだけではなく、イトーヨーカ堂やロフトなどの商品も購入することができます。
グループ会社全体の商品を取り扱うことで、在庫管理の最適化を実現しました。
店舗に足を運べない人でも購入することができるので、自然と売上もアップします。
配送に関しても一人ひとりの家に届けずに済むので、配送コストの削減も叶えました。
成功事例に共通するポイントは?
オムニチャネルを成功させた5つの企業について紹介してきました。
成功した企業に共通していることは、店舗とネットを連携させたことです。
店舗で購入をしたい人とネットで購入をしたい人のどちらのニーズも叶えたことで、成功をおさめました。
スマホが普及したことで、ネットを使った戦略を重視する企業も多いかもしれません。
しかし、ネットではなく店舗で購入をしたいと思っている人も大勢います。
どちらのニーズも叶えることで、より多くの顧客満足度を向上させることができるでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
オムニチャネルを成功させるポイント
オムニチャネルを使って、顧客満足度を向上させたいと思った人も多いと思います。
そこで、オムニチャネルを成功させるためのポイントもいくつか見ていきましょう。
情報を一元化するインフラの整備
オムニチャネルを成功させるためには、チャネルごとの情報を一元化するインフラの整備が必要です。
一元化しておくべき情報には、このようなものがあります。
- 商品の情報
- 在庫情報
- 顧客情報
- 顧客の購入履歴
- 接客履歴
- ネットでの閲覧履歴
- ポイントの獲得履歴・使用履歴
これらの情報を一元化できる仕組みを作ることで、社内での情報共有もしやすくなります。
チャネルごとに別々の仕組みを使っていては、全てのチャネルを連携させることを難しいでしょう。
できるだけ一括で管理できるシステムを作り、オムニチャネルの成功を目指してください。
データ連携とシステム統合
オムニチャネルでは、店舗とネットのデータを連携させておかなければなりません。
店舗の情報がネットに反映されるまでに時間がかかってしまうと、ユーザーの信用を失ってしまいます。
そして、一人ひとりのユーザーの購入情報を店舗とネットの両方で管理できる仕組みが必要です。
店舗の担当者とネットの担当者が連携し合えるような環境づくりが、オムニチャネルを成功させるための鍵となります。
部署間での連携
オムニチャネルは、全てのチャネルを連携させることが重要です。そのため、部署間での連携は欠かせません。
企業によっては、チャネルによって部署が異なる場合もあると思います。
そこで部署ごとに考え方や戦略が違うと、チャネルを連携させることができません。
部署が違ってもコミュニケーションが取れるように、定期的に交流を図る場が必要でしょう。
・チャネルごとの情報を一元管理できるシステムを作る
・店舗とネットのデータを連携する
・部署間でコミュニケーションを取り、全てのチャネルを連携させる
オムニチャネルの導入で困った時は?
オムニチャネルを導入する上で、どのような戦略で進めていくかお悩みの人もいらっしゃると思います。
そこで相談を検討して欲しいのが、コンサルです。プロの意見を聞き、販売戦略に活かしましょう。
自社のノウハウだけでは、オムニチャネルの導入が進まないかもしれません。
時にはプロの知識も借りながら、オムニチャネルの導入を成功させましょう。
顧客管理の事例はこちら
まとめ
今回は、オムニチャネルの成功事例を5つ紹介してきました。オムニチャネルを成功させるためのヒントになりましたか?
SNSやスマホの普及により、オムニチャネルを活用している企業は多数あります。
特に店舗型の企業は、オムニチャネルを利用している場合が多いです。
顧客との接点であるチャネルを連携させることで、顧客満足度の向上が期待できます。
顧客との接点が多い企業は特に、オムニチャネルを成功させて売上アップにつなげましょう。