動画を用いた広告を活用することは訴求力や集客力を高めることに大きく貢献してくれます。
そんな中、スマートフォンユーザーに向けて発信する縦型動画広告が注目を浴びています。
縦型動画広告は、実は沢山のメリットがあり需要が高まっている状況でもあるのです。
これから動画広告を運用する人にとっては、どんな広告が見てもらいやすく効果があるか知る必要があるでしょう。
今回の記事では、縦型動画広告の特徴やメリットから実際の事例を踏まえて詳しく解説します。
目次
縦型動画広告の特徴
縦型動画広告とは、その名の通りスマートフォン画面を縦にした状態での再生が最適化された動画のことです。
アスペクト比では9:16のサイズとなり、縦状態の再生により手軽さや横動画とは違う印象を与えられる特徴を持ちます。
通常、YouTubeなどの動画を再生した際にはアスペクト比16:9のサイズになります。
その動画再生中に広告が挟まり再生されることがありますが、そちらも横動画のアスペクト比での再生が主流でした。
もちろん、それらの横動画広告はスマートフォンを縦にしてみることは可能ではあります。
しかし、横動画広告を縦にしてみた場合はアスペクト比の関係で非常に小さな動画になってしまいます。
こういった手間や問題から、近年縦型動画広告の需要が高まってきたのです。
また、縦動画広告には横動画広告とは違った独自の印象も与えることが分かっています。
縦動画広告の特徴を把握し、広告にも工夫を凝らすことが今後の広告には必要なスキルなのです。
縦型動画広告のメリット
縦型動画広告が近年需要が高まっており、自社でも運用を開始しようと考えている方は多いでしょう。
しかし、既存の横型動画広告では対応できないのか疑問を持つ人もいると思います。
それは縦型動画と横型動画それぞれの特徴や、縦型動画なりのメリットを把握できていないからです。
メリットや適応場面を知らなければ、今後適切な運用は難しいでしょう。
ここからは、縦型動画広告のメリットについて解説していきます。
差別化できる
1つ目のメリットについては差別化ができるという点です。
近年縦型動画広告の需要が伸びていると先述しましたが、しかしまだまだ横型動画広告を使用している企業は沢山あります。
こういった企業は、もちろん今後縦型動画広告を運用し始めるかもしれません。
しかし、現時点においては横型動画広告の配信を開始すれば先んじることは可能になります。
一歩早くこの動画広告スタイルを構築し集客することができれば、他社との差別化を図ることが可能でしょう。
また、動画サイズは縦型の中であればスクエアサイズのものもあります。
しかし、ここで紹介する縦型動画広告はスマートフォンの画面フルサイズのことになります。
スクエアサイズよりもインパクトも強く、訴求力も高いのが縦型動画広告の強みです。
こういったそれぞれの動画サイズやスタイルと比較しても、差別化を図れることが大きなメリットとなります。
画面サイズが上がる
差別化のメリットでも触れましたが、動画サイズが上がることもメリットの1つです。
縦型動画広告になると、横幅が狭くなるので動画サイズは結果的には同じなのではと感じる人もいるでしょう。
しかし、実は動画サイズは縦型動画広告の方が大きくなるのです。
横型の場合、動画はフルサイズで流れません。上下に余分なスペースが生じてしまっているのです。
そのため、純粋な動画サイズを比較すると縦型動画広告は横型動画広告の300%ものサイズがあることになります。
そして、画面サイズが大きくなるとさらなる効果を生み出します。
それが訴求力の向上です。
全画面サイズの大きな動画が流れるので、インパクトが大きく視聴者に情報が伝わりやすいのです。
さらに、余白がないこともあり他に視線が動かず動画に集中してもらえます。
その結果、訴求内容がきちんとつたわり視聴者には親近感を覚えてもらう効果も生じるのです。
完全視聴率が高い
完全視聴率が高い点も、縦型動画広告が持つ大きなメリットです。
完全視聴率とは、視聴者が動画を最初から最後まで完全に見た割合を表したものです。
この指標が高ければ、当然訴求内容は視聴者に全て見てもらえたということになります。
横型動画広告の場合、スマートフォンを横に持ち替えるなどの手間からこの指標は高くありませんでした。
しかし、縦型動画広告にするとスマートフォンを持ち替える手間がないため完全視聴率が高まったのです。
完全視聴率が高まると、これまでとは違い視聴回数にも良い影響を及ぼします。
情報はしっかりと視聴者に届き、その後の商品購入など結果にも結び付くことでしょう。
なぜ縦型動画広告の需要が高まっている?
縦型動画広告のメリットについて解説しましたが、なぜここまで需要が高まっているのでしょうか。
それは以下の項目が理由だと考えられています。
- スマートフォンの普及と利用時間が伸びていること
- 動画共有サービスやSNSの利用が伸びていること
大きな理由の一つに、スマートフォンの普及と利用時間が大幅に伸びたことが挙げられます。
スマートフォンの普及により動画広告市場は、テレビやパソコンよりもはるかに伸びています。
これは普及に伴ってスマートフォンの利用時間が大幅に伸び、動画視聴時間も急激に増加しているためです。
元々、横型動画広告はパソコンで動画視聴をする際に流すことを考え作られていました。
しかし、普及に伴ってパソコンよりもスマートフォンでの動画視聴の割合が大きくなっていったのです。
この背景があり、スマートフォンの動画広告市場が急激に高まってきたのです。
そして、中でも縦型動画広告の需要が高い理由がYouTubeなどの動画共有サービスやSNS利用が伸びているからと考えられます。
スマートフォンによるこれらの利用により、スマートフォンを縦のまま利用するシーンが増えているのです。
その結果、持ち替える必要なくそのまま視聴できる縦型動画広告が活用できる場面が増えたと考えられるのです。
先述したメリットでもあるように、視聴者は持ち替えることを煩わしいと感じるケースがあります。
これらの背景から、縦型動画広告が視聴者にとってもメリットがあり企業にも完全視聴してもらえるメリットがあるのです。
さらに、スマートフォンの動画広告市場全体が今後も拡大していくといわれています。
それは、通信速度が向上するからです。5Gの登場によりスマートフォンの通信速度も向上しています。
今後も通信速度は飛躍的に向上していくと考えられているようです。
こういった機能面についても、スマートフォンの動画市場を後押ししているので市場への期待が持て需要が高まっているのです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
縦型動画広告の課題はある?
縦型動画広告の需要が高まる理由や、メリットについて把握することができました。
これから広告運用をするにあたり、これほど訴求力も高く完全視聴率も高いものは使わない手はないでしょう。
しかし、メリットばかりに目が行きがちですが課題などはないのか疑問を抱く人もいると思います。
もちろん、課題もあります。
1つ目の課題が、現実の視界との差が大きいということです。
例えば、景色を動画で流す際にパノラマ撮影などがよく用いられます。
横動画広告であればパノラマ撮影が、そのまま視聴者の視点と景色を見る視点とで合致するため違和感は少ないです。
しかし、縦動画広告であれば違和感が大きくなります。
パノラマ撮影での動画は横幅を使った撮影になるので、そのまま動画に使うと小さな動画になります。
仮に、小さな動画で流さず無理矢理縦動画広告で使えばさらに違和感は大きくなるでしょう。
縦動画広告の大画面による訴求力やインパクトの高さが逆効果になってしまうのです。
2つ目に、動画が作りづらい点も大きな課題になります。
その理由は、先述した違和感を感じるようなシーンで使うと動画作りが困難になるからです。
また上記以外でも、横幅を求められる構図を使う時に縦動画広告作成は難しくなります。
例えば、複数人が並んだ構図を使う時が一例になります。
沢山の人が並ぶ構図では、横幅が求められるでしょう。
しかし、縦型のサイズに制限があるために何らかの工夫が求められます。
視聴者に負担がない構図やシーンの切り替えなど、色々な工夫が求められるので難しいのです。
また、3つ目にパソコンで流れるには適していない点も課題です。
スマートフォン向けの動画広告とはいえ、動画共有サイトの様にパソコンでの再生も考えられるものもあるでしょう。
その場合、縦型動画広告用で作っているとパソコンでは見づらいため適していません。
どちらを優先するかを決断をしなければならないので、非常に難しい課題になります。
縦型動画広告には優れた部分も多くありますが、こういった課題も残っているので注意して取り入れる必要があります。
縦型動画広告に適した内容
縦型動画広告の優れた部分や課題について把握し、実際に運用を考えている人もいるでしょう。
しかし、実際に運用を考えているならば縦型動画広告に適した内容も把握しなければなりません。
先述したような、使いづらいシーンや適さない内容もあるからです。
どういった内容が縦型動画広告に最適なのか、紹介していきましょう。
短い尺
動画時間が短い尺で終われるものが適しています。
縦型動画広告はインパクトが強いために、色々な内容を盛り込み訴えたいと考える人もいるでしょう。
しかし、動画時間が長ければ動画の見にくさや違和感を感じ視聴者にストレスを与える要因になります。
また、そもそも完全視聴率が高い背景にユーザーが空き時間に利用しているといったものがあります。
空き時間ですぐ見ることができる動画やコンテンツを楽しむ中で、縦型動画広告は流れるわけです。
すなわち、空き時間に適した長さの尺でないとスキップされる可能性も高まってしまいます。
このような理由や背景があるため、縦型動画広告には短い尺の内容が適しているのです。
コーディネート紹介
ファッションやアクセサリーなど、身に着けるものに関するECサイトで活用するにも適しています。
ファンション系は、全体の組み合わせやバランスから細部に至るまで見られるものです。
そこで、縦型動画広告はまず全体の雰囲気をうかがうことができます。
横型動画広告では与えられなかったインパクトも視聴者に与えることができるでしょう。
さらに、画面が大きいので細部まで気になるところをチェックできます。
女性がターゲットの場合
女性をターゲットにした内容も縦型動画広告に適した内容だといわれています。
その理由の1つが、女性の手が小さいことと関係しているようです。
女性は男性に比べて手のサイズが小さいです。
そのため、スマートフォンを横にしてわざわざ動画を見ることに少々苦労してしまいます。
縦型動画広告であれば、スマートフォンの向きを気にすることなく視聴ができるためストレスが少ないのです。
また、女性向けの主なジャンルが縦型動画広告に適していることも理由の一つです。
女性向けの主なジャンルとは、例えば化粧品やファンッション用品といった内容をさしています。
さらに、女性のユーザーが多いTikTokやInstagramなどのアプリもスマートフォンを縦で使用する機会が多いです。
これらが理由で、女性をターゲットにした内容は縦型動画広告に向いているといえます。
ユーザー参加型
ユーザー参加型とは、ユーザーの動画投稿などを募集する企画のことをいいます。
こういったイベントやキャンペーンを広告で打つ場合には、縦型動画広告が適しているといえるでしょう。
そもそも、動画を撮影する際に縦向きで撮影する機会が多いです。
このことから、キャンペーン参加を募る際も縦型動画広告で訴求すればより親和性が高くなります。
その結果、キャンペーンを強くアピールすこともできますし多くの投稿をもらえることにもつながりやすいです。
動画広告活用の事例はこちら
縦型動画広告の媒体
縦型動画広告にどういった効果があり、どんな内容であれば適しているのかを解説しました。
先述したように、適した内容であればかなりの訴求効果や集客を見込めることが分かります。
それでは、どの媒体であれば縦型動画広告を掲載することができるのでしょうか。
そもそも全くユーザーがいない媒体で、新たな動画広告を打ち出しても効果は見込めないでしょう。
現在主流となる、縦型動画広告を掲載している媒体を紹介していきます。
YouTube
1つ目の媒体がYouTubeです。動画共有サービスの代表格といえるでしょう。
横型動画広告を見る機会も多いかもしれませんが、2018年9月から縦型動画広告を投稿できるようになっています。
しかし、縦型動画広告を投稿するには注意も必要です。この媒体特有の特殊なルールがあります。
重要な文言については動画上部10%、下部25%に入れないように推奨されていることです。
TikTok
2つ目の媒体がTikTokです。
この媒体は、基本的に縦型の動画を投稿し楽しむものになるので縦型動画広告との親和性が非常に高いです。
また、動画1本の視聴時間が短いこともあって尺の短い縦型動画広告の効果は高いとされています。
YouTubeと違い、ほとんどの広告が縦型動画広告であることが特徴です。
媒体特有のルールとしては、動画が8回視聴される毎に広告が入る仕組みになっています。
最後に紹介する媒体がInstagramです。
この媒体では、ストーリーズと呼ばれる24時間のみ視聴できる動画に縦型動画広告を掲載できるようになっています。
24時間のみと聞くと短いようですが、自動でフルスクリーンでユーザーに表示される企業側のメリットもあるのです。
一方で、縦型動画広告はストーリーズのみに掲載でき通常動画には掲載できないことが注意点でもあります。
動画広告活用の事例はこちら
縦型動画広告の事例
代表的な媒体を把握でき、今後の縦型動画広告を掲載する計画も具体的に絞り込めてくることでしょう。
次は、実際に縦型動画広告を運用してきた事例をご紹介していきましょう。
これまでの事例を踏まえて参考にすることで、今後の運用に対してより細かい活用計画が練られるはずです。
H&M HOUSE Forest
ファッションブランドの代表格であるH&Mが運用する縦型動画広告になります。
この動画内では、モデルの鈴木えみさんが1日を通してファッションを楽しみ友人たちと食事などを楽しむシーンが流れます。
鈴木えみさんが着るファッションの組み合わせや使用シーンによっての服選びを楽しむ様子を伝えているのです。
さらに、動画内では友人たちと楽しむシーンが数多く流れています。
縦型動画広告の効果によって、まるで自分も動画に入り一緒に楽しんでいるかのような印象をユーザーに与えてくれてもいます。
ブラックフライデー
こちらの縦型動画広告は、トヨタ自動車が運用する広告です。
動画の内容は、女優の新垣結衣さんが視聴者に向けて話しかけているような構成になっています。
動画内で訴求する自動車のことはもちろんですが、その動画構成がユーザーを引き付ける作りとなっています。
縦型動画広告の効果を使って、画面越しの人が話しかけている状況を作ることで訴求力を高めているのです。
人気の女優の方が話しかけているという構成も、縦型動画で自分で撮影しているという印象を与えます。
これらの効果で、没入感を感じさせ完全視聴の効果も上げていると考えられます。
Haru.Robinso
シンガーソングライターであるHaru.Robinsoが運用する動画です。
実はMVとして作られた動画になるので、広告でありながらも通常よりも動画時間が長いです。
しかし、その動画時間を感じさせない動画作りと構成がなされています。
まず、このMVのメインターゲットは高校生になります。
そのため、縦型でスマートフォンを使用するケースが多いので縦型動画として作られているのです。
さらに、動画時間が長くとも最後まで視聴させる工夫が施された作りになっています。
その理由が、この動画は2つで1つの動画になっているからです。
2台のスマートフォンを並べて同時視聴することで、真のMVが完成する仕掛けが施されていたのです。
こういった、縦型動画広告自体の工夫によってインパクトを与える工夫も成功例といえるでしょう。
映画『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』
『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』の映画宣伝用に作られた広告になります。
この動画の大きな特徴が、スマートフォンでの視聴を前提にして作られている点です。
また、まるで本当に自分のスマートフォンが勝手に不思議な動きをしているかのような錯覚に陥る作りになっています。
動画広告はパソコンなど他のデバイスでも再生されることを見越して作ることが多いです。
しかし、今回の宣伝用動画はスマートフォンの再生が前提なので状況にあった工夫がされています。
そのため、流れる動画が動画ではなく本当に自分のスマートフォンで起きていると錯覚させるまでになっています。
動画広告とはわかっていますが、次々に目の前で起こる展開に目が離せず夢中になってしまうのです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
縦型動画広告のメリットをマーケティングに活かす
縦型動画広告の事例にもあった通り、視聴者を夢中にさせるような広告にすることもできるとわかりました。
そして、さらに応用すれば縦型動画広告のメリットをマーケティングに活かすことも可能なのです。
これまで、広告を作成してもターゲットを見つけその人に届けるには非常に手間のかかる問題でした。
動画を届けても商品が購入されるか不明にもかかわらず、マーケティングを行うのは非常にコストを伴います。
しかし、縦型動画広告のメリットを使えばそのマーケティングにも応用できるのです。
例えば、視聴履歴や完全視聴率の高いジャンルから自動的に広告を表示してくれる機能が一部アプリにはあるのです。
過去の視聴履歴をもとに、興味のあるジャンルを分析し視聴者に関連広告を選んで流してくれます。
こういった機能を使えば、これまでのマーケティングの苦労は大幅に削減することができるでしょう。
視聴に伴っての色々なデータが使えれば、今後さらなるターゲット分析などにも役立ちます。
縦型動画広告で悩んだら
多くのメリットや今後の需要を考えれば、縦型動画広告は非常に魅力的なツールになります。
効果的に運用できれば、かなりのユーザーを見込めることになり結果にも伴うことでしょう。
しかし、先述した通り課題がないわけではありません。
もちろん縦型動画広告自体にはメリットは多いですが、視聴者に見てもらえる動画作りと運用は簡単ではありません。
広告内容は縦型動画に適しているのか、配信媒体との相性など不安を感じる人はいるでしょう。
そんな時は、デジマクラスにご相談ください。
専門のコンサルタントがアドバイスし、今後の広告運用について一緒になって取り組みます。
今後の広告運用の一助になり、最大の効果を発揮させることができるでしょう。
動画広告活用の事例はこちら
まとめ
縦型動画広告の有用性や配信媒体など事例も合わせて解説してきました。
動画広告の分野では、今後縦型動画広告が効果を発揮することは間違いないでしょう。
そんな魅力の詰まった広告を見逃さずうまく活用したいものです。
今回の記事を参考に、ぜひ今後の広告作りに活かし宣伝効果を上げてみてください。