シェアリングエコノミーというビジネスが注目されています。
社会経済が早いスピードで変化していく中、インターネットを使ったシェアリングエコノミーは新しいビジネスとして注目されています。
遊休資産を活用して相互扶助する考え方で成り立つCtoCビジネスがシェアリングエコノミーです。
2030年には14兆円を上回る市場規模に成長するといわれています。
今回はシェアリングエコノミーのメリットや課題を解説します。
目次
シェアリングエコノミーの特徴
遊休状態にある資産やリソースを有効活用して、サービスを受けたい人に提供するビジネスがシェアリングエコノミーです。
世界中で注目されている個人対個人の取引で、仲介業者がインターネット上にプラットフォームを提供しています。
ここまでシェアリングエコノミーが注目され、実際に幅広く活用されているのはインターネットの普及が大きな要因です。
また、SNSを使った他人同士が情報を共有し合うことが新しいビジネスチャンスを生み出したといえるでしょう。
それではシェアリングエコノミーの特徴について見ていきましょう。
市場規模が拡大している
使われていない資産を有効活用するシェアリングエコノミー市場は拡大しています。
世界的に見てもシェアリングエコノミーは2025年には約3,350億ドルまで成長するといわれているほどです。
社会経済が大きく変化する中で、人々の関心は「所有」から「共有」へと変わってきたのが原因といえます。
商品やサービスを購入するのではなく、使いたい時に使えることがより重要になっています。
価値観やライフスタイルの変化がBtoCからCtoCへと変わったからだといえるでしょう。
シェアリングエコノミーの注目すべきポイントは以下の通りです。
- 低料金で自分が欲しい商品やサービスが利用できる
- 遊休資産の有効活用で収益が生まれる
- ビジネスとして既に成り立っているサービスである
シェアリングエコノミーは市場でビジネスとして広く活用されています。
そして遊休資産を所有している人が、商品やサービスを提供することで利用者共々Win-Winの関係になれます。
新規参入の企業も多い
CtoCビジネスの中心になっているシェアリングエコノミーですが企業も積極的に参入しています。
代表的なものに民泊サービスがあります。
これまで法整備もなくグレーゾーンであった民泊サービスを法整備したことで企業も参入し始め、利用者の増加も期待されているのです。
少子高齢化が進む日本で従来のビジネスでは収益は伸び悩むと予想されています。
そこで企業も社会的構造変化や多様性に対応すべくシェアリングエコノミーに舵を切ったのです。
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シェアリングエコノミーサービスの種類
シェアリングエコノミーサービスといってもさまざまなジャンルがあり、大きく5つに分類されます。
- モノのシェア
- 空間のシェア
- 移動のシェア
- スキルのシェア
- お金のシェア
モノのシェアは定額制で洋服などをレンタルするサービスが代表的なものになります。
モノに執着することなく共有することで価値観を見出すことができます。
空間のシェアでは空き家などを所有する人が借りたい人に提供するサービスです。
例えばホテルや旅館に長期滞在すると高いコストが発生しますが、シェアリングエコノミーサービスなら低価格で利用できます。
移動のシェアはカーシェアリングが代表的ですが、配車アプリUberでは移動をシェアするサービスを開始しています。
自家用車のドライバーが副業としてタクシー利用者を載せることで自家用車を有効活用する方法です。
また、過疎化が進む地方では自治体も注目するサービスとなっています。
スキルのシェアは個人のスキル・知識・経験をシェアリングエコノミーの対象にするものです。
スキルを持つ個人と、それを求める個人をマッチングさせることで需要に対応します。
お金のシェアとはクラウドファンディングサービスのことです。
資金を調達したい人と資産を活用したい人を繋ぐシェアビジネスで、資金の運用先に悩んでいる提供者には新しい運用方法になります。
市場においてクラウドファンディングは高い利回りで注目されます。
もちろんリスクもありますから貸し手は事業内容をよく見極めてから出資してください。
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シェアリングエコノミーの代表的なサービス
具体的なシェアリングエコノミーサービスをここであげておきましょう。
ライドシェアと呼ばれるカーシェアになります。
車を保有するには税金・駐車代など維持費が大きな負担になります。
購入するより必要な時だけ車を借りるレンタカーやカーシェアリングを利用する人が増えているのです。
株式会社NTTドコモが提供する「dカーシェア」をご紹介します。
2017年11月よりNTTドコモはカーシェアリングサービスである「dカーシェア」を開始しました。
企業とのカーシェア・個人とのカーシェア・レンタカー事業者のサービスと3つの利用業態に対応したサービスです。
利用者は専用アプリを使い近隣で空いている車を検索・予約・決済するという通信会社の強みを活かしたのが特徴になります。
利用料金は15分220円からと格安でドコモ端末からならdポイントが付与され、貯まったポイントを支払いにも利用できるのです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
提供者側のメリット
シェアリングエコノミーは世界中で広がり、日本においては個人間だけでなく地方自治体もそのメリットに注目しているところもあります。
ここではシェアリングエコノミーの提供者側のメリットについて解説します。
遊休資産が収益源になる
シェアリングエコノミー最大のメリットは眠っている遊休資産を有効活用できることです。
空き家や通勤では使わない車、使うシーンがないスキルなどを求める人に提供することで対価が支払われます。
遊休資産や個人の余った時間を有効活用すれば社会経済全体の無駄を減らすことにも繋がります。
少子高齢化を迎える日本では過剰消費・使い捨て文化に変わる新しいライフスタイルといえるでしょう。
手軽に始めることができる
個人間での取引なら初期費用がかからず、プラットフォーム利用にかかる手数料だけでコストも限定的です。
個人間の取引のため副収入として得ている人も増えています。
新しいビジネスチャンスが生まれる
モノを持たないという新しい価値観はシェアリングエコノミーという新しいビジネスを誕生させました。
シェアリングエコノミーは私たちの社会をより豊かにする可能性を秘めています。
個人間から自治体が民間企業と連携してシェアリングエコノミーに取り組み、就業機会の創出・育児支援・地域活性化などに着手しています。
シェアリングエコノミーは企業や組織といった枠組みに関係なく柔軟な発想でさまざまなコラボを実現し、社会を活性化させるのです。
消費者側のメリット
消費者側のシェアリングエコノミーのメリットについて解説します。
必要なときだけ利用可能
消費者はモノを所有すると購入費用だけでなく、それを維持するための費用・場所・時間もかかるのです。
所有していれば使わなくても一定の維持費がかかるものです。
しかし、必要な時だけシェアサービスが利用できれば不要なものを持たないシンプルライフが実現します。
余分な出費が抑えられるシェアリングエコノミーによって新たな消費や経済発展に繋がるというわけです。
コストが抑えられる
シェアリングエコノミーでは消費者のコストは限定されます。
シェアリングエコノミーを利用することで従来は購入代金が必要だったものが、定額の使用料だけでサービスが受けられるのです。
場所・時間などのコストが抑えられるのは消費者にとって大きな魅力でしょう。
社会的なメリット
シェアリングエコノミーのビジネスモデルは経済において相乗効果をもたらします。
また、シェアリングエコノミーは新たなビジネスを生み、経済を活性化させるのです。
コストパフォーマンスが良いため、余剰分を他に回すことで消費力がアップするという結果も報告されています。
もう少し社会的なメリットを見ていきましょう。
人とのつながりが生まれる
シェアリングエコノミーでは「共有」という新しい形から相互扶助の考え方が浸透していきます。
個人間のビジネスであるシェアリングエコノミーは地域コミュニティを作り、同じ価値観を持った人との交流を促進します。
人との繋がりが薄い現代社会においてこのことに感動してリピートする人が多いのもシェアリングエコノミーの特徴です。
生産性が向上する
資源の有効活用は個人間でなく企業間にも広がりを見せています。
既に企業ではビジネスモデルとしてシェアリングエコノミーの導入を始めて、生産性向上を実現したところも多く存在しています。
地域振興の手段となる
シェアリングエコノミーは地域振興にも期待されています。
少子高齢化・人口減少・子育て問題を抱える日本で、地方自治体は地域の経済活性化にシェアリングエコノミーを導入する動きもあります。
空き家の増加・過疎化問題・防災など私たちの生活に与える影響は計り知れません。
特に福祉サービスでは子育てや介護の人材が不足しています。
子育てのスキルや資格を持った人と手助けして欲しいユーザーのマッチングができれば福祉サービスの構築ができます。
こうした動きは地域の就業支援や公共施設の運営にも活かされるのです。
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シェアリングエコノミーが抱える問題
社会経済の活性化に期待ができるシェアリングエコノミーですが問題も指摘されています。
急激な社会構造の変化にシェアリングエコノミーを取り巻く環境が追いついていないのです。
いくつか見ていきます。
トラブルが起こるリスク
シェアリングエコノミーにはいくつかの課題があります。
シェアリングエコノミーではサービスを提供するのは企業ではなく個人です。
そのためサービスのクオリティを担保することが難しく、双方の認識相違からトラブルに発展する可能性があります。
そこにはモラルの問題も絡んでいます。
シェアリングエコノミーの歴史も浅く、事業者向けの保険や補償制度が追いついていません。
ただこうした課題に対して保険商品も出始めているので補償制度も整いつつあるといえるでしょう。
既存ビジネスへの浸食
シェアリングエコノミーは既存ビジネスには脅威になります。
シェアリングエコノミーでは、借り手が格安で商品やサービスを利用できます。
そのためレンタカーやコインパーキングなど既存の事業者にとってビジネスの領域を侵食されることになりかねないのです。
ビジネス戦略の見直しが迫られることになるでしょう。
海外ではこうした既存ビジネスを脅かす存在である一部のサービスが拒否されている例もあります。
不完全な法整備
シェアリングエコノミーが始まる時からいわれていたのが法整備問題です。
グレーゾーンでのサービス提供にやはり違法性が見受けられます。
原因はサービス提供者が個人であるためです。
サービスが違法であると明確に示せず、取り締まる体制ができていないのも問題に拍車をかけています。
国は既に着手を始めていますが時間がかかるのは避けられません。
今後速やかに法整備が進み、安心して誰でも利用できる環境づくりが欠かせません。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
問題の解決策は?
シェアリングエコノミーは個人間の取引のため安全性の担保や補償制度なども問題となります。
例えばライドシェアのUberはさまざまな国で受け入れを拒否されています。
理由は既存の公共交通機関やタクシー業者保護や無免許で運送事業を行うなど問題が明るみになったことです。
利用者にとってサービスの選択が増え、価格競争が進んで安くなることは歓迎したいところですが安全性は大きな問題です。
コストが低下した分、安全性も低下したのでは本末転倒になります。
事業者に対しては注意喚起や研修制度の充実などを推奨し、「相互評価制度」でサービスの良し悪しを公にしています。
サービス評価をガラス張りにすることで悪質業者を市場から退場させるのが目的です。
また、サービスを提供したのに未払いが発生しないようにプラットフォームを通じた支払いの徹底が求められます。
信頼関係構築のためにサービスを受ける際は本人確認を怠りなく実施することも重要でしょう。
シェアリングエコノミーでトラブルになったらプラットフォームの運用者に相談をおすすめします。
個人同士の間に入って問題解決に当たってくれるからです。
シェアリングエコノミーのビジネスで悩んだら
シェアリングエコノミーはサービスが注目され始めて歴史が浅く環境整備は十分とはいえません。
課題の多い分野ですが、社会構造の変化は待ったなしで進んでいきます。
シェアリングエコノミーも今後ますます拡大し続けるでしょう。
シェアリングエコノミーのビジネスで悩んだ時はデジマクラスに相談しましょう。
休眠中の保有資産を有効活用したい人もプロの指導を受けてトラブルにならないように対処方法を身につけましょう。
デジマクラスには専門のコンサルタントがいるので、全面的なサポートが受けられます。
まとめ
シェアリングエコノミーについて解説しました。
今後、日本でも法整備が進み、環境が整えられれば企業も積極的にシェアリングエコノミーに参入してくるでしょう。
相互扶助のコンセプトであるシェアリングエコノミーは私たちの生活を便利に、より豊かにしてくれるものです。
シェアリングエコノミーは個人間のサービスだけでなく地域課題の解決や改善にも大いに活躍が期待されます。
課題を認識して是非シェアリングエコノミーを新しいビジネスチャンスとして検討してみてはいかがでしょうか。